サマータイムレンダとは、田中靖規による漫画である。『少年ジャンプ+』を始めとした配信サイトにて2017年10月23日から2021年2月1日まで掲載された。
概要
『赤マルジャンプ』2008年WINTER号に掲載された田中の自作である『ジャメブ』をベースに、「自分と同じ影を見た者は数日後に死ぬ」という言い伝えがある離島を舞台としたSFサスペンス。
ペン入れをしない鉛筆描きとアシスタントを置かず作者一人のソリッドな環境で描かれた絵、タイムリープに代表されるSF要素や狭い島で民俗信仰に囚われた人々が醸し出すサイコホラーな空気感、異形の怪物とのアクションなどの様々なジャンルが詰め込まれているのが特徴。
完結後にアニメ化と実写化を始めとしたメディアミックスが発表された。
2022年4月14日・15日にスピンオフ作品『サマータイムレンダ2026 未然事故物件』が『少年ジャンプ+』に掲載。
また、アニメ版を元にしたメインストーリーのほか、編集部監修の6つのオリジナルストーリーと、オリジナルのエンディングを収録したアドベンチャーゲーム『サマータイムレンダAnother Horizon』も2023年1月26日に発売された。
あらすじ
和歌山県和歌山市。紀淡海峡に浮かび後方に淡路島を望む『日都ヶ島』。
面積5.3km²、人口およそ700人の小さな離島に幼馴染である小舟潮の葬儀に参加するため二年ぶりに帰って来た網代慎平は、潮の死に疑問を抱き捜索中、幼馴染の「影」に銃殺されるもその直後場面が転換し、気がつくと行きの船の中に戻っていた。
その後も影たちの会話を盗み聞きしている最中に刺殺され、これはデジャブや夢なんかではないと確信した慎平はループ能力を駆使し、巻き戻る時間の中で複雑に絡み合う謎を解き明かし幼馴染を救い出すため奔走する。
登場人物
- 網代慎平
- 10年前に両親を亡くし小船家に引き取られて育った17歳。島を離れ東京の調理師専門学校に通っていたが、葬儀に参加するため帰郷し奇妙な現象に巻き込まれる。エロゲ主人公以上の頻度で状況を俯瞰(フカン)で見て整理したがる。カナヅチ。いつの間にか右目の色が変化しオッドアイとなってしまった。それ以降、死ぬたびにループするタイムトラベラーとなって怪異に立ち向かう。
- 小舟潮
- 慎平にとっては同い年の義理の妹にあたる、フランス人の父親譲りの金髪碧眼が特徴的な少女。溺れた子供を助けようとして飛び込み溺死したというのが表向きの発表だが、その死体には首を絞められた痕跡が残っていた。慎平に「澪を守って」と言い残す。
- 小舟澪
- 小麦色の肌をした慌ただしい潮の実妹。高校一年生。最近見知った人が知らない人のように見えることがあると話す。本作の主なサービスシーン要員。
- 小早川しおり
- 溺れて沖に流されたところを潮がその命と引き換えに救った小学三年生の少女。事故のショックで声が出せなくなってしまっている。両親は島でコバマートを営んでいるが経営は苦しいらしい。事故の前、山で自分そっくりの女の子を見ている。
- 菱形窓
- 高校三年生。菱形医院の長男で慎平たちの幼馴染。情に厚く、慎平からは全幅の信頼を寄せられている。野球のポジションはキャッチャー。潮の事故死に疑問を抱いている。澪のことが好きで過去に二回告白し玉砕するも諦めていない。将来の夢は医者だが同じく医者の父には苦手意識を抱いている。
- 南方ひづる
- 「影」について詳しいメガネかけてて巨乳(Gカップ。高校の頃はAカップだった。)の黒髪ロング。考え事をする際は逆さまになり脳に血を集中させる。南雲竜之介のペンネームで活動する慎平の好きな小説家でもあり『沼男』という家族や友人がニセモノに入れ替わっているという妄想に取り憑かれた少女が主人公のホラーミステリを執筆している。
- 南雲竜之介
- 14年前亡くなったひづるの弟。ひづるが髪を結うと「二重人格」として表に出てくる。
- 根津銀次郎
- 影に精通している老猟師。
- 雁切真砂人
- 日都神社宮司。島の祭祀を取り仕切る雁切家の当主。
- 凸村哲
- 34歳。彼女なし出世の見込みなしのボサボサ頭とティアドロップサングラスが特徴的な島唯一の交番に勤める警官。小船家の親戚でもある。日課はアダルトサイト閲覧。亡くなる前日の潮からスマホを預けられている。思い込みが激しく跡からの情報が上書きされないタイプ。
- 小舟アラン
- 潮と澪の実父で洋食コフネ店主。水虫を患っている。
- 菱形朱鷲子
- 窓の実妹で澪のクラスメイト。成績は学年トップクラスだが運動音痴で特にマラソンは憎悪している。裏で影と繋がっているが夏祭りのことは知らされていなかった模様。
- 小早川朝子
- 旧姓は磯兼。薬剤師の資格を持つ。南方ひづるの幼馴染。
- 小早川達夫
- コバマート店主。
- 菱形青銅
- 菱形医院医院長。日都ヶ島でただ一人の医師。窓と朱鷲子の父。
- 菱形千登勢
- 車イスで生活する青銅の妻。
- 根来
- 後ろ髪を団子にした菱形医院の看護師。
- ウシオ
- 潮の影にして本作のヒロイン。本来の影とは違い人間側に着くワイルドカード。
- ミオ
- 残忍で冷徹な澪の影。
- シオリ
- 口が悪いしおりの影。戦闘能力は低いが何故かいくら殺しても死なない。
- ハイネ
- 赤い着物と包帯を纏うオッドアイの女の子。影たちから「オカアサン」と呼ばれる高次元の存在だがかなり衰弱している。「情報」の中でも特に人の「味」を好む。
- シデ
- 様々な武器を使いこなす四つ目で四本腕の巨体の影。夏祭りで島中の人間を殺戮し「エンディング」を目指す。
用語
- 日都ヶ島……舞台となる小さな離島。年平均の死者は4人。作者の出身地である和歌山の友ヶ島と加太、そして香川県の男木島がモデルとなっている。作者が取材で無人島の友ヶ島に訪れ半日歩き回ったさい生まれた「もしもこの島に人が住んでいたらどんなだろう?」という妄想を膨らませて描かれたのがサマータイムレンダである。
- 影の病……日都ヶ島に伝わる風土病のようなもの。この病に罹患するとドッペルゲンガーのような影を見るようになり、影に追われ殺される。
- ヒルコ様……漂着信仰が根付く島の神ヒルコノミコト。北部に建つ日都神社の愛称でもある。
- 影……元となった人物を消去し入れ替わる異形の存在。光によって人間をスキャンし性格や意識、記憶までコピーできる。主食は「情報」。人間体ではなく地面に伸びる影(平面)が本体のため人体が怪我を負ってもすぐさま再生できるが、平面が傷つくと「データ」が損傷してしまう。影はスキャン中の数秒間は身動きができない。ペンダントなどに変身することが可能。「機械」もコピーできるが動作させるには本物を消す必要がある。平面を釘などで三か所打ち付けるとその場に縫い付けられる。影は眠る必要がない。一週間以内にオリジナルを殺せなかった場合影は消滅する。死んだ影のオリジナルが生存していた場合「免疫」がつきその人間のコピーは生まれない。
関連動画
関連静画
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関連項目
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