コラムシフトとは、自動車の変速機配置の一種である。
概要
シフトレバーをステアリングコラムと言われる車内のステアリング部分を覆う部分に配置する形式で、この形式にする場合、前の座席は3人乗りにできる事、ウォークスルーが出来る等のメリットがある。操作性でいえば、ややフロアシフトに劣る傾向がある。通常、右ハンドルの場合は左側にシフトレバーがあり、左ハンドルは右にシフトレバーがある。
かつてはトラックをはじめとして多くの車種に採用されていたのだが、現在はフロアシフトとコラムシフトのいいとこどりのインパネシフトに押されがちであり、採用数は減ってきている。現在は主にアメ車が好んで使用する。国内ではかつてラージクラスのセダンには必需品ともいえるものであったが、現状ではセンチュリーやbBが採用しているにすぎない。またセドリック営業車が生産中止になるまで採用していた。
MTの場合はシフトレバーが長いものとなっている。変速パターンは4速と5速のものがほとんどであるが、シフトパターンが異なっている
4速の場合、横から見るとシフトパターンはこの様になっている。このように2トントラック車以上で見られるギアパターンを鏡面にしたものと酷似している。なお、トヨタ車においては4速の部分はOT(オーバートップ)と併記されている事も多かった。かつて、OTのない3速コラムも存在した。このパターンはセダンを中心に見られた。
4 | 2 | R |
3 | 1 |
5速の場合はちょうどフロアシフトを鏡面にしたものになっている。コラムシフトの5速は主にピックアップに見られ、セダンではあまり見られない形式であった。
5 | 3 | 1 |
R | 4 | 2 |
ATの場合、形式としてはシフトレバーが長いものと、グリップ式が存在する。前者の場合、PからDへ入れる際に手前に引いて、変速段を選択する。この形式はセドリック営業車やファンカーゴ等が採用していた。後者の場合はシフトレバーを握ったのちに引き下げて変速段に入れる格好でよりフロアシフトと近い操作性となる。こちらはパッソやbBが採用している。
コラムシフトにする場合、パーキングブレーキはステッキ式、もしくは足踏み式となるケースがほとんどである。ステッキ式はマニュアル・オートマどちらでも組み合わせられるが、足踏み式の場合は足元スペースの関係でオートマのみである。例外的に現在のセドリック営業車はコラムシフト+ハンドパーキングとなっている。
変則的なものとしてタウンエース/ライトエースに存在したコラムシフトがある。1999年から2007年に導入されたトラックモデルにのみ存在したもので、車両はマニュアルの場合、フロアシフトに操作性を近づけた形状となり、これまでギアをひいたり押したりして上下に操作する従来の操作方法に親しみのない人間でも容易に操作できるようにした。オートマの場合は操作を同じくフロアシフトのように上下に倒すタイプで操作性を高めた。
LPGエンジン車との好相性
このようにコラムシフトは数多くの車と組み合わさったわけであるが、コラム4速MT+LPGの4気筒エンジン+ステッキ式パーキングブレーキこそがネ申の組み合わせであると筆者は思う。
何故この組み合わせか?4速コラムのギア音の唸りは何にも似ず、やわらかささえ漂う。そして、その音をよどみなく伝えるには高音によって変質しない4気筒のLPGが一番適している。
出発時、ひねってパーキングブレーキを解除する「儀式」、停車時に引いてパーキングブレーキをかける「儀式」。いずれの要素も「俺の家にある車と違う」という要素を満たしている。
ここまで言えばお分かりになるであろう。タクシーである。我々が幼少期、母親らに連れられてどこかのデパートなりに出かける時、帰りに両手に荷物を持ちながら電車に乗るのがおっくうとなった場合、自宅までタクシーで帰った経験はあるであろう。車が好きな子供であるならば、父親の車と似た車でありながら、明らかに違う走行音、まず見る事のない変速方法、パーキングブレーキのかけ方など、身近でありながら何かが違うといった具合で、デパートに行った興奮をさらに強くさせたものであろう。
チューニングカーのような早い車もいい、スーパーカーの様なエクスタシーを感じる車は素晴らしい。しかし早くはないけど、非日常に一輪の花を添える「コラム4速MT+LPGの4気筒エンジン+ステッキ式パーキングブレーキ」は車好きの原点であるのではと考えるのは過言であろうか。
惜しむらくはこの組み合わせが絶滅してしまった事であろう。
そんな組み合わせの車一覧
- トヨタ・クラウン/クラウンコンフォート
台数が多く、ギア鳴りも大きかったので印象が強く残っている車好きも多いと思われる。オートマも出だしは似たような鳴りがしていたので、余計に印象が強い印象がある。既にクラウンセダンはクラウンコンフォートにモデルチェンジしてから20年は経過しており、乗用車としてもだいぶ見なくなっており、まして用途廃止後は部品取りになったり解体される車両が多いタクシー用は少なくとも都心で見ることはトキを見かけるに等しいぐらいに難しい。 - トヨタ・コロナタクシー
コンフォートよりもさらに小型のタクシーとして地方都市で根強い人気があった車両でフロアシフト5速や3足オートマのほかにもコラムシフト4速があった。4速MTはクラウンのものと同一でギア鳴りも一緒であった。ひっそりと1998年まで生産され、1982年の登場以来、実に16年生産された長寿モデルである。最終生産から15年以上は経過してるが、代えの効かないモデルなのか、じっくり探すと見つかるとかなんとか。 - 日産・セドリック
これもまた台数が多いが、ギア鳴りはクラウンほどではない。それでも柔らかいエンジン音と生けるシーラカンスのごとくのスタイルで人気が高かった。クラウンコンフォートがATだけになってからもしばらくは4速MTをラインナップに組み込んでいたので地方部ではまだまだ残っているものと思われる。
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クラウンの場合
年代によってはシフトレバーが右に存在するものもある 古い車にコラムシフトっていいもんですね。
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関連項目
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