スズキ・ジムニーシエラ(Jimny SIERRA)とは、スズキ自動車で生産される小型自動車(登録車)である。ここでは事実上の初代のジムニー8や2代目となるジムニー1000などについても併せて説明する。これらの車には便宜上、各々の項目に初代や2代目を表記する。
なお、ここで単にジムニーと言う場合は軽自動車のジムニーを表す。
概要
ジムニーの登録車バージョン(白ナンバー)であり、ジムニーとはボディを始め、内装を共有している。しかし、小型車枠に適合させる為にエンジンは1300ccの物を搭載、オーバーフェンダーを取りつけている。なお、ホーシング関係はワイドトレッドの物を使用している為、軽とは別物でありアフターパーツを取り付ける時は注意が必要である。
ジムニー共々、根強いファンがおり、後述のメリットより敢えてジムニーシエラを選ぶ者もいる。
メリットとデメリット
ジムニーと比べて、以下のメリットデメリットがある。比較対象は特記事項以外は現行型とする
メリット
- 排気量分の余裕がある事やワイドトレッドによる高速道路での安定性
- ジムニーと共通の設計であり登録車になった事で得た1500ccのエンジンによって、軽随一の重量だったジムニーから一転、ジムニーシエラは登録車随一の最軽量クラスの本格的なクロスカントリービーグル(CCV)へ変化している事
- ジムニーに存在しないフロントガラスのデアイサーやシートヒーターの装備があり、寒冷地における商品力がある。但し、現行モデルはジムニーもほぼ同じ内容である。
- ジムニーほどでないにしろ、アフターパーツもとりそろっている。
デメリット
- 登録車なので税金面ではどうしても軽自動車よりも高くなる。自動車税だけ見てもジムニーが7200円に対して、シエラは34500円と大きな開きがある。高速道路も当然、普通乗用車料金。
- 内装はジムニーと共通なので車内空間は軽自動車程度である
- 意外な事であるが、ワイドフェンダーによってホイールを社外品にしようとする場合、あまりインチアップするとその部分に干渉してしまうので、選択の幅が広くない。車高を上げたり、バンパーを削ればその限りで無い。
初代(SJ20・1977年~1982年)
1977年に登場したジムニー8(エイト)はジムニーシエラの事実上の初代に当たる車両である。
かねてより輸出用にLJ80の名称で販売されていたが、これを国内に導入した格好である。エンジンは4サイクルの800ccであり、エイトの名称もこの数字から来てると思われる。4サイクルと言う事でエンジンヘッドが高くなったのでボンネットはフラットな物から盛り上がった形状となっている。F8A型はこれまで2サイクルオンリーだったスズキの初めての4サイクルエンジンでもあった。
このモデルはエンジン以外はジムニーと同一と言われいる。販売の方はと言うとてんでさっぱりであり、小型貨物の場合は継続車検が1年である事や税金面も軽と比べても高額であった事から、かなり見かける数が少ない。
なお、ジムニーが2代目になって以降も、この車は1年ほど旧型車体で継続された。
2代目(SJ40・JA51・JB31・JB32 1982年~1988年・1993年~1998年)
2代目はジムニーに遅れる事1年、1982年に2代目となった。
特筆点として途中、1度の生産休止期間を挟んでいる事である。これはスズキ・エスクードが登場し、3ドア車がバッティングする恐れがあったとされるが、実際は大きさ的にバッティングしなかったので1993年に再度登場、この際にシエラの名称が付けられた。
SJ40型
1982年に登場したSJ40は車体はオーバーフェンダーを採用し、幅広タイヤへの対応を果たす。名称はジムニー1000となり、その名称通りに先代のキャリーオーバーであるが排気量は1000ccとなっている。ホイールはジムニーとの共用を避けるためか、6穴となっている(ジムニーは5穴)
ここに至って、初めてピックアップモデルが追加となった。元々、初代から輸出モデルにはピックアップモデルがあったが、2代目で日本国内に初導入と相成った。元々、それ程登録車の需要はジムニーほど強いものでなく、さらにそこからピックアップとなれば導入数はきわめて少なく、コレクターズアイテムとなっている。
輸出仕様の形式はSJ410とされ、数多くの国でこれをベースとして生産されていた。
エポックメイキングな話題は宇宙刑事で引き続き導入された事である。シャリバンとシャイダーはこのモデルを使用しており、特にシャイダーのジムニー1000はドレスアップが行われている。
JA51
