Something old, something new,(なにかひとつ古いもの、なにかひとつ新しいもの)
something borrowed, something blue,(なにかひとつ借りたもの、なにかひとつ青いもの)
and a sixpence in her shoe. (そして靴の中には6ペンス銀貨を)
――マザー・グースより
シックスペンス(Sixpence)とは、2021年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2024年:スプリングステークス(GⅡ)、毎日王冠(GⅡ)
2025年:中山記念(GⅡ)
2026年:安田記念(GⅠ)
概要
父キズナ、母*フィンレイズラッキーチャーム、母父Twirling Candyという血統。
父はディープインパクトの後継筆頭・2020年代トップサイアーとして活躍する2013年ダービー馬。産駒はマイル~中距離を中心に、芝ダートを問わず活躍している。シックスペンスはジャスティンミラノやダブルハートボンドと同じ5年目の産駒。
母はアメリカの馬で、ダート7FのGⅠマディソンSなど重賞5勝を挙げた。シックスペンスが初仔。
母父トゥワーリングキャンディもアメリカの馬で、2010年のGⅠマリブSの勝ち馬。種牡馬としては2021年のプリークネスS勝ち馬Rombauerなどを輩出している。
2021年4月17日、ノーザンファームで誕生。おなじみ一口馬主クラブのキャロットファームにて、1口12.5万円×400口(=5000万円)で募集された。
馬名意味は「イギリス旧硬貨の名。幸運をもたらすお守り。母名より連想」。
幸運の6ペンス銀貨
2歳~3歳(2023年~2024年)
美浦の超名門・国枝栄厩舎に入厩し、2023年9月10日、中山・芝1600mの新馬戦にてクリストフ・ルメールを鞍上にデビュー。単勝1.5倍の支持に応え、インの3番手から内ラチ沿いを鋭く抜け出し、追い比べをアタマ差制してデビュー勝ちを飾る。
朝日杯FSには登録せず、2戦目はその同日の12月17日、裏の中山のマイル戦、ひいらぎ賞(1勝クラス)へ。ルメールは当然阪神に行っていたので石川裕紀人が騎乗したが、ここも2番手から悠々抜け出す優等生の競馬で楽勝。2戦2勝で2歳を終えた。
明け3歳はクラシックを目指してスプリングステークス(GⅡ)へ。ルメールも戻って2.9倍の1番人気に支持されると、ここも3番手追走から直線鋭く抜け出し、あとは独走、3馬身半差で圧勝。3戦3勝でトライアルを制し、一躍皐月賞の有力候補に躍り出た。
……が、レース後に歩様に乱れが出てしまい、皐月賞は無念の見送り。気を取り直して東京優駿(GⅠ)へ向かったが、ルメールはレガレイラに騎乗したため川田将雅に乗り替わり。8.3倍の3番人気に支持されたが、スローペースの中、前目の馬群の中で折り合いがつかず、距離も長かったか見せ場なく9着に終わった。
夏休みを経て、秋はルメールと毎日王冠(GⅡ)へ。3.5倍ながら1番人気に支持されると、今回も前目の好位でレースを進め、直線では逃げ粘るホウオウビスケッツにじわじわと詰め寄り、最後はきっちりクビ差だけ差し切って勝利。古馬相手に重賞2勝目を飾る。
間隔の短い秋天は見送り、マイルチャンピオンシップへ狙いを定めたが、今度はレース9日前の追い切り後に歩様が乱れ、検査をしたところ蹄の炎症で膿がたまっており、また無念の回避。3歳シーズンは結局これで終了となった。
4歳(2025年)
明け4歳初戦は中山記念(GⅡ)。+10kgながらソウルラッシュと人気を分け合い3.1倍の2番人気に支持されると、今回は最内枠から中団インでのレースとなったが、直線では先に抜け出したエコロヴァルツを目標に鋭く脚を伸ばし、きっりちハナ差差し切って勝利。勝ち時計は1:44.8のコースレコードで重賞3勝目、GⅠ獲りへ視界良好という気配を見せる。
……が、ここから歯車が狂い出す。意気揚々と乗りこんだ大阪杯(GⅠ)ではルメールがドバイに行っていたので横山武史が騎乗、大混戦ムードの中で4.8倍の1番人気に支持されたが、初の関西輸送で-12kgとガレてしまったのも響いたか、好位で進めるも直線で反応がなく7着撃沈。
関東に帰り、ルメールも戻って安田記念(GⅠ)へ向かうも、インの好位で進めながら直線全く伸びず12着に沈没。2000だと長い、1600だと短い、完全な1800専用機?という評価になってしまった。
さて、適性距離が1800mだとして、国内に芝1800mのGⅠはない。海外に目を向けても来年のドバイターフまで待つ必要がある。じゃあ秋どうする? 短そうだけどマイルCS? 長そうだけど秋天? ……などと思っていたら、陣営が選んだのは思わぬ選択だった。いやいや国内にもあるじゃないか、1800mのGⅠが。そう、中京ダート1800mのチャンピオンズカップが!
というわけでなんとシックスペンスはその前哨戦としてマイルチャンピオンシップ南部杯(JpnⅠ)に参戦。船橋1000mのJBCスプリントを嫌った短距離勢に中距離勢も参戦してカオスなメンバーになる中、御神本訓史を迎えたシックスペンスは、砂を被らないように枠なりに外目の好位でレースを進めると、直線では逃げ粘るペプチドナイルを捕まえにかかる。おおまさか二刀流完成か!?と思ったが、外からウィルソンテソーロにあっさりかわされて4馬身差で2着。敗れはしたが、並み居るダートの実績馬たちの中で初ダートで2着である。いけるやん!
