ザルク(SARG)とは、「アルジェントソーマ」に登場する架空の機動兵器である。
「トート(SARG)」についても取り扱う。
「SARG」とは「棺桶」を意味する。パイロット章も棺に翼が描かれたものであり、皮肉が込められた名称と思われていたが、まったく別の意味が込められている。
人智を超えたスーパーメカの登場だ!さあ、皆様!惜しみない拍手をッ!
対エイリアン特殊部隊「フューネラル」に配備された高機動兵器。1~5号機まで存在する。作中では「○番機」と呼ばれる。
(2番機は不慮の事故でパイロット不在の欠番・空位扱い。後に複座型5番機のパイロットとしてリウ・ソーマが着任)
地球へ襲来する「地球外・金属生命体」の巨大人型エイリアンの迎撃のために運用されている。
これまでエイリアンの高出力ビームや重力制御による飛行・機動力、巨体から想像できない格闘能力、環境に応じた学習・進化能力(プログレッシブ化)により、戦闘機や戦車などの通常兵器では歯が立たず、周辺地域ごと熱核兵器での殲滅が行われていた。既存兵器に荷電粒子砲を搭載した「荷電粒子爆撃機」も存在するが、爆撃機という分類からわかる通り、大型化により撃墜されるリスクも非常に高く、機動力では通常戦闘機に劣り、効率的ではなかった。
熱核兵器の使用は当然のことながら、一体を殲滅するたびに放射能汚染と大規模な被害が発生するため非効率的であり、人類の居住地域が失われるばかりか、食糧生産にも多大な影響が出てしまっている。
そのため、エイリアンを効率的に撃破するために建造されたのがザルクである。
リウ・ソーマが着任するまでは1番機(ダン・シモンズ中尉)、3番機(ギネビア・グリーン中尉)が主に稼動していた。4番機は予備機扱いに近いが、待機中は稼動機として含まれている。5番機は複座型であるため、ギネビア・グリーンが同乗(操縦系)したこともある。
色はオープニングでダークグリーンのシーンもあるが、艶のないダークブラウン。腕や脚の関節など部位はやや明るめのブラウン(もしくは暗いオレンジ)。
内部構造はブラックボックス化されているため、損傷が大きい場合は工廠に送られる。(一部で工廠=モルグといわれているが、ザルクとは別関係施設であり、2度に渡って壊滅している)
フェーネラル自前での修理などは制限がある。エイリアンモーターの機密情報を守るためだとされているが……?
後継機としてトート(TOD)が開発されている。1~3番機まで存在し、肩のナンバリングはザルクと異なる。
高機動モードへの移行を許可する!
ザルクは機体各部を収納展開する変形機構を備えており、作中では「人型」の形態を指して「高機動モード」と称されている。人型兵器の利点である四肢を作った戦闘機動、戦術運用が可能となるが、単純な機動力(速力)や飛行能力に関しては戦闘機形態と変わらない。
専用ライフルなどを使用し、エイリアンの弱点である頭部のみを破壊することで被害を最小限に抑える。
外観は人型・戦闘機形態問わず、まさに「重戦闘機に手足をつけた」という姿。コクピットも戦闘機型のものが左肩に
そのまま取り付けられ、露出している。ある程度の強度を持ち、気密性も高いため多少の水圧にも耐えられるので潜水しても問題ない。(さすがに構造上、宇宙空間までには対応していないらしい)
戦闘機形態は脚部(太腿)ユニットが大型であるため、大型のタンク状のもの懸架しているようにも見える。
足に当たる部位は開閉式のランディングギア(エイリアンをキックできる程度の耐久力もある。戦闘機形態での降着時にも使用。太腿のユニットの前方にもランディングギアを内蔵)。
太腿の部位は脚部を収納するため大型化している。側面には変形時に両手を収納して固定する。
人型では肩に当たる部位が大型の主翼であり、各部位は可動時に甲高いモーター音を立てる。動きはやや遅い。
関節部は球体状のものが使用されているがどういった構造かは不明。
戦闘機形態で射撃する場合は片腕だけ展開するが、両腕を展開することもできる。
装甲やフレームもエイリアンやフランクとの格闘戦に耐える程度に頑丈だが、ザルクライフルの砲弾は防げない。
そして「頭部が存在しない」という珍しいロボット兵器であり、これには大きな秘密が存在する。頭部がないため、この部位には懸垂アームの接続ポート兼搭乗口にもなっている。
