サザンとは、
- (southern)「南の・・・」と意味する英語の形容詞。
- 南海電鉄が運行する特急列車名。本稿ではこちらについて説明する。
- サザンオールスターズの略称。
- ポケットモンスターに登場するポケモンであるサザンドラの略称。主にポケモンユーザー間でこう呼ばれる。
- 九九の3×3のこと
概要
関西私鉄で唯一、座席指定車両と自由席車両を混合して走らせている。
座席指定車両はリクライニングシートで乗車の際は500円の座席指定券が必要である一方、自由席車は普通のロングシート車で、普通運賃・定期券のみで乗車できる。
指定席車両は首都圏中距離電車のグリーン車的な存在であるため、ラピートの場合と異なり「特急券」とは言わない。指定券は駅の券売機の他、webサイトからも予約できる。
主に、難波駅~和歌山港駅間の速達列車としての一面のほかに、南海フェリーとの連絡列車の役目もある。
かつては喫煙車両が用意されていたが、南海12000系が導入された2011年9月1日から全車禁煙になった。
座席指定車両には南海10000系・南海12000系、自由席車両には南海7000系・南海7100系・南海8000系が使用され、終日指定席4両+自由席4両の8両編成で運転される。また、10000系とは必ず7000系・7100系が、12000系とは必ず8000系がそれぞれペアになる。
設定に至るまでの経緯とその後
サザンが登場する以前は、南海1000系(初代)による一部座席指定の特急「四国号」及び全車自由席特急がそれぞれ2時間おき、合わせて1時間おきに運転されていた。しかし1980年代にもなると、1000系自体が老朽化してきたことに加え、有料特急としては車内設備の陳腐化が目立ち、また転換クロスシート+車端部はロングシートといった車内設備であるにもかかわらず一部指定席を設定…つまり運が悪ければ指定席料金を払ってロングシートに座らされる可能性がある反面、自由席車にも指定席車と同じ数の転換クロスシートがあるという、料金差と車内設備の不均衡が問題視されるようになっていた。
そこで、「指定席には指定席らしい車両を新造し、自由席には一般の通勤車をくっつけて、双方のニーズに沿った列車を作ればいいんじゃね?」ということで、1985年に誕生したのが本列車である。なお指定席車の車体は完全新製であるが、足回りは1000系の機器が1968年の昇圧時に新造されたものを使用しており比較的若かったものであったため、足回り系は1000系から流用して造られている。
当初は指定席車2両+自由席車4両の6両編成であったが、観光需要や通勤時間帯のホームライナー的需要が大きかったことから、1992年には中間車を新造、一部編成は先頭車の中間車化改造を施し、指定席4両+自由席4両の8両で運転されることとなった。かつては通勤時間帯を中心に全車指定席車のみで運転される列車もあったが、2009年10月のダイヤ改正で消滅し、現在は全て一部座席指定特急として運転されている。
その後10000系の老朽化が進んだことから、2011年からは後継車両の12000系が製造開始され、全車初期車両タイプの編成から置き換えを始めている。・・・がその後は導入が滞っており、10000系の古臭い上にリクライニングはついているものの座席間の肘掛けが無い設備等、ラピートに近鉄特急や京阪電鉄のプレミアムカー・阪急電鉄のプライベースに比べ、相対的に見劣りがするようになってきている。
指定席車の利用状況は流動的で、平日日中の列車だけを見れば指定席車はほぼ空気輸送であり、一見もったいないかのように見える。しかし通勤ライナーとしての需要が高く、特に平日朝ラッシュ時の難波行き「サザン」(4号・6号)は指定席車が4両でも前日には指定券が売り切れることがあるほどの利用があることや、土休日も終日それなりの利用があることを踏まえると乗客の流動に合わせて増解結作業を行う方がかえって不合理であるとの判断から、敢えて指定席車を4両固定にしているものと考えられる。これに対し、自由席車は4両しかないので、時間帯を問わずよく混みあう。
朝ラッシュ時の上りには、所要時間が殆ど変わらない急行が特急サザンの3~4分後にくっついて走るダイヤが組まれている。「自由席車が4両しかないのだから積み残しが出て当然、あとの急行に分かれて乗ってもらおう」と最初から割り切っているものと思われる。
なお、南海の広報誌によると「サザン」の利用者数は年間延べ170万人台、座席指定券の年間売上高は8億円前後と堅調に推移している。座席指定車の定員で割ると平均乗車率は30%弱となるが、空気輸送の便を含めてもこの数値であるから、ラッシュ時の取りこぼしを防ぐために指定席の4両連結はやはり妥当と言えよう。
このスタイルについて、着席通勤の需要の高まりにより、後に京阪電鉄や阪急電鉄、関東では東急電鉄等が模倣しだす様になった。
停車駅
難波駅 - 新今宮駅 - 天下茶屋駅 - 堺駅 - 岸和田駅 - 泉佐野駅 - 尾崎駅 - みさき公園駅 - 和歌山大学前駅 - 和歌山市駅 - 和歌山港駅
設定当初の停車駅は難波駅・新今宮駅・堺駅・岸和田駅・泉佐野駅(「サザン」の登場と同時に特急停車駅に昇格)・和歌山市駅・和歌山港駅であったが、1994年に行楽客の利便性向上のためみさき公園駅を停車駅に追加し、2001年には高野線や大阪メトロ堺筋線と乗り換えられる天下茶屋駅の基幹駅化、また尾崎駅が急行の運転本数削減による代償措置でそれぞれ停車駅に加えられた。2014年にはイオンモール和歌山開業による乗客増で和歌山大学前駅に停車するようになった。
関連項目
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