スクールカーストとは、学校に通う児童・生徒・学生[1]たちの中で発生する階級社会のひとつである。
概要
定義
スクールカーストとは、学校に通う児童・生徒・学生たちの中で発生する階級社会のうち、「特定の技能の向上を目的とせずに学校内で結成される団体」の内部で発生する階級社会のことをいう。
学校の中には、部活動のように「特定の技能の向上を目的として学校内で結成される団体」があり、そうした団体の中で階級社会が形成されることがある。体育会系部活動において年齢カーストというべき階級社会が発生することは恒例であり[2]、文化系部活動においても技能の巧拙により階級社会が発生する可能性がある。しかし、そのような階級社会をスクールカーストと呼ぶ例は少ない。
学校の中には、学級(クラス)とか学年のような「特定の技能の向上を目的とせずに学校内で結成される団体」があり、その内部で階級社会が発生することがある。この階級社会をスクールカーストと呼ぶことが多い。
日本は諸外国に比べて学級単位で授業を受ける機会が多い国なので[3]、学級の内部でスクールカーストが発生することが多い。
特徴その1 複数の階級が発生し、その階級が格付けされる
他の様々な階級社会と同じように、スクールカーストにおいても、ある一定の価値を多く持つか少なく持つかにより人々が複数の階級に分かれる。
スクールカーストにおける複数の階級は、「上位階級・中位階級・下位階級」とか「一軍・二軍・三軍」といった具合に格付けされ、序列を付けられ、上下関係を決められる。ある一定の価値を多く持つ人が集まる階級は上位階級とか一軍になり、ある一定の価値を少なく持つ人が集まる階級は下位階級とか三軍になる。
日本において、思春期を迎える前の男子は、身体能力の強さによってスクールカーストを決める傾向にある。思春期を迎える前の女子は、教師に好かれているかどうかによってスクールカーストを決める傾向にある。思春期を迎えた後の子どもは、男子も女子も、異性にモテるかどうかによってスクールカーストを決める傾向にある。これらについては本記事の『日本のスクールカースト』の項目で詳しく述べる。
特徴その2 菱形の階層構造になる
スクールカーストは、少数の上位階級と多数の中位階級と少数の下位階級で構成され、中位階級が最多数となり、菱形の階層構造になる。そのことは様々な文献で指摘されている[4]。
カルト宗教団体やブラック企業の中で形成される階級社会は、極めて少数の上位階級と少数の中位階級と多数の下位階級で構成され、ピラミッド型の階層構造になり、ヒエラルキーを作りあげる[5]。
体育会系部活動の年齢カーストは、上位階級と中位階級と下位階級の人数が特に決まっているわけではなく、各年度における入部者数とその時点までの退部者数で決まる。上位階級と中位階級と下位階級がほぼ同じぐらいになってドラム缶型の階層構造になることもあり得るし、逆三角形型の階層構造になることもあり得るし、ピラミッド型の階層構造になることもあり得る。
特徴その3 所属する階級が異なる人同士の交流が失われる
他の様々な階級社会と同じように、スクールカーストにおいても、所属する階級が異なる人同士の交流が非常に少なくなり、人々が分断される。所属する階級が異なる人同士ではお互いがお互いを無視するようになり、世間話さえも行われない。積極的情報提供権(表現の自由)が大いに制限された社会になり、情報交換が行われず、情報が流通しない。
上位階級に属する者は「自分よりも下の階級に属する者と会話すると、自分がその階級に降格したかのような印象を周囲に与えてしまう」と警戒するようになり、「自分よりも下の階級に属する者に話しかけてはいけない」と思い込むようになり、自分よりも下の階級に属する者に対する積極的情報提供権(表現の自由)を自ら封印するようになる。また、自分よりも下の階級に属する者から話しかけられても嘲笑して相手にしなかったり、完全に無視したりする。
下位階級に属する者は「自分よりも上の階級に属する者に話しかけても嘲笑されたり無視されたりするだろう」と予測するようになり、「自分よりも上の階級に属する者に話しかけてはいけない」と思い込むようになり、自分よりも上の階級に属する者に対する積極的情報提供権(表現の自由)を自ら封印するようになる。
スクールカーストに限らずすべての階級社会に言えることだが、階級社会には大きな欠点がある。階級社会になると、人々の積極的情報提供権(表現の自由)が大いに制限され、情報が流通しなくなり、風通しの悪い社会になり、人々の間で社会の欠点が認識されなくなり、社会の闇がいつまでも残り続け、見て見ぬふりが横行し、「臭いものに蓋をする」という社会になり、社会の自浄作用が失われ、社会が発展せずに停滞してしまう。
特徴その4 上の階級に移動することが難しい
他の様々な階級社会と同じように、スクールカーストにおいても、最上位階級以外のどれかの階級に属する人が現状より上の階級に移動するのは難しい。
思春期を迎える前の男子が作る社会なら、身体能力の強さによって階級が決まる傾向にある。身体能力というのは生まれつきで決まることが多く、本人の努力で向上させられる割合が少ない。
また、思春期を迎える前の女子が作る社会なら、教師に好かれるかどうかによって階級が決まる傾向にある。教師に好かれるかどうかには容姿が大きく影響する。思春期を迎える前の女子の容姿は、生まれ持った顔面偏差値と、両親の財力で買いそろえた服装で決まるのだが、このどちらも本人の努力で向上させることが難しい。ゆえに、思春期を迎える前の男子・女子の中で最上位階級以外のどれかの階級に属する人は、現状より上の階級に移動するのが難しい。
思春期を迎えた後なら、男子が作る社会も女子が作る社会も、異性にモテるかどうかによって階級が決まる傾向にある。異性にモテるかどうかには身体能力と容姿の2要素が大きく影響する。先述のように、身体能力を本人の努力で向上させることは難しい。
中学生と「進学校に通う高校生」にとって、本人の努力で容姿を向上させることは難しい。中学生はアルバイトすることが不可能で、収入を稼ぐことができず、服飾品や化粧品を購入するなどして容姿を向上させることが難しい。高校生になるとアルバイトが可能になるが、進学校に通う高校生なら両親によってアルバイトが禁止されやすい。日本は「大学で人生の半分が決まり、就職で人生のもう半分が決まる」といわれる社会なので、進学校に子どもを通わせているような両親なら「大学に行くまではアルバイトせず、勉強に集中すべきだ」という思想を持つことが極めて多い。ゆえに、中学生と「進学校に通う高校生」の中で最上位階級以外のどれかの階級に属する人は、現状より上の階級に移動するのが難しい。
一方で、「進学校でない高校に通う高校生」や大学生は、本人の努力で容姿を向上させることが比較的に容易である。アルバイトをしやすく、収入を稼ぎやすく、服飾品や化粧品を購入したりして容姿を向上させることが容易になる。とくに、20歳以上になると整形手術するにあたって親の同意書が不要になるので、整形という究極の化粧をして顔面偏差値を上げることが可能になる。ゆえに、「進学校でない高校に通う高校生」や大学生の中で最上位階級以外のどれかの階級に属する人は、現状より上の階級に移動するのが比較的に容易である。
特徴その5 「相手の欲望を探知してその欲望を満たす能力」で上の階級に上昇することがある
スクールカーストを形成する学級において、本来は中位階級に属しているはずの人物が、「相手の欲望を探知してその欲望を満たす能力」を駆使して上位階級の中に入り込むことがある。
上位階級に属する人の欲望を探知し、上位階級に属する人の欲望を満たすために様々な行動をする。無償で金品を差し出したり、無償で労務を提供したり、無償で権利を譲渡したりして、上位階級に属する人の歓心を買い、上位階級に食い入る。
無償で金品を差し出す行為には、飯をおごるなどの行為がある。
無償で労務を提供する行為の中には、「宿題を代わりにやってあげて上位階級に属する人を喜ばせる」とか「カラオケで美声を披露して上位階級に属する人を楽しませる」とか「自分をネタにして笑いを提供して上位階級に属する人を楽しませる」というような合法的な行為もあるし、「下位階級に属する者をいじめて笑いものにして上位階級に属する人を楽しませる」という人権侵害をともなう不法な行為もある。
無償で権利を譲渡する行為とは、「ものごとを決める権利」を全面的に譲渡して、付和雷同し、ゴマすり・忠犬・イエスマン(イエスウーマン)になることである。
スクールカーストの上位階級に属する人のすべてが「『相手の欲望を探知してその欲望を満たす能力』で昇格した人」ではないので、「『相手の欲望を探知してその欲望を満たす能力』は上位階級に属するための必須条件である」ということはできない。しかし、「『相手の欲望を探知してその欲望を満たす能力』を原因として上位階級に属する例がある」ということができる。
