- キリスト教における洗礼式に立ち会い、契約の証人となる男性。名づけ親とも。日本語では「代父(だいふ)」。女性の場合はゴッドマザー、「代母(だいぼ)」。
- マリオ・プーゾが1969年に発表した小説、またはそれを原作とした映画。
- 2.が元ネタのカクテル。ウイスキーベースにアマレット(イタリア産リキュール)をステアして作る。
- WWEで活躍した元プロレスラー。本名チャールズ・ライト。
本項では2.について記述する。
小説の概要
アメリカで暮らすイタリア人移民にしてマフィアの重鎮となったヴィトー・コルレオーネと、三男のマイケル・コルレオーネを含むその息子たち、更にその周りの人間の栄光と悲劇を描いた小説。日本ではハヤカワ文庫が上下巻で出版している。
上巻での物語は第二次世界大戦の終戦直後から始まり、ヴィトーの娘・コニーの結婚式から、ヴィトーの暗殺未遂から巻き起こる騒乱を描き、下巻ではヴィトーの少年~青年時代を交えながら、騒乱の決着が描かれている。
映画で省かれているところも多いので、映画を既に見た方は読んでみるといいだろう。
主な登場人物
- ヴィトー・コルレオーネ
- 通称ドン・コルレオーネ。コルレオーネ・ファミリーのボス。ソニー、フレド、マイク、コニーの父親。9歳の時に両親と兄をマフィアに殺され、アメリカに逃亡。違法な稼業により地位を確立し、家族の仇を討ち、ニューヨークにおけるマフィアの重鎮となる。昔気質で、義理人情に篤く寛大。多くの人間が陳情にやって来るのを受け入れる一方、時に非情な判断を下す。
- サンティノ・"ソニー"・コルレオーネ
- コルレオーネ家の長男で、ファミリーのアンダーボス。短気で粗暴、好色だが女子供には優しい。コニーに暴力を振るったカルロに激昂して半殺しにするが、それが仇となり裏切られ、敵対するマフィアに暗殺される。マシンガンで蜂の巣にされる最期は作中屈指の凄惨なシーン。
- フレデリコ・"フレド"・コルレオーネ
- コルレオーネ家の次男。気が弱いが、接客の才覚がある。カジノビジネスを学ぶためにラスベガスに向かうが、カジノを牛耳るモー・グリーンにいいようにあしらわれてしまう。後に自分より立場が上の弟に対する劣等感からファミリーを裏切るが……
- マイケル・"マイク"・コルレオーネ
- コルレオーネ家の三男。理想に燃える強い意志の持ち主。家族の反対を押し切って海兵隊入りし、第二次世界大戦の英雄として表彰。ヴィトーからは政界入りを期待されていたが、ヴィトー暗殺未遂、更にソニーを襲った悲劇を受けて、稼業を継承。暗き道を歩む仲で徐々に人間性を失っていく。
- コンスタンツァ・"コニー"・コルレオーネ
- コルレオーネ家の末娘。気性が激しく、激昂すると手が付けられない。物語の序盤にファミリーの一員、カルロ・リッツィと結婚するが、不甲斐ない夫と仲がこじれた事がソニーの死の遠因となってしまう。後にマイケルの命令でカルロが粛清された事を知り、半狂乱で兄に詰め寄る。
- トム・ヘイゲン
- ヴィトーの相談役(コンシリエーリ)。非イタリア人ながら信任は篤い。ホームレスだった少年時代にソニーに連れて来られたのをきっかけに兄弟同様に育てられ、弁護士となった。ジョニーの映画出演を映画会社社長に認めさせる交渉役となり、「断れない提案」を持ちかける。
- ケイ・アダムス
- マイケルのガールフレンド。出会いは大学時代。後にマイケルの妻となる。しかし父の跡を継いだマイケルに対する不安と不信が増大し、遂に取り返しのつかない事をやってしまう。
- アポロニア・ビテリ
- シチリア島の名家の娘。シチリアに逃亡したマイケルに一目惚れされ、半ば強引に結婚する事となるが……
- ジョニー・フォンテーン
- 甘いマスクと歌声の人気歌手で、ヴィトーが名づけ親。コニーの結婚式にサプライズ出演し、ファンの黄色い歓声の中で花嫁に歌を捧げた。映画会社社長の愛人に手をつけた為に仕事を干されており、映画出演で巻き返そうとヴィトーに泣きつく。フランク・シナトラがモデルとされている。
- ピーター・クレメンザ
- ファミリーの古参幹部で、ヴィトーとは古くからの付き合い。愛妻家で、マイケルに美味しいパスタの作り方を教えるなど、陽気なふとっちょのおじさん。しかし「適切に」相手を痛めつけ、部下を使い、あるいは自身の手で的確に殺人を行う非情さを持つ。
- サルバトーレ・”サル”・テッシオ
- ファミリーの古参幹部。冷静沈着であり、ヴィトーとは古くからの付き合い。しかし実は敵対するバルジーニ・ファミリーと通じており、ヴィトーから裏切者のヒントを与えられていたマイケルに粛清される。
