|
ジョー・バイデン(Joseph Robinette Biden, Jr.、1942年11月20日-)とは、アメリカ合衆国の政治家である。民主党員。47代目アメリカ合衆国副大統領を務めた。2021年1月20日より、46代目アメリカ合衆国大統領に就任。
アイルランド系としてはケネディ以来2人目、就任時の年齢で史上最高年齢の大統領である。
来歴
父親は裕福な資産家であったが、ジョーが生まれる頃にはいくつかの事業失敗により貧乏となっていた。デラウェア大学を688人中508番目の成績で卒業後、弁護士、デラウェア州のニューキャッスル郡議会議員を経て、アメリカ史上6番目の若さで上院議員に当選した(29歳)。以降6期連続、計36年間上院議員を務めた。司法委員長(1987-1995)、外交委員長(2001-2002,2007-2008)を歴任するなど、民主党重鎮として活躍。2009年からはバラク・オバマ大統領政権の下、2期8年間副大統領を務めた。
2016年の大統領選では出馬を見送ったが、2020年大統領選には出馬を表明。初戦のアイオワ州予備選挙では4位に甘んじるなど苦戦を強いられたが、4戦目のサウスカロライナ州で勝利後は撤退した対立候補からの支持も得るなど追い風を受け、民主党候補に指名された。
大統領選では現職である共和党候補のドナルド・トランプと激しく争い、306の選挙人を獲得して第46代大統領に就任した。
人物像
温厚かつ気取らない性格であり、「気さくなジョーおじさん(uncle joe)」と呼ばれている。幼少期から悩んでいた吃音症を、毎日鏡に向かって詩を朗読して20代前半で克服するなど努力家でもある。カトリック教徒であり、現在でも定期的にミサに参加している。近親者にアルコール依存症が広まっているため、酒は全く飲まないと公言している。
家族愛の深い人物として知られており、初めて上院議員に当選した直後に事故で最初の妻と娘を亡くした際は、残された二人の息子の看病や世話を理由に当選を辞退しようとした(当時の民主党上院院内総務に説得されて議員に就任)。当選後も、息子たちのために毎日片道一時間半かけて、自宅と議会のあるワシントンD.C.を往復していた。また、事故によって亡くなった妻と娘をしのぶため、命日である12月18日は一切の仕事をしないことにしている。
一方で、失言製造機(Gaffe Machine)とも呼ばれるほど舌禍が多い。2020年のアメリカ大統領選挙期間中にも、黒人有権者に対して「(トランプに投票しようと迷っているのなら)あなたは黒人じゃない」と発言をしたり[1]、「黒人社会と違い、ヒスパニック(中南米系)社会は信じられないほど多種多様だ」と発言する[2]など、失言を繰り返している。勘違いや軽率な発言も多く、大統領選の対抗馬であるトランプからは「ねぼけたジョー(sleepy Joe)」と揶揄されている。
政策スタンス
民主党内の中道派であり、リベラル寄りの政策をとる。民主党員ではあるが政策によっては共和党側と組むこともあり、立場によらない柔軟なスタンスを維持している。リベラル・インターナショナリズムの立場をとり、グローバルな自由貿易やリベラルな経済、多国間協力を重視している。
2020年大統領選では現職のトランプ大統領に対抗し、以下のような政策を主張していた[3]。
- 新型コロナ:マスク着用義務や集会の制限を含めた科学的な対策
- 医療体制 :オバマケアの拡充や自己負担額の削減などの医療体制の充実
- 経済 :最低自給額の引き上げや富裕層と企業への課税などの貧困層に対する救済、1.3兆ドルのインフラ投資
- 環境 :パリ協定への復帰や2050年までのゼロエミッションの達成など
- 外交 :国際社会における「米国主導」の復活、多国間協力。「アメリカ第一主義」からの脱却
- 黒人政策 :黒人家庭や事業を支援など
貧困層、中産階級や黒人層に配慮したものとなっており、大きな政府を標榜する民主党のスタンスを踏襲している。一方で共和党主義者や一部からは「政策が社会主義的である」と非難されている。
バイデン政権
バイデン政権としての動きを記述する。
IPEFの取りまとめ:貿易政策では基本的にトランプ前政権の方針を受け継いでおり、副大統領を務めたオバマ政権で作ったTPPに復帰をしなかった。その代わりアメリカが主導する枠組みとしてIPEFを発足させた。
外交実績
バイデンは外交に精通しており、上述の通り2度上院外交委員長を務めるなど外交通と目されている。2期目の上院議員時代には、ソ連の敏腕外交官であったグロムイコから第二次戦略兵器制限交渉の修正案追加を認めさせており、この件をきっかけに自身の名を一躍有名にさせている。
またコソヴォ紛争では、共和党議員であるマケインとともに、セルビアに対して「必要なあらゆる武力」を行使する権限をクリントン大統領(当時)に与えるとする、「マケイン=バイデン・コソヴォ決議」を成立させている。
関連動画
関連項目
第46代 | 第47代 | 第48代 |
ディック・チェイニー (ジョージ・W・ブッシュ大統領顧問団) 2001~2009 |
ジョー・バイデン (バラク・オバマ大統領顧問団) 2009~2017 |
マイク・ペンス (ドナルド・トランプ大統領顧問団) 2017~2021 |
第45代 | 第46代 | 第47代 |
ドナルド・トランプ(共和党) 2017~2021 |
ジョー・バイデン(民主党) 2021~ |
- ( - ) - |
脚注
- *BBC NEWS2020年5月23日 バイデン氏、トランプ氏支持を考える黒人有権者は「黒人じゃない」
- *東京新聞2020年8月10日 バイデン氏また失言 黒人軽視するような発言で批判
- *【図解】次期米大統領バイデン氏の政策一覧
- 28
- 0pt
- ページ番号: 5602777
- リビジョン番号: 3121386
- 編集内容についての説明/コメント: