有限会社シルクレーシングとは、JRA(日本中央競馬会)に馬主登録しているクラブ法人。
現在の代表取締役は米本昌史。ちなみに米本氏はノーザンファーム代表・吉田勝己の娘婿にあたる。
かつては冠名として「シルク」「シルキー」を用いていたが、現在は使われていない。
勝負服の柄は「水色・赤玉霰・袖赤一本輪」。
概要
1985年、阿部善男主導の下「有限会社シルク」が設立された。「シルク=絹」の由来は、阿部家が福島で養蚕業「阿部製糸株式会社」を営んでいたことからきている。
同じく福島で営業していた「資生園早田牧場」の経営者・早田家のお抱え医師として阿部家の者がいたこともあり、㈲シルクは同牧場を主なクラブ馬提供牧場としていた。早田牧場が北海道新冠に支場を開拓した際にも阿部家が支援している。
創設翌年、ロイヤルシルキーがクイーンSを制し、クラブ&生産者(早田牧場)の重賞初勝利となる。種牡馬としてブライアンズタイムを導入した早田牧場の新冠支場も隆盛期を迎え、1997年にシルクジャスティスが有馬記念を、2000年にシルクプリマドンナがオークスを勝利。クラブの会員数は1万6000人にまで膨れ上がった。
しかし、社台グループのサンデーサイレンス旋風、そしてブライアンズタイムの後継として種牡馬入りしたナリタブライアンが早世した辺りから、早田牧場の経営に暗雲が立ち込める。新たに種牡馬入りしたシルクジャスティス・ビワハヤヒデらが継続して繫殖牝馬を集めることが出来ず、福島・天栄村の育成牧場「天栄ホースパーク(天栄HP)」に投じた莫大な費用が回収できなくなってしまったのだ。㈲シルクは早田牧場を支援するため、2001年に同じ福島県を拠点とする伊東純一・半沢一磨(グラスワンダーの馬主として有名)と共同で天栄HPを買収するが、その甲斐なく2002年に牧場は倒産する。
以降、シルクフェイマス・シルクメビウスによる競争賞金や外部からの預託料で経営を続け、新たに社長となった阿部幸也の元で様々な事業改善案が試みられていたが、2010年の金融庁によるクラブ法人指導がきっかけで新規会員の募集に悪影響が出る。更に2011年の東日本大震災により天栄HPの調教用坂路コースが損壊した上、福島第一原発事故の影響で天栄HPへの預託を忌避する流れが出来、いよいよ経営危機に瀕する。
同年、かつて早田牧場のライバルだった社台系列のノーザンファームに天栄HPを売却。シルクの馬達を育て上げた天栄HPは、後にノーザンFの一大拠点となる「ノーザンパーク天栄」となり、㈲シルクのクラブ馬もノーザンFの生産馬を数多く導入することになり、事実上ノーザンF系列クラブとしての道を歩むことになった。そして2012年のローブティサージュ(阪神ジュベナイルフィリーズ)を皮切りに重賞馬を次々と輩出するようになり、復権の芽が出る。
手数料の引き下げ、クラブ法人の東京移転、厩舎への祝儀金を廃止して会員配当に回すなどの改革を行い、2014年(平成26年)に法人名を現名称に変更し、ノーザンF出身の米本氏に代表を変更。2015年生まれからは4頭ものGⅠ馬を輩出し、中でもアーモンドアイは牝馬三冠のみならず2度の年度代表馬選出(2018年、2020年)、JRA史上最多のGⅠ9勝(内海外1勝)、獲得賞金記録を更新するなど、歴史的名馬となった。
2022年はイクイノックスが秋のGⅠを2勝して年度代表馬に選出。翌年にはワールド・ベスト・レースホース・ランキングで世界1位のレーティングを得る圧倒的なパフォーマンスでGⅠを4連勝し2年連続年度代表馬に輝きアーモンドアイの獲得賞金を更新、最終的にエルコンドルパサーを上回る日本馬歴代1位となる135ポンドを獲得した。
主な所有馬
GⅠ(級)勝ち馬のみ記載。太字は記事のある馬。特記のない馬はノーザンファーム産
- シルクジャスティス(1994年産、1997年有馬記念)※早田牧場馬
- シルクプリマドンナ(1997年産、2000年優駿牝馬)※早田牧場馬
- ローブティサージュ(2010年産、2012年阪神JF)
- アーモンドアイ(2015年産、2018年牝馬三冠・ジャパンカップなどGⅠ9勝)
- ブラストワンピース(2015年産、2018年有馬記念)
- インディチャンプ(2015年産、2019年安田記念・マイルCS)
- グローリーヴェイズ(2015年産、2019年・2021年香港ヴァーズ)※レイクヴィラファーム産
- サリオス(2017年産、2019年朝日杯フューチュリティステークス)
- ラウダシオン(2017年産、2020年NHKマイルカップ)※白老ファーム産
- ピクシーナイト(2018年産、2021年スプリンターズステークス)
- イクイノックス(2019年産、2022年天皇賞(秋)・有馬記念などGⅠ6勝)
- アーバンシック(2021年産、2024年菊花賞)
- アマンテビアンコ(2021年産、2024年羽田盃)
- エンブロイダリー(2022年産、2025年桜花賞)
その他ニコニコ大百科に記事のある馬
- ダイアトニック(2015年産、2019年・2022年スワンSなど重賞5勝)
- ギルデッドミラー(2017年産、2022年武蔵野S)
- プロミストウォリア(2017年産、2023年東海S・アンタレスS)
- アリーヴォ(2018年産、2022年小倉大賞典)
- ブラックブロッサム(2019年産)
- アメリカンビキニ(2022年産)
関連リンク
関連項目
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