『スクランブルギャザー』とは、「スーパーロボット大戦」シリーズを題材にしたトレーディングカードゲームである。正式名称は「スーパーロボット大戦 スクランブルギャザー」。
概要
当時流行の兆しを見せつつあった「マジック・ザ・ギャザリング」などと同じトレーディングカードゲームである。スーパーロボット大戦シリーズに登場するロボットやパイロット、強化パーツや精神コマンドなどのシステムが組み込まれており、プレイヤーは全カードの中から50枚のデッキを構築し対戦する。山札(ライブラリー)がプレイヤーのライフを兼ねているのに加え、配置・維持コストがライブラリーから支払われるのが特徴で、ユニットの攻撃などで相手のライブラリーを全て無くした方が勝利となる。
1996年11月に第1弾が発売され、その後はスパロボの新作と共に新たなカードが追加されていき、2001年7月の第9弾(主に「α外伝」に登場するキャラクターが組み込まれている)まで発売された。
カードの種類
- ユニットカード
「マジンガーZ」や「ガンダム」など、スパロボに登場する機体を表すカード。ゲームを進めるうえでメインとなるカードで、全てのユニットカードには地形適応・攻撃力・HP・移動力・射程が設定されている。ユニットが何体破壊されようと負けにはならないが、相手のライブラリーにダメージを与えるためにはユニットカードが必要であるため、ゲームには必ず必要なカードである。配置・維持のためにコストとして自らのライブラリーを消費するため、配置のタイミングによっては自らのライフを圧迫することもある。 - 精神コマンドカード
「熱血」や「根性」など、スパロボに登場する精神コマンドを表すカード。このゲームで最も重要なカードで、特殊効果として使うほか、後述する命中判定の当たりカードを兼ねているため、デッキに入っていないと相手に攻撃を当てることが出来ない。必ずデッキに入れる必要がある。基本的には使い捨てで、使ったら場から取り除くが、自分の場にその精神コマンドを持つパイロットカードが出ている場合、場から取り除くことなくタップすることで使用できる。配置コストは掛からないが、使用するときに使用コストを支払うものもある。 - パイロットカード
「アムロ・レイ」や「流竜馬」など、スパロボに登場するパイロットを表すカード。場に配置することで、そのパイロットの持つ精神コマンドカードを使い捨てでなくタップで使用できるようになるほか、カードごとに特殊効果を持っている。なお、同じパイロットカードは場に一枚しか配置できないため、相手が同じパイロットカードを配置した場合は先に出ていたパイロットカードは破壊されることになる。場に出す時に配置コストが掛かるほか、カードによっては維持コストが掛かるものもある。 - アイテムカード
「チョバムアーマー」や「リペアキット」など、スパロボに登場する強化パーツ・アイテムを表すカード。常駐用のカードと短期戦用のカードの2種類がある。常駐用のカードは2種類あり、場にある限り永続的に効果を発揮するものと、コストを払ってそのターンだけ効果を発揮するものがある(効果を発揮してもゲームから取り除かれない)。短期戦用のカードは手札から直接使用し、効果を発揮した後に場から取り除かれる。どちらも場に出す時に配置コストが掛かるほか、常駐用のカードは維持コストが掛かるものもある。
この他に、パイロットとユニット、どちらかの効果を配置するときに選択できる「人間ユニットカード」、精神コマンドを持たないパイロット以外の人物を表す「キャラクターカード」などがある。同じ名前のカードは1デッキに3枚まで入れることが可能。
ルール
配置図
このゲームでは、「バトルフィールド」と呼ばれるカード配置の元にゲームをプレイする。
自らの山札である【ライブラリー】、ユニットを配置する【インフィールド】【アウトフィールド】、精神コマンド・アイテム・パイロットなどを配置する【精神コマンドフィールド】、ライブラリーから支払った配置コストや維持コスト、喰らったダメージなどを置く【捨て山】に加え、その他にゲームから完全に除去されたカードを置く場所がある。