- ルカ・ブラージ
- ヴィトーに忠誠を誓う殺し屋。肥満体でいささか知恵足らずだが、仕事に関しては容赦が無い。ヴィトーの指示でソロッツォ・ファミリーに潜り込もうとしたが意図を見抜かれて絞殺される。
映画の概要
1972年に公開。フランシス・フォード・コッポラ監督(脚本兼任)が原作者であるマリオ・プーゾ(脚本担当)と協力して製作。マーロン・ブランドやアル・パチーノ等が出演し、公開されると当時の興行記録を塗り替える大ヒットとなった。
ジョニー・フォンテーンの映画出演を了承させるための「断れない提案」や、血で血を洗うマフィア同士の抗争・報復など、印象的な暴力表現が多い。クライマックス、洗礼式と同時進行する敵対者の暗殺シーンはその壮絶さ・美しさから、特に高い評価を受けている。
アカデミー賞では作品賞、脚色賞、主演男優賞を受賞した。なお、主演男優賞を受賞したマーロン・ブランドは受賞を拒否(辞退)して話題となった。
1974年にPartⅡが公開。PartⅡでは、ヴィトーの少年時代~青年時代と前作の続編を描いている。
今作も興行的に成功をおさめ、批評家たちからは「前作に劣らない傑作」と絶賛された。アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚色賞、作曲賞、美術賞、助演男優賞の6つの賞を受賞した。
1990年にはPartⅢが公開。前作であるPartⅡから16年たっており、バチカンにおける金融スキャンダル、ヨハネ・パウロ1世の急死、ロベルト・カルヴィ暗殺事件などの実際の事件が物語に織り込まれている。
しかし事件を盛り込んでスキャンダルをあからさまに批判したかのような内容が災いし、アカデミー賞で7部門にノミネートされるものの、受賞を逃し、興行収入も前作には届かなかった。
またマイケルの娘のメアリー・コルレオーネ役を演じたソフィア・コッポラ(コッポラ監督の娘)に対する批判は大きく、その年のゴールデン・ラズベリー賞の最低助演女優賞と最低新人賞を受賞してしまうおまけつきとなってしまった。
そののちにはPartⅣの製作の噂が流れるが、1999年、三部作の脚本を担当していた原作者のマリオ・プーゾが死去してしまう。
コッポラは「彼(マリオ・プーゾ)なくして続編の製作はあり得ない」と語ったため、続編が製作される可能性は無いと思われる。
映画版の主な登場人物のキャスト(左側が登場人物、右側がキャスト)
- ヴィトー・コルレオーネ(壮年期:マーロン・ブランド/青年期:ロバート・デ・ニーロ) ※1,2
- マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ) ※1,2,3
- ソニー・コルレオーネ(ジェームズ・カーン) ※1,2(2はカメオ出演)
- フレド・コルレオーネ(ジョン・カザール) ※1,2,3
- トム・ヘイゲン(ロバート・デュヴァル) ※1,2
- コニー・コルレオーネ(タリア・シャイア) ※1,2,3
- ケイ・アダムス(ダイアン・キートン) ※1,2,3
- ヴィンセント・マンシーニ(アンディ・ガルシア) ※3
- メアリー・コルレオーネ(ソフィア・コッポラ) ※3
- ピーター・クレメンザ(リチャード・カステラーノ) ※1
- サルバトーレ・テッシオ(エイブ・ヴィゴダ) ※1
- カルロ・リッツィ(ジャンニ・ルッソ) ※1
- ジョニー・フォンテーン(アル・マルティーノ) ※1,3
- アル・ネリ(リチャード・ブライト) ※1,2,3
- ロッコ・ランポーネ(トム・ロスキー) ※1,2
- マクルスキー警部(スターリング・ヘイドン) ※1
- モー・グリーン(アレックス・ロッコ) ※1
- ウィリー・チッチ(ジョー・スピネル) ※1,2
- ハイマン・ロス(リー・ストラスバーグ) ※2
- フランク・ペンタンジェリ(マイケル・V・ガッツォ) ※2
- パット・ギアリー上院議員(G・D・スプラドリン) ※2
- ジョニー・オラ(ドミニク・チアネーゼ) ※2
- ドン・アルトベロ(イーライ・ウォラック) ※3
- ドン・ルケージ(エンツォ・ロブッティ) ※3
- ジョーイ・ザザ(ジョー・マンテーニャ) ※3
- ギルディ大司教(ドナル・ドネリー) ※3
- ランベルト枢軸卿(ラフ・ヴァローネ) ※3
※の後の数字(1,2,3)は登場作品を表し、1がゴッドファーザー、2がPart Ⅱ、3がPart Ⅲとなっている
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