ちなみに、体育会系部活動の年齢カーストにおいて、「相手の欲望を探知してその欲望を満たす能力」で上の階級に上昇することは全くあり得ないことである。
特徴その6 「空気を読みすぎる人」を生み出しやすい
スクールカーストの厳しい学校で育った人は、空気や「場の雰囲気」をしっかり読み、情況把握力が高く、周囲と調和し、暗黙の了解に従い、「痛い行動」を決して取らず、「出過ぎた真似」を決して行わず、協調性が極めて高い人材になりがちである。
スクールカーストの厳しい学校で育った人は、空気や「場の雰囲気」を読んで要領よく振る舞って人に気遣いすることは上手になるが、積極的情報提供権(表現の自由)を行使して情報をしっかり伝達する能力が低くなり、「空気を読みすぎて何か物足りない人」になりがちである[6]。
スクールカーストの厳しい学校で育った人は、積極的情報提供権(表現の自由)を行使して情報をしっかり伝達しようという意欲が乏しいので、情報収集権(表現の自由)を行使して情報をしっかり収集しようという意欲も乏しい傾向になる。調べ物をする能力がやや低くなりがちである[7]。
思春期を迎える前の子どもで構成される学級なら、質の悪い教師が統治する学級でスクールカーストが厳しくなり、質の良い教師が統治する学級でスクールカーストが緩やかになる
思春期を迎える前の男子は、身体能力の強さによってスクールカーストを決める傾向にある。質の悪い教師が学級を統治している場合、その教師が身体能力の低い子どもを軽蔑する態度を取り、スクールカーストに同調し、スクールカーストを強化するような存在になり続けるので、スクールカーストが厳しくなる。しかし、質の良い教師が学級を統治している場合、その教師が身体能力の低い子どもを軽蔑する態度を取らず、スクールカーストに同調することがなく、スクールカーストを弱体化させるような存在になり続けるので、スクールカーストが緩やかになる。
思春期を迎える前の女子は、教師に好かれているかどうかによってスクールカーストを決める傾向にある。質の悪い教師が学級を統治している場合、その教師が特定の子どもを依怙贔屓(えこひいき)し、子どもによって待遇に差を付け、スクールカーストを強化するような存在になり続けるので、スクールカーストが厳しくなる。しかし、質の良い教師が学級を統治している場合、その教師が特定の子どもを依怙贔屓する態度を取らず、すべての子どもに対して平等に接し、スクールカーストを弱体化させるような存在になり続けるので、スクールカーストが緩やかになる。
一言で言ってしまえば次のようになる。思春期を迎える前の子どもで構成される学級においてスクールカーストが厳しくなるか緩やかになるかは、その学級を統治する教師が決めるのである。
逆に言うと次のようになる。思春期を迎える前の子どもで構成される学級においてスクールカーストが厳しくなっているのなら、その学級を統治する教師の質が悪いのである。思春期を迎える前の子どもで構成される学級においてスクールカーストが緩やかになっているのなら、その学級を統治する教師の質が良いのである。
教師の大部分は、大学を卒業してそのまま教師になるのであり、「大勢の大人で占められている一般的な職場」を体験せずに教師になるのであり、一生を学校の中で過ごす。そのため「学生気分が抜けていない教師」というものがしばしば見られる。「学生気分が抜けていない教師」の一部には、スクールカーストに同調し、スクールカーストの上位階級に属する人と仲良くなって中位階級に属する人や下位階級に属する人を冷たくあしらう者がいる。こういう教師は「質の悪い教師」と言わねばならない。
思春期を迎えた後の子どもで構成される学級なら、共学校でスクールカーストが厳しくなり、男子校や女子校でスクールカーストが緩やかになる
思春期を迎えた後の男子や女子は、異性にモテるかどうかによってスクールカーストを決める傾向にある。
思春期を迎えた後の男子や女子は、共学校に通学するか、男子校または女子校に通学するか、のどちらかを選ぶことになる。
共学校ではスクールカーストが厳しくなる傾向がある。共学校では「異性」というものが常に存在するので、「異性にモテたい」という欲求が強く刺激される。そのため「異性にモテる要素を持つ人を友人にして、自分のモテ度を高めたい」とか「異性にモテない要素を持つ人を自分の周りから排除して、自分のモテ度が低くなることを防ぎたい」といった欲望が強まり、スクールカーストが厳しくなっていく。
一方で男子校や女子校ではスクールカーストが緩やかになり、所属する階級が異なる人同士の交流がある程度行われるようになり、和気藹々(わきあいあい)とした雰囲気になり、無階級社会に近い状態になる傾向がある[8]。
女子校では、スクールカーストが緩いので、下位階級の女子が描いたマンガをクラスのみんなで回し読みして上位階級の女子が「なかなかいいじゃん」などと誉めることがある[9]。
共学校では、スクールカーストが厳しいので、そういう現象が非常に発生しにくい。共学校では、上位階級に属する者が「マンガを描く者はマンガのキャラに恋するような者であり、異性にモテることを目指そうとしない者であり、異性にモテる要素が少ない者なので、自分の周りから排除して、自分のモテ度が低くなることを防がねばならない」とか「マンガを描く者を無視しよう」といった意識を持ちがちである。
ちなみに1980年代以前の女子校、すなわち昭和時代以前の女子校は、スクールカーストがやや厳しかったようである[10]。この時代の女子校は「お嫁さんを養成する機関」といった役割を期待されていたところがあり、生徒や学生が卒業した直後にお見合い結婚をすることが多かったし、卒業アルバムの写真がそのままお見合い写真になることも多かった。教師や両親から「いいお嫁さんになりなさい」と教育されて異性の目を強く意識する性格になった生徒・学生は、「自分より家柄の低い子と付き合うと、それに影響されて、いいお嫁さんになれなくなる」という意識を共有していたようであり、実家の家柄でスクールカーストを決めていて、階級が異なる人同士の交流が少なかったという。つまり、校舎の中に異性がいなくても、教師や親に「校舎の外の異性」を強く意識するように仕込まれると、スクールカーストが厳しくなる。
スクールカーストが生まれる原因
学校に通う児童・生徒・学生がなぜスクールカーストを形成するのかというと、彼らが「自らが重視する価値を多く持つ人を友人にして自らを飾りたい」という欲求をもっているからである。
たとえば、思春期を迎える前の男子は、身体能力が高いという価値観を最も重視する傾向にある。そうした男子は「身体能力の高い人を友人にして自らを飾りたい」という欲求を強く持っており、その欲求により「あいつは身体能力が低いので友人にしない、あいつは身体能力が高いので友人にする」という選別を行うようになる。その選別が重なることで、身体能力によるスクールカーストが形成されていく。
また、たとえば、思春期を迎えた後の子どもたちは異性にモテるという価値観を最も重視する傾向にある。そうした子どもたちは「異性にモテる人を友人にして自らを飾りたい」という欲求を強く持っており、その欲求により「あいつはモテないので友人にしない、あいつはモテるので友人にする」という選別を行うようになる。その選別が重なることで、異性にモテるかどうかによるスクールカーストが形成されていく。
つまり学校に通う児童・生徒・学生には「人を装飾品に見立てて、人で自分を飾りたい」とか「人を化粧品に見立てて、人で自分を化粧したい」といった欲求をもっており、その欲求によってスクールカーストが発生している。
学校に通う児童・生徒・学生の大多数は経済的実力が極端に低くて装飾品や化粧品を購入する資金が少ない。学校に通う児童・生徒・学生の中でごく少数の者は富裕層の親から多額の小遣いをもらっていて資金に恵まれているが、試行錯誤しつつ装飾品や化粧品を購入して得られる経験というのが少ない。このため学校に通う児童・生徒・学生は装飾品や化粧品で自らを飾ることが難しく、「好ましい価値を多く持つ人を装飾品や化粧品と見なし、その人を友人にすることで自己を飾りたてる」という安上がりな方法を選ぶしかない。つまりスクールカーストは、学校に通う児童・生徒・学生の資金や経験が不足しているために発生している。
スクールカーストの抑制方法
思春期を迎えた後の子どもが形成する学級においてスクールカーストが発生することを抑制するためには、様々な手段がある。
