シュラク隊とは、死亡フラグ機動戦士Vガンダムに登場する、リガ・ミリティアのモビルスーツ部隊である。
概要
オリファー・イノエによって組織された部隊で、最初はオリファーが指揮官であった。
全員が女性という部隊であり、劇中でのリーダーのポジションは、ジュンコ・ジェンコへと移っている。
(一応初代隊長はオリファーだが、マーベット・フィンガーハットと恋仲であったことから顰蹙を買っていた)
劇中では第10話より登場。それまで怪我をしたマーベットを庇いながらほぼ一人で敵MSと孤軍奮闘していた主人公ウッソ・エヴィンの元に現れた、心強い援軍として登場する。その上、所属するパイロットがみんながみんな綺麗なお姉さんという、夢のようなモビルスーツ部隊である(実際ウッソはほとんどのメンバーから可愛がられていた)。
が、劇中ではメンバーがことごとく死亡フラグを立てたりして戦死していく悲しい運命を背負った部隊であった。
その壮絶な数々の死に様は、当時の富野由悠季が「Vガンダム」で皆殺しの富野の異名たる所以を遺憾なく発揮させた象徴とすら言われ、ようやく目立ったキャラクターがその回で死ぬなどということもあった。特に序盤は容赦なく3人もメンバーが戦死しており、初登場の次の回で死亡するなど死亡フラグたる所以をいきなり見せつけ、その後もコクピットへの攻撃で焼け死ぬなど、視聴者へのトラウマを不動のものとする。
オリファー以外で、補助戦力も含めてちゃんと台詞と名前があるキャラ(素性不明のまま戦死したメルクリンを除く)だけで9人もいるが、もれなく全員最終回までに死亡している。
Gジェネレーションなどのゲームでは、補充要員ともども同時出撃させることも可能である。
不幸としかいいようのない彼女達の運命を少しでも救ってあげるためにも、シュラク隊で編成してゲームをプレイするのも悪くはないだろう。
スパロボではVガンダム参戦当初の『第2次G』や『新』では全員が正式加入していたものの、参戦作品が増え加入するキャラクターが増えた『α』では全員がスポット参戦に留まり、『α外伝』には一切登場せず、『D』ではオリファーとジュンコ以外のメンバーは戦死済みと、『α』以降の作品では出番に恵まれていなかった。『30』で久しぶりに登場し、オリファー・ジュンコ・コニー・ユカがパイロットとして加入、それ以外のメンバーもガンブラスターの「シュラク隊一斉攻撃」を使用すると誰か1人がランダムで登場して一言喋ってくれる。
搭乗モビルスーツ
- LM111E02 ガンイージ …初期メンバーの主力機。
- LM111E03 ガンブラスター …ジュンコが使用して初登場。その後ユカ、コニーが僅かに搭乗。
- LM312V06 ヴィクトリーガンダムヘキサ …補充メンバーら後半の主力機。
メンバー
- ジュンコ・ジェンコ
声:小林優子
シュラク隊のリーダー。ワインレッドで前髪をサイドに分けたハーフアップが特徴のお姉さん。女性だが勇ましい性格で腕も立ち、ウッソには時に優しく、時に厳しく戦いを説くなど頼りになるお姉さんであった。他のみんなからは「姉さん(ねえさん)」と慕われる。オリファーに気があり同じリガ・ミリティアパイロットでオリファーと恋仲のマーベット・フィンガーハットとは、味方だが恋敵のような関係でよくいがみ合う(不仲という訳ではなく、友人としての振舞いもある)。
リガ・ミリティアには以前から所属していたのか、ガンイージの試作機のテストパイロットを務めたのはジュンコという設定がある。その後シュラク隊として参戦した際の機体も、改修を加えられた試作1号機であるとされている。
だがヘレン、マヘリア、ケイトと仲間が次々と死んでいったことで、中盤以降は自身も死に急ぐようになり敵の攻撃を避けず強引に突撃するといった行動が度々見られ、その度にオリファーやウッソ、果てはマーベットからも心配されていた。しかし結局、怪我明けの満身創痍で出撃し、無茶な戦闘をしてMSを失った直後、カイラスギリーに仕掛けられた爆弾を解除しようとして失敗しウッソの目の前で爆死という壮絶な最期を迎える。ちなみにMS戦以外で死亡したのは彼女のみである。