通常は指揮管制機であり、ザルクを長距離運搬する「ミステル-T1」に懸垂されること(空気抵抗の問題もある)や
基地・地下格納庫への収容のために(サイズ的な問題)戦闘機形態がとられている。さらに、エイリアンと同じ人型形態では友軍機から誤射されるという視認性の問題も考慮されている。
操縦(機体動作)はほとんど自動化されており、いくつかのスイッチ類が備わった操縦桿とコンソールパネル・キースイッチ類のみ。左操縦桿にダイヤル式の変形スイッチ、右操縦桿にはリミッター解除スイッチが存在する。
エイリアンモーター(重力制御)
最大の特徴は通称「Aモーター」(Aはエイと発音)と呼ばれる、「エイリアンモーター」を搭載していることにある。
エイリアンの重力制御技術を転用したもので、エイリアンと同じ重力制御飛行を可能にしている。
基本的に「すーっ」と滑るように飛行移動する。
具体的にいえば、いわゆる円盤型UFOの「直角ターン」のような慣性を無視した動きが可能であり、パイロットの腕次第では常識では信じられない機動も可能。作中では1号機のダンがビルに衝突する直前で減速することなく、直上方向に上昇している。リウもトード相手に水平移動して追尾するなど確かな機動力を持つ。
専用ライフルと組み合わせれば変則的な機動力もあり、脅威の戦闘力を誇るのだが……何事も上手く事が進まないのが世の常。
「Aモーター」の制御が難があり、出力も非常に不安定、実戦投入後も何度かトラブルが起きている。
当初(2話)は稼動時間に制限もあり、3話では武装が完成しておらず、実験機的な側面が強かった。
4話の冒頭で戦果が大きく報じられているが、5話以降からプログレッシブ・エイリアン相手では(主に武装が)歯が立たず、支援的な役割も少なくない。そのため多くの視聴者からのこの機体の性能に関して懐疑的だったり弱い印象を抱かれている。
(実際には日常的にエイリアンが襲来しているため、8話のように通常のエイリアンがたびたび現れている。
これをザルク2~4機で頻繁に迎撃しているのだが……映像上で撃破シーンがわずかしかない)
最大の問題が「リミッター」で、通常は機体出力が大幅に制限されていることでもある。
この出力を上げれば、その分だけザルクのパワー・スピードも上がるのだが、耐G緩衝システムの「イナーシャルエリミネーター」の許容限界を超えてしまえば、高重力によりパイロットは死亡してしまう。
「ぺしゃんこ」になる、といえばそうでもなさそうだが、15話のトートのパイロットはそれこそ握り潰されたトマトのように血をまき散らして、機体も負荷に耐えられず自壊・爆発している。ミンチより酷いかはともかく、ミンチ状態であり、暗喩するようなミートソースやトマトも登場する……。
機体が調整・改良された結果、12話で30%の出力アップと、リミッター解除時に50%増しも可能となった。
しかし、リミッター解除時の危険は上昇している。ギネビアは2番機がリミッター解除により二階級特進(殉職)したことから常に気をかけているが、戦功を焦るダンはそれでもかまないと立場が分かれている。
兵装
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ザルクライフル
主兵装。2種の液体炸薬(ファイアリング・リキッド)を混合して発射する専用ライフル。
小説では長砲身の大口径カノン砲と書かれている。画面上では弾丸は「MAGNUM」(マグナム弾)と表示されているが、小説版では減損ウランの徹甲弾。この他、高性能炸薬弾も存在する。
ドラムマガジンを縦に挿入し、左側面のコッキングレバーを回して装填する。
装弾数50発。残弾もモニターに表示される。
13話の出撃準備中に予備弾倉を2つをセットで挿入するシーンがあるが、どの部位か不明。肩か機首部しかないが、片側に挿入しているのであれば、計4つが存在する。
また、発砲音は独特なもので、炸裂音と射出音が重なっている。そのため単発(セミオート)射撃時も連射しているように聞こえる。
チューブを介してザルクの肩部に接続する(左右どちらにもある)。液体炸薬のタンクはザルク側にあるため、被弾時に誘爆して腕を巻き込んで爆発する危険がある。被弾時は即座にチューブを切り離すのだが、チューブが切れてしまった場合は液体昨夜が垂れ流しになることもある。その場に一定量がたまり混合されてしまうと発火・爆発することもある。
