スイフトスポーツ(SWIFT SPORT)とは、スズキが販売しているスイフトのスポーツモデルである。
スイスポと略されて呼ばれることもある。
概要
初代(HT81S)
Keiのボディをベースに作られた初代スイフト(HT51S)に専用のエアロパーツや鍛造ピストン等を使用し専用チューニングされ、85kW(115馬力)・143N・m(14.6kg・m)を発生する1.5L直列4気筒DOHC16バルブ自然吸気エンジン(M15A)を搭載したモデルである。
他に、レカロシート・240km/hフルスケールスピードメーター・専用サスペンション・リアディスクブレーキ(HT51Sではドラムブレーキ)が装備されているにも関わらず、119万円(税別)という低価格で販売された。
ATの設定は無く、クロスレシオ化された5MTのみとなっている。
車重は僅か930kgしかなく、チューニング次第では現行モデルをも上回る運動性能を手にすることが出来る。
ちなみに2代目スイフト(ZC21S)やエリオ、SX4にもM15Aは搭載されているが、HT81Sに搭載されるM15Aとは仕様が異なる。(HT81S用は圧縮比11.0でハイオクガソリン仕様だが、その他の車種は圧縮比が9.5(後に10.0)と低く、レギュラーガソリン仕様となっている。)
2代目(ZC31S)
2004年11月にフルモデルチェンジしたスイフト(ZC*1S)をベースに、HT81S同様の専用チューニングを施されたモデルである。
エンジンはM15Aを78mmから83mmにストロークアップした、1.6L直列4気筒DOHC16バルブ自然吸気エンジン(M16A)を搭載し、92kW(125馬力)・148N・m(15.1kg・m)を発生する。
その他にも専用スポーツマフラー・テネコ社製モンローサスペンション・220km/hフルスケールスピードメーター・専用スポーツシート(レカロシートも存在するが、HIDヘッドライトやSRSエアバッグとのセットオプションとなっている)などが奢られる。また、装着できるホイールは通常のスポーツカー同様、5穴でPCD114.3のものである。このクラスの車では珍しく、国産のコンパクトカーの大半は4穴のPCD100である。
ZC31Sでは専用のスポーツマフラーを装着するために、フロアの形状を少々変更している。そのため、スペアタイヤの代わりに、応急タイヤ修理キットが搭載される。
また、スイフトはこれまでの車同様、機械式スロットルを採用したが、スイフトスポーツではドライブ・バイ・ワイヤー(DBW)を採用した。
先代同様クロスレシオ化された5MTと先代には無かった4速ATが設定された。また、3ドアのみだったHT81Sに対し、ZC31Sでは5ドアのみの設定となっている。(海外仕様には3ドア仕様も存在する。)
多数の変更点があり、スタビリティコントロール(ESP)の標準装備や1速とファイナルのギア比が見直され(1速ギア3.545→3.250、ファイナルギア4.235→4.388)1速から2速がクロスレシオ化、バルブスプリングの強化による、レブリミットの変更(7000rpm→7500rpm レッドゾーンは6800rpm→7200rpmに引き上げられた。)、ショックアブソーバーの仕様変更(輸出用ショックアブソーバーに変更したことで、伸び側の減衰力が10%アップした。)、サスペンションブッシュの硬度変更などが行われ、MC前(1型)と比べ、格段に走行性能が向上した。
また、その他にも小変更が加えられた。ステアリングのステッチや、メーカーオプションのレカロシートが赤基調から灰基調に変更され、ラゲッジボードが追加された。外装ではウインカー付きドアミラーが採用され、従来のサイドウインカーは廃止された。これが唯一1型と2型を外装のみで見分けるポイントとなる。
2009年5月に再度MCを行い、3型となる。ホイールのデザイン変更や、シートの表皮素材の変更がされた。また、2型で廃止されたパールメタリックカシミールブルーが復活した。その他は非常に細かい点を除いて2型と同等である。
ちなみにJWRCで活躍するスイフトスーパー1600のベース車はスイフトスポーツではなく、スイフトである。160kW(218馬力)・186N・m(19.0kg・m)という高出力を誇るエンジンもM16Aベースではなく、M13A(排気量1300ccの直列4気筒DOHC16バルブ自然吸気エンジン)の排気量を拡大したものを使用している。(M16Aはボア(mm)×ストローク(mm)が78.0×83.0で排気量1586ccだが、スイフトスーパー1600のエンジンは81.0×77.5で排気量は1598.5ccとなっている。)
3代目(ZC32S)
2011年11月28日、3代目が発売された。スイフト(ZC72S)のモデルチェンジより1年2ヶ月遅れて登場である。国内向けは今回も5ドアのみのラインナップである。全体的なイメージは先代と概ね一緒であるが、中身は格段の進歩を遂げた。
