ジム改(RGM-79C 後期型ジム)とは、OVA『機動戦士ガンダム0083』『機動戦士ガンダムMS IGLOO』等に登場するモビルスーツである。
本記事では派生機のジム改[ワグテイル]も解説する。その他のバリエーションは下記の関連項目にて。
概要
ジム改とは一年戦争末期にロールアウトした後期型ジム(ジムC型)である。
後期生産型ジムの技術をリファレンスした機体で、乱立したジム系の規格・設計をジム改として統合する趣きが強く、本機のロールアウト後にも統合と改良が進められた。
戦後に生産されたイメージも強いが、実際にはU.C.0079年11月下旬に初期型がロールアウト済みで、ジャブロー直轄のMS教導団「ネメシス」などのアグレッサー部隊が運用していた。
12月以降に宙域戦仕様の配備が進み、最終局面のア・バオア・クー攻防戦において一定数の先行量産型が投入され、軍部の期待に沿う戦果をあげた。
ジム改の先行量産機のパイロットは操縦技術に優れる者も多い。中でも激戦のソロモン攻略戦とア・バオア・クー攻防戦を誰一人として死ぬことなく戦い抜いた「不死身の第四小隊」が有名。
開発経緯
主力量産機「RGM-79」には大別して先行試作量産型、前期生産型、後期生産型が存在する。
連邦は前期生産系の性能を上回る次期スタンダードの後期生産系を各工廠で開発させた。情報・技術共有は積極的に行われ、オーガスタ製のD型やルナツー製のE型は特に優秀な設計だった事もあり、各生産拠点で製造されたジムの設計も採り入れることになった。
このような開発経緯を経て、ジム系の次期スタンダードとして採用されたRGM-79C 後期型ジム(通称:ジム改)は、ジム系のスペックを大きく押し上げるに至った。
機体構造
ジム改の全体的な設計はルナツー製のRGM-79E(初期型ジムの元となった構想)に由来する。
頭部の内装はD型/G型の構造も取り入れているが、一説にG型の技術採用機は戦後の機体のみとも言われ、この戦後モデルでは精度と量産性の高いデバイス・センサー類を導入し、コ・プロセッサーフレームなど一部の構造を簡略化、余裕の出来た内部構造で頭部バルカンの装弾数も改善されている。
一年戦争の時点でジム改をベースとした派生機も存在し、陸戦用のインファイトモデル「ジム・ストライカー」がロールアウトしている。ストライカーはジム・スナイパーⅡと並び戦中のジム系で最高峰と評されている。
戦後、ジム改はジム改高機動型を経てRMS-179 ジムⅡ(ティターンズ仕様)の開発の一助となった。
後期型ジム(IGLOO版)
OVA『機動戦士ガンダムMS IGLOO』に登場。ア・バオア・クー戦で投入された後期型と呼ばれるジム。
型式番号はRGM-79C。
戦後に開発されたジム改と諸被りであることで当初から議論を呼んだ機体。
ジム後期生産型の歴史
少し焦点は変わるが、後期生産型ジム系のやや複雑な設定変遷を辿っていきたい(まぁと言ってもジム改以外はあまり変わってはいないが)。
- モデルグラフィックス1990年5月号より『センチネル0079』という企画が全2回に渡り掲載されたが、その企画で後期生産型ジム(いわゆるジムver.Ka)がデザインされている。後期生産型はOVA「ポケットの中の戦争」のジム寒冷地仕様、ジム・コマンドの整合性を取るための中間デザインの機体である。
- 後のOVA「機動戦士ガンダム0083」において、カトキハジメにリファインされた後期生産型ジムをRGM-79C ジム改として登場させた。
- 後のOVA「08MS小隊」にて、ジム改のデザインをリニューアルしたジム(※1話のサンダース機)が登場した。1話のこのときはガルマ死去時(前期型すら未配備の時期)だったため、視聴者から突っ込まれた。無責任すぎる。このサンダース搭乗ジムは08小隊のリリース当時何の設定もなかったが、後にRGM-79[E] 初期型ジムという設定が追加された(ルナツー製でオーガスタ製後期生産型ジムの設計ベースになったとか)。
- 後のOVA『機動戦士ガンダムMS IGLOO』において後期生産型ジムとほぼ同デザイン同設定のRGM-79C 後期型ジムが登場し、更なる混乱を呼んだ。
- 実はイグルー版はジム改か後期生産型かといった疑問は、MGジム改説明書で既に「RGM-79C ジム改の先行量産型がア・バオア・クー戦で投入された」という答えが載っている。バンダイ・サンライズ側でジム改の先行量産機が企画され、それをイグルーで登場させたと見るべきだろう(プラモの発売日的に)。
