ジャンタルマンタル(Jantar Mantar)とは、2021年生まれの日本の競走馬である。黒鹿毛の牡馬。
競馬ファンからの愛称は「ジャンタル」または「タルタル」。
主な勝ち鞍
2023年: 朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)、デイリー杯2歳ステークス(GⅡ)
2024年: NHKマイルカップ(GⅠ)
2025年: 安田記念(GⅠ)
概要
父:*パレスマリス、母:*インディアマントゥアナ、母の父:Wilburnという血統。
父は2013年のベルモントステークスなどG1を2勝。母*パレスルーマーが日本に輸入され、日本での半弟に2023年のステイヤーズSを勝ったアイアンバローズ、2023年の天皇賞(春)を勝ったジャスティンパレスが出ている。種牡馬としては初年度から2019年のBCジュヴェナイルターフを勝った*ストラクターを出し、その*ストラクターが2023年から日本で種牡馬入りしたのに続いて、自身も2024年から日本で種牡馬入りした。
母は2018年の米G3レッドカーペットHの勝ち馬。繁殖牝馬として輸入された時に受胎していたのが初仔である本馬で、ジャンタルマンタルは昔で言うところの「持込馬」にあたる。
母父ウィルバーンは米G2インディアナダービーの勝ち馬で、種牡馬としてはアメリカで重賞勝ち馬を複数出している。
2021年3月21日に北海度千歳市の社台ファームにて誕生。馬主は社台レースホース。募集価格は1口75万円×40口(=3000万円)であった。
所属はショウナンパンドラやナミュールを手掛けた栗東の高野友和厩舎。
馬名の由来は、18世紀後半にインドで建造された天体観測施設(ジャンタル・マンタル)。
戦歴: ジャイプルから星は見えるか
2歳
10月8日に京都芝1800mの新馬戦にて鮫島克駿騎手を鞍上にデビュー、2番人気の支持を集めた。道中は好位を追走して直線で抜け出すと、2着に2馬身半差を付けて勝利して、デビュー戦を完勝で収めた。
続いてデイリー杯2歳ステークスに1番人気で出走。道中は中団の内を追走して、直線でポッカリ空いた内から鋭い脚で抜け出し、2着のエンヤラヴフェイスに2馬身差を付ける完勝で重賞初制覇を果たした。
そして迎えた2歳マイル王決定戦朝日杯フューチュリティステークスに1番人気で出走。鞍上は川田将雅騎手へ乗り替わりとなった。レースは中団の内で追走。出遅れたシュトラウスが早めに進出する展開となるが同時に脚を貯め、最終コーナー内からスルスルと前に出て直線へ。抜け出してから外に持ち出されつつも後続を抜かせない競馬で押し切り、2着エコロヴァルツに1馬身1/4差を付けて勝利。無傷の3連勝でGⅠ初制覇を果たして、無敗の2歳マイル王の座に輝いた。
父Palace Maliceを日本に導入することにしたダーレー・ジャパンにとっても嬉しい勝利となり、これに関してコメントを寄せている。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/DarleyinJapan/status/1736279569026707887
この年は朝日杯含め無敗で重賞2勝。もう一つの2歳GⅠホープフルSを勝ったのが牝馬レガレイラだったこともあり、文句なしのJRA賞最優秀2歳牡馬を受賞した。
3歳
3歳はクラシック路線に進み皐月賞を目指す方向で調整される。始動戦は前月の共同通信杯で新馬戦以来の1800mと、2000mの本番を見据えた舞台になった。相手の実績は朝日杯で破ったエコロヴァルツが目立つ程度で本馬が1番人気となった。
ゲートはそこそこ出たが、鞍上の川田は2000mを見据え馬群に入れて中団からの競馬を選択。1000m62秒7の超スローになったこともあり、かなり力んで口を割る場面もあったがなんとか我慢して4番手で直線を回る。直線外から伸びはしたが、2番手につけていたキャリア1戦のジャスティンミラノに突き放されてしまい1馬身半差の2着。初黒星を喫した。
路線について高野師が含みを持たせた発言をしたりもしたが、予定通り皐月賞へ直行。相手は前走負かされたジャスティンミラノ、前述のホープフルSを勝ち76年ぶりの牝馬勝利を狙うレガレイラ、そのホープフルS2着の超良血シンエンペラー、毎日杯で6馬身差で逃げ切りを決めたメイショウタバルなどハイレベルなメンバーが揃った。本馬は前走の結果から若干距離が不安視され、単勝6.1倍の3番人気となった。
染め分け帽の4枠8番から出走。抜群のスタートを決め、主張するメイショウタバルは先に行かせて3番手の好位を獲得。前走より折り合って順調……かに見えたが、前が1000m57秒5の爆逃げをかましており、1000m58秒~59秒で全馬が走破する超ハイラップに巻き込まれていた。
4角で追い出されて2番手で直線を向き、力尽きた逃げ馬をあっさりかわし一時は後続に3馬身近いリードを取った。しかし残り1ハロンあたりから徐々に手応えがなくなり、100mほどで完全に失速。そこへ外から飛んできたジャスティンミラノと弥生賞勝ち馬コスモキュランダに襲いかかられ、一瞬でかわされてしまい3着に敗戦。目標にしてきたクラシック初戦を落とした。しかし前述の通り1000m57秒5、勝ち時計はコースレコードの1分57秒1という猛時計の中、早め先頭から粘って3着を死守しており2歳王者の意地は示した。鞍上の川田も「最優秀2歳牡馬を獲った馬として素晴らしい走りをしてくれていると思う」とレースぶりを高く評価した。
今後の路線について、高野師はダービーかNHKマイルカップか経過をみて決めるとコメントしていたが同週中にNHKマイルカップへの参戦が発表された。同競走には阪神JF勝ち馬で桜花賞2着のアスコリピチェーノも出走し、レース史上初めて2歳王者と2歳女王が激突。人気も拮抗し、本馬は最終的に2番人気と発表されたが単勝オッズはアスコリピチェーノと同じ2.9倍と完全な二強体制となった。
