ゲームボーイ(GB)とは、平成元年に発売された任天堂の携帯型ゲーム機である。
概要
初代機は1989年(平成元年)4月21日発売。平成最初の任天堂ハードである。ゲーム&ウォッチから9年の時を経て、エポック社の「ゲームポケコン」に次ぐソフト取替え型の携帯ゲーム機として登場した。この年はファミコンの次世代機が話題を集めており(結局発売は翌年にずれ込んだが)、扱いとしてはそれほど大きなものではなかった。
初代ゲームボーイは「子供が全力疾走した自転車カゴから落としても壊れない」のを目標としたと言われる異常な堅牢さを誇り、湾岸戦争で爆撃を受けた兵舎に置かれていた物も液晶を取り替えただけで動いた(下の動画参照)。
当時、任天堂の社長だった山内溥は、出来立てほやほやの最終デモ機を見るやいなや、いきなり床に叩きつけて自ら耐久テストを行い、問題なく動作したため発売にこぎつけたという驚きの逸話がある…………のだが、実はこれ、任天堂自身すら首を傾げる、どういう経緯で生まれたのか謎なデマエピソードである(耐久テスト自体はある)。
初代は本体が弁当箱のごとき大きさのため持ちにくく、また画面はSTN反射式モノクロ液晶だが、当時の液晶は主に計算機等に使われるものであり、およそ『映像』を写せるようなものではなく、白黒というか昔の電卓のような緑黒の4階層で表示され、若干見づらかった。これについてはゲームボーイポケット以降順次改善している。
しかし、大きい分コストパフォーマンスが良い単3電池を4本セットでき、アルカリ電池を使えば約35時間遊べるという脅威のスタミナの持ち主であり、任天堂の携帯ハードでは最長の連続稼働時間を誇る。とは言うものの電池式では現在のように気軽に充電するわけにはいかず、ゲームクリア寸前に電源ランプが点滅して涙目になりながらプレイしたり、慌てて電池を買いに走った思い出を持つ方は多かろう。
セールスと社会現象
販売当初、スクウェアのRPG「魔界塔士SAGA」やアクションゲーム「スーパーマリオランド」などのキラータイトルはあったが、爆発的に普及したきっかけが、世界中を巻き込む社会現象となった「テトリス」であり、通信対戦という要素のメリットが存分に生かされた。また、これによってパズルゲームはマニアにしか売れないという常識も覆され、「ドクターマリオ」「ヨッシーのクッキー」などが制作されるようにもなっている。また、セガも「コラムス」「ぷよぷよ」といったヒット作を生み出す原動力となった。
その後はスーパーファミコンやプレイステーションなどの美麗なグラフィックやBGMと、それを活用したRPGやアーケードゲームの格闘アクションなどが人気となるとモノクロ画像で音源も乏しいGBは頭打ち、一時は年数本しかソフト発売予定がない撤退寸前の状態にまで追い込まれていた。そんな時にリリースされた「ポケットモンスター」(赤と緑)の爆発的ヒットで水……どころか、鉄砲水を浴びて滝登りした魚のごとくV字回復して現在の揺るぎない携帯ゲーム市場の礎になった。そして、このRPGは一人で楽しむものという常識を打ち破ったことが、後の「遊戯王デュエルモンスターズ」「ドラゴンクエストモンスターズ」「メダロット」や「モンスターハンター」などのヒットにもつながったりしているなど、さらなるゲームの新しい遊び方を発展させた。更にハードも進化し、GBカラー、GBアドバンスなども発売されるきっかけとなっている。
新作ソフトは2002年(平成14年)6月28日発売の「From TV animation ONE PIECE 幻のグランドライン冒険記!」が一応の最終作である。最終ソフト発売が本体発売から13年2ヶ月後であり、令和6年現在、任天堂ハードの中では最も長寿である。同人ベースでのゲームボーイソフト開発は、ファミリーコンピューターと同じようにレトロゲームマニアの間で引き続き行われており、2019年(平成31年)には、ゲームインパクト社よりゲームボーイ生誕30周年を記念して、ゲームボーイ発売日と同じ4月21日に「ドラキュラの城」という完全新作のゲームボーイソフトが発売されている。