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SHADOW | OF | MORDOR |
シャドウ・オブ・モルドール(Middle-earth: Shadow of Mordor)とは、ファンタジー小説『指輪物語』の世界・中つ国(Middle-earth)を舞台としたアクション・アドベンチャーRPGである。
2014年発売。開発元はMonolith Productions、発売元はWarner Bros. Interactive Entertainment。続篇に『シャドウ・オブ・ウォー』がある。
概要
ゲーム情報 | |
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ジャンル | アクション・アドベンチャーRPG |
開発元 | Monolith Productions |
販売元 | Warner Bros. Interactive Entertainment |
機種 | Playstation 4 Xbox One PC Playstation 3 Xbox 360 |
発売日 | 2014年9月30日 以降順次 |
対象年齢 | CERO:Z(日本国内) |
ゲームソフトテンプレート |
J・R・R・トールキンの『指輪物語』および実写映画「ロード・オブ・ザ・リング」三部作に基づくシングルプレイヤーのゲーム作品。
突然の敵の襲撃で妻子とともに命を奪われた人間の戦士タリオンが、古代のエルフの亡霊の力で超人的な能力を持つ不滅の存在となって蘇り、アンブッシュと残虐ファイトで復讐を遂げていく、オープンワールド型のアクション・アドベンチャーRPGである。
影横たわるくらやみの国モルドールの広大なオープンワールドや、主人公が半死半生の不滅の存在であることを活かしたゲーム体験、そして多彩なオークが各自に行動してプレイヤーの宿敵(ネメシス)として立ちはだかってくる「ネメシスシステム」を特徴としている。
ストーリーそのものは完全オリジナルだが、各種の美術・ビジュアルなどは映画「ロード・オブ・ザ・リング」三部作に基づいており、「ホビット」三部作を含む映画6作の延長線上となるよう関係各所と調整がつけられている。映画および『指輪物語』本編外の設定についてもおおむねトールキンの原作に従っているが、トールキン作品に関わる権利上の都合ゆえか、明言を避けて匂わせるに留めたり、あえて改変したり独自設定を採用していると思われる部分も多い。
対応機種はPlaystation 4 、Xbox One、PC(Windows、Mac、Linux)およびPlaystation 3、Xbox 360(PS3、Xbox 360は機能低下版)。日本語版は文字情報の翻訳と字幕のみで、ワーナー・エンターテイメント・ジャパンから発売されている。
物語
時代は『指輪物語』より数十年を遡ったころ。
人間の王国ゴンドールの兵士タリオンは、大昔に滅びた冥王サウロンの国モルドールを監視するレンジャーとして、妻子とともにモルドール入口の要塞「黒門」に駐留していた。荒涼としたモルドールに動きはなく、警戒的な平和が続くかに思われたある日、サウロンが帰還してオークの軍勢が黒門を奇襲。タリオンは妻子ともども、冥王の忠実な手下“サウロンの黒い手”による儀式の生贄として殺されてしまう。
だがタリオンは、現れた幽鬼に憑依され、生死のはざまに立つ存在として蘇生した。サウロンへの復讐心のほか記憶がないという幽鬼と一蓮托生となった彼は、死すべき定めの恩寵から引き離された不滅の戦士として、オークに支配されたモルドールをさまよう。オークを殺し、相争わせながら放浪を続けるなかで、タリオンは幽鬼の正体、そして彼と強力な魔力を持つサウロンの一つの指輪との因縁を知る。
