シャリア・ブルとは、『機動戦士ガンダム(1stガンダム)』の登場人物である。
声優:木原正二郎/筈見純(ギレンの野望、Gジェネレーション)/広川太一郎(GジェネレーションF)/小山力也(GUNDAM EVOLVE...)/高橋広樹(U.C. ENGAGE)/川田紳司(機動戦士Gundam GQuuuuuuX)
概要
テレビ版第39話『ニュータイプ、シャリア・ブル』に登場したジオン公国軍の大尉。木星船団公社の船団隊長を務めていた木星帰りのニュータイプ(NT)で、口ひげを蓄えたロマンスグレー風の男性。実直で落ち着いた紳士である。
ギレン・ザビ総帥の命を受け、キシリア・ザビ麾下のNT部隊に配属される。NT専用モビルアーマー「ブラウ・ブロ」のパイロットとしてホワイトベース隊の前に立ちはだかったが、アムロ・レイの駆るガンダムとの交戦の末に敗北。同乗していたブラウ・ブロ開発者のシムス・アル・バハロフ中尉共々、宇宙の塵となった。
一年戦争中では希少なNTであり、これまでの番組の構成上としてもアムロとララァ・スンに次ぐ3番目に登場したNTであった(この時シャア・アズナブルは覚醒前)。年少故にどこか不安定なところもあったアムロ・ララァとは違い、落ち着いた大人の風格も持ち合わせたキャラであり、如何にも終盤の重要人物っぽい雰囲気が漂っている。
性格的にも「実直な紳士」という評がしっくりくる人物。ギレンから配属に関する政治的意図を匂わせる話をされたときに「閣下の深いお考えは分かりません」とあいまいに流したり、末期の台詞がシムス中尉の身を案じたものだったりと、これまたそこまでの物語にはいないタイプの人物であった。
……にもかかわらず、実際の放送では僅か1話のみの登場という「今週のゲスト怪人」程度の扱いで終わってしまい、TV版の再編集版である劇場版『Ⅲ めぐりあい宇宙編』でも出番をカットされた。
実は当初の放送スケジュール通りの4クール放映であれば、もっと長期間に亘って登場し、アムロのニュータイプ覚醒に大きく影響する重要なキャラクターとなる予定だったという。初代ガンダムが打ち切られたというのは今となっては有名な話だが、そのとばっちりをモロに食らってしまったのがこのシャリア・ブルというキャラクターだったのである。
一応、アムロの覚醒という役回りは「ガンダムの駆動系がアムロの操縦についていけなくなったことがブラウ・ブロ戦で露呈し、マグネット・コーティング処置が行われる」という形で描かれている。
他媒体における扱い
小説版『機動戦士ガンダム』
TVシリーズ当初の構想の片鱗が見えるのが、監督の富野由悠季自ら執筆した小説版ガンダムで、同作では物語のキーを握る重要なポジションに据えられている。
小説版のシャリアはシャア・アズナブルを本名のキャスバルで呼ぶことを許された右腕にして盟友ともいうべき存在である。頭脳明晰でニュータイプの才覚はシャアを凌ぎ、真のニュータイプの為の新たな時代を切り開くというシャアの理念の為にホワイトベース隊との共闘をシャアに提言し、アムロに協力を呼び掛けることになる。最終的には原作同様アムロの攻撃によって死亡してしまうものの、直後に放出されたその意識はアムロを真理へと導き、小説版独自の結末へのレールを敷く形となった。
ちなみに小説版では28歳という設定なのだが、原作では中年然とした白髪白髭だったこともあり外見と年齢が明らかに合致しておらず、シャアからもその老けっぷりを突っ込まれている。
漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』
原作では距離を置いていたギレンを信奉する傲慢なタカ派として描かれており、同じニュータイプのララァ・スンに対して対抗心を露わするなど、原作の実直な人柄とは似ても似つかぬ小物と化している。
その死に際も同乗者のシムス中尉の身を案じていた原作に対し、モルモット同然の扱いを受けたとしてギレンへの逆怨みともいうべき断末魔と共に爆死するという体たらくで、小説ではよき信頼関係を築いていたシャアからも唾棄される始末であった。
本作の展覧会では、作者(でありテレビ版のキャラデザ・作画担当だった)の安彦良和は解説パネルに下記のようなコメントを残している。シャリアに対する否定的な感情(と氏のニュータイプに対する考え方)が読み取れる。
