行進は終わらない
―ウイニングポスト9 2022
スズパレードとは、日本の競走馬、元種牡馬である。
「皇帝」シンボリルドルフと同期の1984年クラシック世代の一頭だが、実はルドルフを除くと同世代で古馬GIを制した唯一の馬である。
通算成績25戦12勝[12-1-1-11]
主な勝ち鞍
1984年:ラジオたんぱ賞(GIII)、福島記念(GIII)
1985年:金杯(東)(GIII)、ダービー卿チャレンジトロフィー(GIII)
1986年:ダービー卿チャレンジトロフィー(GIII)
1987年:宝塚記念(GI)、中山記念(GII)
1988年:オールカマー(GIII)
※年齢表記は現表記に統一しています。
悲劇の父ソルティンゴ
父ソルティンゴ、母スズボタン、母父ロムルスという血統だが、古すぎてよく分からないかもしれない。
父ソルティンゴは社台の総帥、吉田善哉の所有馬としてミラノ大賞典などを優勝したイタリアの名馬であり、鳴り物入りで日本で種牡馬入りしたが、放牧時の事故により生殖能力を喪失。わずか1世代しか産駒を残せなかった。この事件は最終的に担当者が自ら命を絶つ騒ぎにまで発展し、後のインタビューにて吉田善哉も非常に後悔していた事を明かしている。
そのソルティンゴだが、事件後回復に一縷の望みをかけられものの、3年後に急逝。産駒の活躍を見ることなく早世してしまった。
脚部不安と戦いながら
1983年11月にデビューし、ここは3着に敗れるも2戦目で勝ち上がり、400万条件を連勝しクラシック候補として名乗りも上げるも、共同通信杯、弥生賞、皐月賞、日本ダービーを4戦連続4着。因みに共同通信杯以外は全てルドルフが勝利している。
「残念ダービー」ことラジオたんぱ賞を勝つがセントライト記念は6着となり菊花賞を断念。以後中距離路線を邁進することになるが、これが上手く嵌りオープン特別、福島記念、金杯(東)と3連勝。一気に中距離の雄として名を挙げるも、ここにきて脚部不安が顕在化。この脚部不安は彼の馬生につきまとうものとなり、長期休養を何度も挟むこととなる。
半年以上休養し天皇賞に出走(15着)した後、ダービー卿チャレンジトロフィーに出走すると59kgの斤量を気にせず2馬身突き抜け快勝。またも半年以上の休養を挟み毎日王冠6着から再びダービー卿CTに挑戦すると60kgの酷量ながらも優勝。有馬記念8着で1986年を終えた。この時彼は5歳、しかし物語はまだまだ終わらないのである。
念願の栄光を
6歳となった彼はここで休養を挟むことなく、AJC杯からスタート。ここを2着に好走すると続く中山記念を快勝。安田記念で単枠指定となるも7着に敗れる。
次走に宝塚記念を選択。ここではニッポーテイオーやフレッシュボイスなどの名マイラーや斜行芸人ニシノライデンやスダホークといったいかにも昭和な面子が集まり、ここを3番人気で迎える。レースでは先行馬を見る形で進め、直線で先頭集団に並びかけると競り合うニッポーテイオーとニシノライデンをかわし、2馬身差をつけて快勝。遂にGIタイトルを獲得し、関東の有力騎手ながらGIに縁がなかった蛯沢誠治騎手にとって初のGI競走制覇となった。
老兵は死なず
しかしやはり脚部不安に苛まれ、宝塚記念の後1年以上の休養を余儀なくされる。
復帰戦は1年3ヶ月ぶり、新潟開催のオールカマー。出走馬最高齢の7歳ながら実績が買われ1番人気に推されると、先行から抜け出し、逃げ粘るミスターブランディを交わし、そのまま押し切る横綱相撲で完勝。タイムは2分12秒3のレコード。ブランクを感じさせない、GIホースの貫禄を見せつけた。
続いてジャパンカップと有馬記念に出走したが、芦毛の両雄の激闘を観戦しつつ終わり、有馬記念後に引退。休養がちだったものの7歳一杯まで現役を続け、ニホンピロウイナー、シンボリルドルフ、ミホシンザン、ダイナガリバー、タマモクロス、オグリキャップといった名馬と対戦経験を持っている。
その後のスズパレード
引退後は種牡馬となり、ソルティンゴの後継として期待がかけられたが、北関東公営競馬で12勝を挙げた後中央へ移籍し、平地と障害で1勝を挙げたスズハグラーが代表産駒に留まった。
従兄弟で同い年、同馬主のスズマッハとともにイーストスタッドで功労馬として繋養されていたが、2008年に老衰で死去。27歳だった。
成績や記録
通算成績25戦12勝、[12-1-1-11]という勝つか負けるかという割と極端な成績で、特に中山競馬場では重賞4勝、福島競馬場では重賞2勝、OP1勝という小回りな競馬場では優れた成績を残している。一方で東京競馬場を非常に苦手とし、新馬戦を除けば全て馬券外に沈んでいる。
グレード制導入以後、ラジオたんぱ賞(現ラジオNIKKEI賞)を制した後にGI競走を優勝した牡馬は本馬のみとなっている(牝馬なら93年マイルCS優勝馬シンコウラブリイがいる)。
血統表
*ソルティンゴ Sortingo 1975 鹿毛 |
Petingo 1965 鹿毛 |
Petition | Fair Trial | |
Art Paper | ||||
Alcazar | Alycidon | |||
Quarterdeck | ||||
Soragna 1965 鹿毛 |
Orvieto | Macherio | ||
スズパレード 1981 鹿毛 |
Fior d'Orchidea | |||
Savigny | Mistral | |||
Sernaglia | ||||
*ロムルス 1959 鹿毛 |
Ribot | Tenerani | ||
Romanella | ||||
Arietta | Tudor Minstrel | |||
スズボタン 1972 鹿毛 FNo.7-c |
Anne of Essex | |||
スズキール 1967 鹿毛 |
*ヴィミー | Mimi | ||
Neocracy | ||||
マツトミ | *ヒンドスタン | |||
エベレスト | ||||
競走馬の4代血統表 |
関連動画
関連項目
外部リンク
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