そのうちの1つは、「皆さんに自己の成長を実感してもらうためです」などと適当な口実をつけて児童・生徒・学生に赤ん坊のころの写真を提出させ、その写真を教室に掲示することである。赤ちゃん時代は誰でも容姿を整える技術など持っていないので、どの児童・生徒・学生もある程度の不細工である。そうした写真の掲示により、児童・生徒生徒・学生たちの間である種の平等意識を芽生えさせて平等社会の形成を促進し、スクールカーストの発生を抑制する。
スクールカーストを利用したいじめ
スクールカーストが発生した学級は2種類に分けられる
スクールカーストが発生した学級の中には、スクールカーストを利用したいじめが発生しにくいものと、スクールカーストを利用したいじめが発生しやすいものの2種類がある。
ここでいう「いじめ」とは、心理的又は物理的な影響を与えて心身の苦痛を感じさせることである[11]。
いじめのことをスクールハラスメント(スクハラ)と呼ぶこともある。パワーハラスメント(パワハラ)やカスタマーハラスメント(カスハラ)と同じようなハラスメント行為で、立場の強い者が立場の弱い者に対して心理的影響を与えて心身の苦痛を感じさせることである。
また、ここでいう「スクールカーストを利用したいじめ」とは、同じスクールカースト階級に属する者たちが徒党を組んで行ういじめのことである。
スクールカーストが発生しつつ「スクールカーストを利用したいじめ」が発生する学級における体験談があまりにも深刻で非常に悪名高いので、「スクールカーストが発生すると必ずそれを利用したいじめが発生する」と思われがちだが、実際はそんなことはない。
スクールカーストが発生するのに「スクールカーストを利用したいじめ」が発生しない学級は、富裕層子女が集まる共学校で見られやすい。そういう学級は、上位階級に属する人たちと中位階級に属する人たちと下位階級に属する人たちで分裂し、階級を同じくする人たちの間のみで趣味・嗜好の情報交換が行われ、階級間に大きな壁があるが、上位階級に属する人が中位階級に属する人や下位階級に属する人に対して攻撃的な言動をしていじめに励む姿が見られない。総じて言うと相互不干渉の状態となる。
スクールカーストが発生しつつ「スクールカーストを利用したいじめ」が発生する学級は、貧困層子女が集まる共学校で見られやすい。そういう学級は、上位階級に属する人たちと中位階級に属する人たちと下位階級に属する人たちで分裂し、階級を同じくする人たちの間のみで趣味・嗜好の情報交換が行われ、階級間に大きな壁があるのだが、上位階級に属する人が中位階級に属する人や下位階級に属する人に対して攻撃的な言動をしていじめに励む姿が見られる。上位階級に属する人が中位階級に属する人や下位階級に属する人に対して意図的に接近し、攻撃を仕掛け、反撃を許さない。総じて言うと一方的干渉の状態になる。
上位階級に属する者が自信を失うとスクールカーストを利用したいじめが行われる
上位階級に属する者の自信が破壊されると、上位階級に属する者が自信を取り戻すためにスクールカーストを利用したいじめをするようになる。
いじめをして人が恐怖に歪む顔を見ることにより、「自分には凄い影響力がある」と思うことができ、自信を取り戻すことができる。また、いじめをすることで、いじめの現場を目撃する者に「自分に反抗するとこのように迫害してやる」と威圧的に警告することができ、自らの権力を増大させることができ、自信を取り戻すことができる。
所得が低くて生活が苦しい両親のもとに生まれついた者は、つまり親ガチャの失敗者は、両親の怒りや罵倒を浴びる傾向にあり、児童虐待の心理的虐待の犠牲になる傾向があり、両親に自信を破壊される傾向にある。このため低所得家庭の子女が集まる学校では、スクールカーストの上位階級に属する者が自信を取り戻すためにいじめに励むようになる。
所得が高くて生活に余裕がある両親のもとに生まれついた者は、つまり親ガチャの成功者は、両親の怒りや罵倒を浴びない傾向にあり、児童虐待の心理的虐待の犠牲にならない傾向があり、両親に自信を破壊されることが少ない傾向にある。このため高所得家庭の子女が集まる学校では、スクールカーストの上位階級に属する者がいじめに励むことが少ない。
「親の所得が高いほど、子どもの偏差値が高くなって高学歴になる」ということはよく指摘されることである。
低偏差値の共学校であれば、低所得家庭の子女が集まりやすく、スクールカーストを利用したいじめが比較的に発生しやすい。
高偏差値の進学校の共学校であれば、高所得家庭の子女が集まりやすく、スクールカーストを利用したいじめが比較的に発生しにくい。
上位階級に属する者に過度なストレスが掛かるとスクールカーストを利用したいじめが行われる
上位階級に属する者に過度なストレスがかかると、そのストレスを発散させて健康を取り戻すために、上位階級に属する者が率先していじめを行うようになる。
思春期を迎える前の女子が作る学級内社会でそういう現象が発生しやすい。容姿が良くて勉強ができて合唱のピアノ伴奏という無償労働もこなすような女子は教師に気に入られてスクールカーストの最上位に君臨することが多いのだが、そういう最上位女子がいじめの主犯になることがある。
容姿が良いとストレスが溜まりやすい。それはなぜかというと、他者に顔などをジロジロと見られることが毎日ずっと続くからである。視線を浴びる生活がずっと続くとストレスになる。
教師の期待に応えるために勉強やピアノ伴奏を頑張ると、それだけで心理的な負担が増え、ストレスが溜まりやすい。
また、思春期を迎えた後の男子・女子が作る学級内社会でも「ストレスを原因とした上位階級所属者によるいじめ」が発生することがある。
部活動における過酷な練習、親や教師からの期待という重圧、彼氏・彼女の機嫌を取るための精神的苦労、これらにより上位階級に属する者はストレスを溜め込んでいることがある。そうしたストレスを発散させるために上位階級に属する者がいじめに励むことがある。
教師が特定の子を公然と依怙贔屓するとその子に対してスクールカーストを利用したいじめが行われる
教師の中には、特定の児童・生徒・学生を依怙贔屓(えこひいき)しない者と、特定の児童・生徒・学生を依怙贔屓する者の2種類がある。
そして特定の児童・生徒・学生を依怙贔屓する教師は、公然と依怙贔屓する者と、隠然と依怙贔屓する者の2種類がある。
特定の児童・生徒・学生を公然と依怙贔屓するというのは、いくつかの例が考えられる。①児童・生徒・学生の成績を一切公表しない学校において、担任の教師が授業中に児童・生徒・学生に対して「Aは君たちよりも成績がよい。君たちはAよりも成績が悪い」と言うことが例に挙げられる。また、②担任の教師が授業中に児童・生徒・学生に対して「Bを学級の代表としてみんなが盛り立てるべきだ」と言うことも例に挙げられる。
①は、A以外の全ての児童・生徒・学生の名誉(外部的名誉・社会的地位)を傷つけており、刑法第230条の名誉毀損罪に該当する。
②は、B以外の全ての児童・生徒・学生に対して、害悪の告知をせずに義務を課しているのであるから、刑法第223条の強要罪には該当しない。しかし、通信簿の記述により児童・生徒・学生の外部的名誉(社会的評価)に対する危害を加えることができる担任の教師が義務を課している。そして、義務の内容も教育にとって適切なものとは言い切れず、「社会通念の上で課されるべき義務」と言いづらい。このため②は「強要罪によく似ていて非常に望ましくない行為」と言うことができる。
児童・生徒・学生は、①や②のようなことを行う教師に対して強い反感を持つ。しかし、教師というものは権力が強いので、児童・生徒・学生にとって、①や②のようなことを行う教師に対して反抗したり批判したりすることが非常に難しい。
そのため、①や②のようなことを行う教師に遭遇した児童・生徒・学生は、そうした教師に依怙贔屓された特定の生徒に対して「スクールカーストを利用したいじめ」を行い、その生徒をスケープゴート(いけにえ)にして、憤懣を晴らすのである。つまり、その生徒を集団無視の対象にして、誰にも話しかけられない最下位階級に転落させる。
こうした現象は、富裕層の子女が集まっていていじめが発生しにくいはずの学校でも起こる可能性がある。
スクールカーストを利用したいじめの性質その1 コミュニケーション操作系のいじめが多い(ただし思春期を迎える前の男子社会は例外である)
いじめというものは、「暴力系のいじめ」と、「コミュニケーション操作系のいじめ」の2種類に分けられる[12]。
「暴力系のいじめ」は殴る蹴るの暴行が例に挙げられる。殴る蹴るは身体に対する加害であり、刑法第208条の暴行罪や刑法第204条の傷害罪で取り締まることができる。
一方、「コミュニケーション操作系のいじめ」は集団無視や誹謗中傷が例に挙げられる。集団無視は刑法で取り締まることが不可能だが、誹謗中傷は名誉に対する加害であり刑法第230条の名誉毀損罪や刑法第231条の侮辱罪で取り締まることができる。
