ジュラシック・パーク(Jurassic Park)とは、マイケル・クライトン作の小説、及びそれを原作とする映画。
概要
バイオテクノロジーによって現代によみがえった恐竜達が、遊園地内で飼育されるはずが暴走し、人々を追い詰めていくという物語。
1990年に小説が発表され、1993年にスティーヴン・スピルバーグ監督により映画化され世界的な大ヒットを記録した。
小説の続編として『ロスト・ワールド -ジュラシック・パーク2-』、映画の続編として『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『ジュラシック・パークIII』『ジュラシック・ワールド』『ジュラシック・ワールド/炎の王国』『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』がある。
また1993年、1997年、2003年にはセガによってゲーム化され、2011年にはTelltale Gamesによってゲーム化されている。
本項では、小説・映画『ジュラシック・パーク』のほか、それぞれの続編について記述する。
ニコニコ動画ではテーマ曲(ジョン・ウィリアムズ作曲)関係の動画がいくつかあげられている。
あらすじ
大富豪のハモンドは膨大な資金を投入して、琥珀の中に閉じ込められた中生代の蚊から恐竜の血を採取、それを元にDNAを解析し、恐竜のクローンを作りだすことに成功した。
彼は作り出した恐竜達を目玉にした一大テーマパーク「ジュラシック・パーク」を太平洋の孤島に作った。しかし開園直前、産業スパイの暗躍により、パークのシステムがダウンしてしまう……。
小説
1990年という、一般にバイオテクノロジー・遺伝子・DNAなどの単語が知られ始めた時期に発表されたSF小説。
恐竜という誰もが知り、一度は憧れたはずの巨大生物を科学を以って現代に蘇らせるという魅力的な題材と、それによって蘇った恐竜たちに追い詰められていく人間の恐怖を描いたSFパニック小説である。
当時の最先端の科学技術を取り込んでいるほか(現在となっては矛盾点などが少なからず見つかっている)、生命の行動・発展に関してのカオス理論が物語の主軸となっており、さらに人間が命を勝手に作っていいのかという倫理の問題なども物語を彩るキーワードとして登場するなど、小説版を読むにはそれ相応の知識と理解力が必要になる。
映画版
1993年公開。スティーヴン・スピルバーグ監督。
カオス理論など原作者が小説でテーマとしていた部分は排除され、同監督の『ジョーズ』や『激突!』にも似た怪獣パニック映画として製作された。
一部登場人物の性格と生死が変更されており(原作では成金主義のクソ爺として死ぬハモンドが、明らかにスピルバーグ自身をモデルとした子供好きの好々爺として最後まで生き残るなど)、登場する恐竜の数も限定されている。
タイトルロゴや、作品内でのテーマパークのロゴには、ティラノサウルス・レックスのシルエットが象徴的に描かれているが、作品内で人々の脅威となるのはむしろヴェロキラプトルの方である。
スピルバーグの迫力ある演出、ジョン・ウィリアムスによるロマンと恐怖の両方を掻き立てる音楽、そしてILMによる当時最先端のCG技術と、ストップモーションの大家フィル・ティペットのモーション監修によって描かれた恐竜の生き生きとした動きと恐ろしい迫力が観客を魅了し、全世界で9億ドル以上の興行収入を記録した。
1991年公開の『ターミネーター2』と並び、映画によける特殊技術の主役が、アナログ的なストップモーション技術から、コンピューターを用いたVFXへと移る決定的な転機となった。
実際、ストップモーションの大家であったフィル・ティペットが招聘されていたものの、ILMが作成したフルCGの恐竜の方が遥かに迫力があったために降板となっている(ただし恐竜がすべてCGであるわけではない。またティペットは、恐竜のモーションの監修という立場でやはり作品には深く関わっており、アカデミー視覚効果賞を受賞している)。
映画シリーズ
- ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク- 1997年
スピルバーグが再び監督し製作した続編。インディ・ジョーンズシリーズを除けば、彼が自身の監督作品の続編を監督した唯一の作品。
