シグーとは、テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』、続編の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場するザフト軍の量産型モビルスーツである。モビルシグーとも。本項では派生機のディープアームズについても記載する。
概要
ザフト軍の量産型主力MSジンの改良型とも言うべき機体。形式番号はZGMF-515。
C.E.70年2月11日より始まった地球連合軍vsザフト軍の本格的武力衝突。誰もが、10倍以上の国力を持つ地球軍の勝利を信じて疑わなかったが、ザフト軍が投入したモビルスーツ「ジン」の目覚ましい活躍により地球軍は思わぬ苦戦を強いられた。勢いに乗るザフト軍はジンをベースに性能を向上させた次期主力機の開発に着手、兵器開発局ハインラインが設計・開発を担当して誕生したのがシグーであった。3月15日、プロパガンダも兼ねてディンやグーン等とともに全世界に発表。この頃には機体が完成していたと思われる。
機体のカラーをパールグレイに変更、ジンの汎用性を受け継ぎつつスラスターを増設及び高出力化して運動性を強化し、重突撃機銃にも改良が加えられている。また戦闘中での弾切れを先延ばしにするためガトリングシールドを装備しており、ザフト製モビルスーツでは初めて盾を装備した機体となった。見た目もずんぐりむっくりだったジンと比較して鋭角的。同じハインラインが担当したからか大気圏内用MSディンとデザインが似通っている。ジン同様に地上・宇宙ともに運用可能。TV版第35話のアラスカ基地攻防戦ではビームライフルを持った機体が登場し、第46話でもクルーゼ機がビームライフルを装備してストライクダガーを撃墜するシーンがあるなど、どうやらビーム兵器の取り扱いも可能のようだ。ただしリマスター版などでは実体弾に変更されていて設定が消滅した可能性がある。
本来であればジンに代わって量産されるはずだったシグー。ところがクルーゼ隊が強奪したGAT-Xシリーズの解析が進み、ビームライフルを標準装備とするモビルゲイツが新たに量産される事になったため、シグーの量産計画は流れてしまう。既に生産されていた少数の機体は指揮官用として運用された。『SEED』劇中では最後の戦いとなった第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦まで戦闘に参加。2年後を描いた『DESTINY』でも二線級に下がってはいたが、アーモリーワン強奪事件、地球軍のフォックスノット・ノベンバー迎撃など序盤の軍事作戦に参加。しかし、ザクやグフの配備が進んだ中盤からは姿を見せなくなり、ヘブンズベース攻防戦にて降下揚陸隊の中に数機が混じっていたのを最後に出番が無くなった。
が、C.E.75年を描いた映画『機動戦士ガンダムSEED Freedom』にて僅かながら登場。クーデターに乗じて最高評議会の議場を占拠した反乱兵に重突撃機銃を向けて鎮圧している様子が描かれた。このためプラント本国では稼働機がまだ残っていると思われる。
クルーゼの搭乗機として
本編ではラウ・ル・クルーゼが好んで使用した機体とされる。C.E.70年6月2日に行われたエンデュミオンクレーターの戦闘ではジン・ハイマニューバを使用していたため、その後にシグーを支給されて乗り換えたと推測出来る。ちなみにそのシグーはクルーゼ専用機という訳ではなく単なる量産機。
C.E.71年1月25日、ヘリオポリスで極秘開発されていた地球軍の新型MSを奪取するためクルーゼ隊が潜入。クルーゼ自らもシグーに搭乗して出撃した。そしてムウ・ラ・フラガ駆るメビウス・ゼロと交戦、遮蔽物を活かした巧みな戦術やガンバレルの粉砕などでメビウス・ゼロの戦闘能力を削り、最後に残ったレールキャノンは重斬刀で叩き切って完全に無力化する活躍を見せる。ところが次に出現したランチャーストライクにはPS装甲に阻まれて手も足も出ず、アグニによる反撃で右腕を喪失。かろうじて撃墜を免れたクルーゼはアグニの砲撃で穿たれた大穴を通って宇宙へと脱出した。
アークエンジェルで保護されていたラクスがヴェサリウスに引き渡された時、クルーゼがシグーに乗って出撃。隙を突いてアークエンジェルを沈めようとしたが、卑怯な行いに怒ったラクスに一喝され、何も行わずに撤退している。