それぞれの位置関係は次のようになっている。
【ライブラリー】⇔【アウトフィールド】⇔【インフィールド】 | 【インフィールド】⇔【アウトフィールド】⇔【ライブラリー】
【捨て山】 【精神コマンドフィールド】 (相手側も同様)
ゲームの流れ
プレイヤーはそれぞれ50枚のデッキを用意し、カット・シャッフルの後【ライブラリー】に配置する。手札として7枚を取った後、先行後攻を決めゲーム開始する。交互にターンを繰り返すことでゲームを進行する。プレイヤーのターンはさらに細かく8つのフェイズに分かれている。
- 復帰フェイズ
前のターンで使用し横になっている(タップされている)精神コマンドカードを元に戻す。 - 維持フェイズ
自分のバトルフィールドに出ているカードの維持コストを支払う。【ライブラリー】からそれぞれのカードの維持コストの分だけカードを【捨て山】に移す。維持コストを払いたくない場合、そのカードはゲームから取り除かれる。また、維持コストが払えない場合はこの時点で敗北となる。 - ドローフェイズ
【ライブラリー】から一枚手札に加える。この時点で【ライブラリー】がなくなった場合も敗北となる。 - 供給フェイズ
手札から1枚、精神コマンドカードを【精神コマンドフィールド】に配置することが出来る。 - 移動フェイズ
すでに配置されているユニットカードを、カードに設定された移動力分だけ移動させることが出来る。手札に戻すことも可能。移動の範囲は配置図のとおりとなっており、隣のフィールドに移動することで移動力1を消費する。相手のフィールドに移動することはできない。 - 配置フェイズ
手札からユニットカード・パイロットカード・アイテムカードを配置コストを払ってフィールドに配置する。一度に配置できるのはそれぞれ1枚ずつ。ユニットの場合は移動力により配置できる場所が決まっており、移動力1の場合は【アウトフィールド】のみ、移動力2の場合は【アウトフィールド】【インフィールド】のどちらにも配置することが出来る。なおユニットカードは配置したターンに戦闘を仕掛けることはできない。 - 特殊効果フェイズ
それぞれのカードに書かれた特殊効果を使用することが出来る。パイロットカード・常駐用アイテムカードの場合は使用を宣言しコストを支払うことで、短期戦用のアイテムカードの場合は使用を宣言し手札から除去することで、精神コマンドカードの場合はパイロットがいる場合使用を宣言しタップすることで、パイロットがいない場合は使用を宣言しゲームから除去することで使用が可能。1枚のカードの特殊効果は基本的に1ターンに1度しか使用できない。相手プレイヤーと交互に特殊効果の使用を確認し、2人とも使用しなかった場合に特殊効果フェイズを終了する。また、他のカードゲームと違い、カードの効果に対して割り込みが出来ないのも特徴である。 - 戦闘フェイズ
相手のユニットカード、または相手の【ライブラリー】本体に攻撃を仕掛けることが出来る。攻撃はユニットカードに指定された射程の範囲に行うことが出来る。隣り合うフィールドを射程1として換算する(例:自分の【インフィールド】から相手の【ライブラリー】までは射程3。射程2以下の場合は射程を延ばさないと相手【ライブラリー】への直接攻撃は不可)。
攻撃を仕掛けた場合、命中判定を行う。自分の【捨て山】から1枚めくり、それが精神コマンドカードだった場合は攻撃成功となる。それ以外のカードの場合は攻撃は失敗となる。【捨て山】に1枚もカードがなかった場合も攻撃失敗となる。命中判定に使われたカードはゲームから除去する。
攻撃を受けたのが【ライブラリー】本体だった場合は、相手プレイヤーは攻撃力分のカードを【ライブラリー】から【捨て山】に移す。攻撃を受けたのがユニットカードならば、攻撃力分のダメージをHPから引き、HPがゼロになった場合はゲームから除去される。HPが残っている場合は反撃を行うことが出来る。反撃は攻撃を仕掛けてきたユニットが射程内にいるときのみ可能で、反撃側のプレイヤーの【捨て山】を使い同様に命中判定を行う。
