コロシテとは、「殺して」という言葉のカタカナ表記である。
「コロシテ…」「シテ…コロシテ…」とも。
概要
「肉体が人外の状態に変異しつつも意識を残してしまっている存在が、自らの苦しみに耐えられず死を願いつつも自殺することはできず、自分を殺してくれるように誰かに懇願する」というシチュエーションのお決まりの台詞とされるもの。カタカナになっているのは、「正常な声を出すことも出来ず片言の言葉となってしまっている」ことの表現か。
だが、実際にそういったシチュエーションの台詞として使用されることよりも、「それっぽく見える」何かに対してネタとして言及されることの方が多いかもしれない。
このシチュエーション自体が昔からよく見られ、じわじわと大衆に広まっていったと考えられるため、決定打となるような元ネタを1つに定めることはできないと思われる(何を重要な点として「元ネタ」とするかでも異なってくる)。以下のような複数の要素から人々の間で「コロシテ」のイメージ・スラングが共有されていったと考えられる。
コロシテの歴史
「コロシテ…」は以下の4つの要素に分けられると思われる。
シチュエーションとしての「殺して…」の源流
「死にきれなかった状況で自身を殺す、死なせるよう願う」というものは、昔の創作物から多数見られる。森鴎外の小説「高瀬舟」などが例であり、この要素中心に元ネタを探るとキリがなくなるので今回は割愛する。
1939年の小説「ジョニーは戦場に行った」では、モールス信号で半身不随になった軍人が弱々しく「Kill me」を送信するというシチュエーションが見られる。映画版が1971年に公開されている。
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1970年代の漫画「デビルマン」では、人外の生物であるジンメンに取り込まれた人物のセリフとして「殺して」が登場する。
1979年の映画「エイリアン」の特典映像、1986年の映画「エイリアン2」ノベライズ版で、「人外の姿に変化した人が弱々しく言う」台詞として「殺して」が登場している。
1990年代以降になると創作で多くの「殺して」「コロシテ」が登場するようになる。
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カタカナ表記「コロシテ」の登場
1998年の小説「天使の囀り」で「…シテ」「コロシテ」という、現在の流行の形に近く、「カタカナ」「弱々しく」「人外」の要素を兼ね備えたセリフが登場している(参考)。
2003年のアダルトゲーム『沙耶の唄』にもカタカナ表記で弱々しく言う「コロシテ」が登場している。
『――コゥジ、グン――ォネ、ガィ――コ、ロ、シテ――』
また、2008年に起こったシリアスな放送事故を表すスラング「オコシテ…オコシテ…」の影響で、従来の「殺して」がカタカナ表記の「コロシテ…」になったとする説がある。
インターネットミームとしての「コロシテ…」へ
なお、インターネットミームとしてはTwitter上で「コロシテ」が2009年、「シテ…コロシテ…」が2012年から見られる(参考:Twitter検索1/2)。特に人気ツイートが増え、Googleトレンド(コロシテ/シテ コロシテ)の検索数が増えていったのが2016年から2017年にかけてなので、ネットミームの有名ネタとなったのはこの辺りと思われる(参考:Twitter検索3)。
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こういったシチュエーションで「コロシテ」と言っている有用な例を知っている方が居れば、この記事に追記されたい。
余談
ちなみに、シチュエーションにこだわらず「コロシテ」という文字列が登場するだけの例は追えば限りない。たとえば、古くは鎌倉時代の歴史書『愚管抄』に
とか
などという文章があるという。ふぐり?
関連項目
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