ゴジラシリーズとは、架空の怪獣ゴジラが登場する作品群の事である。
概要
映画配給会社・東宝より制作、配給された特撮怪獣映画シリーズで、1954年に第1作が公開されるや日本のみならず世界中で大ヒットを飛ばし、それ以降も日本では昭和まで15作、平成で14作、令和で1作の合計30作品が制作された。
それ以外にもアニメーション映画やTVアニメとしてのシリーズ作品も存在している。
現在まで活躍する日本のクリエイターだけでなくジョージ・ルーカスやスティーブン・スピルバーグなど海外の映画監督にも多大な影響を与え、その向こうでもヤン・デ・ボンやティム・バートン、ギャレス・エドワーズ、そしてマイケル・ドハティなど熱狂的なファンは数多い。
映画だけでなく作品に登場した怪獣のソフビフィギュア、さらにはマンガやゲームなど多数の関連グッズも数多く発売されており、例えシリーズが終了、ないし断絶中であっても高い人気と認知度を維持し続けている。
映画作品だけを見ても、過去幾度も世界観をリセットしているため、制作時期等によって複数の平行世界に分かれている。以下それを解説する。
シリーズの変遷
昭和シリーズ
1954年の第1作『ゴジラ』は田中友幸の指揮の下、本多猪四郎監督の演出、そして円谷英二ら特殊撮影班の高い特撮技術と破壊による被害描写で核兵器・空爆・戦争を具現化し象徴する純粋な人類の脅威となる大怪獣の姿を描いた作品として製作された。この映画は日本だけで観客動員数は900万人を超えたが、これは当時でも極めて異例の成果であり、その頃はまだ下に見られていた特撮およびゲテモノ呼ばわりだった怪獣映画というジャンルの価値を一気に押し上げる事に成功、これがさらに時を経てウルトラシリーズを始めとする新たな特撮作品の誕生と発展につながっていった。一部例外を除き後続作品はこの第一作を起点としている。一部設定を改変した作品や、関連を匂わせながらも直接の繋がりは持たない作品もあるため注意。また今作に登場したゴジラは初代ゴジラと呼ばれる。略称は作品と劇中の造形物共に初ゴジが一般的。
第2作『ゴジラの逆襲』でアンギラスとの怪獣対決を導入して以降、他の怪獣とゴジラとの対決が好評を呼び、「ゴジラ対怪獣」のフォーマットが定着する。特に3作目『キングコング対ゴジラ』ではシリーズ最高の観客動員数を記録した。またこの頃、ゴジラ以外にも『モスラ』や『空の大怪獣ラドン』『大怪獣バラン』など、新たな怪獣スターが東宝によって生み出され、これらの作品と、それに登場した怪獣達もまたゴジラシリーズに組み込まれていった。このシリーズにおいてゴジラは複数個体いる可能性もあるが、一般的には2代目ゴジラと呼ばれている。
その後、内容が子供向けへシフトされていき、ゴジラは恐怖の大怪獣から、コミカルで親しみやすい「正義の味方」へとキャラ付けも変わった。軽快な動きで数々の敵怪獣と戦う姿は毎年子供たちを魅了し、やがてシェーのポーズを取ったり、空を飛んだりとサービス精神を発揮するようになった。しかし、日本映画黄金期の終焉と怪獣ブームの衰退、製作規模の縮小といった環境の変化を受けて観客動員数は徐々に低下していった。
1975年の『メカゴジラの逆襲』を持ってシリーズの制作は休止され、一旦、ゴジラは眠りに付いた。ちなみにこのときの観客動員数は、今なおシリーズ最低である。
平成VSシリーズ
1984年、上映会等を通じて復活を望むファンの声を受け、9年ぶりのシリーズ第16作目『ゴジラ』が製作され、ゴジラは復活を遂げた。なお、この際明確に第2作『ゴジラの逆襲』以降の昭和シリーズとは別世界であることが示され、第1作の直接の続編としてのスタートとなった。
初代のような恐怖の怪獣映画への回帰を目指した同作に続き、89年の『vsビオランテ』ではバイオテクノロジーへの警鐘を描く骨太のシナリオを取り入れた(公募で選出した)。
これは旧来のゴジラファンから比較的高い評価を得たが、成績は期待ほど伸びず、また実際の客層は親子連れが多かった。そのため1991年の『vsキングギドラ』以降は明確にファミリー向けの路線に軌道修正した。この試みは成功し、復活したゴジラシリーズは、毎年数百万人を動員する、お正月映画の大本命となった。
