スカイマークとは、日本の航空会社である。航空会社コードはSKY(3レター)、BC(2レター)。
概要
航空会社設立の規制緩和による、いわゆる「新規参入組」の第一弾である。H.I.Sの社長、澤田秀雄らの出資により設立された。機内サービスの簡素化により大手の半額程度の運賃を実現し、利用者を順調に伸ばしていった。
しかし大手が割引運賃としてスカイマークの格安運賃に迫るプランを用意したことにより苦戦。一時は搭乗率が60%を切るなど苦しい環境が続いたものの、副操縦士の教育や機体整備を自社で行うなどしてなんとか黒字を達成するものの、経営は依然として低迷。2003年、当時東証マザーズに上場していたが、上場廃止の危機にまで瀕する。
そこで、ISP「ゼロ」株式会社の社長・西久保慎一が増資を引き受けた。その後同社との合併を行い、西久保氏が社長に就任。この時ゼロ株式会社の事業はGMOに売却されている。
2005年にはトラブル多発で経営状態がさらに悪化したが、機材を当時最新鋭のボーイング737-800に更新・統一する、整備・運行体制の見直しを行う、などにより搭乗率と業績は回復。路線拡大を行うほどになったしかし、2014年にはA380のキャンセル(後述)によって経営が大幅悪化し、路線の縮小を余儀なくされる。
2015年1月28日、民事再生法を申請して自主再建を断念、経営破綻となったが、その後再建し、2022年に東証グロース市場に再上場している。
スカイマークはLCC?
スカイマークは「機内サービスを徹底的に簡素化(サービスらしいものといえば、機内での毛布貸出と簡単な機内販売程度)し、大手より遥かに安い運賃を実現している」という点でLCC(格安航空会社)の一つに含められることがある。
実際、世界の航空会社を格付けするSKYTRAX社のランキングでは「アジアのLCC部門」として10位に入賞している。
しかし、「本物」のLCCは逆に機内販売を充実させてそこからも収入を得るという経営方法も取り入れており、機内サービスに関してこれと正反対の手法を取るスカイマークは厳密にはLCCには含まれないとされることもある。
ちなみに、スカイマーク自身は「LCCではない」 と主張している。
「機内での苦情は一切受け付けません。」
スカイマークは以前、自社のサービスコンセプトを説明するための機内の配布物にとんでもないことを記載していた。
「機内での苦情は一切受け付けません」
「(苦情・要望などは)お客様相談センターか消費生活センターに連絡」
このことは「税金で運営されている消費生活センターという機関に一企業のクレーム処理を丸投げするとは許されるはずがない」と消費者庁をブチ切れさせる結果となり、この配布物は回収される結果となった。
2014年現在は単体での配布は行わず、機内誌末尾に同一内容が記載されている。
エアバスA380導入計画
エアバスA380。あのボーイング747を抜いて「世界最大の旅客機」の座についた巨人機である。
海外では結構採用例があるのだが、日本では特に大手は2001年のアメリカ同時多発テロ事件を発端とする利用者の低迷で、「でかくて燃費の悪い大型機よりも、小さくても燃費の良い中型~小型機」という流れになっており、JAナンバーのA380を見るのは夢のまた夢と思われていた。
しかし、日本でA380導入を表明した航空会社が現れた。スカイマークである。2012年2月、国際線参入と合わせてA380を6機導入することを表明する。オプションの機体と合わせて6機導入するという契約をエアバス社と締結した。導入は2014年度内と発表されていた。
その後為替相場の変化などにより資金繰りが悪化する。2014年夏、スカイマークは製造完成機2機の導入の先延ばし・未製造分4機導入の保留をエアバス社に申し出る。しかし話がこじれてしまう。A380自体の導入がキャンセルとなり、また多額の違約金請求を受けることとなってしまった。なお既に完成済であった初号機、製造中だった2号機についてはいずれも仕様を変更し、A380を発注している他社へ納入されることになった。
これらの資金繰りの悪化に伴い、成田空港からの完全撤退、地方閑散路線の運行見直し、幹線の利用料金値上げなどが行われている。
エアバスA330導入
エアバスの双発二通路大型機A330(A330-300)を日本の航空会社として初めて導入した。加えて全席をプレミアムエコノミーとすることで余裕のある空の旅を実現している。
まず羽田空港を中心とした幹線に投入される。まずは祖業である羽田-福岡線に2014年6月より投入された。今後の機材増備と整備拠点の設営/認定に従いボーイング737での運用を殆ど置き換える予定である。以後順次羽田-札幌(新千歳)線の一部、羽田那覇線の一部、閑散期のチャーター便などに投入される方向である。
搭乗する客席乗務員は期間限定で統一した青色のワンピースと帽子を制服として着用し、新型機導入キャンペーンの一翼としていた。2014年秋現在では通常のポロシャツ/ウィンドブレーカーに戻っている。
提供される機内サービスは原則ボーイング737での場合と同じである。
一部の機材に無償で利用可能なWiFiインターネット接続サービス機能が付与されている。(2014年秋現在 JA330D, JA330E. 順次A330全機に搭載予定であった)
2015年初頭の経営破綻により2015年2月から当機材の運用は停止され、2015年3月現在羽田空港の駐機場にて羽を休めている。日本国内には同機種を運用する航空会社が他に存在しないため、他国航空会社へサブリースされる方向性であると報道されている。
そらとぶピカチュウプロジェクト
2021年6月21日に沖縄県を舞台とした「そらとぶピカチュウプロジェクト」を展開。
これは昨今の社会情勢の中、株式会社ポケモンとのコラボレーションを通じ「旅をして生まれる新たな出会いの喜び」を社会貢献に役立てるために発足したもので、沖縄県の交通機関や観光施設をポケモンと一緒に盛り上げる。
ソラシドエアが運航する「ナッシーリゾートin宮崎」に続いて2例目となるが、スカイマークの機体(JA73AB)はピカチュウ10体をデザインした「ピカチュウジェットBC」であり、かつてANAで展開されていた「ポケモンジェット」がスカイマークで復活した形に近い。
全体のフルラッピングは同社初の試みで、ライセンス料は発生せず、機体のデザインの費用は株式会社ポケモンが負担。ピカチュウジェットBCの機内はピカチュウデザインの枕カバー・エチケット袋をはじめ、ピカチュウがデザインされた紙コップで入れた飲み物のサービス・キットカットのピカチュウデザイン・搭乗者にピカチュウとのコラボマスクの配布・オリジナルBGNを展開、また那覇空港の空港カウンターもピカチュウ一色になっている。
また、スカイマークが就航する空港では、自動チェックイン機・搭乗券・手荷物タグもピカチュウデザインとなる。さらに通常の機体での運行でも、ピカチュウがデザインされた紙コップでの飲み物サービス・ピカチュウのキットカット・ピカチュウとのコラボマスクの配布を行っており、こちらは全路線で展開されている。
「ピカチュウジェットBC」は羽田空港・茨城空港・中部国際空港・神戸空港・福岡空港-那覇空港と羽田空港・神戸空港・那覇空港-下地島空港(宮古)を中心に運行され(間合いでスカイマークが就航する空港にも運行)、運航情報は公式サイトで確認できる。
関連動画
関連項目
- 航空機
- 旅客機
- H.I.S
- LCC(格安航空会社)
- ボーイング737-800(現在の主力機)
- エアバスA380(導入予定であったがキャンセル)
- ボーイング767(過去に使用していた)
- エアバスA330-300(過去に使用していた)
- 茨城空港(同空港に就航している唯一の日系航空会社)
- スカイマークスタジアム(かつて施設命名権を保有していた野球場)
関連リンク
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