スクールカーストを利用したいじめは、「コミュニケーション操作系のいじめ」であることが圧倒的に多い。特に、思春期を迎える前の女子社会や、思春期を迎えた後の子ども社会では、その傾向が強い。集団で無視をしていじめ対象者を現時点よりも下の階級に転落させる、公然と悪口を言って罵ったり裏でこそこそ陰口を言ったりしていじめ対象者の外部的名誉(社会的評価)を傷つけていじめ対象者が現時点よりも下の階級に転落するように仕向ける、といったものが代表例である。
思春期を迎える前の女子社会や思春期を迎えた後の子ども社会の中において、スクールカーストを利用して「暴力系のいじめ」をすると、教師という校内警察官に見つかって懲罰される可能性が発生する。教師の懲罰を受けた人物は、「教師に屈服させられた格好悪い人」というイメージを身にまとうことになり、現時点よりも下の階級に転落する可能性が発生する。このため、それらの社会では、スクールカーストを利用した「暴力系のいじめ」があまり見られない。教師の権力が弱くて治安の悪い最底辺の学校ならスクールカーストを利用した「暴力系のいじめ」が発生する可能性があるが、そうでない学校ならスクールカーストを利用した「暴力系のいじめ」が発生する可能性が低い。
一方で、思春期を迎える前の男子社会は、「暴力系のいじめ」がしばしば見られる。小学校の男子は教師に「小さい男の子は殴り合いをすることが多いし、身体能力がまだ低くて攻撃力がまだ低いので放置しても大丈夫だろう」などと見られることが多く、スクールカーストを利用して「暴力系のいじめ」をしても教師という校内警察官の懲罰を受けずに済む可能性が高い。
余談であるが、体育会系部活動の年齢カーストを利用したいじめは「暴力系のいじめ」が多く、先輩が後輩に対して一方的に殴る蹴るの懲罰的暴行をするのが代表例である。体育会系部活動では「競技における勝利を目指して指導したのに反抗されたので殴る蹴るの懲罰的暴行をした」という釈明が通用しやすく、教師という校内警察官の懲罰を受けずに済む可能性が高いので、年齢カーストを利用した「暴力系のいじめ」が発生しやすい。
スクールカーストを利用したいじめの性質その2 いじめが長期化・固定化されやすい
スクールカーストが発生して「スクールカーストを利用したいじめ」も発生する学級では、上位階級に属する者が、上位階級の中で最上位者に反逆した者や中位階級・下位階級に属する者に対していじめをする。そして、いじめの目撃者は上位階級に属する者に対して反対することもできず沈黙したまま見て見ぬ振りをする。スクールカーストらしく、所属する階級が異なる者同士は意思の疎通が行われず、意見を表明できない。
スクールカーストが発生して「スクールカーストを利用したいじめ」も発生する学級は、上位階級に対する反発力が非常に少ないので、上位階級によるいじめが長期化・固定化しやすい。いじめの対象となった者は保健室登校[13]や不登校に追い込まれることもある。
言うまでもないことだが、保健室登校や不登校に追い込まれるということは、日本国憲法第26条第1項で保障されている「教育を受ける権利」を侵害されたということであり、さらには日本国憲法第13条で保障されている幸福追求権を侵害されたともいうことができ[14]、基本的人権に対する重大な侵害を受けたということである。このため、他者加害原理に基づいて「スクールカーストの上位階級がいじめをする権利」というものを制限すべきである。
スクールカーストを利用したいじめの例その1 上位階級に属する人へのいじめ
上位階級に属する人が、上位階級に属する人たちによる「スクールカーストを利用したいじめ」の対象者になることがある。その口実は「上位階級の中で最上位に位置づけられる者に反逆した」というものが多い。
そうなると、上位階級の中でいじめ対象者を公然と罵倒したり、上位階級の中でいじめ対象者に関して隠然と陰口を叩くようになり、上位階級の中で「あの者は上位階級に属するべきではない」という評価が共有される。
そして、いじめ対象者が上位階級の全員から無視されて集団無視の状態になるのだが、このことを「ハブる」(「省く」を変化させた若者言葉)ともいう。
上位階級から集団無視を受けて追放された者(A)は、中位階級に溶け込める場合もあるが、そうならない場合もある。「いったん中位階級に入ったら2度と上位階級に返り咲けない」という意識が働いて中位階級に所属することをA本人が拒絶することがある。「Aを受け入れたら上位階級の皆から睨まれて自分たちもいじめの対象者になってしまう」という意識が中位階級に属する人たちに働いて、中位階級に属する人たちもAに対する集団無視に参加して、Aが中位階級に所属できなくなることがある。
上位階級から集団無視を受けて追放された者は、中位階級に転属することができず全くの孤立状態になり、保健室登校や不登校に追い込まれたりすることがあり得る。
スクールカーストを利用したいじめの例その2 中位階級・下位階級に属する人へのいじめ
いじめが二段階に分かれる
中位階級に属する人や下位階級に属する人が、上位階級に属する人による「スクールカーストを利用したいじめ」の対象者になることがある。
このいじめは二段階に分けられる。
第一段階 公然と面罵して名誉を傷つける
第一段階において、上位階級に属する人が、中位階級に属する人や下位階級に属する人に対して「お前は上位階級に入るだけの能力が無く、学級の華やかさを作りあげるという貢献をしていない」と評価する。この評価は公然と面罵するという形態で行われる。
たとえば、思春期を迎えた後の男子・女子社会では「お前はノリが悪くて陰キャである」と公然と面罵することが行われる。ノリが悪いというのは「歓楽に酔いしれている者に同調する能力が低い」といった意味の若者言葉である。陰キャというのは「性格が暗い者」といった意味で、2010年代以降に流行った若者言葉である。
こうした面罵は心理的影響を与えて精神的苦痛をもたらすものであり、これだけでいじめ防止対策推進法第2条のいじめの定義に当てはまる。
余談ながら、「お前はノリが悪くて陰キャである」と面罵することについて刑法に基づいた取り締まりができるかどうかについて少々述べておく。こうした面罵は、相手の外部的名誉(社会的評価)を傷つける行為であるが、事実を摘示しておらず主観的な価値判断を述べただけなので[15]、刑法第230条の名誉毀損罪を犯していることにならない。刑法第230条は事実を摘示して人の外部的名誉を傷つけることを取り締まる法律だからである。しかし、事実を摘示せずに主観的な価値判断を述べて人の外部的名誉を傷つけることを取り締まる法律は他にもあり、刑法第231条の侮辱罪がそれに該当する。主観的な価値判断を述べて人の外部的名誉を傷つけたとしても、正当な批判・批評の範囲内なら侮辱罪にならないのだが、正当な批判・批評の範囲を超えて相手の人格を否定するような攻撃的な言葉なら侮辱罪になる可能性が高まる。「お前はノリが悪くて陰キャである」という面罵のなかの「ノリが悪い」は正当な批判・批評の範囲内の言葉と言えそうだが、「陰キャ」は正当な批判・批評の範囲を超えて相手の人格を否定するような攻撃的な言葉と言うべきなので、侮辱罪になる可能性がある。
第二段階 義務を課し、権利の行使を妨害する
第二段階になると、上位階級に属する人が、中位階級に属する人や下位階級に属する人に対して「お前は上位階級に入って学級の華やかさを作りあげるという貢献をしていないのだから、その埋め合わせとして、何らかの労務を無償で提供する義務を負うべきだし、何らかの権利を無償で放棄すべきだ」と要求する。
そうした要求を拒否すると「お前は上位階級に入るだけの能力が無く、学級の華やかさを作りあげるという貢献をしていない」という面罵がやってくることが容易に予想されるため、中位階級に属する人や下位階級に属する人は恐怖に震え上がり、そうした要求を受諾する羽目になる。
毎日の掃除や文化祭の準備などで、上位階級に属する人が中位階級に属する人や下位階級に属する人に対して雑務を押しつけて義務を課すことがあるが、本項目のいじめに該当する。
上位階級に属する人がムードメーカーになり、学級内のムードを作り、中位階級に属する人や下位階級に属する人に対してムードに合わせた「ノリのよい行動」を取ることを要求することがある。それを断ると「お前はノリが悪くて陰キャである」という罵倒を浴びることになる。これも相手に義務を課したのであり、本項目のいじめに該当する。
上位階級に属する人が下位階級に属する人をイジることがあり、下位階級に属する人が嫌がってもイジり続けることがある。イジるとは「笑いものにする、もてあそぶ、翻弄する」という意味のお笑い芸人用語であり、若者言葉である。つまり、上位階級に属する人が下位階級に属する人に対してイジられる義務を課している。これも本項目のいじめに該当する。