この作品群は、1995年の『vsデストロイア』まで全7作が制作される大人気シリーズとなった。公開当時は「平成ゴジラシリーズ」との呼称が一般的だったが、後に別シリーズの新作平成作品群が公開されるに至ったため、現在ではゴジラと対決相手の名前を「vs」で繋ぐタイトル表記から、「平成vsシリーズ」と呼ばれる
このシリーズにおけるゴジラは再び人類の脅威とされているが、ゴジラ自身は人類を脅かしつつも「善悪を超えた超生命体」という位置付けが基本となり、露骨に人類に味方はしないものの自らや自らの同類と敵対する怪獣を相手に戦うという設定となる。また、当時の書籍等では「ゴジラvsビオランテ」以前の二作では三代目、劇中の歴史改編により出自が変化した「ゴジラvsキングギドラ」以降の五作を四代目、双方をまとめて平成ゴジラと呼称していた。現在ではこれらの表記は一般的でなくなり、主にvsゴジラなどと呼ばれる。
尚、『vsビオランテ』以降は三枝未希が全作に登場するという特徴がある。またゴジラの生みの親の一人でもある田中友幸氏が関わっているのはこの『vsデストロイア』が最後である。
今シリーズの中盤あたりから、ゴジラの制作権をハリウッドに貸与し、いわゆる「ハリウッド版」を制作する活動が本格化し始めた。
その中でいろいろごたごたはあったものの、1995年の『vsデストロイア』にて1954年の第1作以来初めてゴジラの死が明確に描かれ、シリーズは終焉を迎えた。
ハリウッド版ゴジラの公開を待ちつつ、ゴジラは再び眠りについたのだった。
ミレニアムシリーズ
1998年にハリウッドで製作されたリメイク作『GODZILLA』が物議を醸す内容となるなど(詳細は後述)、さまざまな事情を経て、もう一度日本で新シリーズが製作される事に決まり、1999年に『ゴジラ2000 ミレニアム』が公開された。日本版ゴジラはこうして2度目の復活を遂げた。平成vsシリーズ終了から本作はわずか4年後の公開であるが、その間東宝は「平成モスラ三部作」を制作し続けていた。しかし、他方では平成ガメラ三部作の公開、前述のハリウッド版ゴジラ(1998年)の公開、ジュラシック・パークの続編の公開と前作の地上波放送等、特撮を取り巻く世間の認識は大きく変化していた。
これを受け、『2000』では、デジタル技術によるVFXが意欲的に取り入れられ、設定も全てリセットされ、『vsデストロイア』までのイメージを払拭する努力が行われた。
これ以降、再び毎年ゴジラ映画が製作されるようになったものの、設定がほぼ毎年リセットされるようになり、続き物の作品群ではなく、独立した世界観の作品が毎年生まれるという状況になった。ファンの間では2004年に休止するまでの作品をひとまとめにして「ミレニアムシリーズ」と呼称されている。
2000年には新たに手塚昌明を監督に据えて『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』が作られた。ゴジラの造形デザインは前作とほぼ同じだが世界観に繋がりはなく、第1作の出来事を一部踏襲しつつも直接の続編ではないif設定となっている。
2001年の『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』は平成ガメラ三部作を手がけた金子修介監督による作品。芹沢博士の功績は抹消されているなど一部設定が改変されているものの第1作の直接の続編である。ちなみに、劇中でアメリカ版ゴジラ(1998年)についても触れている。尚、シリーズの中でも特にゴジラが恐ろしい存在として描かれているため、この作品のオープニングで泣き出した子供を連れて出て行った父親が戻って来なかったという話もある。だからハム太郎を同時上映にしてはいけない。
再び手塚昌明が監督を務めた2002年の『ゴジラ×メカゴジラ』および2003年の『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』の2作品は唯一の連作で、登場するメカゴジラの通称から「機龍二部作」と呼ばれる。やはり第1作の続編であるが、オキシジェン・デストロイヤーを浴びても初代ゴジラの骨までは溶けなかったという設定である。尚、この世界では『モスラ』『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 南海の大怪獣』について触れられているため、これらも同一世界での出来事とされている。