なお、同社は後に第2弾として「冴子先生のお色気ブラックジャックGB」、第3弾にはドラキュラの城の高難易度版である「アナザードラキュラの城」も同年にリリースしているほか、いい大人達とのコラボレーション版も限定販売された。さらに同社は「クイズインパクト ハビットの冒険」を発表、ゲームボーイカラー用ソフトにも進出し、「リペアちゃんの修理大作戦GB」「バーガーキッチンGB」「焼き鳥名人 とり訡」「プリンセスガーデニングGB」「美少女麻雀パズルGB」と立て続けに新作をリリースしている。この他に海外のソフトハウスのFirst Press Gamesが「とぶとぶがーる」「ポワッ!」といった新作を発表しており、日本に個人で輸入することも可能。
また、通信ケーブルによる通信機能を保持している。これは、開発者の一人である横井軍平氏がつけてもコストがさして上がらないという理由で深く考えずにつけたそうで、マイナーチェンジ版のゲームボーイポケットを作る際に削減する予定もあったそうである。しかし、削除しなかった事が後にとんでもないバケモンを作り出し、元々一人で遊ぶものであった携帯ゲーム機は通信によって他者とコミュニケーションをするためのツールとして発展する契機になった。その後コネクタの小型化・赤外線を経てWi-Fiを使ったすれちがい通信にまで発展した。
ただしこの通信ケーブル、とんでもなく通信速度が遅いものだったそうで、ハドソンが「ボンバーボーイ」で通信対戦機能を実装しようとしたところ、全く同期が取れなくて悶絶したというエピソードが残っている。結局「どうせお互いの画面は見ないのだから、後で帳尻が合えば良い」ということで、何とかつじつまを合わせたそうである。
ちなみに任天堂が「通信ケーブル」という概念を取り入れたのは、1983年(昭和58年)に発売した「コンピュータ麻雀 役満」という電子ゲームが最初である。こちらの開発にも横井が関わっている。
参考:http://d.hatena.ne.jp/EXAPON/20050613/p8
いろいろなゲームボーイ
ゲームボーイシリーズ(アドバンス以降を除く)普及台数は国内3243万台、全世界1億1842万台。NEOGEOと並んで実動14年のロングセラー。
- ゲームボーイ
- 初代ゲームボーイ。今見るとかなりデカイが、当時はこれでも小さかった。
バックライトがない為、サードパーティからアタッチメント式バックライト付き拡大鏡の周辺機器が出た。 - 本体色はグレーのみ。発売時税込12500円。
- ゲームボーイブロス
- 初代機からカラーバリエーションを増やした。以降の型はいずれもカラーバリーエーションを有する。
- 1994年(平成6年)発売。
- ゲームボーイポケット
- 現代の携帯ゲーム機より小さいぐらいのサイズまで大幅に小型化。液晶も白くなり見やすくなった。
- シリーズ内で一番安価であった。発売当初でも6800円、その後二度値下げされて末期は3800円。
- 電池残量表示が無いのと、唯一単4電池を用いるためコストパフォーマンスが悪いのが難点。
- 「ポケモン」ブームで爆発的に普及。1996年(平成8年)発売。
- ゲームボーイライト
- ゲームボーイポケットサイズでバックライトを内蔵。電池残量表示と単3電池も復活。1998年(平成10年)発売。
- スーパーゲームボーイ
- スーパーファミコンでゲームボーイソフトが楽しめるが、通信機能が無い。1994年(平成6年)発売。
- スーパーゲームボーイ2
- 通信ケーブルを繋げるジャックが付き通信が可能になった。1998年(平成10年)発売。
- ゲームボーイカラー
- 対応するソフトでは32000色中最大56色同時発色できるようになった。従来のゲームもある程度カラーになる。CPU等のスペック向上を受けて「ゲームボーイカラー専用」のソフトも登場した(後継型のゲームボーイアドバンスでもプレイ可能)。また、液晶の視認性向上もアピールされていた。液晶バックライトは非搭載。1998年(平成10年)発売。