文化祭の計画や修学旅行の班決めで、上位階級に属する人が中位階級に属する人や下位階級に属する人に対して「ものごとを決める権利の無償譲渡」を要求して、権利の行使を妨害することがあるが、本項目のいじめに該当する。
毎日の休み時間で、上位階級に属する人だけが大声で笑い騒ぎ、中位階級に属する人や下位階級に属する人が大声で笑い騒いだら上位階級に属する人が「黙っていろ」と罵倒しつつ抑圧することがある。これは、上位階級に属する人が中位階級に属する人や下位階級に属する人に対して「大声で笑い騒ぐ権利」を無償で放棄させたのであり、権利の行使を妨害したのであり、本項目のいじめに該当する。
余談ながら、「お前は上位階級に入って学級の華やかさを作りあげるという貢献をしていないのだから、その埋め合わせとして、何らかの労務を無償で提供する義務を負うべきだし、何らかの権利を無償で放棄すべきだ」と要求することについて刑法に基づいた取り締まりができるかどうかについて少々述べておく。名誉などに害悪を加える告知をして相手を畏怖させ、つまり脅迫して、相手の「意思決定の自由」を侵害して[16]、そうした上で義務を負わせたり権利の行使を妨害したりすると、刑法第223条を破ったことになり強要罪で取り締まることができる。このため「自分たちが課す義務に従わないなら、お前はノリが悪いので陰キャ確定だ」と言ったのなら、「ノリが悪い」「陰キャ」と認定して相手の外部的名誉(社会的地位)を傷つけることを告知して、つまり名誉に対する害悪の告知をして、そうした上で義務を課したのだから、強要罪で取り締まることができる。特に「陰キャ」と認定して相手の外部的名誉(社会的地位)を傷つけることを告知して、そうした上で義務を課したのなら、相手の人格を否定するような攻撃的な言葉を用いて名誉を大きく傷つけることを告知しているのだから強要罪が成立しやすい。しかし、いじめっ子が名誉に対する害悪の告知をしておらず、いじめられっ子が「拒否すると陰キャ扱いされて名誉を傷つけられる」と勝手に予測して暗黙の了解でいじめっ子の課す義務に従ったのなら、いじめっ子を強要罪で取り締まることができない。
上位階級に属する人が中位階級・下位階級に属する人をいじめる姿はコミュ力があるように見える
スクールカーストが発生して「スクールカーストを利用したいじめ」も発生する学級では、上位階級に属する人が中位階級・下位階級に属する者に向かって「お前は上位階級に入るだけの能力が無く、学級の華やかさを作りあげるという貢献をしていない」と罵倒しつつ強要をすることが日常的なものとなる。
そうした光景を見ていると、「上位階級に属する者はコミュ力(こみゅりょく コミュニケーション能力)が高い」という風に見える。
しかし、スクールカーストが発生して「スクールカーストを利用したいじめ」も発生する学級において上位階級に属する人が行うコミュニケーションは、コミュニケーションの中で最も価値が低いものである。
コミュニケーションというのは、①目上の者に対するコミュニケーションと、②対等の者に対するコミュニケーションと、③目下の者に対するコミュニケーションの3種類に分けられる。この中で①と②は難易度が高いが、③は難易度が低い。
①や②を頻繁に行う者に「コミュ力が高い」という評価を与えることは正当である。一方で、③を頻繁に行う者に対して「コミュ力が高い」という評価を与えることは決して正当ではなく、「簡単なことを行っているだけであり、コミュ力が高いかどうかはわからない」といった評価にとどめるべきである。
日本のスクールカースト
思春期を迎える前の男子
思春期を迎える前の男子、すなわち小学校高学年以前程度の男子がスクールカーストを形成することがある。
この男子社会においては、身体能力の高さが最重視される。身体能力が高い者が上位階級に君臨し、身体能力が低くなるに従って中位階級や下位階級に振り分けられる。
サッカー・バスケ・野球のような体育会系のクラブに参加してレギュラー・ポジションを勝ち取っている者が上位階級になり、体育会系のクラブに参加しながらレギュラー・ポジションを勝ち取れない者が中位階級になり、体育会系のクラブに参加しない者が下位階級になる。
また、殴る蹴るの懲罰的暴行を行って高い身体能力を誇示すると上位階級になることができる。小学生男子はまだ大人と比べて身体能力が低く、殴る蹴るの懲罰的暴行を行っても相手を病院送りにすることが難しい。そのため教師も小学生男子の暴行を放置することが多い。ゆえに小学校男子の社会では、殴る蹴るの懲罰的暴行を行って高い身体能力を誇示した者も上位階級に居座ることができる。
思春期を迎える前の男子社会において、学力の高さはさほど重視されない。このため、思春期を迎える前の男子社会のスクールカーストでは、上位階級に高学力の者と低学力の者が混在するし、下位階級にも高学力の者と低学力の者が混在する。
思春期を迎える前の女子
思春期を迎える前の女子、すなわち小学校高学年以前程度の女子がスクールカーストを形成することがある。
この女子社会においては、教師に好かれる者が上位階級になる。可愛い容姿を持っていて、学力が高くて、合唱のピアノ伴奏のような無償労働をこなして教師に献身的に奉仕する、といった要素を持っていれば教師のお気に入りになり、教師の威光を背にしてスクールカーストの上位階級になる。
特に重要なのは容姿の可愛らしさであり、それだけで教師のお気に入りになって上位階級になることがありうる。
思春期を迎える前の男子社会に比べて、身体能力はさほど重視されない。身体能力の高さは教師のお気に入りになるための重要な要素になりにくい。このため、思春期を迎える前の女子社会のスクールカーストでは、上位階級に高い身体能力を持つ者と低い身体能力を持つ者が混在するし、下位階級にも高い身体能力を持つ者と低い身体能力を持つ者が混在する。
思春期を迎えた後の男子
異性にモテるかどうかで階級が決まる
思春期を迎えた後の男子、すなわち中学生以降程度の男子がスクールカーストを形成することがある。
この年頃の男子は異性にモテたくてしょうがないので、スクールカーストも異性にモテるかどうかによって決まる。
異性にモテるかどうかは身体能力と容姿によって決まる。この2つを高いレベルであわせ持っていれば文句なしにスクールカーストの最上位に君臨することができる。
一方で、思春期を迎えた後の中学生・高校生・大学生にとって、学力というのは異性にモテるかどうかに対してあまり影響を与えない。このため、思春期を迎えた後の男子社会のスクールカーストでは、上位階級に高学力の者と低学力の者が混在するし、下位階級にも高学力の者と低学力の者が混在する。
男子と女子には性差があり、思想の傾向に異なるところがある。思春期を迎えた後の男子社会では容姿よりも身体能力を重視する気風があり、思春期を迎えた後の女子社会では身体能力よりも容姿を重視する気風がある。
身体能力
高い身体能力を示すためには体育会系部活動に入ってレギュラー・ポジションを勝ち取るのが最も効果的である。そして、その体育会系部活動にも階級付けがある。
サッカー・バスケ・バレー・テニス・野球・陸上のような、競技場を走ってときおりジャンプする競技なら、いかにも身体能力が高そうに見えるので、異性にモテやすい。
その中でもサッカーとバスケは、選手がある程度自由自在に競技場を走る競技であり、選手の自由裁量の余地が広い競技なので、華やかな印象を周囲に与えやすく、最も異性にモテやすい。中学生・高校生・大学生は経済的実力が極めて低く、経済的実力を持つ両親の指図通りに生きねばならず、自由裁量の余地が少ない生活に押し込められているので、「自由裁量を確保していて自由自在に判断する人」に対する憧れが強い。
バレー・テニス・野球・陸上は激しく走り回る競技だが、選手が決められた通りに競技場を走る競技であり、選手の自由裁量の余地が狭い競技なので、やや地味な印象を周囲に与えやすく、サッカーやバスケほど異性にモテるわけではない。
柔道や剣道のように競技場を慎重にすり足で動く競技や、卓球や弓道やアーチェリーのように持ち場にずっととどまる競技や、水泳のように走っている姿が見えない競技は、身体能力を発揮しているのにもかかわらずあまり身体能力が高そうに見えないので、比較的に異性にモテにくい。
一方で、高い身体能力を示すために殴る蹴るの懲罰的暴行をすることは推奨されない。思春期を過ぎた後の中学生・高校生・大学生は大人と遜色ない体格になってきており、相手を病院送りにすることができる身体能力になっている。このため殴る蹴るの懲罰的暴行をすると即座に教師という学校内警察官に懲罰されやすく、教師に懲罰されるという格好悪い姿をさらす羽目になりやすく、所属する階級を下げることになりやすい。思春期を過ぎた後の中学生・高校生・大学生で、すぐケンカして殴る蹴るの懲罰的暴行をする者は、なかなか上位階級に属することができず、中位階級に属することになりやすい。
