概要
1991年12月14日に公開されたVSシリーズ第2作。
本来、91年は平成モスラ第1弾「モスラVSバガン」の製作・公開を予定していたが、メインをゴジラへ変更した上で、対戦相手を人気怪獣であるキングギドラとして製作された(※予定されていた「モスラVSバガン」はそのプロットを発展させて次作「VSモスラ」となる)。
登場怪獣はゴジラ・キングギドラ・メカキングギドラ・ゴジラザウルス・ドラット。
今作のキングギドラは、昭和シリーズとは鳴き声も異なり、出自も宇宙怪獣だった昭和とは異なり、笛でコントロールされる未来生物ドラットがビキニ環礁の水爆実験の放射能で合体、進化した超ドラゴン怪獣である、とされている。従来の宇宙怪獣ではなく未来人によって人為的に操る目的で作られたキングギドラとなり、ゴジラもタイムパラドックスの関係で「VSビオランテ」よりも大きくなった新3代目となった。但し、伊福部昭によるテーマ曲はいつものキングギドラのテーマ曲(チャラララーン、チャ、チャ、チャ♪となるアレ)なので、鳴き声が違おうが、多少厳つく西洋龍の顔立ちだろうが、画面に出た瞬間にキングギドラはキングギドラだ、とすんなり受け入れられるだろう。
ちなみに、キングギドラ進化前のドラットは、エミー役の中川安奈によれば、抱きかかえるシーンが多いのは画面に映らないところでコッソリスイッチを入れたり切ったりして人形に演技させていたためらしい。後半のメインになるメカキングギドラのコクピットも中川曰くキッチン用品の塗装で誤魔化していたり、排水溝の網やお鍋のフタなどがあちこちに使われていて間近でみると可笑しかったらしい。また、「ゴジラ捕獲装置」のマジックハンドのレバーだけが事前打ち合わせで決定しており、スタッフから「あとはご自由に」と残りの部分はまったく設定されておらず、あの操縦シーンの大半は中川自身が「このスイッチが引力光線」などとアドリブ的にその場で設定を作ってそれらしく操縦シーンに仕立て上げたとのこと。イメージとしては『エイリアン2』のエイリアン・クイーンと闘う武装母リプリーのシーンだそうな。
前作まではすぎやまこういち師弟による新鋭作曲家によるゴジラ音楽が取り入れられたものの、流麗なハリウッド調のオーケストレーションはイマイチ浸透しなかったこともあり、この時期にやや体調が回復したこと、そして宿敵怪獣の復活作ということ、何より強烈な個性を放つ最も有名なメインテーマを超えられない、という事情から、「もう頼もうよ」という風潮がスタッフにも起きたため、伊福部昭氏を音楽に復帰させている。
伊福部氏は本作の音楽を担当するにあたり、ひとつだけ条件を出した。その条件とは「今はビデオを使って外のスタジオで録音をしていると思うが、砧の広いスタジオを貸切ってスクリーンにフィルムを映写して音楽録りをさせてもらいたい。その条件を満たすのであれば引き受ける。」というものだった。要は映画の映像と共にオーケストラを演奏させたい、ということであるが、既にこの当時このような大掛かりな手法は廃れており、マルチテープレコーダーはおろか譜面台すらも処分してしまっていたため大変な苦労をしたというものの、スタッフの尽力によりこの条件をクリアし、晴れてスクリーンに伊福部怪獣音楽が蘇ることとなった。
また、キングギドラと自衛隊戦闘機との対決時には『空の大怪獣ラドン』で使われた「ラドン追撃せよ」という楽曲も使用されている。オープニングのUFOが飛んでいるシーンでかかっている楽曲も、元は『キングコング対ゴジラ』に同様の旋律を用いており、言わばリメイクとなっている。
右のポスターが印象的に宣伝に使われたが、このポスターは映画公開前の大まかなプロットに沿って描かれたもので、描いた時期にはストーリーも何も全然決まっていなかったが、このポスターのカッコよさに惚れ込んだスタッフがこのポスターのシーン(キングギドラが3つの首でゴジラを拘束して攻撃するシーン)を実際に映像化したという逸話がある。
なお、タイムパラドックスに関して深く考え始めると迷宮に迷い込む事となるので注意する必要がある。ちなみに、過去にタイムスリップした際にスピルバーグ少佐なる人物が登場するが、きっと有名な映画監督のご先祖様なのだろう。
84ゴジラから続く平成VSシリーズで唯一、ラストバトルがナイトシーンではなく、昼間の戦いで決着が付く作品である。このシーンでは当時できたばかりのバカデカイ東京都庁がゴジラの餌食となってしまった。また、この作品以降、ゴジラ=不死身、何度でも蘇る超生命体という部分がより大きく強調されて行くことになる。
また、劇中中身は公開されなかったものの、登場する書籍「ゴジラ誕生」には平成シリーズで初めて「オキシジェン・デストロイヤー」のことに触れた記述があり、「これによって東京湾が死の海と化した」と後のゴジラVSデストロイアを暗示するかのようなことが記されている。
主な登場人物
- エミー・カノー(中川安奈)
未来の日本人で、寺沢の子孫。 - 寺沢健一郎(豊原功補)
ラゴス島の恐竜がゴジラであると初めて唱えたライター。 - 新堂靖明(土屋嘉男)
かつてゴジラザウルスに救われた帝洋グループ会長。 - 三枝未希(小高恵美)
「VSビオランテ」に続いて登場。タイムトラベルを経験する。 - 森村千晶(原田貴和子)
寺沢の恋人で担当編集。 - M11(ロバート・スコットフィールド)
アンドロイド。後にメカキングギドラのコクピットに組み込まれる。
関連動画
関連項目
復活ゴジラ(VS)シリーズ |
ゴジラ84─VSビオランテ─VSキングギドラ─VSモスラ─VSメカゴジラ─VSスペースゴジラ─VSデストロイア |
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