ジャマダハル(jamadhar)とは、北インドやペルシアで使われていた特殊な刀剣である。英語ではブンディ・ダガー(Bundi dagger)とも呼ばれる。
概要
コの字型をした柄の平行な2本の枠の間に、1本ないし2本のグリップが刃と垂直方向に渡されている。この形状によって、装備すると握りこんだ拳の先に刃が伸びる形になり、拳を突き出すことで正拳突きの要領で相手にダメージを与えることができる。斬りつけることよりも刺突することに重点を置いた短剣であり、鎧などの重装備を貫き通すのに用いられる。また、二刀流において利き手以外の手に持ち、攻撃を受け流すためにも使われることがあった(このような使われ方をする短剣を総称してマインゴーシュ[1]という)。
剣身はまっすぐなものが一般的だが、二又や三又などにわかれているもの、S字状に湾曲したものなどのバリエーションがある。
鞘は多く皮で作られ、貴金属や木彫りなどの装飾が施されていることもある。
これを元に改良された武器にインド西部のマハラシュトラ地方に住むマラータ族によって使われていたパタ(Pata)があり、長い両刃剣のついた籠手のような形状をしている。
カタールとの混同
西洋を中心に、ジャマダハルは別種の刀剣である「カタール(カターラ)」の名前で呼ばれることが多い。
カタールは本来インドに古くからあるポピュラーなタイプの短剣であるが、ムガル帝国のアクバル大帝に仕えた記録官アブル・ファズルによる歴史書『アーイーネ・アクバーリー』において、カタールとジャマダハルの挿絵が取り違えられて掲載されたものがそのまま欧州に伝わってしまったために、カタールの名前で広く知られることになった。
このため西洋のファンタジーをベースにしたRPGなどで、ジャマダハルの形状をした刀剣がカタールと呼ばれていたり、ジャマダハルがカタールの一種とされていたりする。
創作作品におけるジャマダハル
- ファイナルファンタジーXI
格闘武器のひとつとして「ジャマダハル」があり、「カタール系」という武器系統に属している。カタール系武器のいずれもグラフィックは実際のジャマダハルに類する形状で統一されている。 - ラグナロクオンライン
武器のカテゴリのひとつとして「カタール」があり、その中に「ジャマダハル」という武器がある。その形状はアレンジがかかっているものの基本的には本来のジャマダハルのもので、これはジャマダハル以外のカタールのカテゴリに属する武器すべてに共通する。 - メイプルストーリー
短剣として、「三角ジャマダハル」「半月ジャマダハル」「三枝ジャマダハル」「メイプルジャマダハル」が登場する。それぞれ、まっすぐな刃、半月状の刃、3つの刃、紅葉の葉のように5つにわかれた赤い刃をもち、ジャマダハルそのものもしくはそれを発展させた形状となっている。このほかにも「リーフクロー」や「キルリック」など、ジャマダハルの名こそないものの、ジャマダハルをベースにしたような武器も登場する。 - ドラゴンクエストシリーズ
登場する武器の一つ「ドラゴンキラー」がジャマダハルをモデルにした形状をしている。これは刃がV字に近い形状をしていて、その間にグリップが渡されている。 - ソウルキャリバー
登場キャラクターのひとりヴォルドが、シェイム&ブレイムという名を持つ一対のジャマダハルを装備している。刃が3つにわかれており、それぞれ柄が金色と銀色をしている。なお作中では「カタール」として扱われている。 - パワプロクンポケット12
「裏サクセス 秘密結社編」に暗器として登場。「刃とにぎりが直角になった大型短剣」と紹介されている。
関連項目
脚注
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