ジョーカプチーノとは、2006年4月11日日本産まれの芦毛の競走馬である。
主な勝鞍
2009年 中スポ賞ファルコンS(GⅢ)、NHKマイルカップ(GⅠ)
2011年 シルクロードS(GⅢ)
概要
父マンハッタンカフェ、母ジョーシプケ、母父フサイチコンコルドという血統。
父マンハッタンカフェは概要欄を参照。ジョーカプチーノは種牡馬入りから3年目の世代であり、同期の同じ父にレッドディザイアがいる。母父フサイチコンコルドは音速の末脚で3戦目にしてダービーを制した馬。
馬主の上田けいこ氏は冠名を「ジョー」で1971年から馬主活動を続け、母ジョーシプケ→母母ジョーユーチャリス→母母母ジョーバブーンから全て所有し続けている由緒正しき血統。
生産者のハッピーネモファームは2004年に開業したばかりで、牧場長根本明彦氏が独立前に上田氏との付き合いから開業に先立ち引退した母のジョーシプケを譲り受ける事となった。開業直後に別の牝馬にマンハッタンカフェを種付けしたが死産に終わり、フリーリターンで得たマンハッタンカフェの種付け権利をジョーシプケに使用し、ジョーカプチーノが産まれた。つまり本当の意味での初めての生産馬がジョーカプチーノとなった。
馬名の由来は冠名の「ジョー」に、コーヒーの飲み方の一つである「カプチーノ」が由来。父マンハッタンカフェからの連想でもあり、生誕直後は茶色い毛色に顔に1滴の様な白い斑点がミルクの様に見えたことから名付けられた。
山口ステーブルで育成調教が施され、世代一番の評価を受ける程の印象を与えられ栗東の中竹和也調教師に預けられる。当時は開業してまだ重賞勝ちの無い状況であったが、後に角居勝彦調教師の不祥事により管理馬を全頭預けられ、サートゥルナーリアでホープフルSを、自厩舎のアカイイトでエリザベス女王杯を制するなどコンスタントに重賞を制している。
デビュー~3歳春まで
札幌ダート1700mで武豊を鞍上に乗せデビューするが2着に敗れる。2戦目、3戦目も敗れ2歳時は終了。3歳初戦となる4戦目の中京ダート1700mで中館英二を鞍上に逃げ切り勝ちで未勝利戦を突破する。
その後はクロッカスS(府中芝1400m)に出走にするが7着に敗れる。
次走の萌黄賞(500万以下小倉芝1200m)では中竹調教師曰く「たまたま空いていた」というデビュー3年目の藤岡康太騎手に乗り替わり逃げ切り勝利。以後藤岡康太騎手が主戦となる。
その後はGⅢ中スポ賞ファルコンS(中京芝1400m)に4番人気の評価で出走。これまでとは打って変わって中団9番手からの競馬になるがハイペースで前が潰れた所を外から脚を伸ばして差し切り優勝。藤岡康太騎手、中竹調教師共に初めての重賞制覇となった。
続くGⅡニュージーランドT(中山芝1600m)は藤岡康太騎手が自厩舎のレインダンスの阪神牝馬Sへの先約があった為松岡正海騎手へと乗り替わり、レースでは積極的に逃げるが3着に敗れる。
第14回NHKマイルカップ
ここまで8戦して(3-2-1-2)の成績でGⅠNHKマイルカップに乗り込むこととなった。
この年のNHKマイルカップは重賞を2勝以上している馬がおらず本命馬不在の様相を呈していた。その中で武豊鞍上のブレイクランアウトが前走の共同通信杯でトーセンジョーダンを相手に鋭い差し味を見せ優勝し3.3倍の1番人気、2番人気に毎日杯優勝のアイアンルック、ニュージーランドTを優勝したサンカルロが3番人気に支持されていた。
その中でジョーカプチーノは39.8倍の10番人気。1600m以上の実績がダート1700mしかなく、1400m以下での実績が中心で何より3年目の若手の藤岡康太騎手の本馬を高く評価する事が出来なかったのであろうと推測される。
レースは14番人気ゲットフルマークスが大逃げを打つ中2馬身程離れた2番手を追走し3番手は更に4.5馬身離れる展開になる。前半800mを45.5秒のハイペースとなるが、前が止まらない高速馬場の2番手から34.7秒の上りを繰り出し、後続が離れていたこともあってジョーカプチーノを捉える馬はおらず、2着レッドスパーダに2馬身差を着けて優勝。タイムの1:32.4はキングカメハメハのレコードを0.1秒上回る好タイムであり、藤岡康太騎手、中竹調教師、上田けいこ氏、ハッピーネモファーム、父マンハッタンカフェ全員に初めてのGⅠ制覇を手にする記録ずくめとなった。