……なのだがこの死に方、よく見直すと色々おかしい。この回はザンスカール帝国から奪取した要塞カイラスギリーの主砲「ビッグキャノン」を遠隔操作で発射し、敵主力艦隊を殲滅するという作戦であった。だがクロノクル・アシャーがビッグキャノンに時限爆弾を仕掛けて妨害してくる。一方、戦闘不能になった機体から降りたジュンコは爆弾を発見するが「これだ、どうやったら止められるの!?」と発言。これは爆弾の処理方法がよく分からないようにも聴こえてしまう。ウッソが代わると言うが、ジュンコは死に急ぐかのように「これくらいやらせてよ…」と言った直後に爆弾が爆発してジュンコは消し飛ぶ。ところが爆発の威力は想像より遥かに下で、離れた位置にいたウッソは無傷であり、ビッグキャノンも遠隔操作が不可能になる程度のダメージしか受けなかった(その結果手動で発射することになり、わずか13歳のウッソが大量虐殺のトリガーを引く羽目になるのだが……)。爆弾の威力や爆発までの時間が分からない以上はしかたない部分もあるとはいえ、仮に誰も爆弾に気付かずに爆発を許しても大した問題は起こらなかったので、ジュンコの死は思いっきり無駄死にになってしまっており、「ジュンコ・ジェンコ」でググるとサジェストに真っ先に「無駄死に」と表示される有様となっている。同じく無駄死にと言われがちなオリファーは一応モトラッド艦隊を一時足止めすることに成功しているが、ジュンコは全く救いがなく、シュラク隊メンバーの中でも最も理不尽な死を遂げた人物かもしれない。 - ヘレン・ジャクソン
声:深見梨加
最初の犠牲者。オレンジでワイルドなショートボブの髪型、やや浅黒い肌、濃いリップが特徴のお姉さん。ジュンコ曰く「一番シュラク隊に似合っていて鳥のモズそのもの」とされる人物で、戦闘の実力も高かったと思われる。また2話のみの登場ながらコミカルなシーンも描かれ、ウッソの喧嘩に新しいリップを賭けるなど、生前はジュンコとの絡みが多かった。マヘリア曰く「お調子に乗って」トムリアットに格闘戦を挑みビームサーベルで撃破するも、その直後至近距離のパンチを食らいコックピットを潰され圧死。初登場の次の話で死亡という、部隊の運命を悪い意味で決定づけてしまう退場となった。 - マヘリア・メリル
声:まるたまり
一番巨乳なお姉さん。ブラウンのロングヘアが特徴。初登場に真っ先にウッソを撫でていた。過去に弟を交通事故で亡くしているらしく、ウッソにべったりだったことも。ジュンコ同様ヘレンと仲が良く、彼女が死んだ後は前述の賭け事で述べられていたヘレンのリップを使い、戦化粧をして戦いに挑んだ。そのヘレンの弔い合戦をしようとしたが、皮肉にもヘレンと同じようにトムリアットと相討ちになり、コクピット内で爆死する。遺体が唯一ちゃんと残ったため葬儀が行われたのがせめてもの救い。
なお、2015年のVガンダムBD-Box化に際して行われたシュラク隊人気投票では、堂々の一位に輝いている。渡辺久美子も「(容姿が)可愛いですよね。やっぱり」と評している。おっぱいは正義。
- ケイト・ブッシュ
声:安達忍
レッドのポニーテール、浅黒い肌が特徴のお姉さん。家族は事故で全員他界している。ジブラルタルの攻防戦の最中、戦闘で流れ弾が当たって壊れたマスドライバーの柱を自らの機体で支え、「これは壊しちゃならない、これは人類全部の宝だ」とマスドライバーの中立性を叫ぶ。しかし非情にもその丸腰の状態を好機ととられ、クワン・リーのメッメドーザに「機体はそのまま、パイロットには死んでもらう!」とコックピットをビームサーベルで一突きにされ蒸発するという壮絶な死を遂げる。そのあまりに残忍な殺され方、かつ死後も機体がマスドライバーを支え続けているというインパクトのある絵面はファンからVガンダム、シュラク隊を語る上でも特に有名で、『新スパロボ』では隊員で唯一原作再現の戦死イベント(永久離脱)が用意されている(しかも何故か機体は離脱せず、ガンイージの修理費はきっちり請求される)、Gジェネで(流用ではなく)二回もイベントムービー化されるほどだった。おいやめろ。なおやはり視聴者への印象が強かったのかシュラク隊人気投票では二位だった。 - ペギー・リー