幽鬼の操る恐怖でオークを支配し、不滅からの解放を求めて荒れ果てたモルドールの地で戦い続けるタリオン。やがて彼は、妻子の仇である暗黒の総大将たちに対峙することとなる。
ゲームプレイ
三人称視点アクション・アドベンチャーゲームである本作の基礎は、広大なモルドールを駆け回ってオークを殺すことである。幽鬼の力を得た不滅の戦士タリオンは、オークを殺し、オークの小隊長を殺し、オークの軍団長を殺して、ついには冥王サウロンの手下、妻子の仇たる黒の総大将の打倒を目指すのだ。
無数のオーク相手に正面から戦いを挑んでもいいが、タリオンを見つけ次第に襲いかかってくるオーク相手に孤軍奮闘では、囲まれて不利は必定。そこでプレイヤーとしては、直接の斬殺にこだわらずステルスアクションを多用し、物陰や高所からの闇討ち、遠距離からの射殺、ときには酒樽に毒を入れる、酒や焚き火を射て爆発炎上させるといった多彩な方法で無数のオークを惨殺してゆくこととなる。
幽鬼の力は、すぐれた人間の戦士にすぎないタリオンに人間離れした身体能力を与え、高所からの跳躍や疾走(いわゆるパルクール)、霊体による分身攻撃、幽界に入り矢を瞬時に連射するといった芸当まで可能とする。さらに、幽鬼の力でオークをブランド(支配)し、強敵の情報を読み取ったり、手下にすることもできる。多くの兵士を連れたオークの小隊長を斃すなら、ひそかに周囲の兵士を支配して一斉に寝返らせる戦略が有効であるし、戦いで弱らせた小隊長を殺さず支配してサウロンの勢力を脅かしてもよい。
もちろん、モルドールにオークとの殺し合いしか存在しないわけではない。モルドールで細々と生き延びる人間たちを助けることもあれば、命知らずの狩人と出会うこともある。より強大な敵を倒すために、自身の長剣アーファエル、息子の形見である短剣アチャーン、幽鬼の力である長弓アスガルといった武器を強化し、また自身の武芸を鍛え、幽鬼の新たな能力を得ることも重要事となろう。
モルドールを駆けるなかで武運拙くタリオンが討死したとしても、そこでゲームオーバーにはならず、むしろゲーム内時間が進んで近隣の拠点(鍛造塔と呼ばれる古代の塔の幻影。セーブ/ファストトラベルポイント)から再開する。これは彼が魂を中つ国に囚われた不滅の存在であるゆえの甦生として物語に組み込まれており、オーク側も殺しても蘇ってくる「墓を歩く者」と呼んでタリオンに反応する。
ネメシスシステム
本作における最大の特徴、それがネメシスシステムである。敵として登場するオーク(厳密には兵隊オークであるウルク)に固有名と二つ名、ランダムな性格や特性とそれに応じた外見を与え、オーク同士やプレイヤーとのあいだに独自の関係性を構築させる。その名の通り、プレイごとにまったく異なる宿敵(ネメシス)たちがプレイヤーの前に立ちはだかり、自らを強化し、戦いを繰り広げることとなる。
独自の特徴を持つのは小隊長と軍団長のオーク。無数にいる兵士の個性は使う武器程度だが、彼ら兵士がタリオンを殺害した場合には小隊長に昇進し、固有名と特性などが与えられる。それぞれ独特の外見を持つ彼らネメシスたちの個性はきわめて多彩で、保身に汲々とする小物や見るからに脳筋のアホから、見境のない狂人や大物感溢れる冷静な強敵までさまざま。
小隊長たちは部下の兵士たちを率いてモルドールでそれぞれに過ごし、単に屯するだけでなく、猛獣を狩る、宴を開く、あるいは決闘するといったようなイベントを起こす。時に反目する小隊長を襲撃したり、処刑しようとすることもある。首尾よくイベントをこなした小隊長はパワーアップによって酬われるが、タリオンはそうしたランダムイベントに介入できるため、小隊長の強化阻止や殺害の絶好の機会ともなる。また、上位者である軍団長は複数の小隊長を護衛に連れ歩いており、軍団長を斃す際にはいかに護衛を排除しておくか(あるいは支配して寝返らせるか)が重要となる。