地球に舞台が移ってからはしばらく出番は無かったものの、ヴェサリウス艦内に保管され続けていたようで、7月12日のコロニーメンデル沖の戦闘でゲイツを失ったクルーゼが再度搭乗。この時はビームライフルを装備していた。性能差を物ともせずストライクダガーを撃墜する戦果を挙げ、最後まで生き残っていたものの、その後の出番は無かった。
ちなみに『SEED』機体の中では、一番最後にキット化された。出番の少なさが祟って商品化が遅れたらしい。
兵装
- MMI-M7S 76mm重突撃機銃
ジンが持つMMI-M8A3の命中精度を高めた改良型。ディンも同様の重突撃機銃を装備している。
- MA-M4 重斬刀
ジンが持つMA-M3を改良した近接戦闘用の剣。刀身の重さを活かして対象を叩き切る。使用しない時は右側スラスター側面にマウントする。
- M7070 28mmバルカンシステム内装防盾
左腕に装備されたバルカン砲付きシールド。地球軍のモビルアーマーを同時に複数相手にするため、戦場での弾切れを先延ばしにするために装備された。このバルカンシステムはブリッツガンダムのトリケロスやプロヴィデンスガンダムの複合兵装内装防盾システムのベースになるなど、ガンダムタイプにも影響を与えている。
ゲームでは
クルーゼが搭乗した機体にも関わらず影がイマイチ薄いシグー。一方で『SEED』関連のゲームには度々登場している。
GBA専用ソフト『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』ではクルーゼの専用機として参戦。しかし他の登場機体はガンダムタイプばかりであり、そんな中で一般量産機であるシグーが参戦出来たのは快挙とも言うべきだが、悪く言えば場違い。実体弾しか持ち合わせていないためPS装甲持ちには有効打を出せないのである。性能差をイヤというほど思い知らされるので上級者向け。
『連合vsZ.A.F.T.』では量産機に見合わない高いコストと低性能のせいでネタ機体扱いされるなど評価は散々だった。だが続編の『Ⅱ』で全体的に機動力が向上、格闘の隙も少なくなるなど様々な改良を受け、また本作ではマシンガン系が優遇された事でようやくネタ機体から脱する事が出来た。一部からは強機体との声も聞こえてくるほど。それでもコスト420とまだまだ重め。
『機動戦士ガンダムSEED 友と君と戦場で』では、シグーの戦闘グラこそ存在しているがクルーゼは搭乗せず、それどころかアラスカ基地でサイクロプスの自爆に巻き込まれるところしか出番が無い。全編を通しても出番はここだけ。元々はクルーゼが搭乗する予定だったが没になったのだろうか?
ディープアームズ
『MSV』に登場するシグーの派生機。形式番号YFX-200。
地球軍から強奪したGAT-Xシリーズのビーム兵器を技術検証するため開発された。機体の色は深い青色に塗られ、両肩には巨大なビーム砲が備え付けられている。ビーム技術に関しては、ザフトは連合よりも劣っていたため、砲台の大型化は避けられなかった。またビームを扱うに至って、信頼性を重視するため既存の技術を用いた事も砲台の肥大化の一助となっている。ビームを撃つと砲台が過熱するため冷却ガスが搭載されている。ケーブルを通して砲台に冷却ガスが送られるが、この冷却ガスが無くなると安全装置が作動。ビームが撃てなくなってしまう。試験では高い出力を記録したが、冷却システムは不完全でビームの連続発射が出来ない。近接武器としてレーザー重斬刀を装備している。これはストライクとの交戦記録から作られた物だという。
4機が試作され、うち1機がシホ・ハーネンフースの搭乗機となった。シホ機は機密データが残留していたバクゥの頭部を奪還するためにロウ・ギュールを襲撃。ちなみに率いていたモビルスーツは何故か全てシグーである。グゥルを駆り、ビームライフルでレッドフレームを狙うが、ロウの意表を突いた作戦によりグゥルを両断され、これ以上の追撃が出来なくなってしまう。が、目的のバクゥの頭部は奪還に成功している。
スペシャルエディションやリマスター版では、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦の最中でジャスティスガンダムに撃墜されるシーンが追加された。
関連商品
バリエーション
関連項目
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