声:荒木香恵(初期は渡辺久美子)
シュラク隊のナンバーツー。ゴールドでカールボブの髪型で何故か黒目がちなお姉さん。クールな性格で口数は少なく、最初はウッソに深く関わらなかったが、徐々に仲良くなる。チームワークを駆使した戦闘に関しては非凡なセンスがあるようで、ユカやオリファーから戦闘中褒められたり、ウッソにも連携の大事さを説き「家があって人がいて、初めて、暮らしというものがあるんだ」という名言を残す。
コンティオとの戦闘で乗機ともども致命傷を負うが、彼女もその際ジュンコ同様死に急いでいたのかウッソのザンスカール本国潜入に強引に同行。最期は半壊したガンイージでウッソを守るため特攻を図り、クロノクルのコンティオに組みつくも、ケイトと同じくビームサーベルでコックピットを刺され死亡した。
死ぬ直前に声優が変わるという稀に見る死亡フラグを持つ。しかもそのせいでスパロボでは渡辺久美子、Gジェネでは荒木香恵と、ゲーム媒体では声優が安定しない。(渡辺は本来カテジナ・ルース役なので声優変更が行われたと思われる) - ユカ・マイラス
声:田中敦子
補充組の一人。パープルのパンクヘアが特徴なお姉さん。パーブルでガンダムシリーズの定番「死神」の異名を持つキャラクター(彼女の場合は所属部隊を全滅させる不名誉なタイプである)。元々はリガ・ミリティアではなく、地球連邦軍内で僅かにザンスカールに抵抗していたバグレ隊の生き残りだった。その為パイロットスーツは唯一リガ・ミリティアのものではなく「ガンダムF91」でビルギット・ピリヨが着用していたものに類似した緑色のものを使用している。ケイトの尊い犠牲の末に宇宙へと上がる際に加入した。
その軍歴から典型的な職業軍人タイプで、初期のシュラク隊メンバーが見せていたような女性としての一面は薄い。マーベットと共にオデロとトマーシュらの教官の役割も果たし、少し注意しただけでオデロがビクビクであるなど厳しい人物なようである。最終決戦前に子供達の気分転換を見守る中ですら「軍に入ってからそんな(楽しい)ことなかったよ」と寂しい表情を見せる程の硬派な女傑。中の人的にもメスゴリラ。だが根は優しい人のようである。
ジュンコの死後、コニーと共にシュラク隊の中心となり長らく活躍するが、終盤マーベットがオリファーの子供を妊娠していることが発覚し前線から退いたこともあってか、未来への希望や責任感に身を任せるあまりジュンコのように死に場所を求めてしまう。その為エンジェル・ハイロゥ攻防戦でウッソに突破口を開かせようとし「マーベットがあたしたちの子供を産んでくれる」と叫びながら敵の輪の中に突撃し、カテジナのゴトラタンに背後から撃たれ戦死。
スパロボでは『新』でのみ伊藤美紀が代役を務めたが、『α』でオリジナルのキャストである田中敦子の音声が収録された。 - フランチェスカ・オハラ
声:石川寛美
補充メンバーの一人。オレンジでミディアムの髪、浅黒い肌が特徴のお姉さん。愛称はフラニーで、こっちのが有名。月にいた辺りからその姿が確認できるが、当初は台詞のないモブ状態で、ミリエラ加入以降ようやく会話に加わる。ウッソをからかう時に胸を押し付けるなど、結構イケナイお姉さんである。補充メンバーの中では一番ウッソに情愛をかけていたようである。Vガンダムでメガビームシールド(V2用の装備)を使った結果機体がオーバーヒートしてしまい、あわや宇宙漂流となっていた所をオデロに助けられるという、隊員の中では珍しい主役エピソードが存在している。その影響か割と人気が高く、シュラク隊人気投票は三位。最期はカテジナが造反したと勘違いして迂闊に近づき、あっさり反撃されて(砲身で横薙ぎに弾き飛ばされるというこれまた特殊な方法で)余韻もなく死亡した。「トチ狂ってお友だちにでもなりに来たのかい? 」 - ミリエラ・カタン
