「ジェダイな感じがするか?」とは、ジェダイの解像度が低すぎるマンダロリアンの疑問である。
「スター・ウォーズ」サーガのドラマ『マンダロリアン』で登場した台詞。
概要な感じがするか?
「スター・ウォーズ」サーガの実写ドラマ『マンダロリアン』チャプター14(シーズン2第6話。2020年12月4日配信)における、“マンダロリアン”こと主人公ディン・ジャリン(通称“マンドー”)による台詞である。
フォースと関係する遺跡へとやってきたジャリンが、旅の道連れであるフォース感知能力を持つ幼子グローグー(“ザ・チャイルド”)に対して、何かを感じとっているか尋ねた台詞なのだが、生真面目な印象のジャリンが言うに事欠いて「ジェダイな感じ」という、あまりにもジェダイへの造詣に欠ける表現を使いだしたことが視聴者に受けて話題となり、シリーズの他の描写とも接続して「ジェダイミリしらマンドー概念」まで誕生するに至った。
この台詞は日本語字幕のもので、原語では「Does this look Jedi to you?」、吹替だと「ジェダイがいるように見えるか?」。とりあえずジェダイっぽいかどうか尋ねている台詞であることは確かである。
解説がいるように見えるか?
賞金稼ぎディン・ジャリンがひょんなことから保護した幼子グローグーには、銀河にあまねく広がる力場“フォース”を感知する能力があった。子連れダロリアンとなったジャリンは、部族の教義に従い、その子をしかるべきところに返すため、フォースの使い手であるジェダイを探すこととなる。
前話チャプター13でジャリンはもとジェダイのアソーカ・タノに出会い、「惑星タイソンのフォースと強く結びついた寺院の遺跡でグローグーが呼びかければ、存在を感じとったジェダイが探しに来るかもしれない」むねを助言される。ジャリンとグローグーはさっそくタイソンへ向かい、岩山の上にあるそれらしい列石を訪れた。そこでジャリンが尋ねた言葉がこの「ジェダイな感じがするか?」であった。
まだ喋れないグローグーからは特に返事もないまま、ジャリンはアソーカが言った通り遺跡の中心の丸石の上にグローグーを座らせる。彼はしばらく蝶を追いかけるばかりでジャリンを困惑させたものの、やがて目を閉じて瞑想をはじめると、石の表面に青い文字が浮かび上がり、周囲には不思議な力場が生じた。どうやら、ジェダイな感じかどうかはともかくフォースと関係があるのは確からしかった。
ジェダイを知らない感じがするか?
いかにもジェダイのことをよくわかっていない人の台詞な感じのある「ジェダイな感じ」だが、実のところこのディン・ジャリンという男、そもそもジェダイの知識皆無だしフォースのこともたぶん知らない。彼は同作の第1シーズン(チャプター8)で部族の指導者アーマラーに教えられるまで、下手するとジェダイの存在すら知らなかった感じの反応を見せているのだ。
ジェダイは30年近く前、映画『エピソード3/シスの復讐』の出来事で滅び去ったとはいえ、ジャリンの幼い頃まで、部族の母星マンダロアを含む銀河じゅうで活躍していた。そのうえジャリンも銀河の辺境を股にかけて活動していたはずなのに、30代になるまでジェダイの存在すら知らないとは、ちょっとこのマンダロリアン無知無知がすぎる……と思わなくもないが、それにも理由はないでもない。
そもそも滅びる前でさえジェダイの数は銀河全体に対して少なく、多くの人々にとってジェダイは近しいものではなかった。しかもジェダイが滅んだクローン戦争で幼少期に孤児となったジャリンは、マンダロリアンのなかでもかなりカルトな感じの閉鎖的な小部族に育てられた。そしてジャリンにジェダイの存在を教えたアーマラー姐さんでさえ、ジェダイのことは「マンダロア・ザ・グレートが大昔に戦った集団」「ジェダイと呼ばれる魔術師たち[1]」として聞いたことがある、という程度のぼんやり知識レベルとなると、ジャリンが何も知らなくてもやむを得ないところだろう[2]。
なお、問いかけられたグローグーのほうはといえば、ジャリンは知らないがジェダイが滅びるまでは銀河首都コルサントのジェダイ大聖堂にいたので、まさに本場、本家本元のれっきとしたジェダイな感じをちゃんと肌で感じて知っているはずではある……のだが、彼はその記憶を失くしているのであった。
それで、ジェダイな感じはするのか?