といったように、手を変え品を変え様々な作品が作られてきたが、いずれも平成vsシリーズなどに比べればおおむね低調な興行成績であった。その一方、長引く不況やCG技術がますます発展していく中で、ミニチュア特撮のための設備を維持するのは東宝にとって大きな負担であった。というわけで東宝は2004年を持ってゴジラシリーズの制作を終了すると正式に発表した。シリーズの終了が明確に宣言されたのはこれが初であった。
2004年に公開された『ゴジラ FINAL WARS』は、50周年記念作品およびシリーズ最終作であった。“シリーズを踏襲する最終作”として興行していたが、ふたを開けてみれば、監督を務めた北村龍平の派手な作家性が発揮されまくった、強烈な異色作に仕上がっていた。これまでに登場した東宝特撮怪達が大量に出演し、ゴジラと彼らの戦いがいくつも描かれ、負けじと人間のキャラたちも派手なアクションを披露するなど、第1作に縛られない全く新しいゴジラを提示した作品であった。ちなみに『メタルギアソリッド』で有名な新川洋司が参加している。
こうして、ゴジラは50年に渡る戦いに幕を下ろした。『FINAL WARS』の動員数は最終作にも関わらずシリーズワースト3に入る低調なもので、シリーズ累計動員1億人にわずかに届かないという寂しい結果に終わった。このように、当時の邦画市場は怪獣映画の人気低下が目に見える形で表れており、東宝が制作終了を決断したのも仕方ない状況であった。
12年ぶり、3度目の復活
東宝は2014年12月8日に「2016年の公開に向けて新たに国産の新作ゴジラ映画を制作する」と発表した。2014年に再びハリウッドで制作・公開されたレジェンダリー版『GODZILLA』が評価・興行成績ともに高く、日本国内でも30億円の大ヒットとなった事と『寄生獣』などのSF映画製作で手ごたえを感じた事からシリーズ復活を決定したという。
12年ぶりの復活作は総監督に『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明、監督に『ガメラ』『進撃の巨人』の樋口真嗣を据え、メインキャストにも長谷川博己、竹野内豊、石原さとみといった豪華俳優が出演するなど、公開前よりその体制が大きな話題性を呼んでおり、そして完成したシリーズ29作目『シン・ゴジラ』が2016年7月29日に全国公開された。
同作の最終的な累計動員数は約550万人、興行収入は約80億円超という歴代シリーズの中でも屈指の好成績を叩き出し、そして2017年には前年の2016年度公開邦画の中から日本アカデミー最優秀作品賞を受賞するというゴジラシリーズ初の快挙を成し遂げている。
また、2016年8月19日には2017年より国産ゴジラシリーズ初とも言えるアニメーション映画としての製作が行われる事が発表された。脚本に『魔法少女まどか☆マギカ』の虚淵玄、監督に『劇場版「名探偵コナン」シリーズ』の静野孔文、『亜人』の瀬下寛之が起用され、さらに同作はシリーズとしてはやはり異例の全3部作構成での展開となっており、2017年11月17日に第一章に当たる『GODZILLA 怪獣惑星』が、年を跨いだ2018年5月19日に第二章の『決戦機動増殖都市』が、そして同年11月9日にその完結編となる第三章の『星を喰う者』が公開された。
元号が令和に入ると、上記のアニメ映画版『GODZILLA』に続いてボンズおよびオレンジ制作によるTVアニメとしてゴジラ作品の展開予定が発表され、2021年4月よりそのTVアニメ版ゴジラ作品『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』が放送された。
2022年11月3日には、『シン・ゴジラ』から約7年ぶりとなる国産実写版ゴジラ映画作品を製作、公開すると発表。
