研鑽を経て
自分の個性や強みを
再認識できたなら
それをさらに鍛えればいい
足りないものに気づいたなら
補う策を考えよう完勝の陰にも大敗の中にも
進歩への手掛かりはある
コパノリチャード(Copano Richard)とは、2010年生まれの日本の競走馬。黒鹿毛の牡馬。
同期のコパノリッキーに続いて同冠で中央GⅠ連勝を飾ったコパ軍団の芝代表で、2024年現在ダイワメジャー産駒で唯一4歳以降に国内芝GⅠを勝った[1]馬。鞍上の飛行機ポーズでも知られる。
主な勝ち鞍
2013年:スワンステークス(GⅡ)、アーリントンカップ(GⅢ)
2014年:高松宮記念(GⅠ)、阪急杯(GⅢ)
概要
父ダイワメジャー、母ヒガシリンクス、母父*トニービンという血統。
父は喘鳴症による不振を乗り越えてGⅠを5勝した2004年の皐月賞馬。種牡馬としては2歳戦から活躍する早熟な芝のマイラーを出す種牡馬として大活躍したが、総じて産駒は古馬になると成績を落とす傾向が強い。コパノリチャードは2年目の産駒。
母は道営でデビュー予定だったが、屈腱炎を発症してしまい不出走で繁殖入り。コパノリチャードは第7仔。上の6頭のうち5頭が中央デビューして4頭が勝ち上がりというなかなか優秀な成績を残していた。
母父は90年代に*サンデーサイレンスや*ブライアンズタイムと覇を競った大種牡馬。
半姉に中央オープン勝ちのあるコパノオーシャンズがいる。
2010年4月15日、同期のコパノリッキーと同じく門別町のヤナガワ牧場で誕生。
オーナーは「コパノ」冠名を用いる、風水師・Dr.コパこと小林祥晃。
馬名意味は「冠名+人名より」。リチャードの由来はイングランドの暴君・リチャード3世で、Dr.コパが育成牧場に見に行った際にスタッフから「危ないから離れていてください」と注意されたほど気性が荒かったことから命名されたそうな。
逃げる暴君
2歳~3歳:コパ軍団の初クラシック
コパ軍団初期の代表馬コパノフウジン(ちなみに同じヤナガワ牧場産)を管理したことでコパ軍団とは縁が深い、栗東の宮徹厩舎に入厩。入厩当初の宮師からの評価は「(1勝馬の半兄)コパノツイテルよりはいい」という程度だったが、調教を重ねるごとに評価が上がっていったという。
2012年11月4日、京都・芝1400mの新馬戦で岩田康誠を鞍上にデビュー。4.2倍の2番人気に支持されると、2馬身差で逃げ切り快勝。陣営の期待に応えてデビュー勝ちを飾る。
続く12月、阪神の芝1600mに距離延長した千両賞(500万下)では、岩田康誠が騎乗停止のため福永祐一が騎乗したが、逃げて1番人気馬に目標にされてしまい、差し切られて2着。
そのまま朝日杯FSに登録したが、あえなく除外となってしまい2歳シーズンは終了となった。
明けて3歳、ウィリアム・ビュイックを迎えて京都・芝1600mの白梅賞(500万下)に向かうと、なんと逃げて5馬身差の圧勝。ビュイックも「自分は何もせずに跨っていただけです」とコメントする文句なしの強い勝ちっぷりで、陣営も「クラシック行けるんじゃない?」と意識することになった。
というわけで引き続きビュイック騎手と、アーリントンカップ(GⅢ)で重賞初挑戦。前走の強い勝ち方で2.2倍の1番人気に支持されると、2番手追走から直線ですんなり抜け出すと、後続の追撃を寄せ付けず押し切って快勝。Dr.コパはコパノジングーの2010年目黒記念以来となる中央重賞2勝目となった。
さて、ビュイック騎手は「1600mがいい」とコメントしていたが、Dr.コパの要望で皐月賞(GⅠ)へ。馬主となって12年目、Dr.コパにとっては初めての所有馬のクラシック参戦とあっては、距離不安があっても「とにかく挑んでみよう」となるのはまあしょうがないよね。さすがに距離が保たないんじゃないの?と思われつつも、16.4倍の5番人気に支持される。鞍上は内田博幸となった。