ゲームボーイシリーズは全て(ゲームボーイアドバンスSPやゲームボーイミクロ以前の型)、任天堂公式での修理受付を終了している。 (2015年(平成27年)2月公式サイト「修理のご案内」閲覧)
- ゲームボーイアドバンス
- ゲームボーイの全てが進化した次世代機。32ビット機だが8ビットのCPUも積んでおり、GBとも高い互換性がある。
- 「ゲームボーイシリーズ」全体の次世代機であり、ゲームボーイに含まない場合が多い。2001年(平成13年)発売。
それ以降の携帯機
任天堂はゲームボーイシリーズと互換性があるゲームボーイアドバンスを発売し、その後ゲームボーイアドバンスのみと互換性があるニンテンドーDSを発売し、次にDSとのみ互換性のあるニンテンドー3DSを、というように1世代前と互換性を保ちながら推移していっている。
任天堂の現在の主流携帯ゲーム機であるニンテンドー3DSでは、2011年(平成23年)6月よりバーチャルコンソールでゲームボーイ及びゲームボーイカラーのソフトを配信している。
これ以降の任天堂のハードも比較的堅牢な作りがされているものの精密機器の宿命には逆らえず、生産が中国に移行したこともありDS以降のハードは以前より堅牢ではないが、不良品の少なさ的な意味で相変わらず堅実な作りがなされている。それ以上に、自転車で全力疾走する子供や物を乱暴に扱う子供が大分減った。
電池については、無印アドバンスまでは単3電池が採用されていたが、ゲームボーイアドバンスSP以降は携帯電話と同じリチウムイオン電池による充電となった。しかし、CPUの処理能力は日々大幅に向上している一方で現行の化学電池の性能は理論上の限界に達しており、連続稼働時間は減少傾向に。ゲームボーイカラーが単3型アルカリ乾電池2本でカタログ値20時間超であったのが、ニンテンドー3DSシリーズでは3DSソフトプレイがリチウムイオン充電池駆動で約3~7時間となっている。
また、本体価格も、前述のゲームボーイポケットを底値にモデルチェンジごとに上昇傾向となり、ゲームボーイアドバンスSPから(発売時)1万円突破、2011年(平成23年)2月発売のニンテンドー3DSでは発売時価格が税込25000円と(任天堂の)据置型ゲーム機並にまで上昇した。この高価格は3DS出だし不調の要因の一つとされ、発売半年後に逆ザヤ(赤字)覚悟で税込15000円に値下げされた。これ以降発売の型はいずれも税抜2万円以内に抑えられており、2016年(平成28年)2月国内発売のニンテンドー2DSではソフト同梱で税抜9980円と、税抜価格かつ廉価型要素の強い型ではあるが、ゲームボーイアドバンスSPシリーズ以来となる1万円未満の型が復活した。
一方、先のバケモンを生み出した通信機能は、アドバンスでは多人数対戦が、DSではデフォルトでワイヤレス通信が可能となり、すれちがい通信などの機能も生まれた。また、モバイルアダプタGBで実現した遠距離通信はその技術的・金銭的な敷居の高さ故にアドバンスまではほとんど普及しなかったものの、その間にインターネットが一般へ広く普及したことによって、DSのニンテンドーWi-Fiコネクションで『カンタン、あんしん、無料』がようやく可能となり、ついに本格的な超遠距離通信が可能となった。
関連動画
CM
BGM
その他色々
関連静画
ピコカキコ
ゲームボーイ起動音 |
関連項目
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- GB作品音楽集
- ゲーム&ウォッチ
- ゲームボーイシリーズ
- ゲームボーイポケット
- ゲームボーイライト
- ゲームボーイカラー
- ゲームボーイアドバンス
- ニンテンドーDS
- ニンテンドー3DS
- スーパーゲームボーイ
- 通信ケーブル(ゲームボーイ)
- モバイルアダプタGB
- 横井軍平
- 任天堂
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