そもそもアソーカは「フォースと強く結びついた寺院の遺跡[3]」と言っていたのであって、別にジェダイの遺跡だなんて言ってない。この銀河にはジェダイとは別にさまざまなフォース教団やフォース文化の歴史が数万年前から積み重なっていて[4]、当然ジェダイと特に関係のないフォースの遺跡も山のようにあるのだ(もっともタイソンは古代のジェダイに由縁の惑星としてスピンオフで何度か登場している)。
つまり、その場所が目的の遺跡だとしても「ジェダイな感じ」だとは限らないのだが、フォースもジェダイもよくわからない不思議な力と謎の魔法使い程度にしか思ってなさそうなジャリンの頭の中では、フォース関係は全部ジェダイ関係とイコールみたいな感じだろうと思われるので、致し方のないところではあろう。ゲーム機は全部ファミコンでピコピコという認識と大差はあるまい。
その意味で、登場した遺跡(美術設定ではフォース=ヘンジと呼ばれている)が「ジェダイな感じ」がするかどうかでいえば、「する」と言える程度にはジェダイな感じというか、フォースな感じのデザインではある。本作のほうがずっと簡易かつ荒廃した雰囲気ではあるが、発表時期の近いゲーム「スター・ウォーズ:ジェダイ」シリーズに出てくるような、いかにもフォースの古代遺跡な感じである。
また、本作や映画スカイウォーカー・サーガの3600年以上前を舞台とするMMORPG『Star Wars: The Old Republic』(本作と接続しないレジェンズ作品[5])では、本作配信後の2021年に、屋外装飾品としてあからさまに『マンダロリアン』の当の遺跡の往年の姿な感じがする「Outdoor Jedi Temple
」が実装された。ジェダイかシスのプレイヤーキャラクターとインタラクトすると『マンダロリアン』作中と同様に反応する
らしい。
ジェダイを1ミリも知らないまま育ててみた
「ジェダイな感じがするか?」は、日本語字幕だけでなく対応する原文Does this look Jedi to you?自体もけっこう変な言い回しらしく、SNSなどで検索すると、英語圏では早い時期からときおりネタにされていた様子が垣間見える。
しかし日本語圏のネット上で注目されるようになったのは配信から5年半ほど後、2026年に映画『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』が公開されてからのこと。同映画では、ディン・ジャリン(“マンダロリアン”)とグローグーのあいだの親子の絆がフィーチャーされた。そして映画をきっかけに初めて、あるいは改めてドラマシリーズを観た視聴者が「ジェダイな感じがするか?」に着目し、さらにその後の話の流れと組み合わせて面白がるようになったのである。
というのも、「ジェダイな感じ」からいろいろあってグローグーはジャリンと別れ、ジェダイのもとに引き取られてフォースの訓練を受けはじめるのだが、その後のドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』で、ジャリンは「マンダロリアンの孤児に責任がある」みたいなことを言いながら平然とグローグーに会いに行こうとするのである。あの、部族のめっちゃ厳しい教義に反してヘルメット脱いで顔見せて、今生の別れな感じでさよならしたんですけど?
アーマラーに「フォースを会得するためには――ジェダイは愛着を捨てねばならない」とそれとなくたしなめられた[6]のも意に介さず、ジャリンはジェダイの惑星に向かう。しかし途上で出会ったアソーカから、グローグーを恋しがらせるだけで彼のためにならない、と説得されると、アーマラーに作らせた贈り物のアーマーを彼女に預け、結局会うことなく去るのだった。
こうした、ジェダイの教義など知らないまま突っ込んでゆくストーリーの流れと、作中全般でグローグーに対する保護者ジャリンがかなり過保護なこと、そしてジャリンがアーマーを脱がない厳つい見た目のわりにぽんこつがちなこともあり、映画公開後しばらくすると「ジェダイをミリしらなまま息子グローグーに親馬鹿全開な生真面目マンドーパパ」という感じのイメージが各種SNSを中心に猛烈な勢いで発達。「ジェダイミリしらマンドー概念」などと呼ばれてインターネット・ミーム化していったのだった。
関連項目があるように見えるか?
脚注
- *原語では「an order of sorcerers called Jedi」。
- *とはいえスター・ウォーズの主要な映像作品主人公で、ここまであからさまにジェダイの存在を知らないキャラクターはやはり珍しい。例えばドラマ『スケルトン・クルー』の主人公ウィムは、物語でしか知らないとはいえジェダイ大好き少年だった。キャシアン・アンドーは出身と年代的にジャリン程度の知識しか持ち合わせていないかもしれないが、そもそもドラマ『キャシアン・アンドー』にはジェダイのジの字も出てこないのでセーフ。
- *原語では「a temple that has a strong connection to the Force.」。
- *古くはブラック・フリート・クライシス三部作由来のファラナッシ(ホワイト・カレント)やハンド・オブ・スローン二部作に顔を出したエング=ティー・モンク、『レイアへの求婚』で登場し近年の作品でもなにかと活躍するダソミアのナイトシスター、『ハイ・リパブリック 偽りの道』で登場した開いた手の道など、ジェダイでないフォース信奉者の集団はとかく枚挙にいとまがない。
- *2014年に正史(“カノン”)から分離された、旧来のスピンオフ作品群のこと。2008年にサービスが開始された『The Old Republic』もこれに含まれるが、本作は以降も展開が続いている。
- *以前はジャリンに「魔術師たち」などとぼんやりジェダイ知識を披露したアーマラー姐さんだが、あとから勉強したのかもしれない。ちなみにこの時アーマラーはマンダロリアンの一派の指導者ボ=カターン・クライズの話もしている。過去のボ=カターンの活躍にはジェダイもかなり関わっているのだが、本当にジェダイのことは知らなかったんだろうか……。
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