声:日高奈留美
補充メンバーの一人。ネイビーのベリーショートが特徴のお姉さん。 フラニーの親友で、ウッソを一緒にからかうなど仲が良い。しかしウッソへのべったり度はそんなに高くない。あっけなく殺されたフラニーの敵を取ろうとしたが、速攻で返り討ちに合い、戦死。この二人のあっけない死亡二連鎖は地味に視聴者の心を抉る展開である。 - コニー・フランシス
声:こおろぎさとみ
シュラク隊の二代目リーダーにして、シュラク隊初期メンバー最後の生き残り。ブラックのおかっぱ、そばかすがトレードマークのお姉さん。初期メンバーでは一番地味な感じの女性ながら、最終的に10話~51話まで生き残り続け登場話数は最多である。オリファー隊長が死亡した後、悲しみに暮れるロッカールームでユカから隊長に任命される。目下を叱責することは少なく、マーベットの結婚の際はウエディングドレスの試着を手伝うなど穏やかな性格だが、一方で戦いにおいてはモトラッド艦隊を止めるため特攻したメルクリンに習い、自らも特攻を示唆するなど勇猛果敢な一面を見せることもある。
最終回では「お前を守ってやれるシュラク隊はあたし一人になってしまったよ!」と哀愁漂う名台詞を叫びながら、戦死したメンバーの意思を継いでウッソの力になろうとクロノクルの戦いに割って入るが、それを邪魔させまいとするカテジナに機体の腕と頭を撃ち抜かれ、最後はコックピットも破壊されて戦死。彼女をもってシュラク隊は全滅した。
後期メンバー4名は最終決戦で悉くカテジナ・ルースによって殺されており、この後オデロ・ヘンリークまでもがカテジナの手にかかるという展開は彼女の狂気っぷりを視聴者に強く印象付けることになった。
※後期のシュラク隊には他にも数名がいたとされ、第二シュラク隊という別働隊も名前のみ語られている。その中で唯一分かっているメルクリンというメンバーもいるが、性別・年齢・顔などが全て不明である。34話でガンブラスターに搭乗して特攻し戦死した際、名前のみが語られた。
※なお大変メタな話をすると、コニー役のこおろぎさとみは準レギュラーキャラである戦災孤児の少女スージィ・リレーンの役も兼務しているため(むしろ彼女は幼女役がメインで、コニーのような大人の女性を演じることは少ない)、最終決戦まで生き延びたとの説もある。
リア・シュラク隊
機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴーストに登場。リアは「後ろの」を意味するので、別働隊や後方支援部隊か何かと思われる。黒いVガンダムに搭乗し、Vガン本編さながらのパーツ交換などの戦法も行う。いろいろあって主人公部隊である「蛇の足」の捕虜となるが、「蛇の足」とリガ・ミリティアが共同戦線を取ることになったため以降は正式に味方パイロットとして活躍する。度々機体の一部を壊すが、リガ・ミリティアからパーツが送られているらしくちゃんと修理されている。
メンバーは褐色肌でセクシーだけど、意外と純情で主人公フォント・ボーに淡い想いを寄せる「トレス・マレス」、弱気でおどおどしたスペースノイド「ドゥー・ナウガ・フルス」、細目のツインテールで生身の白兵戦に強い「イー・ライチ」の3名。
シュラク隊というあまりにも重い死亡フラグに加え、黒いガンダムに乗っていて(これも死亡フラグ)、たびたび死人の出るクロスボーンシリーズという事もあって彼女たちは定められた運命から逃れられないのか……? と読者をハラハラさせたが、最終的に全員無事生存した。
トレスは続編の「DUST」にも登場。「穀物王」と名高きタガナス・タヤカと結婚して子供も生まれており、荒れ狂う宇宙戦国時代の中で幸せな生活を送っている。
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