サインポールとは、「床屋の前でクルクル回っている赤・白・青のアレ」である。
概要
床屋(理髪店)の前に置いてある、または外壁に設置してある、柱状(ポール)の看板(サイン)である。壁に取り付けるタイプは「サインブラケット」とも呼ぶ。「三色ねじり棒」や「有平棒(またはアルヘイ棒。菓子の「有平糖」に似ていることから)」という和風な呼び方もあるが、こちらは廃れつつある。
「そこが床屋である」ことを示し、目立たせるために機能している。また、動力が付いているので、「動いている間は開店中、止まっていたら閉店中」という意味で使用される場合もある。
床屋(理髪店)の場合は赤・白・青の配色が普通である。美容院・美容室の前にも類似の機能を持つポールが置いてあることもあるが、その場合は「理髪店ではない」事を強調するためか、別の配色となっていることが多い。
全国理容生活衛生同業組合連合会(略して全理連)のマスコットキャラクター「チョキちゃん」も、「顔と手足が付いてハサミを持っているサインポール」という姿をしている。
日本だけのものではなく、全世界的に赤・白・青の配色である。また、「主に昔ながらの理髪店のものであって、美容院では比較的使われない」と言う点も日本だけのものではない。
「トイレが詰まった時にスッポンするやつ(ラバーカップという)」と並んで、「割とよく目にするのに名前を知らないもの」の代表的存在。
「無限に上に上がっていく(あるいは下に下がっていく)ように見える」という点も、時に話題に上がる。
なお、この「サインポール」という単語で床屋のコレを指すのは、日本特有の呼び方らしい。「sign(標識、看板)」と「柱(pole)」を合わせた単純な単語なので、英語の「sign pole」は標識や道案内版など様々なものを指す。ちなみに英語では「barber pole(床屋の柱)」と呼ぶ。
由来
その由来について最も有力視されているものは、中世ヨーロッパの床屋は簡単な外科治療や抜歯や瀉血も行っていた事に由来するという説。赤い色は血液の色に、白い色は包帯の色に由来するという。ちなみに瀉血(しゃけつ)とは、「悪い血を抜いて健康にする」という治療だが当時は「悪い血」の部分の定義があいまいであり、現在ではごく一部の疾患に対して稀に行われるのみとなっている。
さらに、「ポールの形は、瀉血をしている間に患者に握らせていた柱状の器具に由来する(それに血を沿わせて滴り落とし、下部の容器に血液を集めていた)」とか、「らせん状に巻いているのは、包帯を外に干していたら風に吹かれて柱にくるくる巻き付いたためだ」などと付け加わることもある。
上記のように、最初は「血と包帯」を現す赤と白のマークだったようだが、これに「青」が加わった理由については諸説があって確定されていない。
よく知られているのは「赤は動脈で青が静脈だ」という説である。しかし、「イギリスの医師ウィリアム・ハーヴェイが血管に動脈と静脈があることを発表したのはやっと1628年になってからの事で結構遅い。それ以前から赤・青・白のサインポールはあったはずだ」という論調で、この「青=静脈」という説は否定的に見られることも多い。
その他の「青」の由来については、
- アメリカ合衆国の国旗(星条旗)の色からという説
- ワーテルローの戦いの時にフランス国旗(トリコロール)を野戦病院の前の旗棒に巻き付けていたことが由来と言う説
- イギリスにあった「理髪師・外科医組合」が「理髪師組合」と「外科医組合」に分離したとき、「理髪師は青と白のポールを、外科医は赤いポールを使うように定められたためだ」という説
などがある。
しかし、アメリカ合衆国の国旗の初登場は18世紀末のアメリカ独立戦争、ワーテルローの戦いは1815年、イギリスの理髪師・外科医組合が上記のように分離したのは1745年である。よって、上記の「静脈説」を「1628年よりも前から青を使ったポールがあったのでは?」という理由から否定するならば、これらの他の3つの説をも否定せざるを得なくなってしまう。
絵文字
このサインポールを表す絵文字も存在している。
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Unicodeは「U+1F488」で、名称は上記の英語名称「barber pole」[1]。
2010年のUnicodeバージョン6.0にて新規採用された。
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関連項目
脚注
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