その監督には『ALLWAYS 三丁目の夕日』や『STAND BY ME ドラえもん』などを手掛けた山崎貴が据えられ、それからちょうど一年後のゴジラ生誕69周年に当たる2023年11月3日に邦画ゴジラシリーズ第30作目となる『ゴジラ-1.0』が公開された。
本作においては国内で約70億円以上の興行収入を叩き出すという先の『シン・ゴジラ』にも負けない成績を残し、今回も日本映画アカデミー大賞で最優秀作品賞を獲得。一方の海外でも本作はこれまで以上の極めて高い評価を得ており、遂にはアジア映画としては史上初となる“アカデミー賞視覚効果賞”を授与されるという歴史的偉業まで達成している。
ちなみに2007年公開の山崎の監督作品『ALWAYS 続・三丁目の夕日』の冒頭にもゴジラが登場している。邦画界におけるVFXの第一人者である彼によって描かれたこのゴジラは数分ばかりの登場で全体像に至っては数秒しか映らないが邦画では突出した出来のCGであり、必見の迫力である。
同年代における映画以外には『ちびゴジラ』や『ゴジばん』などのキャラクターコンテンツの展開も行われている。
他にも東宝ではこの時期からゴジラ生誕の日である11月3日には“ゴジラ・フェス”と呼ばれる祭典を開催しており、そこではその年のアニバーサリー(周年記念)に当たる過去のシリーズ作品に初登場した怪獣を復活させた特撮あるいはCGアニメによる短編映像作品を制作、上映する催しが行われている。
これに加えて同時期には後述のレジェンダリー版シリーズの制作も進められており、“一つのゴジラシリーズが継続中に別のゴジラシリーズが展開される”というシリーズ初の事態となっている。なおこれはフランチャイズ映画シリーズ全体としてみても極めて異例の事態である。
ハリウッド版
海外版
第1作が『GODZILLA KING OF MONSTERS!』として公開されて以降、ゴジラ映画は海外でも配給され続けてきた。
第1作は、アメリカの記者を主人公として追加撮影・再編集が行われ、1956年に公開された。『キングコング』にも劣らない大迫力の特撮は海外でも人気を呼び、ゴジラは国外でも怪獣王として認知される事となり、スティーヴン・スピルバーグ、ジョン・カーペンター、ヤン・デ・ボンなどハリウッドの第一線で活躍した名クリエイター達にもゴジラに影響を受けた人は多かった。コマ撮りではなく着ぐるみで撮影されたゴジラを見て子供の頃のスピルバーグは「どうすれば怪獣があんなに滑らかに動くんだろう」と思ったという。
その後、子供向けヒーロー映画へと変化していくにつれて配給規模も小さくなり、しまいにはビデオスルーになるなど人気は低下していったが、熱烈なマニアは残ったままだった。また、一世を風靡した怪獣王としてのブランドはやはり強く、90年代に入っても、ゴジラは日本のスターとして認知されていた。
アレ結局、ゴジラだったんだろ?(トライスター版GODZILLA)
1992年、東宝とトライスター・ピクチャーズの契約に則ってハリウッド版リメイクの製作が決定した。当初は1995年の公開を目指していたが製作は難航し、おかげで1993年で終了予定だった日本版ゴジラが1995年まで作られる事になり、そして1998年になってようやくハリウッド版『GODZILLA』が公開された。
だが蓋を開けてみれば、映画の完成度自体と興行成績こそかなりのものだったが、内容的には手放しには喜べない賛否両論を呼ぶ代物であった。
発表当初は『インデペンデンス・デイ』を手がけたローランド・エメリッヒが監督し、実力派スタッフが揃えられたばかりか、ハリウッドならではの潤沢な予算・最新鋭のCG・豪華なキャストが用意された事で非常に大きな期待がかけられており、実際、映像のプロダクションバリューは非常に高く、特殊効果や演出の迫力も一級品で、エメリッヒの手腕はいかんなく発揮されていた。
しかし、肝心のゴジラが「巨大化したイグアナ」として設定、デザインは前傾姿勢の現代的大幅に変更されてしまい、しかも最後はF-18から発射されたフェニックスミサイル12発で始末されてしまう貧弱さで一部ファンから不評を買った。
