シニスターミニスター(Sinister Minister)とは、2003年生まれのアメリカの競走馬・種牡馬。鹿毛の牡馬。
通算成績:13戦2勝 [2-2-2-7]
概要
父:Old Trieste 母:Sweet Minister 母父:The Prime Minister
父Old Triesteは名馬A.P. Indy(エーピーインディ)の直仔であり、現役時代に米国重賞4連勝を記録。種牡馬としては蹄葉炎のため早逝してしまい産駒はわずか3世代しか残せなかったが、ブリーダーズカップ・スプリントを含む米国GⅠ2勝のSilver Train、JRAではフェアリーS勝ち馬マルターズヒートなどがいる。
母Sweet Ministerは現役時代24戦7勝。母父The Prime Ministerは米国GⅡグッドウッドSの勝ち馬。
ちなみに馬名は『邪悪な、悪意(のある)、腹黒、不吉』とネガティブな意味がほとんどな『Sinister』+『大臣、聖職者』を意味する『Minister』で、直訳すると『邪悪な大臣』と珍名である。なぜこの様な名前になったのか詳細は不明。単に母名から韻を踏んだものであろうか?
なお性別に関してはJRAでは牡馬表記であるが、米国では"Ridgling"での表記となっている。これは牡馬の中でも片方、または両方の睾丸が陰嚢の中に降りていないものを差す。この場合馬の体温で停留している精子が生き残れなくなるというデメリットがあるが繁殖能力には問題はなく、同馬も引退後に種牡馬入りしている。
現役時代
2005年(3歳)
ラファエル・べセラ厩舎に所属。デビューは2005年の12月31日、サンタアニタ競馬場での未勝利戦。9頭立てのレースで5着と平凡な走りであった。
だが、続く2006年1月20日の未勝利クレーミング競走で変わり身を見せ、11頭中で2番人気に推されたこのレースで2着に8馬身差をつけ圧勝。この走りが3年連続でエクリプス賞最優秀調教師に選出されたこともあるボブ・バファートの目に止まり、バファートの厩舎に転厩することとなった。
続く、サンヴィセンテステークス(GⅡ)6着、カリフォルニアダービー2着の後、ブルーグラスステークス(GⅠ)に挑戦したが、9頭中4番人気と決して人気が集まったわけではなかった。しかしレースはスタートからシニスターミニスターが快調に逃げると後続をどんどん引き離していく展開、最後の直線でも差が縮まるどころか広がっていく一方で1着でゴールイン。まさに影をも踏ませぬ走りで12馬身3/4差の圧勝劇で重賞初勝利。
これで一躍クラシック候補の一角となりケンタッキーダービー(GⅠ)へと駒を進めたものの、このレースでは3コーナーでバーバロに迫られると直線前には馬群に飲まれ、結果は16着と大敗。
以降はオプショナルクレーミング競走を中心に6戦で走るも、2着1回が最高と成績が振るわず、2007年8月19日のロングエーカーズマイルハンディキャップ(GⅢ)8着を最後に現役を引退。
引退後
GⅠ勝利後に成績が振るわなかったことや、血統が地味などの理由でアメリカでは種牡馬としての評価が低かった。
そんな事情から、日高の生産者グループが引退年度に比較的安価な1億7300万円で購入。2008年からアロースタッドで繋養されることとなった。種付料は初年度は150万円。
2023年現在、中央で芝のレースを勝った産駒は3頭のみという完全なダート種牡馬である。
しかし輸入当時は各地の地方競馬場がまだまだ存続の危機にあえぎ、ブルーコンコルドが種牡馬入りできなかったぐらいにはダート種牡馬不遇の時代。おまけに需要の被る*パイロが2010年からダーレー・ジャパンに導入されたことでそっちに人気が集まり、種付け数は初年度の2008年から2012年までは50~60頭程度で、2013年には種付け料が50万円まで落ちこんでしまっていた。
しかし2011年にデビューした初年度産駒は生産40頭のうち38頭がデビューして31頭が勝ち上がるという高い勝ち上がり率を示し、2013年に2年目の産駒インカンテーションがレパードステークスを勝利しJRA重賞初勝利を挙げると、2014年は117頭と種付け数も一気に増加する。インカンテーションは8歳まで息の長い活躍を続け、シニスターミニスターの評価を大きく高めた。
これで肌馬の質も向上し、その後もコンスタントにJRAや地方競馬の重賞勝ち馬を輩出。2019年にはヤマニンアンプリメがJBCレディスクラシックを制しGⅠ級初勝利、2021年にはドライスタウトが全日本2歳優駿を勝利、テーオーケインズがチャンピオンズカップを勝利し産駒のJRAGⅠ初勝利を挙げ、JRA賞最優秀ダートホースに選出されるなど、ダート戦線で目覚ましい活躍を見せている。2023年にはミックファイアが最後の南関東三冠を達成し、初の地方リーディングサイアーに輝いた。
産駒の活躍もあり種付け料は年々高騰。2022年は350万円、2023年は500万円、2024年はついに700万円に達した。ダート専門の種牡馬としては歴史的な種付け料だが、2024年もすでに満口となっており、20歳を超えて日高の大エース種牡馬として君臨している。
後継としては初期の孝行息子のインカンテーションが2019年からイーストスタッドで種牡馬入りしており、産駒筆頭のテーオーケインズが2024年から父と同じアロースタッドで種牡馬入りする。
血統表
Old Trieste 1995 栗毛 |
A.P. Indy 1989 黒鹿毛 |
Seattle Slew | Bold Reasoning |
My Charmer | |||
Weekend Surprise | Secretariat | ||
Lassie Dear | |||
Lovlier Linda 1980 芦毛 |
Vigors | Grey Dawn | |
Relifordie | |||
Linda Summers | Crozier | ||
Queenly Gift | |||
Sweet Minister 1997 鹿毛 FNo.4-m |
The Prime Minister 1987 鹿毛 |
Deputy Minister | Vice Regent |
Mint Copy | |||
Stick to Beauty | Illustrious | ||
Hail to Beauty | |||
Sweet Blue 1985 黒鹿毛 |
Hurry Up Blue | Mr. Leader | |
Blue Baroness | |||
Sugar Gold | Mr. Prospector | ||
Miss Ironside | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Hail to Reason 5×5(6.25%)
主な産駒
2010年産
2011年産
2013年産
2014年産
2015年産
2017年産
2018年産
2019年産
- キングズソード (牡 母 キングスベリー 母父 キングヘイロー)
- グランブリッジ (牝 母 ディレットリーチェ 母父 ダイワメジャー)
- ドライスタウト (牡 母 マストバイアイテム 母父 *アフリート)
2020年産
関連動画
現役時代の走り
産駒の活躍
関連コミュニティ
関連項目
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