サブスクリプションとは、課金モデルの一つである。原語のsubscriptionは「寄付をする」「(新聞などを)予約購読する」という意味の英単語。
概要
初期の一般人向けソフトウェアの販売と言えば、通常の物販と同じでパッケージの買い切りが当たり前であった。しかし、常時接続やオンライン決済が普及するに従って、(毎月もしくは毎年の)定期的支払いをしている期間だけソフトウェアを利用できるサブスクリプションタイプのソフトウェアも増加してきている。買い切り方式がなく、サブスクリプション方式でしか利用できないソフトウェアもある。
サブスクリプションタイプの有名どころとしてはMicrosoftが2011年にリリースしたOffice365や、Adobe Systemsが2012年にリリースしたAdobe Creative Cloudなどがある。アンチウイルスソフトはパッケージソフトウェアとして販売されることが多いが、ウィルスパターン更新が1年単位のライセンス形式になっていることが多く、これも一種のサブスクリプション方式であるといえる。
スマートフォンのように決済システムがインフラとして予め整備された環境では導入が容易であり広く用いられている。
ちなみにソフトウェアとは違う話になるが、ニコニコのプレミアム会員や有料チャンネルの月額課金(年額課金も含む)もサブスクリプション方式である。
利用者側のメリット
- 常に最新版の製品が利用できる。
- 初期コストが低い。
- 短期間しか利用しない場合はコストを抑えることができる。
- 最新版が出る度に購入するよりは割安な価格設定のことが多い。
- 月額と年額では12ヶ月間使用の場合、年額の方が割引されるケースが多いが、数ヶ月程度しか使わないような場合は月額の方が安く済むケースが多い。
利用者側のデメリット
- 強制的にアップグレードされ、旧バージョンを使い続けることが出来ない場合が多い。
- 旧バージョンが選択可能な場合でも、旧バージョンのサポート期間が切れた後までは利用できないことが多い。
- バージョンアップせずに長期間使い続ける場合よりも割高になることが多い。
- 定期的な支払いの管理が煩わしい。(自動更新の場合も解約のタイミングを逃すと1年分課金されたりする)
- 更新時期にが近づくと頻繁に通知が出て鬱陶しい。
販売側のメリット
- 安定した収入が見込める。
- 海賊版の撲滅。
- 全ユーザーに最新版を提供できるので、旧バージョンのサポートに経営資源を割かなくて済む。
- メジャーバージョンアップのタイミングに縛られずに機能を追加できる。
- バージョンアップやバグ修正に必要な資金も、サブスクリプションなら安定して確保できる。
- 最新版を購入させるために、必要のない見栄え(ユーザーインターフェイス)の変更をしたり、必要性の薄い機能を追加したりする必要がなくなる。
- 自社クラウドとの連携など、ユーザー側のシステムだけでは完結しないソフトウェアも多いが、売り切りモデルでは数年に渡るクラウドの維持費を価格に織り込むのが難しい。サブスクリプションであれば、こういった支出も定期収入でまかなうことができる。
- 売り切りだと販売終了後も数年もしくはもっと長い期間ユーザーが存在し続けるが、サブスクリプションであればライセンス販売を停止すれば1年かせいぜい2年程度でユーザーが存在しなくなるのでサービス打ち切りが容易。
販売側のデメリット
- 短期間で解約されると売上が低くなる。
- 月額制にしようとするとオンライン決済がほぼ必須。
- 年額制の場合は家電量販店で1年分のライセンスを販売してもらう形になるが、消費者としてもサブスクリプションという形式にはなじみが薄い。
- メジャーバージョンアップは販売側としては良い宣伝機会であるが、その宣伝機会がなくなる・もしくはインパクトが薄くなる。
初月無料の罠
サブスクリプション方式は一旦ユーザーとして取り込んでしまえば安定した収入源になることが多いため、初月無料や初年度無料のキャンペーンが行われることが多い。
しかし、こういったキャンペーンにはサブスクリプションの自動更新が織り込まれていることが多く、解約を忘れるとそのまま課金が続いてしまうという問題がある。
ひどい場合には、初月は無料だが契約は1年単位なので、キャンペーンに申し込んだ時点で残りの11ヶ月分の支払いが確定してしまうことも。
タダほど高いものはない。無料だからとホイホイ申し込むのではなく、有料の場合と同じかそれ以上の注意をもって利用条件を確認する必要がある。
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関連項目
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