シャリア・ブルは、テレビシリーズの時も不要なキャラと思っていたから、『THE ORIGIN』でも真っ先に外そうと思っていました。ただ、自他ともに認めるニュータイプというものの厄介さみたいなのがないと、「ニュータイプ論」も空論になってしまう気がするんです。こいつを出して惨めに負けさせないといけない。そう思い直して使うことにしました。
機動戦士Gundam GQuuuuuuX
TVシリーズに先駆けて劇場公開された編集版『-Beginning-』の本予告において「なんかシャリアっぽい男性」が映りこんでいることが、以前にイタリア語版サイトで発生した誤掲載と合わせて話題になった。フリット・アスノかもしれないけど。
この人物のおかげでニコニコ大百科にシャリアの記事が存在しないことが改めて周知され、テレビ登場からおよそ45年を経て本記事が立項されることになった。
……そして、その「シャリアっぽい」直感は正しかったことが明らかとなる。
U.C.0085のシャリア・ブル
「一年戦争でジオン公国が勝利した」パラレルワールドの宇宙世紀0085年を舞台とする『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』。その前日譚となる『-Beginning-』において、元の宇宙世紀よりも早めにジオン軍に所属したシャリア・ブル大尉は、ニュータイプの理想郷を掲げるシャア・アズナブル大佐に共鳴し、彼とバディ(MAV)を組んで戦っていた。ブラウ・ブロに酷似したモビルアーマー・キケロガを駆りオールレンジ攻撃で敵機を撃破する様から乗機共々「灰色の幽霊」の二つ名で呼ばれ、連邦軍にとっては恐怖の的であった。
『GQuuuuuuX』本編においては中佐に昇進し、一年戦争末期に乗機ごと行方不明となったシャアを捜索している。キシリア・ザビ暗殺を目論み侵入しイズマ・コロニーを蹂躙する連邦軍のサイコ・ガンダムおよびハンブラビをキケロガ単騎で難なく撃墜。その実力の健在ぶりを見せつつ暴走するGQuuuuuuXを食い止め、その身柄を確保してパイロットのアマテ・ユズリハ共々ソドンへと連れ帰っていった。
それから程なくしてマチュが実行した脱走を見逃す素振りを見せていたが、その裏には彼女を敢えて泳がせシャロンの薔薇の所在を突き止めようとしていた。思惑通りにマチュが発見したシャロンの薔薇を回収したシャリアは、再びソドンに囚われたマチュに今後どのような要求を突きつけるのであろうか?
現在のシャリアは再び戦争を起こしかねないジオン公国首脳に強い危機感を抱いており、その火種になりかねないキシリアと兄のギレン・ザビを同時排除するという目的の元動いていた。マチュおよびGQuuuuuuXやシャロンの薔薇は彼にとってその目的を成就する為に必要なピースなのだろうか?
メカデザインを除けばどれもこれも安彦画風で描かれる『-Beginning-』において、一人だけ明らかに竹画風で登場する様子はガノタの苦笑を買ったとかなんとか。
映画公開直後のネタバレ回避のため、緑色の軍服と緑がかった髪・髭の色から、SNS上では「緑のおじさん」という通称が定着した。
関連動画
関連静画
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- アスラン・ザラ
- アムロ・レイ
- セイラ・マス
- イオク・クジャン
- カイ・シデン
- カツ・ハウィン
- ガルマ・ザビ
- アーノルド・ノイマン
- キシリア・ザビ
- シャア・アズナブル
- ギレン・ザビ
- ククルス・ドアン
- クリム・ニック
- 黒い三連星
- コンスコン
- 三馬鹿(機動戦士ガンダムSEED)
- シン・アスカ
- シン・マツナガ
- ジオング整備士
- ジオン・ズム・ダイクン
- ジョニー・ライデン
- ジョブ・ジョン
- ジーン(機動戦士ガンダム)
- スレッガー・ロウ
- セシリア・アイリーン
- テム・レイ
- ディアッカ・エルスマン
- デギン・ソド・ザビ
- ドズル・ザビ
- ハサウェイ・ノア
- ハマーン・カーン
- ハヤト・コバヤシ
- ハロ
- フラウ・ボゥ
- ブライト・ノア
- ヘンリー・ブーン
- マ・クベ
- マチルダ・アジャン
- マリュー・ラミアス
- ミネバ・ラオ・ザビ
- ミライ・ヤシマ
- メイリン・ホーク
- ラウ・ル・クルーゼ
- ラクス・クライン
- ララァ・スン
- ランバ・ラル
- リュウ・ホセイ
- ルナマリア・ホーク
- レイ・ザ・バレル
- ワッケイン
▶もっと見る
- 22
- 0pt