レースは大方の予想通りハナを切り、内田騎手は距離不安があるぶん序盤で離して途中で息を入れる大逃げを仕掛けようとハイペースで飛ばしたが、5番人気ではさすがに放置してはもらえず、後ろがついてきてしまったため息を入れられず力尽き、あえなく直線で沈んで13着。このときの1000m通過タイム58秒0は、2024年にメイショウタバルが57秒5をマークするまで皐月賞史上最速の通過タイムだった。
適性距離に戻り、NHKマイルカップ(GⅠ)に参戦。鞍上には3日前にコパノリッキーで兵庫CSを勝った福永祐一を迎えた。5月5日はDr.コパの誕生日。7.0倍の4番人気に支持されたリチャードは、オーナーに最高の誕生日プレゼントを贈るべく、スタートで躓きつつもハナを切って逃げたが、初めての左回りに戸惑って直線で捕まり8着。勝ったマイネルホウオウからは0.4秒差なので着順ほどには負けてはいないのだが。
その後はさすがに日本ダービーには向かわず休養に入り、秋は京成杯AHから始動の予定だったが頓挫があったため、2週間後のポートアイランドステークス(OP)で復帰。鞍上は新たに浜中俊を迎え、以降しばらく浜中が主戦となる。2番人気に支持されたが、他の馬とのハナ争いで引っかかってしまい、折り合いを欠いて消耗、直線で沈んでブービー16着撃沈。
気を取り直してスワンステークス(GⅡ)へ。前走の大負けや初めての道悪ということもあってか20.5倍の8番人気まで評価を下げたが、今度は強く競り掛けてくる馬がおらずすんなりハナを確保すると、そのまま浜中騎手とリチャードは折り合いをつけて楽逃げへ。こうなると脚は止まらず、後続を悠々と振り切って1と3/4馬身差で完勝。重賞2勝目を挙げる。
勢いに乗ってマイルチャンピオンシップ(GⅠ)に参戦。混戦ムードの中、14.9倍の6番人気に支持される。今回もすんなりハナを切って逃げたが道中少し掛かってしまい、残り200mまで粘ったものの捕まってトーセンラーの4着。
やっぱりマイルよりは1400以下かなあ、と年内ラストは阪神カップ(GⅡ)に向かったが、大外8枠からスタートでやや躓いてしまって逃げられず、10着に終わって3歳シーズンを終えた。
4歳春:短距離王へテイクオフ
明けて4歳は高松宮記念を目標に定め、阪急杯(GⅢ)から始動。最内枠から押してハナを切ると、そのまま勢いに乗って単騎逃げの形に持ち込み、あとは後ろに何もさせず直線で後続を突き放して4馬身差で圧勝。前週のフェブラリーSではコパノリッキーが最低人気から中央GⅠ初制覇をDr.コパとヤナガワ牧場にプレゼントしており、2週続けてDr.コパとヤナガワ牧場に吉報をもたらした。
というわけで迎えた高松宮記念(GⅠ)。浜中俊がドバイに行ったため、鞍上はミルコ・デムーロがテン乗りとなった。絶対王者ロードカナロアが引退して混戦ムードのスプリント界、コパノリチャードは前走の勝ちっぷりは強かったけど、逃げられないと脆いということも解っているだけに、不良馬場、しかも初めての1200mで逃げられるの? という不安視もあって、ストレイトガールとハクサンムーンに次ぐ7.7倍の3番人気となった。デムーロは「1200mは短いんじゃ?」と思っていた一方、重馬場での追い切りの内容から馬場についてはむしろ好材料と思っていたそうである。
さてレース本番、ハナを切ったのは15番人気のエーシントップ。コパノリチャードは最初は3~4番手あたりに構え、3~4コーナーで他馬が荒れた内を嫌って外を回す中、そのままインを立ち回って2番手で直線を迎えた。馬場の4分どころあたりに持ち出したデムーロとコパノリチャードは、そのパワーで不良馬場を蹴立てて加速、後ろを一気に突き放す。残り100mで逃げ粘るエーシントップを捕まえるとあとは独走、追い込んできたスノードラゴンもストレイトガールも全く寄せ付けず、3馬身差の圧勝でゴール板を駆け抜けた。