- IGLOO公式サイトにRGM-79C ジム改と記載され「C」型は後期型ジムに付けられる符号でジム改の先行量産機という説が強まった。
- 漫画「俺ら連邦愚連隊」によると後期型ジムの通称がジム改であるらしい。
- 書籍「マスターアーカイブ RGM-79」で乱雑な設定が整理、編纂される。さらに後期生産型の設計にも流用されたE型(初期型の元設計)、D型(寒冷地仕様の母体)の設定が追加された。
武装
プラモで詳細な設定が追加されたドッカブルタイプの銃を携行。
用途に合わせてバレルや弾種の変更が可能なホリフィールド・ファクトリー・ウエポンズ社製で、このモデルに採用されたガンシステム(換装システム)は以下の仕様に換装されている。
- 「HWF GR・MLR79-90mm ロング・ライフル」
- 狙撃特化仕様。完全フローティング式で、狙撃時にはバイポッドを展開し重心の安定を図る。マガジンは120発の収弾能力を持ち、ガンシステムという設計思想から通常ライフルとロングレンジライフルの長所を足したような銃となっている。ジム・スナイパーⅡも携行した。
- 「HWF-GMG・MG79-90mm ジム・マシンガン」(ブルパップ・マシンガン)
- ジム・コマンドや初期型ジムも携行したモデル。キャリングハンドル前方にビデオカメラとレーザーセンサーのボックス式センサーを搭載。センサーと連動した高いターゲット補足能力を有する。
- 「HWF-GR・MR82-90mm ジム・ライフル」
- ジム・クゥエルやジム・カスタム、ヘイズル2号機等も携行した90mmケースレス弾。
このほかボウワ社が開発した頭部センサーに依存しないBR-M-79C-3 ビーム・スプレーガン(ボディに狙撃用センサーを取り付けた命中精度向上モデル)とルナツー系標準のビーム・サーベルを装備した。
防御用に対実弾性能に優れたRGM-M-Sh-007 対MS戦用シールド改を腕部ラッチに咬ませている。Sh系はリアシールドにウェポンラッチが用意され、各兵装の装着が可能。ただし、材質は前期モデルのルナ・チタニウム合金からチタンセラミック複合材に退化している。
ジム改[ワグテイル]
アニメ『機動戦士Ζガンダム』の公式外伝『ADVANCE OF Ζ』に登場。
ティターンズの新型機「ハイザック」との戦闘で中破したヴァン・アシリアイノのジム改を修復ついでに近代改修した機体。機体名称はセキレイに由来する。
改造はスポンサー(アナハイム社)から送られてきたジムⅢ計画のスピンアウト品、[ワグテイル]ユニットをジム改に強引に取り付けた形となる。
バックパックと両肩部スラスターを増強している他、脚部フレームを延長し、プロペラント・タンクの増設ならびに新型の熱核ロケットエンジンを搭載し、ジム改から大幅に強化された。結果的に機動性は大きく上昇したものの、素体の性能とのバランスが災いし“暴れ馬”と揶揄されるほど扱い辛い機体に仕上がった(それでもジム改のフレーム強度が不安であるためユニットの出力を抑えているのだが)。
武装は三連バースト可能な専用の強化ビーム・ライフル、シールド裏にビーム・サーベルを2本収納。
作中ではヴァンがシミュレーションを繰り返し教育コンピュータにモーション・コントロールプログラムを構築し、徐々に最適化された。ピーキーさ加減は彼の予想を大きく上回っていたが、ヴァンは[ワグテイル]を物にしてエース級の目覚ましい戦果をあげていく。敵対するロスヴァイセからは“青カエル”と呼ばれている。
後に中破したため大幅な改修措置が取られ、ワグテイルⅡとなってジムの名称が外れている。
ジム改[ケラウノス所属機]
ワグテイルのベース機。ケラウノスに搭載されたジム改をヴァンとロープス・アキヤマがティターンズの追撃に備えて急遽組み立てた機体。
ベースはジム改だが、パーツ不足のためジム・コマンド等のパーツを一部使用している。そのため形状はジム改から大きく変わった。ただし基本スペックは通常機と大差ない。ルシアンいわく「廃棄寸前のジム改を予備パーツで組み立ててリニアシートをぶち込んだだけ」。
新兵同然のヴァンはこの旧式機で当時の新型機「ハイザック」を撃破してみせたが機体は中破。後に[ワグテイル]へと改修された。
関連動画
関連項目
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