コンピューター制御により、液体炸薬の混合量を調整した様々なモードが存在する。
- セミオートモード
通常はこの単発射撃モード。こちらに分類されるか不明だが、目標との距離を自動計算・液体炸薬量を自動調整して発射することも可能。5話では建物に隠れ、ライフルだけ後方へ向け発射している。
また、液体炸薬のチャージ量によってはエイリアンの頭部を一発で粉砕できる。
小説版では主にフルチャージショットでエイリアンの頭部を狙う。2機の連携により、1機が牽制射撃を行うなどして、もう1機がフルチャージショットをたたき込む。これによって多くのエイリアンを撃破している。 - フルオートモード
連射モード。作中では明らかに撃ち過ぎているように見えるが、これは演出と思われる(発砲音とも一致しない)。液体炸薬量を減らして発射間隔を短縮していると思われるが、シミュレーション上ではこれでエイリアンの頭部を破壊している。後継機のトードもこのモードでエイリアンの腕や脚を破壊しているため、威力が極端に低下しているわけではない。
このモードに限らないが発砲時は発砲報告をする。「フルオート・ファイア!」 - スリーバーストモード(3点バースト)
3発だけ連射する。最小限の数だけで弾幕を張ることなどを目的とする。
作中での通常の連射は発砲音が3回なので、フルオート射撃の報告がない場合はこのモードを頻繁に使用している可能性がある。
ゲームセンターでスーが「3バーストモード!フルオートファイア!(ザルクのシミュレーター)」と遊んでいるが、このモードも存在するか不明である。 - スナイピングモード(狙撃)
狙撃モード。液体炸薬量を調整して狙撃を行う。23話では連射しているように聞こえるが、一回当たり数発しか撃っていない。10話では光学センサーを装備して使用。12話でも使用している。 - スラッグモード(モード4)
まず、液体炸薬を最大まで装填する。これだけなら通常射撃のフルチャージと変わらない。
最大チャージと合わせて、砲弾を複数装填し、同時発射する。
「スラッグ弾(大型の一粒弾)」と称しているのは、擬似的な大質量弾として威力を発揮するため。
しかし、砲身が衝撃に耐えきれない可能性が高く、実際に7話では腕ごとライフルが爆発してしまっている。
ザルクの最大の攻撃であり、撃破こそできなかったものの12話の220m級エイリアンの頭部に大穴を開けている。23話ではトート1機を沈黙させているが、再び砲身が破損している。
「ファイアリング・リキッド、マキシマム!スラッグモードッ!」 - 【小説版】エクストラショット
液体炸薬のフルチャージ量に、さらに20%追加して発射する。小説版スラッグモードともいえるが、やはり砲身が耐えられない可能性がある。初速はロケットの打ち上げに匹敵するものの、エイリアンは撃破できなかった。
- セミオートモード
- エクスカリバー
採掘用のシールドマシンを転用した振動兵器。目標の固有振動数を計測して、このエクスカリーバーを当て共振・増幅させることで目標を構造崩壊させる。事前測定が必要。
「エクスカリバーというより、中世の拷問器具だな」とマイケルがいった通り、聖剣の名とは縁遠い槍とも棍棒ともいえないデザイン。これはあえて刺突武器としての意味で「エクスカリバー」の名前が与えられている。
リウ「伝承の通りです。王の資格がある者なら、あるいは……」
10話でフランクが、11話でザルク5が使用。12話ではタイプT-1(超大型エイリアン)が音響測定できなかったため不使用。13話では(恐らく打撃兵装として)フランクに用意されたが、出撃前にジェイルが崩落。その後の行方は不明である。 - リミッター解除(複数機)
13話使用。リミッター解除したザルク3機で超大型エイリアンを中心に旋回。
3つの高重力場を共振させ、エクスカリバーに近い原理で目標を構造崩壊させる。
途中からリウの5号機も加わり崩壊速度が上昇している。 - オプション兵装
武器弾薬あらゆる装備が並べられたイラストが存在し、実はミサイルなど多種多様な装備があった……らしいのだがほとんど未登場。ロマンイラストで終わってしまった。
棺桶(以下の項目、ネタバレ注意)