その完勝ぶりに、デムーロはゴールの瞬間、馬上で腕を広げ⊂二二二( ^ω^)二⊃をさせてあげよう君だけに、元サッカーイタリア代表のFWヴィツェンツォ・モンテッラの飛行機ポーズを披露。見事裁決に怒られて過怠金10万円を食らった。当たり前だ。
リッキーに続きDr.コパとヤナガワ牧場はなんと初制覇に続いて中央GⅠを連勝。宮師はアインブライドの1997年阪神3歳牝馬S以来17年ぶりのGⅠ勝利となった。
というわけで龍王去りし後のスプリント王座に就いたコパノリチャードだったが、続く京王杯スプリングカップ(GⅡ)は浜中騎手が戻ったものの、前走の疲れがあったのか、逃げたが直線で捕まり7着。
……この後、ダイワメジャー産駒らしく、彼は急速に輝きを失ってしまう。
その後
京王杯SCの結果を受けて夏は休養し、スプリンターズステークス(GⅠ)に直行したが、スタートで躓いてしまい後方からのレースとなり、何の見せ場もなく12着撃沈。
不良馬場の高松宮記念を圧勝したんだし、このパワーならダートも行けるんじゃない?と武豊を迎えて盛岡のJBCスプリント(JpnⅠ)に参戦したが、どうやらダート適性は全くなかったようで、直線ずるずる沈んで最下位16着。
引き続き武豊と阪神カップ(GⅡ)に向かい、大外枠から前目で先行して直線では前年覇者リアルインパクトとの激しい追い比べとなったが、ハナ差競り負けて2着。前2走の敗因は明確だし、まだまだいける……と思われたが、結局これが最後の輝きとなる。
明けて5歳は前年と同じく阪急杯(GⅢ)から高松宮記念(GⅠ)に向かったが、どちらもあまり見せ場なく6着、5着。以降は2桁着順の惨敗が続き、11月の京阪杯(GⅢ)を14着に敗れたところで「これ以上、嫌な思いをさせてレースを走らせてはリチャードのためによくない」というDr.コパの意向もあって現役引退、種牡馬入りとなった。通算22戦6勝 [6-2-0-14]。
陣営としては不振は「気持ちが切れてしまった」という認識だったようだが、引退後のDr.コパのコメントによると「喉に異常を発症」とのことなので、実はノド鳴りの症状が出ていたのかもしれない。
引退後はレックススタッドにて種付け料50万円で供用され、コパさんちの愛娘ラブミーチャンのお相手にも選ばれたが、初年度の種付けは16頭。翌年から30万円に減額すると46頭に増えたが、以降の種付け数はまた右肩下がりとなり、2021年限りで種牡馬引退となった。
産駒は88頭に留まったが、同じDr.コパの地方重賞馬であるキモンレッドを母に持つキモンルビーが地方重賞4勝を挙げる活躍を見せた。
種牡馬引退後は、にいかっぷホロシリ乗馬クラブにて乗馬として過ごしている。
血統表
ダイワメジャー 2001 栗毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
スカーレットブーケ 1988 栗毛 |
*ノーザンテースト | Northern Dancer | |
Lady Victiria | |||
*スカーレットインク | Crimson Satan | ||
Consentida | |||
ヒガシリンクス 1999 鹿毛 FNo.6-b |
*トニービン 1983 鹿毛 |
*カンパラ | Kalamoun |
State Pension | |||
Severn Bridge | Hornbeam | ||
Priddy Fair | |||
ビッグラブリー 1992 鹿毛 |
Caerleon | Nijinsky II | |
Foreseer | |||
*アルガリー | Blushing Groom | ||
*シンティレート |
クロス:Northern Dancer 4×5(9.38%)
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関連項目
脚注
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