ならばあとは得意の1800mでGⅠ奪取だ、とルメールとともにチャンピオンズカップ(GⅠ)へ。10.2倍の5番人気となかなかの支持も得て、砂を被りたくないので果敢に逃げを打ったのだが、直線あっさり捕まるとあとは沈んで11着。さすがに中央ダートGⅠはそんなに甘くなかった。
5歳(2026年)
明け5歳は引き続きダートでフェブラリーステークス(GⅠ)へ。国枝師は定年となるためこれがラストGⅠ、名伯楽の掉尾を飾るべく戸崎圭太を迎えて挑んだが、押し出されるようにハナを切ったものの、直線あっさり捕まって9着。無念。
このあと国枝厩舎の解散に伴い、美浦の田中博康厩舎に転厩となった。
レモンポップやミッキーファイトでダートに定評のある田中博康調教師だが、ここで陣営が選んだのは芝復帰。安田記念を目標に定め、転厩初戦は戸崎とともにマイラーズカップ(GⅡ)へ。中団からのレースになり、見せ場を作るには至らず7着止まりだったが、勝ったアドマイヤズームとは0秒4差と大きく負けてはいないし上がりの脚も使えているので、そう悪い内容ではなかった。
というわけで目標の安田記念(GⅠ)。王者ジャンタルマンタル不在で大混戦ムードとなる中、戸崎をレーベンスティールに取られたシックスペンスは追い切りの時点でも鞍上未定のままだったが、アドマイヤズームが直前に回避したことでたまたま手が空いた武豊を新たに鞍上に迎えることになった。新たにブリンカーも装着して本番に臨んだが、しばらくダートに浮気してたし、前走も7着だしやっぱり1800の馬じゃないの?と見られたシックスペンスは21.6倍の8番人気に留まった。
迎えたレースは、同じキャロットファームの津村明秀ワールズエンドがハナを主張、シックスペンスと武豊は五分のスタートから促して2番手に構えた。そのままスローペースの展開となるのを、ワールズエンドを好きに行かせて2番手でさらに抑えてペースを握った武豊とシックスペンスは、直線セイウンハーデスと馬体を併せて逃げ粘るワールズエンドを追いかける。一完歩ずつ詰め寄っていき、最後は大外を追い込んできたガイアフォースとパンジャタワーも加わって5頭横並びの接戦になったが、狙い澄ましたようにクビ差だけかわしてゴール板へと飛び込んだ。
伝統の国枝厩舎から、新興の田中博康厩舎へ。アドマイヤズームから借りた武豊と、田中博康厩舎の青いメンコを身につけ、駆け抜けた靴の中にあったのは、GⅠ制覇という名の幸運の6ペンス銀貨だった。
番手で抑えて自ら前残りのペースを作って後ろを封殺、最後に逃げ馬を狙い通りに差し切る、天才の円熟にして老獪な騎乗が冴え渡った勝利。2009年ウオッカ以来の安田記念勝利で中央GⅠ85勝目(!?)を挙げた武豊は、57歳2ヶ月でのGⅠ勝利となり、横山典弘の持っていたGⅠ最年長勝利記録を更新。8番人気、単勝2160円とも武豊の中央GⅠ勝利の最低人気・最高配当記録となり、中央重賞全体でも最低人気タイかつ最高配当を更新した[1]。田中博康調教師は芝GⅠ初勝利。またフェブラリーS出走経験馬の安田記念勝利は2003年アグネスデジタル以来の珍記録となった[2]。
GⅠ馬となったシックスペンス、続いては果敢にフランスに渡り、8月のドーヴィル競馬場直線芝1600m、ジャック・ル・マロワ賞(G1)へと向かう。タイキシャトル以来28年ぶりの日本馬勝利なるか。
血統表
| キズナ 2010 青鹿毛 |
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
| Wishing Well | |||
| *ウインドインハーヘア | Alzao | ||
| Burghclere | |||
| *キャットクイル 1990 鹿毛 |
Storm Cat | Storm Bird | |
| Terlingua | |||
| Pacific Princess | Damascus | ||
| Fiji | |||
| *フィンレイズラッキーチャーム 2013 鹿毛 FNo.17-b |
Twirling Candy 2007 黒鹿毛 |
Candy Ride | Ride the Rails |
| Candy Girl | |||
| House of Danzing | Chester House | ||
| Danzing Crown | |||
| Day of Victory 2005 黒鹿毛 |
Victory Gallop | Cryptoclearance | |
| Victorious Lil | |||
| Gather the Day | Dayjur | ||
| Gather The Clan |
クロス: Cryptoclearance 5×4(9.38%)、Danzig 5×5(6.25%)
- 曾祖母の半妹に、アメリカでGI2勝を含む重賞6勝をマークしたPure Clanがいる。
- 祖母のいとこの*クイックリトルミスは2006年のハリウッドスターレットSで2着、*スカイディーバは2008年のフリゼットSで優勝している。
関連動画
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関連項目
脚注
- *8番人気での重賞勝利は2014年毎日王冠(エアソミュール)以来2回目。またそれまでの最高配当は1997年アンタレスSをエムアイブラン(6番人気)で勝利した際の16.9倍。海外では2015年香港カップを9番人気・単勝38.7倍のエイシンヒカリで勝ったことがある。
- *モズアスコットは安田記念とフェブラリーSを両方勝利しているが、フェブラリーS出走は安田記念勝利の後である。
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