サムライスピリッツ零SPECIAL(サムライスピリッツ零スペシャル)とは、2004年4月22日より稼動したアーケード用対戦型格闘ゲームである。略称はサムスピ零SP・零サムSP・零SP・零スペなど様々。
基板はMVS。開発は悠紀エンタープライズ(開発スタッフは後に独立しエクサムを設立)、販売はSNKプレイモア。
家庭用版は2004年7月15日に家庭用ネオジオ版(AES/NEOGEO)が発売されているが、諸般の事情による仕様変更及び、それに付随して引き起こされているバグ等がある為(後述の「家庭用移植騒動」を参照)、完全移植作品は長らく発売されていなかった。しかし2017年9月14日、ついにPS4、PSVita向けのDL配信が行われ、アーケード版の稼働から実に13年を経て、ようやく完全移植が実現している。
ここではアーケード版(MVS)及び、DL配信版の仕様について記述する。
概要
武器を駆使して一対一で闘うサムライスピリッツシリーズの一つであり、「サムライスピリッツ零」の調整版。キャラ総数は28人で、主人公は徳川慶寅。サムライスピリッツ零には無かった残虐表現が復活している。
コンボよりも差し合いや一撃重視のゲーム性となっている。キャラバランスの調整や各種システムの調整により、読み合いを制することさえ出来れば比較的シンプルな操作で火力を生かした一発逆転が可能である等、今なお根強いファンが存在する。
現在東京都では中野TRFや高田馬場ミカドでも不定期に大会が開催されているのをはじめ、各地域のゲームセンターで定期的にイベントが開催されており、本作の職人気質な"ガチ勢"の強さは、今もなお衰えていないと言われている。
キャラクター
サムライスピリッツ零のラスボス兇国日輪守我旺と歴代ラスボス天草四郎時貞・壬無月斬紅郎・羅将神ミヅキが通常使用キャラとして追加された。パピー単体は使用不可能で萬三九六と黒河内夢路は存在そのものが削除された。今作でキャラ性能を調整した結果、キャラ差はサムライスピリッツ零よりも縮まった。
ランクとしては大分類すれば右京・腐れ外道の2強とミヅキ・炎邪の2弱というのが一般的な見方ではあるが、弱キャラが強キャラに対して全く勝てないということはなく、やりこみ次第で勝機を見出せるバランスとなっている。実際にはトライアミューズメントタワー第10回裏塔劇では炎邪が、高田馬場ミカド侍大戦2014ではミヅキが優勝している。
基本操作
弱斬り | Aボタン | 中斬り | Bボタン |
---|---|---|---|
強斬り | ABボタン同時押し | 蹴り | Cボタン |
各種特殊動作 | Dボタン | ||
踏み込み (ダッシュ) |
→→ | 引き込み (バックステップ) |
←← |
防御崩し(投げ) | 相手付近で→または←+CDボタン同時押し | ||
不意打ち(中段) | BCボタン同時押し | ||
小追い討ち | 相手ダウン中に↓要素+BCボタン同時押し | ||
大追い討ち | 相手ダウン中に↑要素+BCボタン同時押し |
防御崩し(投げ)
相手を掴んでよろけさせる。ここで斬りボタンを押すとダメージを与えることができる(崩し斬り)。
レバー→は相手を前方へよろけさせる「突き飛ばし」、レバー←は相手を後方へよろけさせる「引っ張り」となる。これら一連の動作を総称して「投げ」(通常投げ)と呼ばれる。ダメージ量は完全固定。踏み込み中でも止まらずにレバーを入れたまま出すことができる。
特殊動作
レバーとDボタンの組み合わせで特殊動作をすることができる。これらは投げを無効化する効力もある。
←+D:下段避け レバー左下+D:後転 ↓+D:伏せ レバー右下+D:前転 →+D:跳び込み
伏せ・前転・後転はキャンセル可能で、特に後転のキャンセル受付時間が長い。腐れ外道は前転から外道の烙印押し、骸羅は後転から円心殺など相性が良い。
三角跳び・三角降り
ナコルル・ガルフォード・半蔵・閑丸・リムルル・破沙羅・火月・蒼月・ミナ・レラ・炎邪・水邪・天草はジャンプ中に画面端を蹴ってもう一度相手側にジャンプをする三角跳びができる。
また三角跳び可能キャラは相手を超えてジャンプした時に、レバーを相手方向の要素(右側にいる相手を跳び越えた場合はレバー左上または左または左下)と攻撃ボタンを同時に押すことにより壁を蹴って急降下しながら攻撃することができる。