1984年にエンジンを新型の1300ccのG13A型に変更したジムニー1300が販売された。それまでのエンジンと比べてもアルミを使用した為、軽量なエンジンに仕上がっている。
このモデルをベースとして、北米仕様はスズキ・サムライが生産された。また、海外仕様におけるベース車もSJ410からこのモデルが多くなっていった。ラインナップは概ねジムニーと同一であるものの、このモデルより5ナンバーモデルが導入された。
1988年にいったん製造休止となり、復活は1993年まで待つ事になった。
JB31
5年のブランクを挟んで1993年に登場したのがJB31であり、この形式よりジムニーシエラを名乗る事になった。この際、コンシューマーリポートに端を発するサムライ騒動で改良が加わったスズキ・サムライをベースとしている。
なお、この代以降は幌の設定がされてない。
JB32
1995年に登場したこのモデルにおいて、初めてコイルばねが設定される事になった。無論、ライバルのパジェロジュニア対策であるが、この際の足回りはまっさら新規に置きして、ジムニーとは別物になっている。
3代目(JB33/43 1998年~2018年)
1998年にジムニーに先立って、モデルチェンジを果たした。この際にジムニーワイドを名乗り、オーバーフェンダーを取り外す事で、次期ジムニーの形状が大まかに想像できる格好となった。但し、足回りは専用のものであり、単純に取った外したではない点に注意。かなり投げやりな感じの名称ではあるが、この当時はワゴンRも同じように登録車仕様があり、その車の名称にもワイドが使用されていた。それまでの直線的なデザインからスタイリッシュなデザインとなり、大きくそのイメージを変えた。
2002年にエンジンの変更を伴うマイナーチェンジが行われた際、再びジムニーシエラの名称がつかわれる事になった。その後のマイナーチェンジなどはジムニーと歩調を合わせたものとなっているが、登録車で装着が義務付けとなっている横滑り防止装置が標準になっている点やフロントガラスに存在するデアイサーの装備などで違いが出ている。
なお、現行モデルにはボンネットにエアスクープがあるが、これはダミーであり、ジムニーと共通のものを使用している関係で取り付けとなっている。その部分はふさぎ穴がしてあり、冷却効果はない。
4代目(JB74 2018年~)
2代目オマージュのデザインに伝統の縦線グリルや丸目のヘッドランプが組み合わさって、近年の曲線基調のデザインを見なれたものには逆に新鮮な直線的なデザインとなった。
昨今の安全への高度な要求はジムニーシエラとて例外ではないが、昨今に他の車両で装備がされているものは軒並み装備がなされている。
車内は実用一辺倒であった先代から、しゃれっ気とワイルドさと実用性を両立した物となっている。シートも車中泊しやすい作りになっているほか、シートアレンジも豊富なモノになっている。また倒した際のスペースは汚れても平気な素材を使っており、泥・砂などでもへっちゃらとなっている。
足周りは伝統のラダーフレームにパートタイム4WDの組み合わせとなっているがフレームにXメンバー・クロスメンバーと言った補強がされ、従来よりもオフロードでの走りに磨きがかかっている。またフレームとボディを繋ぐボディマウントラバーの大型化によって、シャーシからの振動を抑えられている。4WDの操作部分がボタンタイプから従来からのレバータイプになった。
新たな機構に「ブレーキLSDトランクションコントロール」が用意された。4WDのローレンジモード(4L)において、スタックしたタイヤにブレーキをかけて、駆動力を他のタイヤに振り分ける機構を装備、また下り坂におけるブレーキの電子制御によって定速走行をしやすくするヒルセンディングコントロール、逆に坂道発進に便利なヒルホールドコントロールなど現代車らしい電子制御が装備されている。
エンジンはそれまでの1300ccから1500ccの新型K15B型エンジンとなり、馬力も102psと出力が上がった。一方でオフロードに入った際の飛び石や砂、水などからのエンジン保護対策が施されている。
ライバル車
かつては三菱・パジェロジュニア→パジェロイオがあった。パジェロジュニアはジムニーに対するパジェロミニのようなものであり、登録車化の手法も同じであった。パジェロイオでパジェロミニとは完全に袂を分かったがその頃にはキャラクターが完全に違うものとなっていた。
この他、トヨタ・ラッシュ/ダイハツ・ビーゴもライバルに存在していた。
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関連項目
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