スタン・リー(Stan Lee)とは、マーベル映画出たがりお爺ちゃんアメリカン・コミックのクリエイターである。
概要
マーベル・コミックス創始者の一人。アメコミ界ではその名を知らない者はいない知名度と功績を持ち合わせ、数々のヒーロー・ヴィランを輩出した。
編集後記を「Excelcior!(エクセルシオール=向上せよ!)」と締めることから、この言葉が彼の代名詞として扱われている。
オリジン
ニューヨーク出身。本名はスタンリー・マーティン・リーバー。(1922年12月28日-2018年11月12日)
1940年代初頭のアメリカにてコミックブックという娯楽が生まれて間もない頃、マーベルの前身であるタイムリー・コミックスに入社。ジャック・カービーやジョー・サイモンといった同社のアシスタントとしてキャリアをスタートする。この時初めて書いたキャプテン・アメリカの短編で誰もが知る”スタン・リー”のペンネームを初めて用いた。
彼が最初にマーベルヒーローを誕生させたのは1960年代。マーベル社と名前を変えた当時、スタンにオーナーのマーティン・グッドマンの依頼で新しいコミックを作成してほしいと依頼。同時期にライバルのDCコミックスが『ジャスティス・リーグ』で大成功を納め、経営が苦しかったマーベル社という状況下、スタンは『ファンタスティック・フォー』を生み出す。ストーリーに重要性を置いたスタンの作風が世間にヒットし、DCに押されていたマーベルにとっては反撃の狼煙を上げる契機となった。
その後の60年代だけでもハルク、マイティ・ソー、アイアンマン、X-MEN、スパイダーマンといったマーベルヒーローの代表格を短い期間で輩出。さらには40年代に人気のあったキャプテン・アメリカを復活させ、広大なマーベルユニバースの礎を築き上げた。無論、スタンだけではなくジャックや彼の弟であるラリー・リーバー、カバー絵担当のスティーブ・ディッコらの支えもあってこそである。
80年代に入ると映像事業にも乗り出し、米国を中心にTVでのマーベルヒーローの活躍を支えるように。その後も下記のようにマーベル映画作品群に顔を出し、彼らの活躍を見守った。
マーベル・メソッド
マーベル黎明期の50年代当時、多い時には月に82本もの脚本を一人で手掛けていたスタンが生み出した手法。
これはアーティスト達に仕事が滞りなく行き渡るようにするためのもので、”ストーリーの大まかなプロットを渡し、作画が出来上がってから台詞を入れる”という流れ。
アーティストと脚本の間で作品の整合性などを付ける目的もあり、当時は苦肉の策であったこの手法を用い、作品の品質向上に役立てた。この手法は後にライバルのDCコミックスにも取り入れられている。
その他の活動
アメリカン・コミックにおける活動のほか、日本の漫画やアニメの原作を担当したり声優を務めた。
- 機巧童子ULTIMO(原作担当)
- HEROMAN(原作担当)
- THE REFLECTION(長濵博史との共同原作・ミスターミスティックの英語版声優と次回予告)
- マーベルフューチャーアベンジャーズ(ホットドッグ屋の店主の英語版声優)
マーベル映像作品群におけるスタン・リー
スタンは上記のようにマーベルヒーローを題材にした映画の製作総指揮も務めている。
その劇中ではほぼ全ての作品に彼がカメオ出演していることは有名で、新作が公開された際に「今回スタン・リーはどんな役で出てくるのか」という談義に花が咲いた。以下は2000年代からの出演作の一例。
- X-MEN(未来3部作1作目):ホットドッグ売りの店員
- デアデビル(2003年版):新聞を読みながら歩いている所を少年期のマット・マードックに止められる人
- ハルク(2003年版):警備員で初めての台詞付き。隣で会話している警備員はドラマ「超人ハルク」でハルクを演じたルー・フェリグノ
- ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]:コミックにも登場した配達員のウィリー・ランプキン
- スパイダーマン3(サム・ライミ3部作3作目):ピーター・パーカーを励ます市民
- アイアンマン:パーティ会場の偽ヒュー・ヘフナー
- キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー:戦時中にキャップが用いたコスチュームを監視する警備員
- マイティ・ソー:ニューメキシコに飛来したムジョルニアをトラックで引っ張り上げようとする老人
- ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:別の惑星で若い女性をナンパする老紳士。初の地球人以外の配役
この他にもドラマ『エージェント・オブ・シールド』や、彼が原作を手掛けたアニメ『HEROMAN』、日本では予告詐欺で有名な『ベイマックス』、果てはPlayStation4用ゲームソフト『Marvel's Spider-Man』など、MARVELが関わる作品には大体どこかにスタンがいる。映画やDVDを視聴する際は、ぜひその部分にも注視してほしい。
2012年、Youtubeにチャンネル「Marvelous TV」が開設。ヒーローたちの「ツイてない日」の出来事をコミカルに描いたショートアニメーション「Bad Days」に(アニメキャラとして)カメオ出演した。
ちなみにこのシリーズは基本的にMARVEL作品が題材だが、それ以外(DCやダークホースなど)も題材としており、その回には登場しない。バットマンの回には登場したものの「あっ、ワシ出ちゃいけなかった」と言い残してすぐ姿を消している。
訃報
数々のスーパーヒーローを世に送り出し、その実写映画に自身が登場するなど老いてなお盛んなスタン・リーであったが、2018年11月12日、95歳にしてこの世を去った。
恒例のカメオ出演は、2019年公開の『アベンジャーズ/エンドゲーム』が最後の登場となった。
1970年のニュージャージー、軍駐屯地近くを車で爆走するヒッピーの男性。当時反戦運動の標語として流行したフレーズ「戦争せずに恋をしろ!(Make love, not war!)」を叫んでいる。
2019年3月公開の『キャプテン・マーベル』では、冒頭のコミックをめくる演出からMCU所属のヒーローたちが次々現れるMARVELロゴの映像が、カメオ出演したスタン・リーに差し替えられる「スタン追悼バージョン」に変更され、最後には「THANK YOU, STAN」のメッセージが流された。
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https://twitter.com/TheRealStanLee/status/1062078268319268864
死後の肖像権
2022年、MARVELがスタン・リーの肖像権に関して20年間の契約を結んだというニュースが報道された。
この契約でMARVELは今後もスタン・リーの写真などを使ったグッズなどを作れる他、CG技術で動くスタン・リーを再現することもできるようになった。
「スタン・リーは帰ってくる」の一文がスクリーンに映される日も来るかもしれない。
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関連項目
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