今作は4億ドルの興行収入と(1億3000万ドルという制作費からすると採算ラインギリギリである)ゴールデンラズベリー賞「最低リメイク賞」受賞という結果を残した。
これに対し日本の『ゴジラ2000 ミレニアム』では冒頭の戦闘シーンでF-15が放ったミサイルを受けたゴジラが無傷となっていたり、『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』では「98年にニューヨークに襲来した怪物はゴジラに似ているだけの別物である」という内容の台詞が出てきたり、あまつさえ『ゴジラ FINAL WARS』ではハリウッド版ゴジラが「ジラ」という名前で登場して本家と戦うが、尻尾で叩き落とされた挙句熱線で焼かれて一発KOされるなど、東宝や制作サイドも皮肉で返している。
そのせいか、本作のゴジラはニコニコ動画でも『GFW』にてジラがあっさり倒された際に発したX星人統制官のセリフから「やっぱりマグロ食ってるようなのはダメだな」と今だに侮蔑の意味でネタにされている。
ちなみに、日本映画専門チャンネルで放送された特番「ゴジラが来る!」でもこの映画は「原子怪獣現わる」の続編と考えるべきといった考察を佐野史郎演じる科学者が説いていた。また同チャンネルでゴジラシリーズが一挙放映された際に特別上映されたものの、この一挙放映のためだけに作った特別製のオープニングアニメがこの作品だけ使われなかった(ゴジラじゃない『宇宙大戦争』や『フランケンシュタイン対地底怪獣』ですら使ってくれたのに…)。
参考:Youtube「Godzillathon #23」(英語)
私達は彼をこう呼んでいる、ゴジラと(ワーナー版GODZILLA)
2010年、ワーナーマイカルブラザーズと同社と提携して映画制作をしている映画プロダクションのレジェンダリー・ピクチャーズが再びハリウッドでのゴジラ製作を決定したと発表。
トライスター版とは無関係の完全新作としての企画であったが、こちらも制作は難航し、最初は2012年公開予定だったものが2014年にずれ込むも、最終的に監督はギャレス・エドワーズに決まり、他にもハリウッドの名優を揃えての撮影が開始され、そして2014年5月16日にアメリカを含む世界各国で、日本ではそれから2ヶ月後の7月25日より新ハリウッド版『GODZILLA -ゴジラ-』が公開された。
当初、日本では前作の結果からアメリカでのゴジラの扱い方について不安視する声も多かったが、ギャレスが根っからのゴジラファンだった事と、東宝に事前に内容をチェックしてもらうという万全の制作体制だったという事で、本作のゴジラは日本版に近い姿を持ち、なおかつ元より“地球最強の生物”と位置付けられ、核兵器どころかアメリカ軍の戦力もほとんど通用せず、きちんと背鰭を光らせて青い放射熱線を放ち、さらに同時に登場した敵怪獣を圧倒して見せるという正に往年のゴジラそのものとして描かれており、世界および日本のゴジラファンからもおおいに認められる作品となった。
評価的、興行的にも本作は大成功を収め日本国内だけで32億円、全世界で570億円以上の大ヒットとなった。
この好評に応える形で前回では敢え無くポシャった続編の制作も間もなく決定、今度は新たに東宝から使用権を取得したラドン、モスラ、キングギドラの3大人気怪獣の登場、ギャレス・エドワーズに代わってマイケル・ドハティが同作の監督に選ばれた事などが伝えられ、前作公開から4年後の2019年にそのレジェンダリー版ゴジラ第二弾となる『GODZILLA: King of the Monsters』(邦題:ゴジラ キング・オブ・モンスターズ)が日米同時の5月31日より公開された。
これに加えてワーナー及びレジェンダリーは自社が現在権利を保有しているキングコングシリーズと本シリーズを“モンスターバース”としてリンクさせる構想があるとし、2017年公開の『キングコング:髑髏島の巨神』では同じ世界にゴジラも存在している事が仄めかされ、2021年にそのゴジラとコングの戦いを描いた『GODZILLAvs.KONG』も制作および公開された。