オークたちのほうもタリオンとの交戦を覚えており、再度タリオンに出会った時には、自身の経験に応じて彼を恐れたり、嘲笑ったり、激昂したりする。一度タリオンが殺害したはずの小隊長がしぶとく生き延び、醜い傷痕をつけ、より強敵となって繰り返し襲いかかってくるようなことさえある。また、兵士のなかには「虫」と呼ばれる伝令兵がおり、捕らえて幽鬼の力でネメシスの特性情報を読み取ったり、殺害予告を叩きつけて能動的に小隊長を呼び出すこともできる。
現れるネメシスの行動は、保有する特性に応じて変化する。「獣を恐れる」「炎上に弱い」のような利用できる弱点もあれば、厄介な「乗り越え不可(頭上を乗り越え背後に回るアクションが失敗する)」「撤退しやすい(逃げ出されると追うのが面倒なうえ、タリオンとの戦闘を生き延びたとしてレベルアップする)」といったものもある。「遠距離攻撃無効」「ステルス攻撃無効」「炎上無効」あたりを複数合せ技で持つ小隊長は真っ向から勝負するほかなく、かなりの強敵。
世界
- モルドール Mordor
- 影の国。冥王サウロンの王国で、2000年以上前に人間とエルフの同盟軍によって打ち倒された。
- 西北南の三方を山脈に囲まれ、荒漠とした厳しい自然の広がる地であり、北西部にはかつてサウロンが“一つの指輪”を鍛えた休火山オロドルイン(滅びの山)がそびえる。かつてはゴンドールがモルドールの再興を警戒するために築いた砦が点在していたが、大悪疫をはじめとする国力の衰微により、すでにほとんどが放棄されていた。いまやサウロンが帰還したことでオークが全土を支配し、生き残った住民を奴隷化して大軍勢を作り上げようとしている。
- 角張った狼のような猛獣カラゴル(オークの騎乗にも用いられる)、岩のような体で暴れる巨大獣グラウグ、群れをなす人型の獣グールなどが棲息し、オークか否かを問わず全ての種族を脅かしている。
- ウドゥン Udûn
- 本作でフリーローミングできる2つの地域のひとつ。
- モルドール北西部の盆地。天険に囲まれたモルドールの入口となる山脈の狭間には「黒門(モランノン)」が存在し、ゴンドールが2000年以上にわたり守備のレンジャーを配置してきた。彼らは精鋭だったが、東夷の侵略や大悪疫によって大きく数を減らし、ついにオークの攻撃を受ける。
- ゴンドールの流刑囚の末裔であるウドゥンのはぐれ者が細々と暮らしていたが、サウロンが戻りウドゥンをオークに奪われてからは、彼らも囚われて奴隷労働に従事させられている。
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- ヌアン Núrn
- 本作でフリーローミングできる2つの地域のひとつ。
- モルドールの南東部に位置する内海であるヌアネンの沿岸地域。オロドルインの火山灰とヌアネンの水の恵みによって作物が育つ肥沃な大地であり、モルドールのオークの大軍勢を支え得る。
- 古の海賊たちの末裔であるヌアンの部族民が長年住み着いてきた土地だが、いまやオークの支配下にある。生存が風前の灯火となりつつあるなか、部族民の生き残りは“岸の女王”老レディ・マルウェンとその養女リサリエルを指導者に抵抗を続けている。
登場人物
主人公
- タリオン Talion
- 人間・男性。中つ国の王国ゴンドールの兵士で、黒門のレンジャー。
妻ヨーレス、息子ディアハイルとともに黒門で暮らしていたが、“サウロンの黒の手”に襲撃されて生贄として殺害される。しかし幽鬼と結びついたことで中つ国に縛られ、生死の狭間に囚われた不滅の身となって、オークに支配されたモルドールを闊歩するようになる。いくど殺されても蘇り、ふたたび襲ってくる姿により、“墓を歩く者”としてオークに恐れられる。 - 幽鬼 The Wraith / ケレブリンボール Celebrimbor
