曖昧さ回避
1.ジェームズ・スタンリー・ホール - アメリカのジャズギタリスト。
2.ジェームズ・エリス・ホール - アメリカのエンジニア兼レーサー。シャパラル・カーズの創始者。
3.ジム・ホール - 1872~1875年にブルックリン・アトランティックスでプレイしていたメジャーリーガー。二塁手/外野手だったらしいが、時代のせいか出身地不明で投打(右投げ右打ち等)も不明と謎が多い。
本項では1.について記す。
概要
ジム・ホール(Jim Hall)とは、1930年12月4日アメリカ合衆国ニューヨーク州バッファロー生まれのジャズ・ギタリストである。
都会的と称されるサウンドと落ち着いた独特の歌いまわしが特徴的なため、あまりそういう風には感じないが、優れたタイム感から繰り出される自由度の高いインプロヴィゼーションや、時に見せるアヴァンギャルドな一面からもわかるように、かなり挑戦的で好奇心旺盛なギタリストである。
ハーブ・エリス、タル・ファーロウ、ウェス・モンゴメリーなどの出現に悩まされるなか、数多くの作品に参加、多くのミュージシャンと共演し影響を受けながら、独自のスタイルを確立させた。
後進のジャズ・ギタリストに大きな影響を与え、現代ジャズ・ギターの原点とも呼べる存在である。
米ジャズ専門誌「ダウンビート」の、国際ジャズ批評家投票ギター部門において第一位に14回も選出されるという最多受賞記録を持っている。
略歴
1930年ジム・ホール誕生。
音楽一家の下に生まれ育ち、10歳の頃親からプレゼントされギターに親しむようになる。
高校在籍時にはスクールオーケストラに所属し、高校卒業後はクリーブランド音楽院へと進学する。
音楽院ではギターと平行して、作曲・編曲を中心とした音楽理論を学ぶが、
本格的にギタリストとして活動するため音楽院を中退、ロサンゼルスへと進出する。
(実は、スクールオーケストラ在籍時からこの頃までベースもプレイしていたらしい。)
1955年中古音楽店でアルバイトをしながらクラシック・ギターを学んでいたところ、
チコ・ハミルトン直々の推薦でチコ・ハミルトン楽団に加入、ジャズの第一線で活動するようになる。
1957年初のリーダー作『Jazz Guitar』を録音。また、この頃ソニー・ロリンズと出会う。
1959年エラ・フィッツジェラルドの南米ツアーに参加、”ボサノヴァ”と呼ばれる音楽と出会う。
1960年エラ・フィッツジェラルドのライブ名盤『Ella In Berlin』の録音に参加。
1961年兼ねてから交流のあったジョン・ルイスの仲介でソニー・ロリンズの作品『Bridge』の録音に参加。
1962年ビル・エヴァンスとのデュオ、名盤『Undercurrent』を録音。
またこの頃、ボサノヴァを知っている関係でサイドメンとしての活動がさらに活発化、
ポール・デスモンドやソニー・ロリンズ、アート・ファーマーの作品に参加。
1964年結婚。このため、家を長い間空けられなくなり長期のツアーをしばらく休止するようになる。
スタジオでの仕事が中心となり、3年半ほどテレビ局のトーク・ショーのバックバンドに参加する。
1969年実に12年ぶり、第二作目のリーダー作となる『It's Nice To Be With You - Jim Hall In Berlin』を録音。
1972年ロン・カーターとのデュオ『Alone Together』録音。
1975年最も有名なリーダー作『Concierto』を録音。世界的にヒットする。
この頃から、多くのリーダー作品を残し始める。
1980年代に入ってからは、再びロン・カータとのデュオで82年『Live At Village West』、84年『Telephone』を発表。
また、ミシェル・ペトルチアーニとウェイン・ショーターとのトリオで86年『Power Of Three』を発表したりと
さまざまな編成で活動する。
そして、1989年『All Across The City』でエフェクターやシンセサイザーを導入。
それまでのジムのスタイルからエフェクターの使用は考えられなかったが、トロンボーン奏者の友人に曲を書いてもらったときに、
楽譜と一緒にエフェクターを使ってくれと言った旨のコメントが付いてきたのがきっかけで使うようになったと本人は語っている。
以降1990年代から現在に至るまで、1993年ソロ・ギター作品『Dedications and Inspirations』、
96年新境地『Textures』など、新しい試みを盛り込んだ意欲作が多く見られるようになり、若手らとの共演も増え、
老いてなお盛んな姿を見せていた。
2013年12月4日、83歳の誕生日を迎えるが、それから約1週間後の12月10日、マンハッタンの自宅アパートでその生涯を終えた。
現代ジャズ・ギターの原点たる要因
ジム・ホール自身が現代・ジャズギターのスタイルを作り上げた、現代・ジャズギターの開祖と呼べる確固たる存在であるから
・・・というわけではなく、現代・ジャズギターの代表格であるパット・メセニーやジョン・スコフィールドらのスタイルにジム・ホールの影響が大きく見られ、また、パット・メセニーらがそのことを公言していることが、ジム・ホールが現代ジャズ・ギターの原点たる要因といえる。
作品紹介
|
■データ 1957年作品 ジム・ホール(g)、カール・パーキンス(p)、レッド・ミッシェル(ba) ■概要 ジム・ホール初のリーダー作。 チャーリー・クリスチャンからの影響が見て取れる作品。 当時、ジム・ホールは27歳・・・この頃から頭を使って演奏していたことがわかる(アルバムアートワークから)。
|
■データ 1962年作品 ビル・エヴァンス(p)、ジム・ホール(g) ■概要 ジム・ホールが参加した作品の中で有名なものの一つ。 のちにジムは「(ビルには)まるで、私がプレイすることが、すべて予測できているかのようだった、彼は頭の中に私を住まわせているんじゃないか、そんな感じがしたね。」と語っている。 |
|
|
■データ 1967年作品 ジム・ホール(g)、ジミー・ウッド(ba)、ダニエル・ユメール(ds) ■概要 12年の間、様々なセッションに参加し100以上の作品に参加したといわれるジム・ホールは、この作品ですでに独自のスタイルを確立させている。 |
■データ 1972年作品 ■概要 2人とも得意とするジャズスタンダードを、相性バッチリに歌い上げた作品。
|
|
|
■データ 1975年作品 ジム・ホール(g)、チェット・ベイカー(tr)、ポール・デスモンド(as)、ロン・カーター(ba)、スティーブ・ガッド(ds)、ドン・セベスキー(arr) ■概要 参加メンバーがやたら豪華なジム・ホールで最も有名な作品、世界的にも大ヒットした。 一応、ジム・ホールのリーダー作であるが、セベスキーの編曲が全部持っていちゃった感じの作品で、イージー・リスニング色が強く、ジャズ初心者にはおススメだが、ジム・ホールを聴きたいという方にはおススメできない。 |
「LIVE!」 ■データ 1976年作品 ジム・ホール(g)、ドン・トンプソン(ba)、テリー・クラーク(dr) ■概要 暗く美しくそして自由な演奏はアバーク・ロンビーに通ずるものを感じる。 ジム・ホールをはじめて聴くという方におススメの一枚。
|
|
|
■データ 1989年作品 ジム・ホール(g)、ギル・ゴールドステイン(keyb)、スティーブ・ラ・スパイナ(ba)、テリー・クラーク(ds) ■概要 1930年生まれのジムホールが、なんとエフェクターを使用しシンセを起用した驚くべき作品。 これで味をしめたのか、ジムはこれ以降新たな方向性を模索し始める。
|
関連動画
- 3
- 0pt