余談だが藤岡康太騎手の兄藤岡佑介騎手の初GⅠも9年後にケイアイノーテックでNHKマイルカップを制している。そもそもNHKマイルカップを初GⅠ制覇としている騎手は勝浦正樹、内田博幸、秋山真一郎、柴田大知(平地初・障害で2勝済)、藤岡兄弟と何故か多い。詳しく調べていないがグレード制導入以降では恐らく最多ではないだろうか。
その後
続いて日本ダービーに出走し、直前のゲリラ豪雨による極悪不良馬場の中果敢に逃げるが距離が長すぎて失速、勝馬ロジユニヴァースから9.3秒・17着アイアンルックからも3.4秒離される大差の最下位となった。
その後は放牧に出されるが疲労が中々回復しない事もあり年内は復帰出来ず、翌年前半も右前脚深管不安の為全休となり、結局戻ってきたのはダービーから1年5カ月後のGⅡスワンS(京都芝1400)となった。
レースでは前走から+38kg増の中逃げ粘るものの3着に敗れ、続くGⅠマイルチャンピオンシップも9着に敗れる。その後はOP競走ラピスラズリS(中山芝1200m)に鞍上に吉田豊騎手に乗り換えて出走し、1馬身1/4差を着け1年7カ月ぶりに優勝して4歳シーズンを終える事となった。
5歳初戦は藤岡康太騎手が鞍上に戻りGⅢシルクロードS(京都芝1200m)に単勝2.2倍の1番人気の支持を受け出走。レースではスタートダッシュが付かず出遅れるものの、外から豪快に差し切って優勝。逃げだけでない新たな境地を見出すこととなった。
短期放牧を経てGⅠ高松宮記念へ単勝2.8倍の1番人気に支持され出走。レースは好位に付けるものの、3コーナーで川田将雅騎手騎乗のダッシャーゴーゴーが斜行してジョーカプチーノの進路が塞がり藤岡康太騎手が立ち上がる不利を受ける。その影響もあって競馬にならず10着に敗れる苦い結果となってしまった。なおダッシャーゴーゴーは4着に入線するものの上記の不利を与えた影響で11着に降着することとなった。
その後もレースに出続けるもののスワンSの2着が最高で勝ち星を挙げることは出来なかった。主戦の藤岡康太騎手も持病の自然気胸が再発した影響で乗り替わりが続き、引退レースとなったGⅡ京王杯スプリングカップで最後に藤岡康太騎手騎乗で11着となり競走馬を引退する事となった。
最終戦歴は23戦6勝(6-3-3-11)。
1400m以下を得意とするスプリンターであったが、NHKマイルカップ優勝や安田記念5着等府中マイルはこなす実力を兼ね備えていた。
引退後は優駿スタリオンステークスで種牡馬入りし、2016年からはビッグレッドファームで現在もゴールドシップやウインブライトらと共に繁用され続けている。
本項目を執筆した2024年4月11日、ジョーカプチーノの18歳の誕生日の日に主戦の藤岡康太騎手が落馬事故による訃報が届けられた。
年々種付け数が減っているだけに最後の大物を出して欲しい所であるが、何より人馬無事に今後も産駒を送り続けて欲しいものである。
15年前のNHKマイルカップで魅せた鮮やかな先行抜け出しをもう一度、皆と振り返りながら締めたいと思う。
本当にお疲れ様でした。
主な産駒
- ジョーストリクトリ (2014年産 牡 母 ジョーアラマート 母父 キングヘイロー)
- サンデイビス (2018年産 牡 母 ピントゥハティ 母父 アドマイヤムーン)
- ナムラリコリス (2019年産 牝 母 ナムラキッス 母父 マツリダゴッホ)
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関連項目
・JRA/競馬
・競走馬の一覧
・2009年クラシック世代
・藤岡康太
・マンハッタンカフェ
・フサイチコンコルド
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