思春期を迎えた後の男子社会で上位階級に出世するには、「身体能力が高くてケンカに強いが教師に懲罰されてみっともない姿をさらす」というのでは駄目で、「身体能力が高くてケンカが強そうに見えるがケンカをせずに済ませて教師に懲罰されることをしっかり避ける」という要素が必須となる[17]。
思春期を過ぎた後の中学生・高校生・大学生は、体育会系部活動に入って身体をきっちり鍛え、「いざとなればケンカに応じることができる」という身体的状態になり、周囲の男性を多少なりとも威圧し、周囲の男性から「あの人はいざとなればケンカできるだろう」と思われて遠慮され、女性から「あの人は男子にある程度遠慮されていて、頼りになりそう、格好いい」と思われれば、上位階級や「中位階級のやや上位」に属することができるようになる。
体育会系部活動に所属する者は上位階級や「中位階級のやや上位」を占めやすい。そして、囲碁・将棋・演劇・吹奏楽・美術・漫画といった文化系部活動に所属する者は「身体能力が低い」という評価を受けやすく、「中位階級のやや下位」から下位階級を占めやすい。
ここまでの記述に基づき、部活動の階級付けをすると次の表のようになる。
体育会系の部活動 | サッカー・バスケ | 競技場を走り回り、選手の自由裁量の余地が広く、選手が自由に動くので、最も華やかに見える | 上位階級や「中位階級のやや上位」 |
バレー・テニス・野球・陸上 | 競技場を走り回るが、選手の自由裁量の余地が狭く、選手が決められたとおりに動く | ||
柔道・剣道・卓球・弓道・アーチェリー・水泳 | 競技場を走り回らない | ||
文化系の部活動 | 囲碁・将棋・演劇・吹奏楽・美術・漫画 | 身体能力を発揮しないので、最も地味に見える | 「中位階級のやや下位」から下位階級 |
文化系部活動のなかで上位階級に属する人を輩出する可能性が最も高いのは軽音楽部である。若者に人気の楽曲を演奏することで異性にモテるという要素を最も持ちやすい。
容姿
容姿は、①美々しい顔面や適度な身長を持っているかどうかという身体的要因と、②服飾品や化粧品を購入できるかどうかという資金的要因と、③キリッと引き締まった表情を作れるかどうかという精神的要因によって決まる。
服飾品や化粧品を購入する資金に恵まれている者というと、富裕層の両親を持つ子供である。富裕層の両親から高額のお小遣いを支給される者は、好きなだけ服飾品や化粧品を購入して容姿を整えることができる。
また、アルバイトに励む者も資金的余裕があるが、その場合は体育会系の部活動になかなか参加できず身体能力の高さをアピールできない。
最も理想なのは、両親から高額のお小遣いを支給されて好きなだけ服飾品や化粧品を購入して容姿を整えつつ、体育会系の部活動に参加してレギュラー・ポジションを獲得し身体能力の高さをアピールすることである。
服飾品や化粧品を購入する資金に恵まれている者は、おしゃれに関して様々な試行錯誤を繰り返すことができ、おしゃれに関する深い知識を持つことができる。おしゃれに関する知識を持つ者は、思春期を過ぎた後の中学生・高校生・大学生に深く尊敬されるので、スクールカーストの上位階級に居座ることができる。
容姿を向上させるには、③のキリッと引き締まった表情ができる精神状態というのも重要なポイントになる。顔面偏差値の高いイケメンでも警戒心がゼロでだらしない緩みきった表情になると不細工に見えるものだし、顔面偏差値が低い不細工でも警戒心があってしっかりした緊張感のある表情になるとイケメンに見えてしまうものである。
体育会系部活動に参加する者も、文化系部活動に参加する者も、大会への参加に向けて真剣に取り組みつつなんらかの責任ある立場になると、物事に対して警戒心を持つようになるのでキリッと引き締まった表情ができるようになり、顔面偏差値がある程度向上する。このことは「部活動の美容効果」と表現することができる。
①の顔面や身長という身体的要因と②の服飾品や化粧品を購入する資金という資金的要因に恵まれている者は、上位階級になる可能性が高い。上位階級になると周囲の視線を浴びる生活になり、緊張感に包まれる毎日となるので、キリッと引き締まった表情を自然に作るようになり、③の精神的要因にも恵まれるようになる。
漫画・ゲームのキャラに恋するような者は下位階級に突き落とされる
世の中には漫画やゲームを愛好する者がいる。そしてその中には、漫画やゲームに登場するキャラに恋をする人がいる。漫画やゲームに、可愛らしい容姿や格好いい容姿を持つキャラが登場することがあるが、そうしたキャラに恋をしているのである。
世の中にはキャラクターの絵を描くのが上手い人がいる。そういう人は絵師などと呼ばれる。絵師は、漫画やゲームに登場するキャラに恋をする人であることが多い。「漫画やゲームのキャラに恋をして、その恋愛感情が創作の原動力になっている」という絵師が多い。
漫画やゲームに登場するキャラに恋をする人や、キャラクターの絵を描くのが上手い人は、スクールカーストの下位階級に突き落とされるのが常である。このため、上位階級や中位階級に属していながら漫画やゲームに登場するキャラに恋をしている人は、そのことを周囲に告白しない(カミングアウトしない)。上位階級や中位階級に属していながらキャラクターの絵を描くのが上手い人は、描いた絵を周囲に見せず、ニコニコ静画とかtwitterとかPixivとかに創作専用のアカウントを作ってそこで公開することになる。
スクールカーストが発生しつつ「スクールカーストを利用したいじめ」が発生する学級になると、上位階級に属する人が、漫画やゲームに登場するキャラに恋をする人に対して「漫画やゲームのキャラに恋するなんて気持ち悪い」などと痛烈に罵倒することがある。これは心理的影響を与えて精神的苦痛をもたらす行為であり、いじめ防止対策推進法第2条のいじめの定義に当てはまる行為である。
そもそも、漫画やゲームに登場するキャラに恋をするということは、個人の人格の核心を形成する精神作用である。そうしたことを自由に行うことは日本国憲法第19条で保障されている。つまり、漫画やゲームに登場するキャラに恋をするということを罵倒することは、日本国憲法第19条を踏みにじっているのであり、思想・良心の自由を深刻に抑圧しているのであり、重大な人権侵害と言わねばならない。
異性にモテるかどうかでスクールカースト階級が決まる学級において、漫画やゲームに登場するキャラに恋をする人が弾圧される理由は、2つ存在する。
1つは「漫画やゲームに登場するキャラに恋をする人は、異性にモテることを目指そうとしない人であり、異性にモテる要素が少ない人なので、スクールカーストの下位階級に位置づけることが妥当である」という判断が広がっているからである。
もう1つは「漫画やゲームに登場するキャラは、漫画の読者あるいはゲームのプレイヤーに恋をさせるレベルの秀逸なデザインに恵まれており、顔面偏差値がとても高く、現実の人間が絶対に勝てないレベルの容姿を持っている」という判断が広がっていて、劣等感という悪感情が広がっているからである。
思春期を迎えた後の女子
異性にモテるかどうかで階級が決まる
思春期を迎えた後の女子、すなわち中学生以降程度の女子がスクールカーストを形成することがある。
思春期を迎えた後の女子社会は、思春期を迎えた後の男子社会と非常によく似たところがあり、異性にモテるかどうかによって階級が決まる。そして異性にモテるかどうかは身体能力と容姿によって決まる。学力というのは異性にモテるかどうかに対してあまり影響を与えないので、上位階級に高学力の者と低学力の者が混在するし、下位階級にも高学力の者と低学力の者が混在する[18]。
男子と女子には性差があり、思想の傾向に異なるところがある。思春期を迎えた後の男子社会では容姿よりも身体能力を重視する気風があるのに対し、思春期を迎えた後の女子社会では身体能力よりも容姿を重視する気風がある。
大島永遠の分析
大島永遠の『女子高生GIRL'S-HIGH』という漫画作品では、第5巻において女子校におけるスクールカーストが紹介されている。その記述をまとめると次のようになる。
名称 | 特徴 |
カリスマギャルグループ | 見た目がギャルで、合コンをこなし、異性との交友経験が豊富である。アルバイトをすることが多く、ブランド品で身を固める。 自らが流行の発信塔になっているのでテレビで情報を収集する必要が無い。このためテレビのことをさほど話題にしない。 ギャル予備軍に比べて、顔面偏差値が高く、付き合っている彼氏のランクが高く、性格がマイルドでオタクにも優しい。ギャル予備軍と違って中学からすでにギャルである。 |