システム
剣気ゲージ
体力の下にあるゲージで攻撃力を示しており、この値が大きい時ほど与えるダメージは大きい。武器攻撃により剣気ゲージは減少し、何もしなければ回復していく。すなわちコンボ補正の役割もある。怒り状態になると上限値が上昇し、怒り爆発では上限値がさらに上昇するため、この上限値アップの状態かつ剣気ゲージフルの時に攻撃がヒットすると甚大なダメージを与えられる。投げ技は基本的に剣気の影響は無いが、破沙羅の友引など影響を受けるものもある。
怒りゲージ
画面下に「怒」と書いてあるゲージでダメージを受けると増加する。これが目一杯になると怒りが頂点に達してキャラの肌が赤くなり怒り状態となる。怒り状態が終わるとゲージ量は0に戻る。怒りゲージの増加はキャラによって差がある。怒り爆発が終わるか無の境地に入ると怒りゲージは消失する。
怒り状態
怒り状態になると剣気ゲージの上限値が上昇し、武器飛ばし技の使用が可能になる。一定時間が経過するか武器飛ばし技をヒットさせると怒り状態は収束する。怒り継続時間はキャラによって差がある。怒り状態のままラウンドを終えると次のラウンドは怒り状態から始まるが、怒り継続時間は0からカウントされる。
武器飛ばし技
怒り状態または怒り爆発中に使える必殺技でコマンドは236+CDボダン同時押し。ヒットすれば武器はランダムの方向へ飛び、相手は素手状態となる。怒り状態でヒットすると怒りゲージは元に戻り、怒り爆発中のヒットは爆発ゲージが消滅する。
武器捨て挑発
スタートボタン3回で武器を地面に置き素手状態となる。素手状態では著しく必殺技が制限され、武器が関与しない必殺技のみ使用できる。素手状態では自決・怒り爆発・絶命奥義・一閃などが不可能だが無の境地は使用可能。リムルルと蒼月は武器捨て挑発でダウン追い討ちができる。
武器拾い
自分の武器が置いてある位置でAボタン。武器拾いの瞬間は敵に狙われないよう注意が必要。ちなみに武器拾いができる位置で防御崩しをすると武器拾いで防御崩しのモーションをキャンセルすることができ、防御崩しでよろけている相手に強斬りなどの発生が遅めの攻撃を加えるチャンスが生まれる。
鍔迫り合い
鍔迫り合い判定を持つ技同士が接触すると一定条件のもと発生。先にボタンを10回押したキャラの勝利となり、負けた側は武器が飛ばされる。発生は1つの対戦に1回のみ。
自決
コマンド4632+スタートボタンで相手のラウンド勝利となる自決をする。自決をしても何も得られるものはない。敗色濃厚で自分が怒り状態のときは、相手が怒りを冷めるのを待たれることがあるので次ラウンドを少しでも有利にするためにも自決を選ぶことがある。
弾き返し
コマンド2146+Dボタン(4は省略可)。弾きは通常技の斬り攻撃をいなして相手を硬直させ攻撃のチャンスを作ることができる。下段と蹴りは弾けない。中斬りを弾くと相手の硬直時間が最も長く、強斬りまたは踏み込み斬り攻撃を弾くと相手の武器が飛ばされる。
白刃取り
素手状態でコマンド2146+Dボタン(4は省略可)。白刃取りは通常技の武器攻撃を素手で受け取り相手の武器を飛ばしてダウンさせる。下段の武器攻撃は白刃取りができるものとできないものがある。弾き返しよりも隙は少ないためリスクは低い。
瞑想
レバーニュートラルでDボタン。瞑想すると怒りゲージを消費して体力の上にある「▽」の境地ゲージが上方へ移動する。境地ゲージが上昇すれば無の境地継続時間と一閃のダメージが段階的に増加する。消費の速さはキャラによって差がある。怒り状態では瞑想できない。
無の境地
以下の条件を満たせばBCDボタン同時押しによって無の境地に入ることが可能。
無の境地に入るとキャラのカットインが入り怒りゲージが消滅して境地ゲージとなる。境地ゲージが減少し始めて消滅するまでが無の境地状態であり、相手の動きが原則として4倍スローとなる。そして攻撃ののげぞり状態も4倍になるため平常時にはできないような連続技を決めることができる。しかし例外として怒り爆発の発動や絶命奥義の突進はスローの影響を受けない。無の境地に入る瞬間は投げ無敵となっているので、投げ狙いの踏み込んできた相手に合わせて発動する手もある。時間経過・ラウンドの終了・ダメージを受ける・一閃の使用によって無の境地は解除され、境地ゲージが消滅する。
