コズミックイプシロンとは、1989年に発売されたファミコンの3Dシューティングゲームである。
販売元はアスミック。
ストーリー
コズミックイプシロン。それは人類最後の希望を背負い、ひとり帝国軍に挑んだ、勇敢な戦士の物語。
高度な科学と邪悪な欲望が支配する、巨大帝国イプシロン。その容赦ない侵略の前に、人類は危機を迎えていた。絶え間なくなく押し寄せる、攻撃の魔手。凶悪な帝国軍の前に、平和な地球は無力だった。かくして地上は彼らの手に落ち、人類は地底深くに身を潜めていたのである。このままでは人類に未来はない。そのとき、一人の戦士が敢然と立ち上がった。
コズミック・イプシロン。地底基地からスタートし、まず地上を制圧。さらに宇宙艇で宇宙空母を撃破。都市の惑星、海の惑星などに設置された帝国軍の要塞をすべて落とし、宇宙空間での絶え間ない戦闘に勝ち抜かなければならない。そして最後にキミを待ち受ける、敵の戦闘惑星アーリア。
武器はサイバービットI、IIと自動追尾ミサイル、波動砲、そして場面に応じて人間型ロボットとキャノンシップに変形するサイバープロテクター。キミは無事に最終章までたどりつき、アーリア内部に侵入することができるだろうか…。
(取扱説明書より)
概要
このゲームは、スペースハリアー等に見られる擬似3Dスクロールシューティングであり、数少ない3Dシステム対応ソフトでもある。
特筆すべき点として、地面の表現方法が挙げられる。
当時この手のゲームにおいて地面は市松模様か縞模様が主流であった。(更にファミコンではそれをパレット切り替えでスクロール表現している事が殆ど)
しかしこのゲームはラスタースクロールやグラフィックの書き換えを駆使し(詳しい技術は不明)、ファミコンとは思えない滑らかなスクロールを実現し、しかも(カクカクとは言え)地面のマップも個性的に表現されており、地面に道路(白い点線も表現されている)や池が描かれ、更には文字等も立体に書かれている。
また、自機の位置によって視点角度も変化するのも特長である。
ステージによって地面が無い宇宙空間も存在するが、そのような面では柱や隕石等の障害物がその役目を果たし、高速スクロールが展開される。
演出もまた優れており、音声合成や近づいてくるピラミッドからボスが出現したり、トンネル内を高速で抜ける等といった展開が用意されている。
無茶な演出処理を行っている為、説明書にも「このゲームはファミコンの限界に挑戦したソフトで、プレイ中に敵キャラが異常に増えた時、画面がチラつくことがありますが、ファミコン本体、ゲームソフトに異常はありません」と書かれている。
このゲームは前述した内容であるにも関わらず、ファミコンソフトの中でもマイナーな部類であり、長らく注目されない存在であったが、ニコニコ動画でプレイムービー(関連動画参照)がアップされた事もあってか、最近再評価されつつある。
ゲーム内容
自機のサイバープロテクターを操作し、3種類の武器を駆使して進める。
武器はBボタンで連射可能なレーザービームを発射し、Bボタン長押しでチャージし、レーザービーム20倍の威力の波動砲を撃つ事が可能。
ボスは耐久力が高い為、この波動砲を使った戦法が主となる。
Aボタンを押すと自動追尾ミサイルを発射を発射可能だが、弾数制限があり、スタート時の時点で20発しか無い為、無闇に使うのは禁物である。
ステージ中に出現するフロト・ネイクを破壊するとアイテムを落とす。
アイテムは3種類あり、「M」はミサイルの補充、「S」はシールド(一定時間無敵)、「X」は1UPである。
自機のサイバープロテクターは地上ステージではロボット形態、宇宙ステージと海底ステージではキャノンシップ形態(戦闘機型)に変形する。(グラフィックが変わるだけで性能に変化は無し)
ステージは全8面構成である。
ステージ構成
- ステージ1(地球上)
まず地上を取り戻さなければならない。武器はサイバープロテクターに連動するサイバービットと自動追尾式ミサイルだ。縦横無尽に動いてボスキャラを倒せ。
最初のステージなだけあって難易度は低いが、噴出すプロミネンスや火山等のギミックがあり、油断は禁物である。
ボスは輸送戦艦「ズガイヘッド」
骸骨のように見える輸送戦艦。
中央の鼻に見える部分が弱点だ。 - ステージ2(宇宙空間)