ストーリー中、ここまでに伏線らしいものはあったが、当時の視聴者のほとんどはこの「SARG」の意味に気づくことはなかった。
この「棺」というのは文字通りの「棺」であり、その中に眠っていたのは頭部を失った「エイリアンの死体」だった。
「ザルクは、エイリアンモーターを転用した機体なんかじゃない!エイリアンの死体そのものだったんだ!」
これまで工廠で修理が行われていたのも、リミッターが設けられていたのも、その中にエイリアンが封印されていたからである。そしてエイリアンは電気的信号のネットワークを形成して活動するため、電気的な刺激を与えることで活性化させることができる(フランクの蘇生にも電流が投入されている)。
小説版では徐々に、ザルク(の中のエイリアン)がパイロットを失った頭部の代わりに機能させ始める。
しかし、これによってリウは操縦桿を動かさずにザルクを動かす、視認できない標的を狙撃するといったことが可能となった。装甲越しにビームの熱を感じるといった同調現象も起きている。
トート(TOD)
実験機的な側面があったザルクの後継機として開発された機体。
機体装甲部はすべて艶なしのブラック。戦闘機形態ではほぼ黒の塊である。
武器はザルクと同じものであり、供用できる。
性能面に関しては戦闘を行ったリウが「ザルクの方が劣っていたかもしれない」というほどに向上している。
その機動力は背後を取られながら、ザルクライフルの砲弾をすべて回避するほど。
通常タイプのエイリアン相手に3機がかりとはいえ圧倒する戦闘力を持つ。
装甲はザルクの1.5倍あるとスーが発言しているが、スラッグモードを撃ち込まれた際に機体は沈黙しているため、そこまで極端な装甲厚ではないらしい。
Aモーターの出力はザルク以上に向上している。制御が安定化しているのか、リミッターの上限を上げているのか、はたまたプログレッシブ・エイリアンの死体が利用されているのではないかと諸説ある。量産化計画もあるため、それが実行可能な方法で建造されていると思われる。
実際にこの機体が量産されていれば相応の戦力になったことも間違いないが、やはりエイリアン化のリスクが付きまとっているため諸刃の剣であることには変わりないのかもしれない。
前述の通り、リミッター解除時の性能は非常に高い反面、ザルク以上に機体とパイロットに負荷がかかる。
リウが遭遇した機体は自壊・爆発。パイロットもキャノピー一面を血で染め上げている。(以下、ネタバレのため反転)
さすがにエイリアン化まではないだろう……と思われていたが、リミッター解除によりプログレッシブ化しているエイリアンが復活。フランクがかつて倒したものか不明だが、タイプH-2が機体を乗っ取ってしまった。
トート(TOD)とはドイツ語で「死」を意味する。
エイリアン・ザルク/エイリアン・トート
これも文字通り、エイリアン化したザルク、あるいはトートを指す。
【エイリアンザルク】
エイリアンとの接触で覚醒。ザルクの制御が不能となり暴走。ライフルなど火器管制も含めてコントロールを奪い、ザルク1とザルク4を撃墜している。その後、ライフルと右腕を失い、エイリアンとして覚醒。
外装はすべてエイリアンと同色に変色している。(装甲材もエイリアンと何かしら関係があるのかもしれない)
ザルク3としてのギネビアの射撃を学習しているのか、エイリアンザルクは非常に高精度の射撃行い、
ザルク5の武装・四肢を奪い撃墜している。(これでもリウはシミュレーターでダンの記録を抜いている)
レッドライン手前でフランクが頭部のみを握り潰して撃破され、ギネビアも無事保護された。
【エイリアントート】
前述の通り、エイリアントートもタイプH-2として覚醒したことでプラズマトーチの猛威を振るった。
最終的に太陽化を始め、トートのボディを消滅させたが、フランクにより吸収されている。
ザルク(純地球製)
Aモーター技術をフルコピーして作られた純地球製ザルク。塗装は白だが、白銀にも見える。
25話で登場。しかし、エイリアンの襲来がなくなったため、恐らく通常は出番もない上に、フューネラルも予算がない(まったくないわけではないが、かなり減っているらしい)。
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