ギャル予備軍 | 見た目がギャルで、合コンをこなし、異性との交友経験が豊富である。アルバイトをすることが多く、ブランド品で身を固める。 テレビや雑誌で情報を収集していて、お洒落の手本は芸能人である。 カリスマギャルグループに比べて、顔面偏差値が低く、付き合っている彼氏のランクが低く、性格がキツくてオタクに厳しい。カリスマギャルグループと違って高校デビュー(中学まではギャルではなかったのに高校になって急にギャルになった)をしており、中学までの過去を掘られたくない。 |
学校行事アクティブグループ・部活青春グループ | クラスの大半はこのグループに入る。文化祭や体育祭のような学校行事になると張り切るのが学校行事アクティブグループで、部活動に精を出すのが部活青春グループである。この中でも、彼氏を持っている者はやや格が高く、彼氏を持っていない者はやや格が低い。 |
不思議ちゃんグループ | お洒落について独自の見識や信念を持っていて、個性を重視しており、独特のオーラを持つ。キーワードは原宿・インディーズブランド・ビジュアル系バンド。将来の夢はデザイナーとか美容師。 |
オタクグループ | 内向的である。服装・髪型といったお洒落や流行に無頓着すぎる。 アニメ・漫画・ゲームに夢中で、絵を描くのが上手く、同人誌の製作に精を出す。お盆や大晦日のコミケの時期になると非常に活発化してエネルギーを発する。 |
地味系グループ | 内向的である。服装・髪型といったお洒落や流行に無頓着すぎる。 アニメ・漫画・ゲームに夢中というわけではない。 |
思春期を迎えた後の男子社会では身体能力重視主義の気風があり、体育会系部活動と文化系部活動に決定的な差を見出すのが常である。
しかし大島永遠は、体育会系部活動と文化系部活動に大きな差を認めず、「学校行事アクティブグループ・部活青春グループ」として、体育会系部活動と文化系部活動をほぼ同一視している。大島永遠のそうした分析は、「思春期を迎えた後の女子社会では身体能力重視主義の気風がすくなく、体育会系部活動と文化系部活動に決定的な差を見出さない」ということを暗示しているように見受けられる。
アメリカ合衆国のスクールカースト
日本のスクールカーストとの類似点が多い
アメリカ合衆国の高校(ハイスクール)などの学校にもスクールカーストがある。ただし、現地ではschool casteなどと呼ばず、clique(クリーク 派閥)と呼ぶ。
アメリカ合衆国のスクールカーストは、日本のスクールカーストと酷似している。学校社会の中で生徒同士の固定されたコミュニティが2つ以上形成され、コミュニティは序列を付けられる。異なるコミュニティに属する人同士は交流をせず友達にならない。2つ以上のコミュニティは揺るぎない階級社会を形成している。そして、コミュニティ同士の差別意識や被差別意識が強い。それゆえ、スクールカーストの上下関係は時として生徒同士のトラブルを引き起こす。
コロンバイン高校銃乱射事件のように、スクールカーストの上下関係が銃を使った殺人事件にまで発展した例がある。銃を使った犯行が発生するのはアメリカ合衆国ならではの現象である。
スクールカースト早見表
アメリカ合衆国のスクールカーストは、同国の映画やテレビドラマなどの創作作品でしばしば題材として取り上げられている。その典型例を表にすると次のようになる。
勝ち組(Winner) | |
負け組(Loser) | |
以下の2つはカースト階層の外に位置するとされる。
勝ち組
- ジョック(Jock)
- いわゆる体育会系にしてアメリカ合衆国版スクールカーストの最高峰。その学校で最も影響力のある運動部(アメフト部・バスケ部)に所属している男子が該当する。その中でも部長やキャプテン、最も運動能力に優れた者が学校で最も強い権力を持つ。
- チームスポーツのリーダー的存在にのみジョックという言葉が使われ、水泳や陸上のような個人競技の選手にはジョックという言葉が使われない。
- Jockの語源はジョックストラップ(Jock Strap)という男性用局部下着である。六尺ふんどしのような下着である(画像1、画像2)。「チームスポーツのリーダー的存在はジョックストラップを好んで履いている」というイメージがあり、ジョックと呼ばれるようになった。
- クイーンビー(Queen Bee)
- ジョックが男子生徒のトップならこちらは女子生徒のトップで、学園の女王様。クイーンビーを直訳すると女王蜂という意味になる。チアリーダーの中心的存在や、演劇部の主役級美女である場合が多い。ジョックと恋人関係になっているのがお決まりのパターンである。
- ミーン・ガール(Mean Girl イジワル女)やヴァレー・ガール(Valley girl セレブでアタマのワルいお嬢様[19])を兼ねている場合もある。
- サイドキックス(Sidekicks)
- 女性で、クイーンビーの取り巻きであり、脇侍(きょうじ)である。創作作品では「クイーンビー1人に対して2人のサイドキックスがいる」という具合に描写することが多い。Sidekickは安心できる親友という意味である。ズボンの前ポケットのことをsidekickというが、そのsidekickはスリの被害に遭いにくくて安心できる場所である。そのため安心できる親友をsidekickと呼ぶようになった。
- プリーザー(Pleaser)
- 男性の場合はジョックの取り巻きであり、女性の場合はクイーンビーとサイドキックスの取り巻きである。Pleaseとは「喜ばせる」という意味である。上にはひたすら媚びへつらい、下の者にはたかりを働く。
- ワナビー(Wannabe)
- プリーザーの地位に甘んじることなくそれより上の階級に上昇したいと常々思っているがそれが実現しない人。Wannabeは「I wanna be higher(自分はより上級の者になりたい)」の略である。
- メッセンジャー(Messenger)
- 伝言(message)を伝える人であり、パシリとしてこき使われる。
- プレップス(Preps)
- お金持ちのボンボン。ジョックやクイーンビーに貢ぎ物をする財力がある。Prepsは大学進学を目的とした私立校のプレップ・スクール(Prep school)が語源である。
- スラッカー(Slacker)
- 道化者・笑われ役。ジョックやクイーンビーを笑わせるために自らをネタにするような者。本来のSlackerは怠け者とか兵役忌避者のことを指す。
負け組
- ナード(Nerd)
- スクールカーストの中でも下位に位置する者たちの総称。身体能力が低いという共通項がある。ナードをオタクと和訳することもある。
- Nerdの語源には様々なものがあるのだが、Nerdという言葉が有名になったのは1974年から10年かけて放送された青春コメディドラマの『ハッピー・デイズ』だという(解説記事)。
- ギーク(Geek)
- 何らかの知識に秀でた者。コンピュータの知識に秀でた者はコンピュータ・ギークという。映画の知識に秀でた者はムービー・ギークという。鉄道の知識に秀でた者はトレイン・ギークという。吹奏楽のような演奏の知識に秀でた者はバンド・ギークという。
- Geekは19世紀頃に「サーカスで奇妙なことをする芸人」といった意味で使われていた言葉である(解説記事)。
- ナード同様、和訳でオタクの中に含まれることもある。
- ゴス(Goth)
- ゴシック系の服装をする人の総称で、軽音楽をする者やその追っかけが含まれる。日本でいうバンギャ(ヴィジュアル系バンドの追っかけ女)のような女性もここに含まれる。
- フリーク(Freak)
- マニア。何かを収集することに熱中する奇特な人。
- ブレイン(Brain)
- ガリ勉。Brainは脳味噌とか秀才という意味。
- ターゲット(Target)
- スクールカーストの最下層。いじめられっ子たち。勝ち組にいても、何らかの形でここに転落する者も中には存在する。
カースト階層外
- バッドボーイ・バッドガール(Bad boys&girls)
- 俗に言うヤンキーやスケバンなど不良のこと。集団でワルなことをする連中。基本的にはあまり纏まりのない集団だが、全体を束ねるボス格が出たりすると、稀にスクールカーストの枠に捉われない別格の権力者として君臨することもある。暴力に抵抗のない連中はやはり怖いものである。
- フローター(The Floater)
- 不思議ちゃんや電波系など、個性と思考が斜め上の連中。floaterは「浮いている人」という意味である。図書館に入り浸っていたり、図書館の司書をしていたりする。
ジョックとナードの確執
アメリカ合衆国の学校において、上位階級であるジョックが下位階級のナードをいじめる光景が多い。