同作の想定以上のヒットもあり、レジェンダリーはMVシリーズ新作の制作に着手、2024年にシリーズ5作目となる『GODZILLA x KONG: THE NEW EMPIRE』が公開されている。
なお、このシリーズに登場するゴジラは監督名から“ギャレゴジ”、若しくは公開会社から“レジェゴジ”と呼ばれるようになり、これまで“ハリウッド版ゴジラ”と呼ばれる事が多かったエメリッヒ版はこれを前後として“トラゴジ”もしくは“エメゴジ”といった名称で呼ばれる事も増えた。
作品一覧
個別記事があるものは太文字表記しています。
昭和シリーズ(1954年~1975年)
番 | 公開日 | タイトル | 登場怪獣 |
---|---|---|---|
1 | 1954年11月3日 | ゴジラ | ゴジラ |
2 | 1955年4月24日 | ゴジラの逆襲 | ゴジラ、アンギラス |
3 | 1962年8月11日 | キングコング対ゴジラ | ゴジラ、キングコング |
4 | 1964年4月21日 | モスラ対ゴジラ | ゴジラ、モスラ |
5 | 1964年12月20日 | 三大怪獣 地球最大の決戦 | ゴジラ、ラドン、モスラ、キングギドラ |
6 | 1965年12月29日 | 怪獣大戦争 | ゴジラ、ラドン、キングギドラ |
7 | 1966年12月17日 | ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘 | ゴジラ、エビラ、モスラ、大コンドル |
8 | 1967年12月16日 | 怪獣島の決戦 ゴジラの息子 | ゴジラ、ミニラ、カマキラス、クモンガ |
9 | 1968年8月1日 | 怪獣総進撃 | ゴジラ、ミニラ、アンギラス、ラドン、モスラ、ゴロザウルス、クモンガ、マンダ、バラン、バラゴン、キングギドラ |
10 | 1969年12月20日 | ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃 | ゴジラ、ミニラ、ガバラ、アンギラス、カマキラス、クモンガ、エビラ、マンダ、ゴロザウルス、大コンドル[1] |
11 | 1971年7月24日 | ゴジラ対ヘドラ | ゴジラ、ヘドラ |
12 | 1972年3月12日 | 地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン | ゴジラ、ガイガン、アンギラス、キングギドラ |
13 | 1973年3月17日 | ゴジラ対メガロ | ゴジラ、メガロ、ジェットジャガー、ガイガン |
14 | 1974年3月21日 | ゴジラ対メカゴジラ | ゴジラ、メカゴジラ、キングシーサー、アンギラス |
15 | 1975年3月15日 | メカゴジラの逆襲 | ゴジラ、メカゴジラ、チタノザウルス |
平成シリーズ(1984年~1995年)
番 | 公開日 | タイトル | 登場怪獣 |
---|---|---|---|
16 | 1984年12月15日[2] | ゴジラ | ゴジラ、ショッキラス |
17 | 1989年12月16日 | ゴジラvsビオランテ | ゴジラ、ビオランテ |
18 | 1991年12月16日 | ゴジラvsキングギドラ | ゴジラ、キングギドラ、ゴジラザウルス、ドラット |
19 | 1992年12月12日 | ゴジラvsモスラ | ゴジラ、モスラ、バトラ |
20 | 1993年12月11日 | ゴジラvsメカゴジラ | ゴジラ、メカゴジラ、ラドン、ベビーゴジラ |
21 | 1994年12月10日 | ゴジラvsスペースゴジラ | ゴジラ、スペースゴジラ、MOGERA、リトルゴジラ |
22 | 1995年12月9日 | ゴジラvsデストロイア | ゴジラ、デストロイア、ゴジラジュニア |
ミレニアムシリーズ(1999年~2004年)
平成後期~令和(2016年~)
番 | 公開日 | タイトル | 登場怪獣 |
---|---|---|---|
29 | 2016年7月29日 | シン・ゴジラ | ゴジラ |
30 | 2023年11月3日 | ゴジラ-1.0 | ゴジラ |
アニメーション映画シリーズ
