1990年7月18日生まれ。身長173cm、リーチ179cm。
愛称はスペイン語でシナモン、転じて赤毛の意を持つカネロ(Canelo)。13歳の頃トレーナーに付けられた。愛称と言ったがこちらのほうが最早メジャーな呼び名と言っていいかもしれない。
PFPの一人に数えられる現代ボクシング屈指のテクニシャン。すべての能力を高いレベルで併せ持つオールラウンダー。特に柔らかい上半身を生かしたディフェンスとそこからのカウンター、ショートパンチをまとめてクリーンヒットさせる技術は素晴らしい。ボクシングIQが非常に高い選手。
体格的にスーパーウェルター級が適正体重と言われる中でライトヘビー級まで階級を上げ4階級制覇を達成した名王者にしてスーパースター。
反面後述のドーピング疑惑や判定問題でケチの付きやすい選手でもある。
2019年11月16日、リングマガジンはカネロをPFP一位に選出。リングマガジンからは後に2019年度のFighter Of The Yearにも選出された。その他多くのメディアでも高い評価を得ている。
実は10代の頃に日本を旅行で訪れている。その際亀田大毅の試合も観戦し感銘を受けたという。
英語は苦手なようで基本スペイン語しか喋らない時期が長かったが近年は英語力も上昇している。
64戦60勝(39KO勝ち)2敗2分け。
来歴
1990年7月18日に8人兄弟の末っ子としてメキシコのグアダハラで生を受ける。
アマチュア選手としてのキャリアは20戦とキャリア少ない。これは15歳でプロ転向したためである。キャリアの少なさもあるがこの頃はそれほど注目されるような存在ではなかったようだ。
20005年10月29日、15歳の頃にスーパーウェルター級でプロデビューを果たす。結果は4回TKO勝ち。
2006年1月20日、後にIBFスーパーライト級チャンピオンになるミゲール・バスケスのデビュー戦の相手に選ばれプロ三戦目を2-1のスプリット・デシションで勝利。
2010年9月18日、当時60戦以上のキャリアでダウン経験すらない元WBC世界ウェルター級王者のカルロス・バルドミールと対戦し6回TKO勝ち。
2011年3月5日、マシュー・ハットンとWBC世界スーパーウェルター級王座決定戦を行い3-0の判定勝ちで王座獲得。ただしキャッチウエイトで行われたこの試合、アルバレスは1.4ポンドの体重超過をし罰金を払っている。
2013年9月13日、相手側の要求を呑み規定より1kgほど軽いキャッチウエイトでWBA世界スーパーウェルター級スーパー王者フロイド・メイウェザーと対戦するもスピードについていけず全局面で完敗。判定は2-0だったもののドロー判定を下した女性ジャッジは各所から集中砲火をくらい辞任に追い込まれている。メイウェザーは引退した後にもう一回自分と戦うよう要請したアルバレスに「カネロなんかよりコナー・マクレガーのほうがずっといい選手」、「あの試合は俺のキャリアで一番楽だった」、「お前が11試合で稼ぐ額をオレは1試合で稼ぐ。格が違うんだよ」と罵倒で返している。
2014年7月12日、WBA世界スーパーウェルター級王者のエリスランディ・ララとノンタイトルで対戦し2-1のスプリット判定で辛勝。この試合は負けていたという声も多い。
2015年11月21日、階級をミドル級に移しWBC世界ミドル級王者のミゲール・コットと対戦。非常にテクニカルな試合で3-0の判定勝ちを収め2階級制覇を達成。後にダイヤモンドベルトを贈呈される。
2016年5月7日、二階級下から上がってきたアミール・カーンを右ストレートで失神させ6回TKO勝ち。WBCの月間MVPに選出。この時のKOはファイトニュース・ドットコムとリングマガジンの2016年度年間KO賞に認定された。
2017年9月16日、WBAスーパー・WBC・IBF世界ミドル級統一王者のゲンナジー・ゴロフキンと対戦し引き分け。後述の問題があったため再戦をゴロフキンと世間から熱望される。
2018年9月15日、ゴロフキンと再戦を行い2-0の判定勝ち。チャンピオンに返り咲いた。
2018年10月17日、DAZNと5年11試合約410億円の配信契約を結ぶ。
2018年12月15日、階級をスーパーミドル級に移しWBA世界スーパーミドル級王者のロッキー・フォールディングと対戦。身長差のある相手を難なく攻略し3回TKO勝ち。三階級制覇を達成。
2019年5月4日、ミドル級に戻しIBF世界ミドル級王者のダニエル・ジェイコブスと三団体王座統一戦を行い3-0の判定勝ち。
2019年11月2日、そのパンチ力でリング禍を起こしたこともあるWBOライトヘビー級王者のセルゲイ・コバレフと対戦。いきなり2階級上のライトヘビー級に挑戦するのは無謀という声もあった中、それまでのラウンドを一進一退で迎えた11Rに左フックでコバレフをグラつかせるとすかさず右ストレートを真横から顎に撃ち込みKO。四階級制覇を達成。
対戦相手が報酬のつり上げを次々要求しマッチメイクがなかなか決まらない中、2020年5月2日にイギリスのビリー・ジョー・サンダースとのスーパーミドル級タイトルマッチがようやく決定したが世界的なコロナウイルスの影響により延期。そんな最中、イギリスで自宅待機を命じられているサンダースが何を血迷ったのか突如『女性の殴り方』という動画をYouTubeにアップロード。当然大炎上し英国ボクシング協会はサンダースのプロライセンスを剥奪。カネロの次戦は再び白紙になった。