8枠16番から抜群のスタートを決め、スムーズに3,4番手を確保。淀みない流れの中で逃げ馬を見るように進み、そのまま外の3番手を回って直線を向く。鞍上の川田はしばらく持ったままタイミングを待ち、残り300mあたりから追い出される。ここから上がり2位タイとなる33秒9の末脚を繰り出して一気に後続をちぎり捨て、一時進路を失いながらも内で盛り返したアスコリピチェーノを2馬身半突き放しての完全勝利。マイルでは3戦無敗とし、適性の高さを見せつけた。
後日JRAから発表されたレーティングは何と118。2004年のキングカメハメハが出した数値を上回りレース最高値を更新、今後のマイル戦線の主役として対古馬にも弾みをつける勝利となった。
秋は富士Sから始動予定だったが、熱発のため回避を余儀なくされた。それでも先に登録していた香港マイルの招待を受諾して出走したが、出遅れや不利が重なったこともあってブービー13着と大敗し、悔しさの中3歳を終えることになった。
4歳
4歳初戦は春のマイル王者決定戦の安田記念へ直行。1番人気はG1ドバイターフにて香港の英雄ロマンチックウォリアーを8mm差で破り、これが凱旋レースとなった前年マイルCS覇者ソウルラッシュ。ジャンタルマンタルは長期休養明けであったが、これに次いで2番人気に支持される。5枠10番からスタート、道中3番手付近で走り、前半は46秒7と、45秒台になることも珍しくない安田としては遅めのペース。直線で早々と抜け出すと、後ろから追ってくるガイアフォースとソウルラッシュを寄せ付けず、2着ガイアフォースに1馬身半差つける完勝。1年1ヶ月ぶりの勝利でGI3勝目をあげた。鞍上の川田はゴール後珍しくガッツポーズ。インタビューによると、長年身体の調整を助けてくれている人から「次GI勝ったらガッツポーズしてくれ」と依頼されていたらしい。
ここまでジャンタルマンタルが制したGIはすべて芝のマイル戦なわけだが、牡牝混合の中央競馬芝マイルGIを3勝以上したのは
- ニホンピロウイナー (1984年・1985年マイルチャンピオンシップ、1985年安田記念)
- タイキシャトル (1997年・1998年マイルチャンピオンシップ、1998年安田記念)
- ダイワメジャー (2006年・2007年マイルチャンピオンシップ、2007年安田記念)
- グランアレグリア (2020年安田記念、2020年・2021年マイルチャンピオンシップ)
という錚々たる面子であり、ジャンタルマンタルはそれに続く5頭目の達成馬となった。
そして意外にもNHKマイルカップ優勝馬が安田記念を勝利するのは史上初。数々の名マイラーたちが何故か達成できなかった勝ち鞍の組み合わせを成し遂げ、現役最強マイル王の座に戴冠した。
また、馬主の社台レースホースにとって安田記念の制覇は1986年安田記念(ギャロップダイナ)以来39年ぶりとなった。中央2歳GI競走が3つになって以降、3競走すべての勝ち馬がのちにさらなるGIタイトルを手にした[1]年が出たのも初めてである。
参考: 1984年以降の2歳GI級勝ち馬のその後のGI級勝ち実績
今後は未定。海外の可能性も含めて陣営で話し合うそうで、マイルチャンピオンシップへ牡馬の取れる国内芝マイルGIの完全制覇に乗り出すのか、はたまた再び海外へ飛び出すのか。報告を楽しみに待ちたい。
血統表
*パレスマリス Palace Malice 2010 鹿毛 |
Curlin 2004 栗毛 |
Smart Strike | Mr. Prospector |
Classy'n Smart | |||
Sherriff's Deputy | Deputy Minister | ||
Barbarika | |||
*パレスルーマー 2003 鹿毛 |
Royal Anthem | Theatrical | |
In Neon | |||
Whisperifyoudare | Red Ransom | ||
Stellar Affair | |||
*インディアマントゥアナ India Mantuana 2014 黒鹿毛 FNo.9-e |
Wilburn 2008 鹿毛 |
Bernardini | A.P. Indy |
Cara Rafaela | |||
Moonlight Sonata | Carson City | ||
Wheatly Way | |||
Speed Wagon 2003 青毛 |
Tomorrows Cat | Storm Cat | |
Tomorrow's Child | |||
Rajica | El Baba | ||
Brassica |
クロス:Mr. Prospector 4×5(9.38%)
関連動画
関連静画
関連項目
脚注
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- アスコリピチェーノ
- アマンテビアンコ
- アンモシエラ
- アーバンシック
- エトヴプレ
- ガビーズシスター
- オベイユアマスター(競走馬)
- シュトラウス(競走馬)
- ゴンバデカーブース
- サントノーレ
- サンライズジパング
- シティオブトロイ
- シュガークン
- シンエンペラー
- シンメデージー
- ジャスティンミラノ
- スウィープフィート
- ステレンボッシュ
- ソーピードアンナ
- ダノンデサイル
- チェルヴィニア
- テーオーパスワード
- ハヤテノフクノスケ
- ピューロマジック
- フィアースネス
- フォーエバーヤング
- フジユージーン
- プリフロオールイン
- ボンドガール
- ミスティックダン
- メイショウタバル
- ラムジェット
- レガレイラ
- レライタム
▶もっと見る
- 8
- 0pt