一閃
無の境地中にBCDボタンを同時押しすることにより突進技である一閃が使用可能。境地のスローで大きくのけぞっている相手に連続技として繋げたり、地上付近にいる空中の相手に当てることができる。ヒットすれば一定ダメージを与えられる。突進距離は画面端から画面端の相手に届くほど長いが、一閃を出した瞬間に無の境地が解除されることには注意が必要。一閃のダメージは剣気の影響を受けない。
一閃は境地中に攻撃を当てられるだけ当ててから突くのが理想。しかし境地中の地上連続技は爆発で抜けられやすいことから、怒りゲージのある相手には一瞬の隙を見て無の境地に入り一閃を決めるのが一般的。
怒り爆発
怒りゲージが存在する時にABCボタン同時押しによって怒り爆発が可能。特徴は以下の通り。
- キャラの周囲にガード不能でダメージ0の波動を放ち背景が変わる。
- 剣気ゲージの上限値が最高かつ剣気ゲージフルの状態から始まる。
- 怒りゲージが消滅して爆発ゲージとなる。爆発ゲージがある間は怒り爆発状態となる。
- 爆発ゲージはゆっくり減少し約15秒で消滅する。攻撃を受けている間は減少がストップする。
- 怒り爆発中はタイムカウントがストップする。
怒り爆発は地上のけぞり状態でも発動できるため、境地からの連続技や弾き返しの硬直など大ダメージが予想される時に爆発したり、また時間切れ負けの回避にも利用できる。爆発の波動にダメージはないので境地中の相手にヒットさせても無の境地は解除されない。キャラによってはガード不能を利用した連続技をすることもできる。時間経過・ラウンド終了・武器飛ばし技のヒット・絶命奥義の発動で怒り爆発は解除され、爆発ゲージは消滅する。
以上により、怒り爆発と無の境地は1つの対戦でどちらか一方かつ一度しか使用できない。どちらを使用するかは対戦状況により判断することになる。
絶命奥義
以下の条件を満たせばコマンド214+CDボタン同時押しによって絶命奥義を発動することが可能。
発動すると一瞬ストップモーションが入ってから相手に突進する。これがヒットすれば相手をロックして専用のBGMが流れ各キャラ専用の演出へ移行し、相手の残り体力に関係なく勝利となる。突進距離は画面の約半分ほどで、ストップモーションと突進の出始めは完全無敵なので相手の飛び込みや投げに来た相手に有効。発生はそれほど早くはないが、中斬り背面ヒットからのキャンセルやジャンプ強斬りの深当てから連続で繋がる。キャラによっては固有の連続技で繋げられる。
対人戦では連続技で繋ぐよりも相手の動きを読んで単発で出して決めるパターンが多い。時間切れ負け回避の怒り爆発から体力が逆転したので時間を進めるため絶命奥義を出すこともある。ヒットすれば勝利確定なので条件が整えば試みるべき。ガードされても隙はさほど大きくはないが、境地中の相手からは一閃が確定する。
テクニック
ジャンプ攻撃と地上攻撃を繋げる方法
ジャンプ攻撃は立ち状態の相手に正面から当ててものけぞり状態が短いため、そのまま地上攻撃へ繋ぐことはできない。これを繋ぐにはジャンプ攻撃を着地スレスレで当てることにより地上攻撃と同等ののけぞり状態となり、地上での技が繋がるようになる。これを「深当て」と呼び、ジャンプ強斬り→地上強斬りやジャンプ中斬り→地上中斬りなどが可能になる。
相手がしゃがみ状態や背面状態でジャンプ攻撃を受けた場合は深当てせずとものけぞり状態が長くなるため、地上攻撃へ繋ぐことができる。
目ジャンプ(目押しジャンプ)
ジャンプには着地した際に着地モーションが設定されていて、これは隙となり相手に狙われてしまう。これを回避するには着地の瞬間にもう一度レバーを上要素に入れてジャンプすれば隙を消すことができる。着地によく投げられるようであれば目押しジャンプを意識することが必要。
ちなみに無の境地から空中の相手にジャンプ攻撃を数発当てる場合、レバー入れっぱなしと目ジャンプとでは明らかな時間差があるので目ジャンプで飛ぶようにしたい。
弾かれキャンセル
ほとんどの武器攻撃は相手にガードされると武器を押し返されたような弾かれモーションとなり、これが隙となる。この状態で必殺技を入力することによって弾かれモーションをキャンセルすることができる。多くの場合は強斬りをガードされると反撃を受けるが、弾かれキャンセルをすることで読み合いが起こり反撃を受けにくくなる。