マルカムを主人公に置き、さらに危険なエリア「サイトB」に人間達が探索に入る、という大筋は小説版と一緒だが、終盤ではとうとうティラノが島から運び出された末、サンディエゴの市街地で暴れまわる、という『キングコング』や『ゴジラ』のような怪獣映画としての展開を見せた(そして翌年には『GODZILLA』とかいう映画に逆輸入された)。
全世界で6億ドルの興行収入を得たものの、スピルバーグ作品としては唯一のラジー賞ノミネート作品となった。
より詳しくは「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」を参照。 - ジュラシック・パークIII- 2001年
スピルバーグが製作総指揮に回り、後に『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』を監督するジョー・ジョンストンが監督した。
グラント博士が主人公ではあるものの、登場人物の殆どは新規キャラで、ハモンドの財閥のような巨大な組織も登場せず、小型飛行機で「サイトB」に突入し逃げ惑うという、殆ど外伝的なパニック映画となっている。
ティラノサウルス・レックスを上回る強敵として、スピノサウルス・エジプティアクスが登場し、序盤、ティラノに圧勝する場面がある。ただし、実際のスピノサウルスはそこまで強かったかは不明。
より詳しくは個別記事「ジュラシック・パークⅢ」を参照。 - ジュラシック・ワールド- 2015年6月12日全米公開、8月5日日本公開
前作から14年ぶり、第1作から数えて実に22年ぶりの続編。
スピルバーグが引き続き製作総指揮を行い、監督は『スターウォーズ』シリーズやスター・トレックシリーズの監督候補にもなるなど注目を受けていた若手のコリン・トレボロウ。「パシフィック・リム」「GODZILLA(2014)」など巨大建造物、生物作品で実績のあるレジェンダリー・ピクチャーズが製作に加わっている。
第1作から22年が経った2015年、パテール・コーポレーションという大企業により、ヌブラル島はかつてハモンドが思い描いたとおりのテーマパーク「ジュラシック・ワールド」としてとうとう完成。毎日数万人規模の観光客が訪れるほどの一大テーマパークとなっていた。
しかし、施設の拡張と恐竜の増加、そしてマンネリ化打破のために、様々な恐竜の遺伝子を組み合わせて新たに生み出したハイブリッド種「インドミナス・レックス」が脱走。観光客であふれかえっていた島が、一瞬にして大パニックに陥ってしまう。
パークのスタッフとしてヴェロキラプトルの研究をしているオーウェンという男が主人公。前作までのキャラクターは第1作で端役だったヘンリー・ウー博士のみとなっている(ハモンドは名前と銅像が登場する)。
北米だけで6億ドル、全世界で15億ドル以上の興行収入という、シリーズ史上最大のヒットを記録した。またこれは、『タイタニック』『アバター』に次いで映画史上歴代3位(当時)であった(2020年現在は『スターウォーズ フォースの覚醒』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ/エンドゲーム』に抜かれて第6位)。 - ジュラシック・ワールド/炎の王国 - 2018年6月22日公開 7月13日日本公開
スピルバーグとコリン・トレボロウが中心となって脚本を執筆。今回はトレボロウも脚本と製作総指揮に回り、監督にはフアン・アントニオ・バヨナが就任。
前作の登場人物であるオーウェンとクレアが引き続き登場する。
なお、ユニバーサル・ピクチャーズの会長によれば、スピルバーグとトレボロウは『ジュラシック・ワールド』を3部作化する構想を持っているとのことで、三作目の『新たなる支配者』は2022年に公開される。
より詳しくは個別記事『ジュラシック・ワールド/炎の王国』参照。 - ジュラシック・ワールド/新たなる支配者- 2022年6月10日米公開 7月29日日本公開
『ワールド』三部作の締めとなる作品。監督は引き続き、コリン・トレボロウ。オーウェン、クレアの続投はもちろん、第1作のオリジナルキャストでアラン・グラント博士、イアン・マルコム博士、エリー・サトラー博士の三名も復帰する。
前作『炎の王国』で恐竜たちが外の世界に解き放たれてから4年。恐竜たちは陸に、海に、空にと世界各地に散らばり、人間の生活圏にも侵入していた…。
アトラクション