番 | 公開日 | タイトル | 登場怪獣 |
---|---|---|---|
第一章 | 2017年11月17日 | GODZILLA 怪獣惑星 | ゴジラ、セルヴァム(飛翔型)、フィリウス[3] |
第二章 | 2018年5月19日 | GODZILLA 決戦機動増殖都市 | ゴジラ、メカゴジラ[4]、セルヴァム(飛翔型/ワーム型) |
第三章 | 2018年11月9日 | GODZILLA 星を喰う者 | ゴジラ、ギドラ、セルヴァム(飛翔型)、モスラ[5] |
海外作品
番 | 公開日[6] | タイトル | 登場怪獣 |
---|---|---|---|
‐ | 1998年5月19日(7月11日) | GODZILLA(1998) | ゴジラ |
‐ | 2014年5月16日(7月25日) | GODZILLA(2014) | ゴジラ、MUTO |
‐ | 2019年5月31日(5月31日) | Godzilla: King of the Monsters | ゴジラ、ラドン、モスラ、キングギドラ、MUTO、スキュラ、メトシェラ、ベヒモス |
‐ | 2021年3月31日[7](7月2日) | GODZILLA vs. KONG | ゴジラ、コング、メカゴジラ、スカルクローラー、ワーバット、ヘルホーク |
‐ | 2024年3月29日(4月26日) | GODZILLA x KONG: THE NEW EMPIRE | ゴジラ、コング、モスラ、スカーキング、シーモ、スコ、グレイトエイプ、スキュラ、ティアマト、ワーバット、ワートドッグ |
制作予定・公開予定
現時点では次回作の制作予定はない。
その他の関連作品
映画以外の映像作品
- ゴジラ王国(1996年~1997年)
- ゴジラアイランド(1997年~1998年)
- GODZILLA the Series[8](1999年~2000年)
- ゴジラTV(1999年~2000年)
- ゴジばん(2019年~)
- ゴジラ S.P <シンギュラポイント>(2021年)
- ちびゴジラの逆襲[9](2023年~2024年)
ゲーム
- ゴジラ(FC/1988年12月9日)
- 怪獣王ゴジラ(GB/1993年12月17日)
- 超ゴジラ(SFC/1993年12月22日)
- ゴジラ 爆闘烈伝(PCE/1994年2月26日)
- ゴジラ 怪獣大決戦(SFC/1994年12月9日)
- ゴジラ 怪獣大進撃(GG/1995年12月8日)
- ゴジラ 列島震撼(SS/1995年12月22日)
- ゴジラ・ジェネレーションズ(DC/1998年11月27日)
- ゴジラ・トレーディングバトル(PS/1998年12月3日)
- ゴジラ・ジェネレーションズ・マキシマムインパクト(DC/1999年12月23日)
- ゴジラ 怪獣大乱闘(GC/2002年12月12日)
- ゴジラ 怪獣大乱闘アドバンス(GBA/2003年12月11日)
- ゴジラ 怪獣大乱闘 地球最終決戦(PS2/2004年12月9日)
- ゴジラ-GODZILLA-(PS3/2014年12月18日)
- ゴジラ-GODZILLA- VS(PS4/2015年7月16日)
- 巨影都市[10](PS4/2017年10月19日)
関連動画
関連項目
脚注
- *ゴジラ、ミニラ、ガバラ以外の怪獣の描写はほとんど過去作のライブフィルムからの流用
- *年号的にはまだ昭和であるが、便宜上平成作品としてカウント
- *OPのみ静止画でカマキラス、ドゴラ、ダガーラ、オルガ(怪獣黙示録で活動)
- *その残骸から構成された“メカゴジラシティ”として登場。第一章でも記録映像の中に存在
- *卵と成虫のシルエットのみ
- *()内は日本の公開日
- *一部の国では同年3月25日より公開
- *1998年版『GODZILLA』の続編作に当たるTVアニメ
- *第一期は土曜午前7時のバラエティ番組『イニミニマニモ』内にて、第二期は水曜午前7時放送の『おはスタ』内で放送
- *正確にはゴジラシリーズのゲームではないが、ゴジラがゲストキャラクターとして登場
子記事
兄弟記事
- なし
- 11
- 0pt