ジンとは、テレビアニメ「機動戦士ガンダムSEED」と続編「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」に登場するザフト軍のモビルスーツである。形式番号はZGMF-1017。ここでは派生機についても記載する。
概要
ザフト軍が開発した、(コズミック・イラの世界で)人類初の汎用量産型モビルスーツ。形式番号のZGMFは、Zero Gravity Maneuver Fighter の略で無重力下用機動戦闘機を意味する。
遺伝子操作によって様々な能力が向上したコーディネイターが訓練を積んで、ようやく操縦が出来るようになるため操縦の難しさは他作品の量産機と比べて頭一つ抜きん出ている。頭部にはザクを髣髴させるモノアイと鳥のようなトサカが搭載され、背中には羽のようなバーニア装置を付けている。武器を持ち変えるだけで装備を換装でき、マニピュレーターでボタンを押したり、物を組み立てたり、コンテナを運搬したりするといった作業も可能で、更には不整地も2本の足で踏破できるなど非常に高い汎用性を持っている。基本武装は重突撃機銃と重斬刀。不使用時は腰にマウントされる。開発当時はまだ携行用のビーム兵器は無く、武装は全て実体弾となっている。また、両腕を失うと武装を持てなくなって戦闘能力をも失う。損傷で動けなくなった時に備えて鹵獲防止用の自爆装置が備え付けらているが、それでも何機か地球軍に渡った模様。地球に打ち込まれたニュートロンジャマーにより核融合炉は使えず、動力源には電源バッテリーを用いたがモビルスーツは電力消費が激しく稼働時間は短かった。そのため少しでも稼働時間を延ばそうと出撃直前まで背中にパワーコンジットを装着し、出撃と同時に外している。
要塞や戦艦といった堅牢な目標を攻略する時はD装備と呼ばれる重火器群を使用し、火力が飛躍的に向上する。D装備にはバルルス改特化重粒子砲というジン唯一のビーム兵器があるが、大型で取り回しが難しく、弾数も限られている。
劇中の活躍
プラントの手綱を握る理事国からの苛烈な搾取や不当な扱いにより、プラント国内では独立の機運が高まっていた。C.E.63年、作業用宇宙服に過ぎなかったモビルスーツの軍事転用研究が始まる。2年後には試作1号機がロールアウトし、C.E.67年にはジンの1号機が誕生。マイウス市の一部を極秘工場にし、理事国の目を欺きながら量産体制に入った。翌年には解体・再編されたザフトの主力兵器に採用されている。
C.E.69年、理事国への反発を強めるプラントは禁じられていた食糧生産を開始。当然理事国がこれを黙って見過ごすはずが無く、近隣宙域にモビルアーマー部隊を進駐させて威圧。この時、プラントはザフト軍とジンの存在を世界に公表。同時にモビルアーマー部隊に攻撃を仕掛けた。圧倒的少数ながらもジンは破格の性能を発揮し、理事国軍を殲滅。宇宙から一掃してしまった。これがジンの初陣であった。
C.E.70年2月11日、地球連合軍より宣戦布告を受けてプラント及びザフト軍は戦争状態に入る。数で勝る地球軍が勝利すると誰もが信じて疑わなかったが、予想は大きく裏切られる事になる。ザフト軍が保有するジンによって地球軍は苦戦し、戦局は長期化の兆しを見せ始めたのである。ジン1機で地球軍主力モビルアーマー「メビウス」5機分の働きをすると言われ、数に勝る地球軍相手に多大な戦果を挙げ続けてきた(後の資料ではメビウス3機分になっている)。戦艦ですらジンに接近されれば容易に撃沈される程で、地球軍がジンに対抗するには数で押すか、メビウス・ゼロ部隊に頼るしかなかった。
ザフト軍が地上に降下した後も、ジンは無敵の存在だった。確かに地球軍の通常兵器に破壊されるジンもあったが、それ以上にジンは通常兵器を撃破し、ザフトの勢力圏拡大に貢献した。クルーゼ隊所属のジンだけでもヘリオポリス守備隊の兵器とメビウス2機を悉く破壊、奪取したXナンバーの助力もあったが先遣隊を含む第8艦隊を全滅させる大手柄を挙げた。
そんな中、地球軍もついに量産型モビルスーツ・ストライクダガーの実用化に成功。ビーム兵器を持つダガーに対し実体弾しか持たないジンは劣勢を強いられたが、モビルスーツに関しては一日の長があるザフト兵は技量でダガーと互角に戦った。主力機の座をゲイツに譲りながらも終戦までジンは使い続けられた。ジンのバリエーション機であるジン・ハイマニューバはゲイツが登場した後も、整備と操縦のしやすさから前線の兵から支持された。ガンダムSEEDリマスター版では、肩に赤十字の塗装がなされた非武装のジンが登場。両手に曳航用の舫を持ち、それに捕まった兵士たちをヤキン・ドゥーエから脱出させていた。
終戦後、ザフトの主力機はニューミレニアムシリーズのザクへと変わりジンは旧式機となっていった。それでも少数のジンは使用され続けたという。
「SEED」の世界から2年後を描いた「DESTINY」にも引き続き登場。現行主力機ゲイツRや、次期主力機ザク・ウォーリアの存在により旧式感は否めず、前線に出る事は殆ど無くなっている。代わりに基地や拠点でコンテナ運搬に勤しむ姿が見受けられる。それでも一部の機体は前線で戦い続け、ジン・オーカーやジン・ワスプといった派生機も極少数ながら作中で確認できる。
