- レオポルト・フォン・ゲルラッハ - プロイセン王国の廷臣・軍人・政治家。フリードリヒ・ヴィルヘルム4世王の臣下で王の私的顧問団(Camarilla)の一員として知られる。
- エルンスト・ルートヴィヒ・フォン・ゲルラッハ - プロイセン王国の法律家、政治家。レオポルトの弟。
- マンフレート・ゲルラッハ - ドイツ民主共和国の政治家。第5代国家評議会議長(=東ドイツ国家元首)を務めた。
- ゲルラッハ - 「銀河英雄伝説」の登場人物。ゴールデンバウム朝銀河帝国の政治家。
である。本記事では4.のゲルラッハについて記述する。
CV.八奈見乗児(石黒監督版OVA)、土師孝也(Die Neue These)
概要
ゴールデンバウム朝銀河帝国貴族・子爵。財務尚書・帝国副宰相。
王朝開闢以来の廷臣の家の出とされる怜悧な官僚政治家であり、帝国宰相リヒテンラーデ侯クラウスの腹心というべき立場にあった。
フリードリヒ4世朝後期において財務尚書の重任にあったが、リップシュタット戦役の結果、ローエングラム公ラインハルトによる帝国の実権掌握にともなって失脚した。
経歴
帝国暦486年春の時点ですでに財務尚書の地位にあった。
この時は、国務尚書兼宰相代理リヒテンラーデ侯クラウスとのあいだでラインハルト・フォン・ミューゼルの大将昇進やベーネミュンデ侯爵夫人の案件の処理について会話をかわしている。
翌487年、法網をかいくぐった不正蓄財で悪名高かったオイゲン・フォン・カストロプ公爵の事故死を受けて資産調査のためカストロプ公領に調査官を派遣する。しかしこの調査官が二回にわたって公子マクシミリアンの反抗に遭ったため、ゲルラッハは国務尚書リヒテンラーデ侯に要請してマクシミリアンを宮廷に召喚させた。
これをきっかけとして発生したカストロプ動乱の終結後は財務省が事後処理にあたり、これが一段落した夏頃にはリヒテンラーデの居館を訪問して結果を報告している。この時、リヒテンラーデ侯から同盟の大挙侵攻に関する相談を受け、「勝てばそれでよし、負けても敵の大損害は必至、ラインハルトの才能が必要なうちは役立てるべき」とローエングラム伯ラインハルトを迎撃司令官に任用するよう提言している。
同年のフリードリヒ4世崩御後、おそらくはリヒテンラーデ公の帝国宰相就任にあわせて副宰相に任じられたが、リップシュタット戦役の結果リヒテンラーデ公が失脚。ゲルラッハは地位を返上して謹慎することで粛清と一族の滅亡を逃れ、以後はパウル・フォン・オーベルシュタインの監視下に置かれた。
その後の経歴は不明だが、帝国暦489年中ごろ、フェザーンとランズベルク伯アルフレットらによる計画を帝国宰相ラインハルトらが見逃す形で成立した皇帝エルウィン・ヨーゼフ2世誘拐陰謀に際して、ラインハルトからオーベルシュタインに対してゲルラッハを皇帝誘拐の共謀者に仕立てるよう示唆がなされている。実際にこの案が実行されたものとすれば、こののちに処断されたと考えられる。
評価
貴族出身ながら、行政と政略の両面に目が届く有能な官僚政治家であったとされる。
ベーネミュンデ侯爵夫人の一件においては皇帝の無気力や後継者不在、門閥貴族の暗闘といった事態によって帝政が衰弱することを危惧したり、同盟軍迎撃の司令官人事についてラインハルトを推薦するときも「伯はたしかに無能ではなく、叛乱軍にすくなからぬ損害をあたえることは確実」と軍事能力に一定の評価をあたえつつ、勝利して増長する恐れに対しては冷然と粛清を説くなど、実際に政治力の一端を見せている。
しかし、ゲルラッハのこうした有能さはいずれも「帝国と帝政から、その視野は一歩も出ない」上でのこととされており、ラインハルトが王朝内での権力上昇にとどまらず王朝それ自体の破壊を求めていることは当然ながら見抜けなかった。そして結局のところ、彼は「たかがなりあがり者ひとり、いつでも料理できます」としていた相手の宮廷クーデターによって失脚することとなったのである。
補遺
オイゲン・フォン・カストロプは15年にわたり財務尚書を務めた人物とされるが、ゲルラッハの直接の前任者であったかは不明。オイゲンの死去は帝国暦487年初頭であるため、死去時点でいまだ財務尚書に在任していた可能性はまずない。
ラインハルトがゲルラッハを「皇帝誘拐の共謀者」としたてるよう示唆した際、オーベルシュタインは実際に共謀が存在する可能性を提言している。しかしラインハルト自身は、謹慎後のゲルラッハにラインハルトに反抗するほどの勇気と行動力は無く、またゲルラッハをひきいれることでもたらされる門閥貴族残党内でのデメリットからしても、実際にはありえないものと考えていた。理想主義的なランズベルク伯が接触する可能性は皆無ではなかったが、結局のところ、この件では受動的な立場をとるラインハルトの予測の及ぶところではなかった。
アニメでの登場
石黒監督版アニメでは、白い太眉を持つ精力的な禿頭の人物に設定された。
本伝一期では、原作黎明篇でのリヒテンラーデ侯の政務秘書官ワイツの立場を代替した分もあわせて数度登場があったが、その末路については省略された。原作外伝の登場分については、ラインハルトの大将昇進関連の会話のみが長篇「新たなる戦いの序曲」冒頭に収録されたほか、「千億の星、千億の光」においてはラインハルトの伯爵家後継問題に関するリヒテンラーデ侯のシーンで若干映り込んでいる。
「Die Neue These」では茶色の短髪とカイゼル髭をたくわえた、犀利な細面の中年官僚といった雰囲気。
現時点での登場シーンはほぼ原作通り、同盟の侵攻を迎撃するにラインハルトをあてる人事についてのシーンだが、カストロプ公爵家の財産についての会話は省略された。
関連動画
関連項目
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