エンジンは形式こそ先代同様M16Aだが、樹脂製インマニの採用による吸気抵抗の低減や、可変吸気システムの採用、バルブリフト量の増加、可変バルブタイミング機構(吸気VVT)の最適化、吸気ポートの変更、エンジンヘッドの冷却性能の向上、床下触媒の廃止(ZC31Sではエキゾーストマニホールド部に1つと床下センターパイプに1つの全部で2つだった)を行うなど改良を行った結果、出力が100kw(136馬力)/6,900rpm、最大トルク160N・m(16.3kg・m)/4,400rpmと8kw(11馬力)、12N・m(1.2kg・m)の出力向上となった。また、最大トルク発生も400回転ほど下で発生するようになり、低回転域での運動性能が向上した。さながらZC31S用M16Aのチューニングエンジンといった様相を呈している。圧縮比はZC31S用より0.1低い11.0となっている。ハイオクガソリン指定となっている。
トランスミッションはかねてより要望のあった6速MTが採用となった。またAT車はCVTを採用。7速マニュアルモードが装備されており、パドルシフトを使用し2ペダルMTのような感覚でも運転できるようになった。
ボディは先代同様、ZC72Sをベースに衝突安全性に配慮するなど時代に合わせた改良が行われた。特筆すべきは車両重量で、MT車で先代よりも10kg軽くなっている。(ZC31Sは1060kgであったが、ZC32Sでは1050kgとなっている)
サスペンションは先代同様フロントがマクファーソンストラット、リアはトーションビームとなっている。ショックアブソーバーはテネコ社製モンローを採用。フロントのショックにはリバウンドスプリングが内蔵され、リアはトーションビームを専用設計とした事で走りに磨きがかかった。
タイヤ・ホイールは大径化が行われ、スイフトでは初の17インチとなった。タイヤサイズは195/45R17のRE050が標準となる。スペアタイヤ搭載されておらず、ZC31Sと同様の理由で、タイヤパンク応急修理セットとなる。
ブレーキは、構造こそ先代同様、片押しのオーソドックスなディスクブレーキを採用しているが、フロントブレーキローターを先代のものより厚いものに変更しフェードの抑制を行っている。また、リアブレーキキャリパーをアルミ製とすることで、バネ下重量を軽減。運動性能の向上に一役買っている。
今回、シートがレカロ社製ではなく、自社製となった。その他、240km/hフルスケールスピードメーターを採用するなど、スイフトスポーツでは伝統的な内装となっている。意外に気づかないところであるが、リアのシートベルトは全ポジションで3点式(スイフトの場合、中央は2点式)となっている。
4代目(ZC33S)
2017年9月13日に4代目が登場した。2016年12月のスイフトのモデルチェンジから9カ月遅れての登場である。今回は全体的に非常に大きな変化が見られた。
エクステリアは一見すると顔つきが通常のスイフトと同じようなグリルに見えるが、印象付けを強くするためと、インタークーラーの風の通り道を確保するためか、大型化され、微妙に形状も異なっている。またワイドトレッドが採用されたので、フェンダー周りがスイフトより大きめになっている。このワイド化によって全幅が1740mmとなり、3ナンバー登録となっている。
エンジンは2代目から続いてきたM16A型からK14C型へ変更された。直噴機構とターボを組み合わせた「ブースタージェットエンジン」を採用し、さらにスイスポ専用のチューニングが行われたので同じエンジンを積むエスクードと比べても出力増となっている。歴代で最高の140馬力を発生し、リッター100馬力を達成した。ギアは先代から引き続いて6速MTのほかに、CVTに代わって6速ATを採用することになった。パドルシフトとの組み合わせによって、ATにあってもスポーツ走行に対応できるようになった。
車台はスイフトと一緒の「HEARTECT」を採用、車体も骨組みに超高張力鋼板を多数採用、こうした改良によってはじき出された重量は6速MTで実に970キロと1tを切っているのである。初代以来の900キロ台であり、先代比80キロ減という結果になっている。コンパクトカーの中でもひときわ軽いことに定評のあるスイフトであるが、パワーアップしたエンジンとの組み合わせで動力性能により一層の磨きがかかっているものと推測される。
昨今の安全への関心の強まりから、レーンキープアシスト機能や自動ブレーキ機能などの多くの安全機構を複合的に組み合わせた「デュアルセンサーブレーキサポート」をセーフティパッケージとしてオプション設定しており、さらにそこから全方位モニターの組み合わせオプションが設定されている。
インテリアは全体的に赤の意匠がしてあり、いやがおうにも走りを予感させるつくりになっている。速度計は260km/hまで目盛られている。エアバッグは標準は運転席と助手席のみだが、セーフティパッケージを選択したときにのみ、カーテン・サイドエアバッグが選択できる。
お値段はMTが1,836,000円、ATは1,926,200円からとなっている。結構いいお値段であるが、ライバルも同じように値が上がる中で内容などなどを考えるとかなり頑張っているお値段である。それ以上に大きいのは排気量が1.4リッターになったことで自動車税が、1tを切っているので重量税がそれぞれ安くなっていることである。
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