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サルモネラ菌とは、腸内細菌科サルモネラ属に分類される細菌の総称である。
概要
主に動物の腸内に生息している細菌だが、一部の種類は人間(ヒト)に対して食中毒や感染症を引き起こすことがある。
哺乳類だけでなく鳥類や爬虫類、両生類などあらゆる動物が感染源となり得る。
ヒトに病気を起こすサルモネラ菌は大きく2つのグループに分かれており、一つは「主に胃腸炎を起こすタイプ」で、もう一つは「チフスと呼ばれる重い全身性疾患を引き起こすタイプ」である。
感染経路
主に生卵や生肉が原因となることが多い。十分に加熱されていない鶏卵や豚肉、牛肉、鶏肉なども原因となり得る。
また、人から人に伝染する例や、犬やネコなどのペットに触れた後に十分に手を洗わなかったことで感染した例もある。
症状
胃腸炎型
非チフス性サルモネラ症とも呼ばれる。一般的にサルモネラ食中毒として知られているのはこっち。主に小腸と大腸に感染して炎症を起こす。
半日〜数日程度の潜伏期間の後、発熱、腹痛、下痢、嘔吐などの症状があらわれる。
他の感染型の食中毒に比べて症状が重いことが多く、インフルエンザのような高熱や激しい腹痛、大量の水様性下痢がみられることも少なくない。下痢が酷い場合は脱水症状を起こすこともある。また、血便が出ることもある。
多くの場合は点滴や抗生物質などの治療を行うことで1週間程度で治るが、稀に敗血症や髄膜炎、骨髄炎などの重大な合併症を起こして死亡することもある。
チフス性サルモネラ症
腸チフスやパラチフスといった重大な全身性疾患はこっち。発展途上国に多く、日本などの先進国ではあまりみられない。小腸に感染した菌が血液中に侵入し、敗血症を起こすのが特徴。
潜伏期間が胃腸炎型に比べて長く、1〜3週間程度の潜伏期間がある。高熱や頭痛、発疹などのインフルエンザに似た症状があらわれるが、高熱が長く続いたり、高熱が出る割に脈が遅いのが特徴である。
熱は2週間程度で下がっていくが、同時に腸出血や腸穿孔、意識障害、髄膜炎などの重大な合併症を起こすことが少なくない。
現在は早期に抗生物質で治療すれば治るので、昔ほど予後が悪い病気ではなくなったとされるが、耐性菌の心配もある。
感染症法ではO157や細菌性赤痢、コレラと同じ三類感染症になっているため、感染者は陰性になるまで学校や職場に行くことを禁止される。
稀に無症状でありながらチフスの菌を保有し、周囲に伝染させてしまうという健康保菌者が問題となることがある。最も有名な健康保菌者は20世紀前半のアメリカ合衆国の家政婦、メアリー・マーロン氏である。
ちなみに主に紛争地域などでシラミが媒介する発疹チフスは、リケッチアと呼ばれるグループの細菌が引き起こす、サルモネラとは全く無関係の病気である。
予防方法
肉や卵などを食べる際には十分に加熱してから食べると良い。また、動物に触ったあとは石鹸で手を洗うこと。
発展途上国では十分に煮沸した水やミネラルウォーターを飲むようにし、水道水や生水を避けること。また、不衛生な屋台や飲食店は避けよう。
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関連項目
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