ジョイメカファイトとは、任天堂が1993年5月21日に発売したファミコン用対戦格闘ゲームである。
概要
ファミコンでは格闘ゲームというジャンルは殆ど皆無であり、SFC発売から2年半も経ったハード末期に発売された本作はファミコンの最初で最後の格闘ゲームと言われる。(一応ここで言う格闘ゲームとは、近年の格闘ゲームに近いスタイルのゲームと定義する。)
すなわち、ジョイメカファイトはファミコン史上最高傑作の格闘ゲームなのである。
当時、ストリートファイターII(1991年)の様な格闘ゲームが大ヒットした背景があり、数々の類似品が作成された。だが、ファミコンで格闘ゲームを作る事は各モーションを記憶するメモリーが足りない為非常に難しく、この作品の登場までは皆無と言ってもよかった。
しかし、ジョイメカファイトではキャラクターをロボットにし、更にキャラクターのパーツ(頭、体、手、足)をバラバラに動作させる等の工夫をする事によって、ファミコンの性能でも違和感無く遊べる格闘ゲームを制作する事に成功している。
たかがファミコンと舐めているとビックリする完成度のゲームで、発売から20年近く経とうとしている今プレイしても色褪せる事無く、十二分に面白い内容となっている。
格闘ゲーム初心者の為にも作られているので、キャラクターのコマンド入力はどれも簡単で、もしコマンドを忘れてもゲーム中で確認出来ると言う安心設計である。なんでも、格闘ゲームでコマンドが練習出来る「練習モード」が搭載された日本で初めてのゲームがこのジョイメカファイトだとか。
小学生から大人までも安心して遊べるゲームになってはいるがやり込み度は高く、登場キャラクターは当時の格闘ゲームではあり得ないキャラクター数の36体が登場する。ストーリーモードで使用出来るキャラは8キャラだが、条件を満たせば対戦モードではボスを含めて全キャラ使用可能である。
ファミコン末期の作品と言う事もありBGMも大変素晴らしい。ファンの贔屓目を差し引いてもダチョーンステージ、ジボルステージ、ガーボーグステージ、カエンステージは名曲と言っていいだろう。
主人公キャラのロボットがピンク色で、お笑い芸人と言う設定は当時としては他のどんな格闘ゲームでも無い斬新な設定だった。(と言っても愛されるべき主人公キャラである。)
このゲームの「誰でも簡単に遊べるが奥が深い」と言う内容は、後に任天堂から発売される「大乱闘スマッシュブラザーズ」等にも当て嵌める事ができ、当時から続く、任天堂作品を代表するゲームスタイルでもある。
格闘ゲーム好きで、かつレトロゲームが好きな人なら絶対にオススメできる一本である。もちろん格闘ゲームが苦手な人にも、むしろ格闘ゲームが苦手な人にこそプレイして欲しいゲームでもある。
任天堂が発売した対戦格闘ゲームは長らくの間ジョイメカファイトのみであったが、2009年にDSiウェアで「写真で格闘!フォトファイター」という対戦格闘ゲームが発売されている(広義ではスマッシュブラザーズやアーバンチャンピオンも格闘ゲームと言えるかもしれない)。
ちなみにシステム面では、ラウンド制ではない、画面端が無い等、一風変わったシステムになっている。
ストーリー
あるところにイーモン博士とワルナッチ博士と言うロボット博士がいました。
二人は仲良くロボットを作っていたのですが、ある日、ワルナッチ博士は研究所の7体の戦闘用ロボットと共に世界征服をしようと企みました。
イーモン博士はこれを阻止する為にお笑い修行に出ていたお笑いロボットの『スカポン』を呼び出し、戦闘用ロボットに改造して戦わせるのでありました。
キャラクター
ステージ1
スカポンは主人公として最初から使用可。シテンノウであるダチョーンを除く他7体も倒すと使用出来る様になる。
操作キャラ8体を「イーロボ」、その他のキャラを「ワルロボ」という。
![]() スカポン |
![]() ホノオ |
![]() タイガー |
![]() ネオ |
![]() センジュ |
![]() サスケ |
![]() アイ |
![]() ジャイアント |
![]() ダチョーン シテンノウ |
ステージ2
多脚型のガラックや透明化するジェル等、変則的な姿や技を持つものも登場してくる。
ザコはチュートリアル画面で技の実験台として使われている。
![]() ザコ |
![]() ボコボコ |
![]() ジオ |
![]() ガラック |
![]() オールド |