キャンセルは必殺技属性であればよいので、無敵が付いている必殺技や弾き返しでもいいし怒り爆発もできる。相手が反撃するとみて絶命奥義を出すという手もある。なお、ガードされると振り抜きモーションになる武器攻撃は弾かれキャンセルができない。
予約入力
自分が動けない状態(攻撃を受けている・ガードしている・攻撃しているなど)ではコマンドを入力した後にボタンを連打することにより、動ける状態になった瞬間に技を出すことができる。また踏み込みと引き込みも予約入力が可能で、レバーの2回目を入れっぱなしにしておくことで瞬時に行動へ移せる。リムルルのコンルノンノ→ダッシュ大追い討ちや火月の焦熱魂(BまたはC)→ダッシュ強斬りなどは技の終わり際にレバーを入れておけば成功しやすくなる。
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CPU戦
全10ステージ。ステージ6まではラスボス勢とレラを除いたキャラがランダムで割り当てられる。レラはCPU戦に一切登場しない。ステージ7以降はボスラッシュとなり、天草四郎時貞・壬無月斬紅郎・兇國日輪丸我旺・羅将神ミヅキとの対戦になる。
CPUはこちらの打撃や投げを超反応で弾いたり回避するので、パターンにハメた攻略が必要。またミヅキ以外の歴代ラスボス戦は絶命奥義か一閃をヒットさせなければ次のステージに進めず、勝ってもゲームオーバーとなる(特に一番キツいのが斬紅郎戦と言われる)。
またネームエントリー時には特定の名前を入力すると、キャラクターが爆発したり真っ二つになる小ネタも存在する。
設定
設定によって残虐表現に差がある。設定変更はゲームセンター側への要望が必要。
本作品に関する諸騒動
本作はゲーム本編以外にも、稼働当時様々な諸問題を抱え注目された作品でもある。
以下に、本作を語る上で話題に上がる2つの諸騒動について記述する。
家庭用移植騒動
本作はゲームの出来そのものは評価されたものの、その残虐演出への反響に端を発した家庭用移植に際し、様々な問題を引き起こしたいわく付きの作品としても知られる。
以下に、所謂「零SP騒動」とされた当時の騒動の一幕を記す。
これまでのサムライスピリッツシリーズには一部キャラを除き普通に胴体切断等の演出はあったが、今回は全キャラクターにその演出が解禁。加えて絶命奥義の演出はその最たるもので、特に妖怪腐れ外道、首斬り破沙羅の演出は過激で、賛否両論を呼んだ。
その影響か、同年に起きた長崎小学六年生殺人事件に配慮したという理由によって、先行販売されるネオジオカセットROM版の絶命奥義演出の削除が行われたのだが、この削除が予約した購入者への事前告知が一切行われていなかったことで、騒動となってしまう。
しかも、自粛システムを既存の基板に上乗せする形でマスターアップしたためか、アーケード版では起こる筈のないバグが発生することとなった。加えて、アーケードを完全移植するという高額なネオジオROM版であったために、購買層は当然、高級志向を望むネオジオのファンであったこともあり各地でファンの怒りが爆発。署名活動にまで発展した。
個人情報の保護を理由にSNKプレイモアは署名をも受け取らないとしたが、バグを取り除いた修正ROMと無料で交換し、お詫び状と共にナコルルのキーホルダーが添えられ各購入者の手へ届けられた後、バグ修正をしたROMを再販売した。ただ、あくまでバグの修正であって、残虐演出の修正はされたままである。
アーケードそのままに遊べる高級ハードであり、ロングセラーハードとなったネオジオの最終作の本作が、結果として最後の最後で販売理念から大きく逸脱してしまったこの事件は、ネオジオを知るゲーマーの間ではSNK倒産の経緯と共に印象に残る思い出として、現在も語り草となっている。
なお、前述の通り残虐演出の自粛をするシステムを新たに上乗せしているため、交換を受け付ける前の修正前のROMであれば、ネオジオ本体を改造することによってこれらのバグ、残虐自粛システムがすべて解消され、アーケード版完全移植状態になる事が後に発覚し、出荷数の少なさや騒動後の回収騒ぎのせいもあって、現在の中古市場ではもれなくとんでもなく高額な値段で取引が行われている(修正後すら定価より高く、修正前に至っては2倍近い値段になっている)。