宇宙は、完全にアーリアンによって制圧されていた。エルディを阻止しようと、無数の戦闘機が押しよせる。
この面からいきなり難易度が急上昇する。
高速で迫ってくる柱の大群をかいくぐる場面があり、厄介である。
画面のスクロール自体はしないものの、スピード感がある。
ボスは母艦「カイ・ア・コア」
ズガイヘッドを地球に運んだ侵略前線用の巨大輸送戦艦。本体が上下に開き、弾を撃ってくるときが攻撃のチャンスだ。 - ステージ3(水の惑星アクエリアス海上)
元は地球の燃料基地、水の惑星アクエリアスも敵に占領されていた。アーリアンを倒せ。
この面は雲上パートと地上パートに分かれている。
ボスは生物兵器「ゼリースライム」
敵の天才科学者が生み出した、ゼリー状の軟体攻撃兵器。複雑な動きをしっかり読み、波動砲をたたき込め。 - ステージ4(水の惑星アクエリアス海底)
キャノンシップに変形して、海上に着水。今度は敵が築いた海底都市を撃破する。次々と襲いかかってくる敵キャラを粉砕し、ボスキャラを倒したら、宇宙へ。
1面同様海底火山が存在する。
特に特徴の無い面だが、薄暗く独特の雰囲気がある。
ボスは要塞「ギラ・マンサ」
敵の海中移動要塞。7つの砲台から発砲。 - ステージ5(衛星軌道上)
美しい衛星も、帝国軍秘密基地となっていた。ボスキャラの触手メカ、ブラコを倒せ。
2面同様の宇宙での戦闘。
隕石が無数に飛んでくるので危険である。
ボスは触手メカ「ブラコ」
長い触手を持つ攻撃用メカ。触手の防御を避けながら、上部指令ユニット中央を攻撃せよ。 - ステージ6(遺跡の惑星テクノス)
遺跡の惑星テクノスでは、砂漠に潜む秘密基地を叩く。オクタトルの上からの攻撃は手ごわいぞ。
この面も2パート構成となっており、前半パートでは自機が吸い寄せられてしまう竜巻が発生している。
敵が水中から出現してくる事も…
後半パートではBGMが神秘的な物に変わってピラミッドが徐々に迫ってくる演出があり、ボスもこのピラミッドから出現する。
ボスは要塞「オクタトル」
ピラミッドに姿を隠している巨大要塞メカ。近づくとカメ状の本体を出現させ、上空にイボのミサイルを打ち上げる。立ち止まったときに出る首が弱点だ。 - ステージ7(アーリア前線基地)
宇宙ステージでは唯一地面が存在するステージ。
この面ではオープニング曲のロングバージョンがBGMとして流れ、クライマックスに相応しい臨場感がある。
また、他のステージと比較するとスクロールが早いのも特徴である。
ボスは門番ロボット「バトルギア」 - ステージ8(戦闘衛星アーリア)
最終ステージらしく毒々しい色調で、背景には高密度エネルギーが放出されているのが見える。
この面も前半パートと後半パートに別れており、前半は地上を進み、後半は炉心へ向かう地下トンネルとなっている。
前半はそうでもないが、後半は難易度が尋常でなく、トンネル内なので移動範囲が狭い上に無数の柱をかいくぐらなければならない。
ボスはアーリアの炉心
このボスもまた強敵で、高速な弾を無数に放ってくる。
その他
- タイアップとして1面BGMにPSY・Sの「パラシュートリミット」が採用されている。
(この事からバーチャルコンソール等への移植は難しいと思われる) - 関連作品として、同じくファミコン用ソフトのテトラスターがある。
こちらはタイトー販売だが開発元が同じらしく、本作と同様の手法で地面が表現されている他、効果音にも同じ物が使われている。 - タイトル画面でコナミコマンドを入力すると「I AM NOT KONANI」という隠しメッセージが表示される。(意図的なのかタイプミスなのか、「KONAMI」ではなく「KONANI」となっている。)
真偽は不明だが、当時のコナミのファミコンソフトは高いクオリティを誇っている事から、それに対する開発者の対抗心、又は敬意を感じる事ができる。 - アイテムの文字を合わせるとMSXになるが、関連性は不明である。
- ゲームバランスはファミコンソフトの中では良い方ではあるが、最終ステージの難易度はかなり高く、熟練したプレイヤーでも残機を犠牲にしながら攻略する程である。
- 任天堂3Dシステム対応ソフトとしては最後の作品である。
関連動画
関連商品
関連項目
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