フィールドにいるユニットの数だけ攻撃が可能で、同じ相手をターゲットにすることも可能である。 - ターン終了
ターン終了を宣言することで相手のターンとなる。戦闘フェイズで受けたダメージはこの時点で全回復する。
これを交互に繰り返し、相手の【ライブラリー】を先にゼロにした方が勝利となる。
雑多なこと
- 何をするにも自らのライブラリーを消費するというゲームデザインであり、強ユニットは維持コストが高いためずっと維持しておく、という戦術が使えない。精神コマンドカードのバランスによっては相手に与えるダメージより維持コストの方が高いなんてことも。ユニットでライブラリーの壁になることもできないため、速攻を仕掛けて直接ライブラリーを攻撃できる長射程のカードや戦法が重宝された。
- ゲームバランスを崩壊させる壊れカードが何枚かある。第1弾で登場したパイロットカード「竜崎一矢」は、「配置された時点で相手のドローフェイズを無くす」という鬼畜な効果であり、すぐに1デッキに1枚までと注釈がついたがそれでも鬼畜すぎたため、第2版からは「相手のドローフェイズを戦闘フェイズの後にする」という効果に変わり大幅な弱体化を施されている。
- ゲームに登場しないユニットがカード化されていたりする。イデオンの分離形態が使用できるのはスクランブルギャザーだけ!
- 「スーパーロボット大戦OG」に登場するカチーナ・タラスクは、元々はスクランブルギャザーのためにファンから公募されたキャラクターである。当時はDCの狙撃兵という設定で、搭乗機はジェノバM9やガブスレイという設定だった。また、ガブエルという専用機らしき機体もカードとして登場している。誰かOGに出してくれませんかね?
- このゲームはカードゲーム黎明期に作られているため、俗にいうレスポンス(カードの効果に割り込み)ができるカードがダメージが発生した時に使える「リペアキット」くらいしかない(特殊効果フェイズも効果が素通りする仕組み)。そのため、他のカードゲームと違い、一回でも行動を間違えると途端にそこから総崩れすることもままある。このあたりはバランスが悪いと取るか、スパロボを上手く体現出来ていると取るか微妙なところである。
- 前述の通り、カード黎明期に作られたため先攻の第1ターンに攻撃が出来る。そのため手札によっては先攻第1ターンで相手のライブラリー(デッキ)を0にすることも出来る。詳しく説明すると、2弾マスターガンダム(移動2、射程3で攻撃力7)、葵豹馬(パイロットカード、場に出たら相手はアイテムカードが使用できなくなる)、熱血(精神コマンドカード、ユニットの攻撃力が2倍になる)、バイオセンサー(アイテムカード、ユニットの攻撃力に+5と必中を付加)、カートリッジ(アイテムカード、同じ目標に2回攻撃できるようになる)。葵豹馬が出ているため、相手は手札にあるアイテムカードが使用できないためマスターガンダムの妨害や除去が出来ない、その上で、バイオセンサーで攻撃12、熱血使用で24、カートリッジで同じ目標にもう一回攻撃なので24×2で48ダメージということになる。(ライブラリーは初手札7枚を除くと43枚)
- 9弾まで発売されているのでそれなりに人気はあったのだが、本家スパロボと同じようにカード化する際も版権料を支払わなければならない事、ルールがかなり難解であること、さらにパックが安価でルールがわかりやすい遊戯王が途中でリリースされたことが重なり2001年7月の「銀河の轟嵐編」でリリースが終了した。当時はリリースしているカードゲームが終了する際に今のように発表する事が慣例ではなかったためいつの間にか販売しなくなる、という終わり方を迎えている。この終わり方についてファンが猛抗議したため今ではリリースが終了する際にHPや雑誌で告知を出すようにしている。
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関連項目
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- 0pt