騒動後、本作品とこの一件は社内でも重く受け止められたようで、サムライスピリッツ公式サイトから絶命奥義の記述が削除されたり、PS2「六番勝負」への未収録などといった対応が取られ、一時期本作は半ば封印作品的な位置づけになっていた。直後の作品である「サムライスピリッツ天下一剣客伝(剣サム)」もドリームマッチで、本作以上のボリュームであることから、一部のファンからは「剣サムは零SPのリベンジなのでは?」という憶測も呼んだ。
但し、その後SNKプレイモアがSNKに改称しパチスロ事業から撤退してからは、ゲーム販売一本に方針転換したからか、はたまた本作の根強い人気が再び見直されたからなのか、周知の通り海外向けDL販売を経て、国内でようやくアーケード版完全移植となるPS4版・PSVita版のDL配信が現在は行われている。
2019年にはアケアカNEOGEOの配信タイトルとしてPS4、XBOX ONEおよびWindows 10、そしてNintendo Switchへのアーケード版の完全移植が実現した。
暴力表現によるレーティングはCERO:C(15才以上対象)とアケアカNEOGEOのラインナップでは最も高いものの、近年の格闘ゲームでは一般的な範囲である。
「完全版(赤スペ)」騒動
剣サム発売前、インターネットにリークされた謎の続編に関する騒動。
零SPと同じく開発を悠紀エンタープライズ、販売をSNKプレイモアが担当した「剣サム」発売の少し前、アーケードのネオジオ基板用に「零スペシャル完全版」と釘打たれた作品が一部のゲームセンターで見られた。ロゴの「零」の色が赤いことから「赤スペ」と呼ばれることもある。ロゴをはじめとした配色の変更やシナリオ文章、システム・難易度をマイナーチェンジしたものであった。実際に東京都内でプレイした人間が証拠画像と共に公開する形で発覚していた。
しかし、この知らせを聞いたと思われるSNKプレイモアがスタッフコラム「ユサ日記」上で、作品名は伏せたもののその謎のゲームに関して言及した。曰くSNKプレイモアは全く認知していないとともに、「海賊版みたいなものだったら大変だ!通報通報!」「剣サムの発表前だというのに、水を差すような話題だね」といったような形で、警告を勧告する旨の発言をした。
これを受けてなのか、程なくして当のゲームも当該店舗から撤去され姿を消した為「ユサ日記」で述べられたように「やはり海賊版のようなものだったのでは」とファンからは囁かれていた。
しかし2017年5月、当時本作に関わった開発者の一人から、この「赤スペ」に関する詳細な情報が暴露された。それによると、「赤スペ」は当時のアーケード業界の卸売り会社(かつてネオジオのサードパーティだった某企業)が本作の売り上げに満足していなかったために、プレイモアに無断で悠紀エンタープライズに開発を発注し作らせた"契約違反"の商品なのだという。零SP騒動で本作に関してプレイモアが慎重になっていたため、無断で開発させた上で出来た物を後から知らせるという思惑だったが、プレイモアはその事実に激怒し、結果当時既に発表を控えていた「剣サム」の販売権を有利に進めるに至ったとされる。
また、この一件がサムスピチームのエクサム独立への切っ掛けになったともしており、実際「剣サム」以後プレイモアが悠紀エンタープライズに開発を委託することはなくなっている。ちなみに「赤スペ」は試作品が1枚のみ製造されたのみ、としている。
完全版正式リリース
2020年6月から7月にPC(Steam/Epic Games Store)/PS4/NSWで順次発売されているコレクションソフト『サムライスピリッツ ネオジオコレクション』の中に、『サムライスピリッツ零SPECIAL完全版』が収録されることが発表された。(外部リンク)
公式サイトではこの完全版を『真の「NEOGEO」最終作品とも言える幻の作品』と紹介しており、いわくつきの試作ソフトとして知られていた完全版のデータが現存し、シリーズタイトルの1つとして収録されることは驚きをもって迎えられた。
さらにはSNKの「exA-Arcadia」基板参入第1弾として、2022年にアーケード向けに正式発売されることが発表されている。
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