ジェンダーバイアス(英:gender bias)とは、「性的偏り」「性的偏見」などと訳される、社会的な慣例による男女観に拘束された意識や行動様式、あるいは男女差によって生じてしまう何らかの偏り、である。
概要
職場や学校などでの男女での待遇の差(制度的偏見)であるとか、あるいはいわゆる「男らしさ」「女らしさ」といった社会通念上の共通認識(慣行的偏見)なども含まれる。
現代では、主にフェミニズムやポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)運動の中で、問題視されるかたちで使用される用語である。不合理な差別や偏りや偏見を見つけ、改善しようという点では「意識の高い」考え方であると言えなくもない。ただし、過度に是正(ジェンダーフリーの押し付け)を敢行しようとすると 、伝統文化や表現の自由等と衝突することがある。
例えば、『桃太郎』の作中に於ける「おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。」という描写。
これは「主に男性が収入を得るための労働を行い、主に女性が家事を行う」という社会的・固定的性別役割分担が物語の当時の日本で一般的なものであったことを考えると不自然な描写ではない。しかし同時に、当時から今に続く日本のジェンダーバイアスが描かれた描写であると表現できなくもない。
そう考えれば、「少しでもジェンダーバイアス要素があるものを全て取り除こうとする」ような行いにもまた問題がありそうではある。仮に「ジェンダーバイアス」を理由に『桃太郎』を焚書にしようとするような社会になれば、それはそれで不健全であろう。
ジェンダーバイアス是正の法的根拠
日本に於けるジェンダーバイアス是正の法的根拠としては、男女共同参画社会基本法[1]が挙げられる。特に、同法第4条(社会における制度又は慣行についての配慮)[2]は、その核心部分である。
(社会における制度又は慣行についての配慮)
第四条 男女共同参画社会の形成に当たっては、社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して中立でない影響を及ぼすことにより、男女共同参画社会の形成を阻害する要因となるおそれがあることにかんがみ、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするように配慮されなければならない。
インターネット上でのジェンダーバイアス
Wikipedia
Wikipedia日本語版には「ウィキペディアにおけるジェンダーバイアス」の記事がある。その記事によれば、2011年の調査において、Wikipediaの編集者の91%が男性であったそうだ。
このため、Wikipediaの記事は男性側の立場に偏った視点から記載されている恐れがある。
ニコニコ大百科
投稿や編集される記事の傾向から判断して、ニコニコ大百科の編集者にも男性が多いようだ。
そのため、ニコニコ大百科の記事もまた、男性側の立場に偏った視点から記載されている恐れがある。
しかし、細かいことを調べたり、正確な知識にこだわりを持ったり、自分の知識を公に発表したがるタイプは男性の方が圧倒的に多い。事実よりも共感を重視する女性にとっては、事実を書き連ねるWikipediaやニコニコ大百科の編集作業は向いていないと言えるかもしれない。それゆえ、このようなジェンダーバイアスがかかるのは構造的な問題であると捉えることもできる(もっとも、この記述自体がジェンダーバイアスを孕んでいる点も否定できない)。
関連動画
関連リンク
関連項目
脚注
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