しかし学校を卒業した後のナードは、企業の中で指導的立場に昇ることがある。ナードの中のコンピュータ・ギークはGoogleやAmazonのような超大手のIT企業に勤めて高額の年収を勝ち取ることがある。ナードの中のムービー・ギークはハリウッドの映画企業やテレビ企業に就職して名高い映画制作者になることがある。
ハリウッド映画やテレビドラマではジョックを悪役にする作品がしばしば見られる。これは、「ムービー・ギークの制作者が、学校に在籍していたときにジョックにさんざんいじめられていたので、その憂さ晴らしをしている」と解釈されることがある。
政治評論家のチャーリー・サイクスかもしくはIT企業家のビル・ゲイツが「Be nice to nerds. Chances are you’ll end up working for one.(ナードには優しくすべきだ。将来、君はナードの部下になって働く可能性があるからだ)」といったとされる。この言葉は、学校を卒業した後にジョックとナードの立場が逆転する可能性を示している。
ジョックは力の信奉者であり、男尊女卑で、同性愛者を嫌悪する傾向がある。このため政治的には共和党を支持する可能性が高いとされる。一方でナードは平等社会・無階級社会の支持者であるとされ、政治的には民主党を支持する可能性が高いとされる。
スクールカーストを扱う表現作品
日本の論説書
日本の漫画
- 暗殺教室(スクールカーストを学校ぐるみで施行している)
- 女子高生GIRL'S-HIGH(女子高を舞台としたコメディ漫画。第5巻や第7巻にスクールカーストの記述がある)
- 花とみつばち(共学校を舞台とした漫画)
- ある日突然ハブられた
- スクールカースト~下位になったらオワリ~
日本の小説
- やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(スクールカーストを下位から見て書いたライトノベル)
- AURA~魔竜院光牙最後の闘い~(ライトノベル作品。スクールカーストも焦点として描かれる)
- 野ブタ。をプロデュース
- りはめより100倍恐ろしい
- 桐島、部活やめるってよ
日本のアニメ
- パンティ&ストッキングwithガーターベルト(天使・悪魔姉妹が通う学校にスクールカーストがある)
日本のテレビドラマ
アメリカ合衆国のゲームやテレビ番組
- ブレックファスト・クラブ(アメリカの学園を舞台とした青春映画)
- BULLY(アメリカの学園を舞台としたゲーム。学園内にスクールカーストがある)
- Glee(アメリカで放送されている学園ドラマ)
- ZERO HOUR:コロンバイン高校銃乱射事件(スクールカーストを原因として発生したコロンバイン高校銃乱射事件のドキュメンタリー作品)
関連リンク
Wikipedia記事
PIXIV百科事典記事
NHKの特集記事
- 10代が何でも話せる街ハナシティ2018年12月~2019年2月「スクールカーストってなくせる?なくせない? Part1」
- 10代が何でも話せる街ハナシティ2019年10月「あなたが経験したスクールカーストエピソードを教えてください!」
- 10代が何でも話せる街ハナシティ2020年1月「スクールカーストってなくせる?なくせない? Part2」
関連項目
脚注
- *日本では、小学校に通学する者を児童と呼び、中学校や高校に通学する者を生徒と呼び、大学に通学する者を学生と呼ぶことが通例となっている。明鏡国語辞典初版や三省堂国語辞典第七版の「児童」「生徒」「学生」の項目を参照のこと。
- *一部の大学の体育会系部活動では、「1年奴隷・2年平民・3年天皇・4年神様」と表現されるような厳しい年齢カーストが発生する。江川卓が在籍していたときの法政大学野球部はその典型例で、上級生が下級生に対して凄惨な暴行をすることが常態化しており、江川卓もそうした暴行の標的とされて苦労したという。詳しくは『実録たかされ 第2巻(サード・ライン)本宮ひろ志』を参照のこと。
- *『教室内カースト 光文社新書(光文社)鈴木翔・本田由紀』の『第2章 なぜ今、「スクールカースト」なのか?』の『「いじめ」は教室で起こる』の項目を参照のこと。
- *『花とみつばち(講談社)安野モヨコ』第1巻186ページ、『女子高生GIRL'S-HIGH(双葉社)大島永遠』第5巻36ページなど。
- *ヒエラルキー(Hierarchie)とはドイツ語で「階層」という意味だが、日本語として使われるときは「ピラミッド型の階層」という意味になることが多い(記事)。
- *『女子校力(PHP研究所)杉浦由美子』の『第4章 空気を読まない力』の『空気を読みすぎる共学女子』の項目において、スクールカーストの厳しい共学校で育った人の中に「空気を読みすぎて仕事をする能力がイマイチになってしまう人」がいることが指摘されている。杉浦由美子は、様々な企業の採用担当者や管理職からそうした情報を得たという。
- *『女子校力(PHP研究所)杉浦由美子』の『第4章 空気を読まない力』の『空気を読みすぎる共学女子』の項目において、スクールカーストの厳しい共学校で育った人の中に「情報収集をする能力がイマイチな人」がいることが指摘されている。
- *『女子校力(PHP研究所)杉浦由美子』の『はじめに』や『第2章 「世間の目」を気にしない女子校育ち』を参照。『女子高生GIRL'S-HIGH(双葉社)大島永遠』の第5巻39ページでも「オタク女子に話しかける最上級美人ギャル」という光景が描かれ、「緩やかなスクールカーストの女子校」が描写されている。
- *『女子校力(PHP研究所)杉浦由美子』の、『はじめに』や、『第2章 「世間の目」を気にしない女子校育ち』の『世間知らずという女子校病への処方箋』に、類似した記述がある。
- *『女子校力(PHP研究所)杉浦由美子』の『第2章 「世間の目」を気にしない女子校育ち』の、『一九八〇年代の女子校には階級が存在した』や『実家の家柄で自分のカーストが決まる』の項目を参照のこと。
- *いじめ防止対策推進法第2条を参考として定義した。
- *社会学者の内藤朝雄がそのように分類している。『いじめの構造(講談社)内藤朝雄』を参照のこと。『教室内カースト 光文社新書(光文社)鈴木翔・本田由紀』の『第2章 なぜ今、「スクールカースト」なのか?』の『「いじめ」は教室で起こる』の項目でも内藤朝雄の分類法を引用している。
- *保健室登校は、登校するが教室の中に入れず保健室や図書室に入り浸りになることをいう(記事)。
- *基本的人権というものは、まず日本国憲法第13条によって幸福追求権を保障することで包括的に保障される。しかし日本国憲法第13条だけではやや不親切なので、日本国憲法第26条のような個別の条文が書かれてある。教育を受ける権利を侵害した場合、裁判所によって「日本国憲法第26条第1項を破った」と認定される。しかし、人権の侵害の度合いがあまりに重大かつ深刻である場合は、「日本国憲法第26条第1項だけではなく、その根拠とも言うべき日本国憲法第13条をも破った」などと裁判所が表現する可能性がある。例えば、ハンセン病訴訟において熊本地裁が「人権制限の実態は、単に(憲法22条1項に根拠を有する)居住・移転の自由の制限ということで正当には評価し尽くせず、より広く憲法13条に根拠を有する人格権そのものに対するものととらえるのが相当である」と述べている(熊本地裁判決平成13年5月11日判時1748号30頁)。
- *事実とは、証拠を出すことによって真実か虚偽かを証明できる事柄のこと。「お前は窃盗の罪を犯した」というのは事実の摘示になる。「お前は気持ち悪い」とか「お前はノリが悪くて陰キャである」は発言者の主観的な価値判断を述べただけであり、証拠を出して真実か虚偽かを判定できるような発言ではないので、事実の摘示には当たらない。
- *「意思決定の自由」とは、日本国憲法第13条で保障される自己決定権の1つである。また、日本国憲法第19条で保障される思想・良心の自由について広義説(内心説)を採用する場合、「意思決定の自由」は思想・良心の自由の一部になる。このため「意思決定の自由」を侵害することは、人権を侵害することになる。
- *『花とみつばち(講談社)安野モヨコ』第1巻において、モテる男子に対して主人公の小松が「あの人はケンカが強そうに見える」と思うシーンが出てくる。異性にモテるためにはそのような威圧感が必要である。
- *『女子高生GIRL'S-HIGH(双葉社)大島永遠』第7巻64ページにそうした記述がある。
- *Valley girlとは、米国カリフォルニア州ロサンゼルス郊外のサンファーナンド=バリー(San Fernando Valley)の高級住宅街に住む若い女性のこと。ファッションや買物にしか興味がないとされる。
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