ジンはその完成度の高さから様々な派生機が作られている。砂漠戦用のジン・オーカー、水中戦用のジン・ワスプ、訓練生用のプロトジン、長距離強行偵察用複座型ジン、式典用ジン、ジンのマイナーチェンジ機体ジン・ハイマニューバと後継機のジン・ハイマニューバⅡ型、過激派が用いたジンタイプ・インサージェントなどジンはザフトを象徴する機体と言っても過言では無い。
派生機
プロトジン
ジンの前身にあたるプロトタイプで、初めてザフトが実用化に成功した人類初のモビルスーツである。
形式番号はYMF-01B。実用化からしばらくの間、プロトジンは「ジン」と呼称されていたが、後に上記のジン(ZGMF-1017)が完成したため区別のためにプロトジンと呼ばれるようになった。ジンが実用化された後、プロトジンは訓練生用・パイロット養成用の機体として後方で運用されている。そのため前線で運用されている描写は無い。
機体のカラーは緑色で、バックパックは橙色に塗装されている。武装はジン同様に重突撃機銃と重斬刀。訓練生用なのでジンよりも性能が低いが、何故か連合vsZAFTに参戦している。
長距離強行偵察型ジン
ジンの両肩にレドームを搭載した偵察用の機体。センサー機器が通常のジンより強化されている。機体は黒を基調とした暗い色に塗装されており、隠密行動に長ける。複座型となっておりパイロットの他に情報収集役のサブパイロットが同乗する。戦闘を目的としていないためか、武装はスナイパーライフルのみで重斬刀や重突撃機銃を持っていない。機体に搭載されたセンサー機器との連動で高い命中率を誇るが、そのスナイパーライフルの威力は、物資運搬用のミストラルすら直撃させても落とせないほど低い。そのため全く戦闘に向かないが、何故か通常のジンがこのスナイパーライフルを持っている事があった。
ジンがベースになっているが宇宙用の機体のため地上では運用されていない。
初登場となったのは、消息を絶ったラクス・クラインの宇宙船の捜索を行っていた機体。ユニウスセブンを調査していたが、たまたま物資を運搬していたミストラルが視界に入り攻撃。これが原因でミストラルの護衛を行っていたキラのストライクに撃たれ撃破されてしまった。
高い隠密性を誇っているため索敵や監視行動にたびたび使われ、続編の機動戦士ガンダムSEED DESTINYでも運用されている姿が見受けられる。極軌道を哨戒していた機体が連合軍の核攻撃隊を発見・通報したり、シャトルを追跡して潜伏するエターナルの位置を母艦に知らせるなど、いぶし銀の活躍を見せる。
ジン・ハイマニューバ
ジンをベースに、既存の技術のみで改装された派生量産機。いわゆるマイナーチェンジ版で、目新しい技術や武装は無いものの機体の信頼性が高く、ジンと共通のパーツを用いているため整備もしやすい。
ジンとは打って変わって、機体の色は緑主体となっている。
最大の改装点はバックパックに戦艦用の大型スラスター「MMI-M729エンジン」を搭載している事である。これによりジン以上の機動力を得ており、航続距離も飛躍的に上昇した。
次期主力機ゲイツの量産が滞った事を受けて、ゲイツ量産までの繋ぎとしてジンハイマニューバの生産が開始された。しかし少数しか生産されておらず、主にエースパイロットがこの機体を受領した。あのラウ・ル・クルーゼも搭乗している。整備のしやすさ、信頼性の高さ、ジンと変わらない操縦性が前線の将兵に支持され、ゲイツの本格配備が始まってからも本機の配備を望む声が強かったという。
余談だがハイマニューバの1機がサーペントテールに鹵獲されている。
ジン・インサージェント
『STARGAZER』第1話に登場したジンの派生機。インサージェントは暴徒を意味する。
南アメリカの都市フォルタレザに突如出現し、ブレイク・ザ・ワールドの余波で救助活動に忙殺される地球軍や一般市民を無差別に攻撃し始めた。現場にはストライクダガー等のモビルスーツがおらず、また流れ弾が現地司令部に命中して崩壊してしまったため地球軍の対応は後手に回った。やっとの思いでリニアガン・タンクや攻撃ヘリといった通常兵器をかき集め、ジン・インサージェントを迎撃するが苦戦。数輌のリニア・ガンタンクが破壊されるも、反撃でバックパックを吹き飛ばしている。
伝説の鬼車長と呼ばれたエドモンド・デュグロ駆るリニアガン・タンクと相打ちになる形で命中弾を喰らい、行動不能に陥る。そこへ空から焼夷弾が投下された事で沈黙した。パイロットは2名の少年と1名の少女で、焼夷弾で蒸し焼きにされた事で既に死亡していた。ジン・インサージェントはテロ組織から与えられた物らしく、ナチュラルに両親を殺された復讐から無差別破壊行為を行ったと犯行声明で語っている。
余談
ジンはザフト軍の主力モビルスーツとして連合軍兵器を多数撃破し、ザフト軍の戦線を支え続けた功労者である。
一方でこのジンが叩き出した大戦果が、ザフト軍をモビルスーツ偏重主義へと走らせる事になる。ザフト軍は何でもかんでもモビルスーツにやらせてしまおうという考えに陥ってしまい、偵察から電子戦まで全てモビルスーツに担わせている。そのため航空機や水上艦艇といった通常兵器のノウハウが連合より劣っている。
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