「ジュラシック・パーク・ザ・ライド」
ユニバーサルスタジオのアトラクション。USJにももちろんあり、人気アトラクションである。
映画第1作に少しだけ登場した、ジュラシック・パークのアトラクション「ジャングルリバーライド」を基にしたクルーズアドベンチャー。
ボートは劇中のものを忠実に再現しており、巨大な草食恐竜達の姿を楽しめるほか、映画では道路にあったあの木製のゲートも、航路上に再現されている(エリアとしての「ジュラシック・パーク」の入り口にも設置されている)。
ゲスト達はボートに乗り込み、恐竜達の姿を楽しむクルーズへと出かける。
クルーズ序盤では温厚な草食恐竜達がゲストを出迎え、その迫力ある巨体をゲスト達は間近に楽しむ。
しかし、クルーズ途中にトラブルが発生し、ゲスト達のボートは航路を外れ、発電所の方へと流されていく。
そこでは、何とヴェロキラプトルなどの危険な肉食恐竜達が檻から逃げ出し暴れていた。係員たちも、次々に恐竜の餌食になっていく(ちなみに、コンプソグナトゥス達が引っ張り合っているズタボロの所員服には「Mickey」という名前が書かれている。他意はあるのか) 。
そして発電所の中を逃げ惑った末、とうとうボートの前にティラノサウルス・レックスが現れる。そしてボートはそのまま……。
USJのアトラクション・ショーの中では、ウォーターワールドに次いでおそらく一番びしょびしょになる。
売店や自動販売機で安いカッパが売られているため、濡れたくないならこれを買ったほうが無難。
「ザ・フライング・ダイナソー」
2016年3月18日より稼働予定の、USJの新アトラクション。
「ザ・ライド」と異なり、USJが独自に製作したオリジナルのアトラクションである。
ジュラシック・パークの新たなアトラクションとして、プテラノドンの足につかまって(というより背中を捕まえられて)自由に大空を飛び回るツアーが開発された。ゲスト達はさっそくこれに参加するが、いかに訓練されているとはいえそこは野生の恐竜。プテラノドン達はやがてコントロールを失い本能のままに空を飛び回りはじめ、ゲスト達は360度振り回され猛スピードでぶっ飛ばされる羽目になる……という設定のフライングコースター。
ゲストは「うつ伏せ」の状態でアトラクションに参加する。
全長1124m、最大落下高度37.8mというすさまじい規模で、これはいずれもフライングコースターとして世界最大・最高である(ただしUSJ調べ)。ちなみに他のアトラクションの落下高度は、「ザ・ライド」が25.9m、東京ディズニーランドの「スプラッシュマウンテン」が16mである。
その他
恐竜のクローン再生については、現在ではほぼ不可能とされている。
劇中では恐竜の血を吸った蚊が琥珀の中に閉じ込められていたためにクローン再生を行うのに十分な質のDNAを採取できたが、現実にはいくら保存に適した条件下であってもDNAは数百万年で完全に崩壊してしまうと判明したからである。
また、血を吸った状態の蚊が琥珀の中から見つかること自体が非常に稀である。
ただし、永久凍土の中に閉じ込められたDNAであればあるいは……という意見もある。
マンモスなどは、永久凍土の中から保存状態のいい死体と血液が見つかっており、クローン再生の可能性も決して小さくはないとされている(ただしこのマンモスは1万年程度前のものであるため、そもそもDNAの劣化の問題にひっかかっていないのだが)。
また、本シリーズにおける「恐竜」は再生の際にカエルやワニなど現代の生物のDNAを欠損部位の補完に使用しているため、厳密には「恐竜によく似たなにか」であり正確には原種とは別の生物となっている。
グラント博士のモデルとなったジャック・ホーナー博士は、現在は、恐竜の子孫である鳥類のうち、鶏の遺伝子を操作することで、恐竜に近い生物(博士は「チキノサウルス」と呼んでいる)へと先祖返りさせる研究を行っている。
関連動画
関連項目
- 恐竜
- 小説作品一覧
- 映画の一覧
- 失われた世界
- SF
- ユニバーサル・ピクチャーズ
- スティーブン・スピルバーグ
- ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク
- ジュラシック・パークⅢ
- ジュラシック・ワールド/炎の王国
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