サンテレビボックス席は、阪神タイガースファンが阪神タイガースファンに向けて放送している、プロ野球中継番組である。
概要
阪神タイガースの本拠地であり、サンテレビジョンの本社がある、兵庫県とその近隣の住民にとっては、もはや知らない者は居ないであろう知名度を持つ。阪神タイガースの公式戦を中継する割合が圧倒的に多く、地元のファンからは非常にありがたられている番組である。関西で「サンテレビは阪神ファンの鏡やで!」と言われるのは、この辺りから。
実況・解説ともに阪神タイガース側に偏っているので、他球団側のファンからすれば、観るのが辛いと思われる。ただ、阪神甲子園球場でビジター側までも埋め尽くすほど大勢の阪神ファンに囲まれながら観戦するのに比べれば、マシなようにも思えるのだが。
プロ野球中継番組の歴史としては長く、サンテレビの開局年である1969年から続けられている放送である。日本で初めてプロ野球の完全生中継を行った番組として知られており、『試合開始から終了まで完全中継!』を謳う通り、いくら試合時間が延びようとも、完全ノーカットで放送するのが特徴。総中継試合数は既に3000試合を超えている。
逸話など
- 日本プロ野球最長時間試合(6時間26分)の模様も完全中継。
- 1973年のV逸時、暴徒化したファンが無差別に暴れまわるものの「サンテレビは俺たちの味方や」と一部のファンに守られ、襲撃を免れる。
- 暗黒時代と呼ばれていた低迷期も完全中継を貫き通す。相次ぐ凡プレーに対してアナウンサーまでもが「これはいけません」と苦言を呈することも当時は日常茶飯事だった。
- 阪神のホームゲームだけではなく、ビジターでも積極的に自社制作で遠征。広島程度なら朝飯前。神宮のヤクルト戦も毎年遠征。さらに、地方遠征で山陰や北陸、東北に出向いたことも。ついに2013年には沖縄での阪神主催ゲームにまで遠征した。また、中日新聞系列局でないと中継できないとされてきたナゴヤドームの中日戦ですら近年は乗り込むようになった。
- テレビ神奈川が当時の横浜(大洋)-阪神戦中継をサンテレビにネットした際、試合が長引くとテレビ神奈川は放送延長に限りがあるため、自局の放送が終わっているのに、サンテレビ向けに試合終了まで放送していた。
- CM入り前にランニングスコアが表示されるのは他の放送局と同じだが、1990年代ぐらいまではテロップでの表示ではなく、球場のスコアボードを直に映し、右下にトラッキーなどのマスコットのイラストを挿入した画面でCMへ入るのが定番だった。
- オフシーズン中は、「虎辞書なる!!」というタイトルで過去の放送(勝利試合の場合が多い)を放送することがある。
- マスコットキャラクター『おっ!サン』のグッズが阪神甲子園球場近隣の売店で販売される程の愛されっぷり。『おっ!サン』のコスプレをして応援するおっさんまでも現れる始末で、観客席で応援する姿が中継されることもしばしば。
- オープニングテーマの「スプリング・レディ・バード」はアニメ・特撮劇伴の大家渡辺宙明の作曲。かつては吹奏楽演奏だったのが、90年代後半より現在の打ち込みに変わっており、アレンジが変わっている。
- 2021年8月17日の対DeNA戦はなんと開局して52年目にして初となる東京ドームからの自社制作での実況生中継となった。通常東京ドームと言えば巨人戦であるため日本テレビが放映権を独占しているのだが、この年は2020東京オリンピックの開催に伴い横浜スタジアムがそちらで使われているため、代替措置としてDeNA主催試合を東京ドームで行った事によるもの。このことについてはサンテレビ局内はもちろん、熱心な野球ファンやサンテレビファンの間でも話題となった。ちなみにDeNA側のtvk「横浜DeNAベイスターズ熱烈LIVE」も、こちらも開局49年目にして初の東京ドームからの実況生中継を行っている。
他局との関係
- 独立局というハンデを生かして半ばフリーダムな番組編成ができることで完全中継が実現したが、独立局ゆえ基本的にはサンテレビの放送エリアでしか見ることができない。ただし、関東・東海・近畿の独立局にはネットされるケースがある。かつては中継の合間にネット先がテロップ表示されることもあった(クロスネットが多かった昭和のテレビではネット局表示はごく当たり前に行われていた)。
- かつては他の局が中継していても(全国ネット・ローカル問わず)、サンテレビも並行で中継しているケースが多かったため、サンテレビのサービスエリアでは阪神戦中継が2つ見られ、もし片方が時間切れとなってもサンテレビで試合終了まで見られたのだが、近年は同時並行のケースは少なくなっている。
- 1985年に朝日放送(ABCテレビ)と提携を結び、関東地方の独立局などで行われていた、ABCでの中継の前後の時間帯をカバーして継投での完全中継となる「トップ&リレー中継」が実現。また、ABCが中継権を持つも、自局で放送できない場合(日曜が多い)はABCが製作してサンテレビで放映する形式が取られるようになった。また、ABCの解説者がサンテレビの中継にも登場するようになったのもこの提携によるもの。
なお、ABCの夕方のワイドニュースの放送時間が拡大したのを機に、ニュースより阪神戦中継が優先されてABCの中継開始が早まったため、現在はリレー中継のみが行われている。
阪神戦以外の中継
- 阪神戦中継が目立つが、同じ兵庫県内に本拠地を置いていた阪急ブレーブスの試合も1974年から放送していた。球団がオリックス・ブレーブス→オリックス・ブルーウェーブ→オリックス・バファローズと移り変わり、大阪が本拠地となったこともあってか、2016年以降は対阪神の交流戦のみ中継することがある。
- 阪神・淡路大震災の発生した1995年には西武ライオンズ球場でオリックスがリーグ優勝を決めたが、その試合はテレビ埼玉の「ライオンズアワー」をネット受けしたうえで、谷口英明アナウンサーが現地で中継にゲスト出演した。試合終了間際はテレビ埼玉の好意により谷口アナが自ら実況して、オリックス優勝の瞬間を伝えた。
- 1988年の福岡ダイエーホークスの誕生時、親会社のダイエーはサンテレビに資本参加しており、その関係で一時ダイエー戦の中継がかなり積極的に行われていた。平和台球場や福岡ドームでのホームゲームは(九州朝日放送やTVQ九州放送の技術協力は受けつつも)基本的に自社製作で多数放送していたほか、テレビ埼玉の「ライオンズアワー」や「ヒットナイター」と思われる西武戦や日本ハム戦のビジターゲームも数多くネット受けするなど、阪神戦並みに力が入っていた時期もある。
関連動画
関連項目
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