ザ・ティーとは、ピース(木製の事が多い)を組み合わせて、アルファベットの「T」の文字など様々な形を組み上げるパズルである。通称では「Tパズル」とも。
旅行好きだったり、仕事でよく出張する人には、「旅館やホテルの部屋にときどき置いてある、あの木製のパズルですよ」と言うと「ああ、あれか」とわかってもらえるかもしれない。
概要
それぞれ異なる形の4つのピースを組み替えることで、ラテンアルファベットの「T」の文字の形や、家のような形、傘のような形、階段のような形、トンファーのような形など、付属の紙にお手本としてシルエットで描かれたさまざまな形状に組み上げることを目指すパズルゲーム。
複数のパッケージデザインで複数の会社から販売されているようであり、そのためかパッケージなどに記載されている名称「ザ・ティー」の英語表記は「The T」「The-T」「THE T」「the T」などと割とまちまち。だが要するにラテンアルファベットの「T」(ティー)の文字に冠詞「the」(ザ)を付けたもの。
「Tパズル」として以前から存在していたものをベースとして、有名なパズル作家の「芦ヶ原伸之」(よしがはらのぶゆき。愛称Nob)氏が改良を加えて「T」以外の図形にも面白く組み上げられるように問題を増やしたもの……とのことである[1]。
複数の会社の製品において「©1987 NOB 芦ヶ原」やそれに類似した表示が記されているようで、1987年に上記の「改良」で生み出されたものなのかもしれない。
一部の会社の製品は「匹見パズルコレクション」のシリーズ名のもとに、島根県の「匹見町」にある木工メーカーが製作しているようだ。この匹見町では林業が盛んだったため木工パズルでの町おこしを狙い、かつて1984年から2年に1度「パズル・コンペティション」を開催していたという(既に定期開催は終了済)[2]。その関係でパズル作家の芦ヶ原伸之氏との縁ができ、この木製ピースのパズルが制作される流れになったのかもしれない。
なお芦ヶ原伸之氏が関わったこの種のパズルには、この「ザ・ティー」の他にも「F」の字などを作るもの(ジ・エフ)、十字架の形などを作るもの、宝石の形などを作るもの……といった様々な類似のシリーズ製品がある(本記事「関連リンク」のリンク先を参照)。芦ヶ原氏はこういったパズルを総称して「銘木パズル」とも呼んでいたようだ?(後述するTwitter引用内の文章参照)
ちなみに、「ザ・ティー」でも「以前からあったものを改良したもの」と明言していたものと同様、芦ヶ原伸之氏はこれらのシリーズ製品でも「19世紀末や20世紀初頭にドイツでつくられたアンカー・パズルを改作したもの」などと明言しており、完全なオリジナルではなく既存のパズルを改良したものであるようだ。
その「アンカー・パズル」を英語表記して「anchor puzzle」などのキーワードで検索すると、そういった古い時代のパズルに関する画像付きの情報も見つけることができる。これらの古い時代のパズルのピースは石でできていたようだ。
- "Anchor Puzzle Tangram (a.k.a Caricature, Cut-Up Square ... Richter No. 8)" - Copyright J. A. Storer
- "Cross Puzzle (a.k.a. Richter No. 10)" - Copyright J. A. Storer
- "Tormentor (a.k.a. Richter No. 13)" - Copyright J. A. Storer
こうして類似のパズルが古くからあったらしいこと、そしてそれらの古いパズルと比べて芦ヶ原伸之氏が改良したという「ザ・ティー」や「ジ・エフ」などはピースの形状が工夫されており確かにバージョンアップしたものになっていることが確認できる。
旅館 / ホテル
本記事冒頭でも記したように、この「ザ・ティー」(またはそれに類する木工パズル)は旅館やホテルの部屋に置いてあることが多い。商品レビューでも「旅館やホテルの部屋に置いてあり、面白かったので購入しました」といったような人が少なくない。
短文投稿サイト「Twitter」には、芦ヶ原伸之氏の著作からの引用文を呟くbotアカウントが存在しているが、そのbotアカウントも以下のようなことを呟いている。
最近旅館やホテルの部屋にパズルが置いてあって、それで遊んで面白かったらロビーで買うというやりかたで匹見の「銘木パズル」が全国的に売られているが、そのすべてをボクが監修している
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/nob_puzzle/status/576724041844703232
このTwitterアカウントの呟く内容は「引用元「一生遊べる奇想天外パズル」「パズルの宣教師」「脳力パズル」」らしいが、個別のつぶやきに詳しい出典を付してはくれないのでどの著作からの引用かはわからないが。
なぜ、旅館やホテルの部屋にこのパズルが置いてあることが多いのか? という疑問がわくと思うが、その疑問の答えについては以下のサイトが(典拠は不明ながら)詳しく解説している。
その解説を要約すると、このパズルを商品として扱っている業者のひとつが全国の旅館やホテルの売店などでの商品の委託販売事業を行っており、そしてその商品のサンプルを旅館やホテルの全客室に無料で置く、ということも行っているのだという。
(旅館やホテルの部屋に置いてあるこのパズルに、「このパズルは売店/フロントでも販売しております」というメモなどが入っているのを見たことがある人もいるのではないだろうか)
そして、旅館やホテル側としても無料で置いてくれるなら損はしないし、気に入った客が売店で買ってくれればマージンが入るので儲かるし……ということで断る理由が無く、たくさんのホテルや旅館にこのパズルが置いてあるというわけ。
プラスチック製などではなく素朴な木製なので、和風の旅館/洋風のホテルのどちらに置いてあってもさほど雰囲気を壊さない……という点も受け入れられやすい理由になっているかもしれない。
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関連項目
脚注
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