シュザンナ・フォン・ベーネミュンデとは、「銀河英雄伝説」に登場するラインハルト最初の敵。
石黒監督版アニメでのCVは藤田淑子、「黄金の翼」では鶴ひろみ。
概要
皇帝フリードリヒ4世の愛人でアンネローゼ・フォン・グリューネワルトの前に寵愛を受けた人物。
子爵家の子女。寵妃となった事で侯爵夫人の称号を得、将来は皇后となることを確実視されていたが、三度の流産の末に皇帝の跡継ぎを産むことができず(自分の血筋を皇位につけたいブラウンシュヴァイク公やリッテンハイム侯の陰謀があったとも)、さらには皇帝の寵愛がアンネローゼに移ってしまったことで、皇后への道は事実上閉ざされてしまった。
こうした経緯からアンネローゼをひどく憎んでいた彼女だが、寵妃としての彼女に手を出す事ができず、彼女の弟ラインハルト・フォン・ミューゼルを標的とし、カプチェランカ4=2での戦い、第五次イゼルローン要塞攻防戦など、戦場に幾度となく暗殺の手を送り込むもことごとく失敗する。その執念深さからラインハルトには「蛇夫人」とあだ名をつけられ、その後彼が苦手な食べ物になぞらえて「チシャ夫人」に改められた。なおヒステリックな描写が強調されるベーネミュンデだが、宮廷に出仕した当時は「蕾を開いたばかりの桜草にたとえられる可憐な深窓の姫君」だったという。
やがて、ロイエンタールの提案をもとにラインハルトが実行した醜聞により宮廷から追い出されることになった為、追い詰められたベーネミュンデはアンネローゼに直接手を下すことを決意する。しかし警戒していたラインハルトらの行動により失敗。遂に事件が表沙汰になった事でフリードリヒ4世が沙汰を下した。
どうせ予もあとから行くのだ。まだ充分に美しい姿で待っているがよい、シュザンナ……
かくして彼女は皇帝の名のもと、「アンネローゼ死亡」という虚偽の報告で呼び出されたが、その行先は皇帝のもとではなく、典礼尚書であるヨハン・ディートリッヒ・フォン・アイゼンフート伯爵の館であった。
勅命によって自裁を強制され、彼女の最期を見届ける為にその場に立ち会っていたラインハルトや、彼女の流産に関わったと噂されるブラウンシュヴァイク公オットーを弾劾して抵抗するが、押さえつけられた挙句に毒杯を飲まされ、死を賜った。
なお彼女の最期は原作ではアスターテ会戦前で起こった出来事だが、石黒版ではクロプシュトック事件同様に本伝に組み込まれる形で内容が変更されている(後述)。
石黒監督版OVA第11話「女優退場」
皇帝の寵愛を失った事を恨んだベーネミュンデ侯爵夫人は、
その愛を取り戻さんがために、遂にアンネローゼを謀殺せんと図る
それは悲しい女の性なのか?
ことの発端は原作と同じであるが、こちらではフレーゲル男爵と結託(という名で利用されていた)によりアンネローゼが乗る車を襲撃したのちに誘拐に成功。隠れ家にて彼女自らアンネローゼに自裁を迫った。
そんな中双璧やキルヒアイスらが潜伏場所に到着したために急遽アンネローゼを人質にとるも、後から駆けつけたオーベルシュタインのファインプレーにより失敗。アンネローゼは救助される顛末となっている。
藤崎版コミックでの描写
概ね原作と同じくアンネローゼ、ラインハルトを敵視している存在として登場。
しかし白昼堂々とアンネローゼの邸宅に乗り込み、ラインハルトの野望を見据えたかのように釘を刺したり、流産がブラウンシュヴァイク公の仕業ということもあってか門閥貴族らを信用しておらず、フリードリヒ4世を一途に愛する女として誇り高い言動を見せた。
原作とは違い死亡する原因となった事件が起こらなかったこともあり、フリードリヒ4世崩御後も生きており、反ラインハルトらによる門閥貴族が参戦したリップシュタット戦役にも登場しなかった事で、このまま歴史の表舞台から退場するものかと思われたが……
(以下ネタバレ)
第8次イゼルローン要塞攻防戦の後、ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフが帝都オーディンの街中で彼女を目撃。リップシュタット戦役後における門閥貴族の没落もあり、周囲の帝国市民からは心ない風聞の的となるが、一人で細々と暮らしていた(ヒルダ曰く「誇り高い」)。
そんな中、フェザーンにおけるエルウィン・ヨーゼフ2世の近況を知るや、かつて愛したフリードリヒ4世の血を継承する少年を救うべく行動を起こした。このため原作ではランズベル伯爵主導で行われた誘拐計画が、彼女に差し替えられている。
エルウィンは周囲から半ば見捨てられた皇帝として扱われたこともあって荒んでおり、彼女に攻撃的な行動を取る。しかしその振る舞いに耐え、純粋な忠義をもって接したことで彼の心を氷解してみせた。
その後フェザーンの手引きにより自由惑星同盟へと亡命。門閥貴族残党および同盟政府に宣戦布告するラインハルトを苦々しい顔で眺めている。
関連静画
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関連項目
- 銀河英雄伝説
- フリードリヒ4世
- アンネローゼ・フォン・グリューネワルト
- ラインハルト・フォン・ローエングラム
- オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク
- グレーザー(銀河英雄伝説)
- ヘルダー
- グレゴール・フォン・クルムバッハ
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