![]() ジボル |
![]() ジェル |
![]() スケーター |
![]() ラー シテンノウ |
ステージ3
ジオーンはジオとボコボコをベースにして作られたと言う設定だが、実際の性能はと言うと疑問。
また、ゴーストンはステージ2シテンノウロボ・ラーの亡霊ロボらしい。
![]() レジェンド |
![]() ホバー |
![]() シェンロン |
![]() スター |
![]() ゴーストン |
![]() ギガント |
![]() ジオーン |
![]() スーパーザコ |
![]() ガーボーグ シテンノウ |
ステージ4
イーロボ8体の強化版。最後のシテンノウ・ホウオウはスーパーザコ(ひいてはザコ)の強化版だと言われている。
![]() カエン |
![]() レオ |
![]() ネイ |
![]() アシュラ |
![]() ハンゾー |
![]() ワイ |
![]() ガイアン |
![]() スカポカーン |
![]() ホウオウ シテンノウ |
著作権関係について
このゲームは「任天堂・電通ゲームセミナー」と言う企画で生まれたゲームであり、当時の制作メンバーは著作権を譲渡する契約を済ませていたつもりであったが、何故か長い間著作権の所在が不明であった。
その為、ファンも製作者も続編を切望していたにもかかわらず、続編はおろかリメイクも移植もモブキャラ出演もされる事が無く、スマブラ出場もバーチャルコンソール配信も絶望視されていた。
しかし、2007年に当時の開発メンバーの1人である江渡浩一郎氏の自宅から押印のされていない権利書が発見され、めでたく著作権譲渡が行われる事になった。熱心なファンは実に十数年振りの奇跡に燃え上がった。しかし、江渡氏も続編やスマブラ出場を期待しており、著作権の所在に疑問を持っていたと言うのだから失礼ながら実にマヌケな話である。
2008年にはWiiのバーチャルコンソールにてダウンロード販売が実現、同じく2008年発売の「大乱闘スマッシュブラザーズX」でもスカポンの公式イラストが「シール」として登場した。(当初はスカポンのアイテムに乗り込むと言うネタがあったらしいが開発中著作権問題が解決していなかった様である。)
2018年発売の「大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL」ではファイターに協力するアシストフィギュアとして、プレイアブルではないもののモーションや効果音などそのままに動くスカポンがついに対戦画面に登場した。
2019年にはNintendo Switchの有料オンラインサービス「Nintendo Switch Online」加入者向けサービスとしてジョイメカファイトがプレイできるようになり、念願のオンライン対戦が可能となった。
余談だが、ジョイメカファイトの熱心なファンが集まる某掲示板では当時の開発者本人が降臨、オフ会にも降臨という出来事があった様だ。
ちょっとした裏話
- レジェンドのソニックスローの演出は元々はプログラムミスであり、カッコ良かったので採用された。
ちなみにソニックスローからのヒールプレスは画面移動がとても激しくカッコ良い。 - レジェンドのトルネードエナジー中にスタートボタンを押すと当たり判定にバグが生じる事がある。
似た技を持つキャラでも生じる事があるがタイミングが難しい。 - マニュアルのソウサモードでジャンプ中にセレクトボタンを押しデモモードを選択してキャンセル、
再び↑を押したままソウサモードに入る。これを繰り返すと画面外までジャンプし、最終的に画面下から現れる。 - 上記のソウサ→デモ→ソウサのバグをシェンロンのゲンリュウケン使用中に行うとシェンロンが光ったままになる。
- ボコボコのハリケーンボコボコ中に↑ABを同時押しするとジャンプするのは有名だが、タイミングよくこれを繰り返すと
スムーズに斜めに空中浮遊する。 - デモモードでは教えてくれないが、飛び道具系必殺技は弾速を3段階(デモモードのコマンドが普通速度、それより速い・遅い)に調節出来る。また、一部突進系必殺技は(デモモードのコマンドより)突進距離を短く出来る。
- 他にも数キャラが隠し技を持っている。(隠しコマンド、追加コマンド入力等。上記のハリケーンボコボコは追加コマンド。)
- 没になったキャラクターが存在し、カセット内にデータが残っているらしい。
関連動画
関連項目
- 20
- 0pt