- タリオンに取り憑いた幽鬼。尊大で冷酷な、エルフの偉丈夫の亡霊である。
遠い昔、サウロンの手にかかって妻子ともども殺害された身のようだが、ほとんどの記憶を失っているらしい。しかしその霊魂はいまだにモルドールに縛られて旅立つことができず、はるかな年月を経てタリオンに手を貸すこととなる。憎むべきサウロンへの復讐を果たすために。
モルドールで出会う者たち
- ゴラム Gollum
- ホビット・男性。かつての“一つの指輪”の持ち主で、指輪の力によってゆがめられた存在。
“一つの指輪”を失い、指輪の作り手の力に呼ばれて辿り着いたモルドールでタリオンたちと出会う。なにゆえか、タリオン以外には見えない幽鬼の姿を視ることができる。 - タルノストのヒアゴン Hirgon of Tarnost
- 人間・男性。モルドールの住人で、もとゴンドールの黒門のレンジャー。
タリオンの同僚だったが、ウドゥンのはぐれ者の娘エリンと駆け落ちし脱走した身。黒門の陥落後にタリオンと再会し、オークに囚われた奴隷たちを救うために協力し合うこととなる。 - リサリエル Lithariel
- 人間・女性。ヌアンの部族民を治める“岸の女王”レディ・マルウェンの養女にして後継者。
年老いた母女王に代わり、部族の民を率いる高潔で逞しい女戦士である。部族の民をオークの脅威から救うため、マルウェンの受けたお告げに従ってタリオンの助けを求めに来る。 - トルビン Torvin
- ドワーフ・男性。はるか東方の故郷オロカルニからやってきた手練れの狩人。
同じ狩人だった兄・ゴルビンの仇である伝説の白い大グラウグを追ってモルドールまで辿り着いた。ヌアンで出会ったタリオンに、獣を狩り、従える方法を教える。
サウロンの軍勢
- サウロンの黒の手 Black hand of Sauron
- 男性。黒の総大将のリーダー格で、冥王の嘘を具現化する存在。
瞳だけが光る生気のない色の顔にフードを被り、魔術を操る欺瞞の達人。黒門を陥落させた際、タリオンと妻子の命をその手で奪い、彼らを儀式の残酷な生贄とした仇である。 - サウロンの鎚 Hummer of Sauron
- 男性。黒の総大将のひとりで、冥王の力を具現化する存在。
黒い鎧を身に着けた血に飢えた戦士で、サウロンの狂信的な信奉者。タリオンによる妨害のために支配が揺らいだウドゥンに姿を現し、ウルクの軍団長たちを譴責する。 - サウロンの塔 Tower of Sauron
- 男性。黒の総大将のひとりで、冥王の悪意を具現化する存在。
その名の通りひどく高い背丈を持ち、恐ろしげな鎧を纏った、憎悪に満ちた残酷な戦士。エレド・グラムホスの要塞を居城とし、ヌアンの人々を脅かしている。 - ラットバッグ Ratbag
- オーク(ウルク)・男性。ウドゥンのウルクのひとり。
身の程知らずの野心を持ち、尊大だが愚かで臆病、節操のない卑怯者という小物のウルク。大敵のはずのタリオンに擦り寄り、自らの意思で協力してオークの軍勢のなかで権力を得ようとする。
- サウロン Sauron
- マイア。モルドールの冥王にして“一つの指輪”のあるじ。ゴルサウアとも呼ばれる。
遠い昔、エルフの細工師ケレブリンボールを唆して“力の指輪”を作らせ殺害したが、自ら鍛造した“一つの指輪”で中つ国を支配する野心はゴンドールとエルフの同盟軍の前に敗れた。つい最近まで“死霊使い”として潜んでいた北のドル・グルドゥアを追われ、故地モルドールへと帰還する。実体を持たぬ身であり、黒の総大将を手足にモルドールを再び支配し、今度こそ中つ国を征服すべく力を蓄えている。
関連動画
関連項目
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