2020年11月17日にWBAスーパーミドル級王者カラム・スミスと12月19日に対戦することが発表された。
身長191cm、リーチ197cmのスミスにどう対処するのかが注目されたが始まってみればリーチ差を感じさせずグイグイと攻め英国の巨人を攻略。KOこそ逃したもののサンドバック状態にしてユナニマス判定で勝利。これによりWBAとWBCのベルトを奪取。試合後、打たれ続け大きく腫れたスミスの左腕が話題となった。この勝利によりワールドボクシング誌のPFP議論で「その実力は二位以下を大きく突き放している。カネロ以外を一位にするのは無理。」と評された。
2021年2月28日、WBC世界スーパーミドル級1位の指名挑戦者アブニ・イルディリンと対戦し3回終了時にTKO勝ちを収めた。
2021年5月8日、延期となっていたビリー・ジョー・サンダースと3団体王座統一戦を決行。コロナ禍ながら7万3千人を超える観衆が詰め寄せたビッグイベントとなった。試合はサンダースの要求を呑む形で当初の予定より広く設置されたリングを上手く使われポイントを取ったり取られたりと決定打の無いまま進むが、8回に高度な駆け引きから右アッパーを直撃させ顔面を陥没させると、サンダースの右目の腫れがひかなかったことで8回終了時にTKO勝ちを収めた。
2021年11月6日、事前会見で母親を侮辱されたことに激高し乱闘騒ぎを起こしたIBF王者カレブ・プラントと対戦。4ラウンドまでは相手の手数が上回るも徐々にプレッシャーをかけていき、11回に連打からの右アッパーで強引に薙ぎ倒す。直後、息も切れ切れの状態で立ち上がったプラントに連打をまとめ再びダウンを奪うとここで審判がストップ。スーパーミドル級で初めての四団体完全統一王者となった。
2022年にはクルーザー級への進出を目論んでいることが報道された。
2022年5月7日、WBA世界ライトヘビー級スーパー王者ドミトリー・ビボルと対戦。左を打ち込まれ、自分のペースを崩さない挑戦者に試合を通して翻弄されると、ジャッジ三人が115-113に付けるユナニマスデシジョンで判定負け。メイウェザー戦以来8年8か月ぶりの敗北となった。
2022年9月17日、スーパーミドル級でゴロフキンとラバーマッチを行い、スピードを活かし3-0の判定勝ち。
2023年5月6日、11年半ぶりに母国メキシコでの凱旋試合をWBO世界スーパーミドル級暫定王者ジョン・ライダーと行い、5回にダウンを奪うなどして3-0の判定勝ちを収めた。
2023年9月30日、WBAスーパー・WBC・IBF・WBO世界スーパーウェルター級統一王者ジャーメル・チャーロとスーパーミドル級で対戦。2階級下の相手を攻め続け、7回にダウンを奪うなどして、3-0の判定勝ちを収めた。
問題と疑惑
2011年10月にIBF世界ライトフライ級王者のウリセス・ソリスのトレーニングに乱入し暴行。ソリスの歯と顎を折る。女関係でもめていたらしい。アルバレス本人は「その場にはいたが直接手を下したのは兄弟であって俺じゃない」と発言。訴訟を起こされるがメキシコの司法は自国のスター選手であるアルバレスを庇い裁判手続きに入らなかった。そのため2013年7月にアメリカカリフォルニア州で改めて訴訟された。
ゴロフキンとの第一戦後に行われたドーピング検査で陽性反応が出る。本人はメキシコの汚染された牛を食べたためと後のルイス・ネリと同じ弁解をしドーピングを否定。一時的にWBCの世界ランキングから外され最終的に6カ月の資格停止処分を食らう。
以下はWBA会長のヒルベルト・メンドーサJr.の見解
「カネロの体内から検出されたクレンブテロルの数値は取るに足らないもので故意のドーピングとは考えづらい。カネロは今までの検査で一度も陽性反応が出なかったので今回は何かの間違い」。
またゴロフキンとの試合は第一戦と第二戦ともにゴロフキンが勝っていたという声が少なくない。日本人ボクサーでは村田諒太もゴロフキン勝利を支持している。ちなみに村田はロブ・ブラント戦を控えたアメリカでの記者会見で外国人記者から「アルバレスとやりたいか?」と聞かれた際、「メキシカンビーフ抜きならね」と前述の汚染牛問題を皮肉った回答を英語で返し場を盛り上げた。そしてブラントとの第一戦に敗れ防衛に失敗している。
基本的に試合の際はAサイドボクサーの特権として相手にキャッチウエイトを突きつける。155ポンドをカネロ級と揶揄する人もいる。数年前まではミドル級の体を作るのも苦労していたが最近では逆にミドル級に収まるのが難しくなるなど不思議な体質である。ただキャッチウエイトに関してはシュガー・レイ・レナードやパッキャオ、フロイド・メイウェザー・ジュニアなど往年のスーパースターも駆使してきた商業主義を貫くための必要悪のようなシステムなのでカネロだけが叩かれるのは可哀想ではある。
関連動画
外部リンク
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 1
- 0pt