『スター・ウォーズ 暗黒の会合』(Star Wars: Yoda: Dark Rendezvous)とは、『スター・ウォーズ』サーガの小説である。
「レジェンズ」作品群に属する。単巻。著者はショーン・スチュワート。
なお、当記事における人名・役職名など固有名詞の日本語表記は、原則的に本書邦訳に基づく。
概要
映画『エピソード2/クローンの攻撃』と『エピソード3/シスの復讐』のあいだを橋渡ししてクローン戦争を描く「クローン大戦ノベル」シリーズの第四作。原題にヨーダの名が入っているように、ジェダイの偉大な長老ヨーダの、お茶目さと偏屈ぶりの中に底しれない叡智の潜む小さな姿を、周囲のジェダイや若きパダワンたちの視点を中心に描く作品である。
原著は長編小説単巻(ペーパーバック)で2004年刊行。邦訳は翌2005年に文庫版上下巻構成でソニー・マガジンズより出版された。日本語訳は富永和子によるもので、邦訳本表紙イラストは長野剛が担当した。
アナキン・スカイウォーカーなど本来の主役級のキャラクターが脇役に引き下がったいっぽうで、主人公に抜擢された少女ジェダイ、スカウトの強気ひねくれツンデレ美少女ヒロインぶりがとにかくかわいい一作。それはもうとんでもなくカワイイ描写が詰め込まれた本作一作をもってSW美少女ヒロインズの最上層に名を連ね、SW最萌トーナメント優勝は堅いといえよう(編集者私見)。
ストーリー
クローン大戦のさなか。ジェダイ聖堂に分離主義者の指導者ドゥークー伯爵から伝言が届く。ドゥークーは平和を望み、恩師ヨーダにだけわかる表現で、会いたい、ジェダイに戻りたいと伝えてきたのだ。彼の居場所は惑星ヴジュン。むろん本心という保証はなく、おそらく罠にすぎないだろうが、たとえわずかな可能性でも、終わりの見えない戦争を終わらせ今後の犠牲を無くすチャンスを逃すことはできない。
そのジェダイ聖堂で訓練に励む年少のアプレンティスのひとり、14歳の少女スカウトは、クローン戦争で師を亡くした身。負けん気とジェダイを目指す志は誰より強いがフォースが弱い劣等生の彼女は、ジェダイへの道に踏みとどまるためアプレンティス・トーナメントに挑み、必死の努力を重ねて一位を勝ち取った。彼女の姿を見ていたヨーダは、彼女をジェダイ・マスター、ジェイ・マラクのパダワンに推挙する。
師弟の最初の任務は、トーナメントで最後に打ち勝った相手である歳下の優等生ウイーとその師マックス・リームらとともにヴジュンへ行くこと。だが身分を隠し怪しげなR2ユニットを引き連れ、安い旅客船で旅する中で、ウイーは珍しいドロイドに声をかけられる。ヴジュンの名家マルロー家に数百年仕えてきたと語るそのドロイド、フィデリスは、ウイーこそマルロー家の御曹司、最後の世継ぎだと言うのだ。幼いうちに聖堂に引き取られた身のウイーは、思いがけないルーツとの出会いに衝撃を覚えるのだった。
【以下、後半はネタバレ回避のため格納】
客船を降りたフィンダー宇宙港で、彼らはフィデリスの同僚であるドロイド、ソリスに手引きされた強敵アサージ・ヴェントレスの襲撃を受ける。マラクとリームはアサージの前に斃れ。パダワンたちはR2ユニットに扮していたヨーダや同僚の裏切りに動揺するフィデリスとともに、師を失った悲しみをかかえながらも旅を続けるが、到着したウイーの故郷ヴジュンは、強力で異常なフォースが漂う星だった。
ヨーダはマルロー館に忍び込み、館に滞在するドゥークーと対峙する。暗黒面の利点を説くドゥークーだが、誘いに乗ってみせたヨーダが垣間見せる暗黒の力に恐れを抱く。いっぽうパダワンたちは、待ち構えるアサージに捕らえられ、フィデリスが破壊されてしまう。アサージはウイーの内心を読み取り暗黒面へと誘うが、スカウトに勇気づけられた彼は断固として拒否し、ソリスの助けを得て逃げ出した。
アサージはパダワンたちを追うが、ふたりのジェダイが立ちはだかる。アナキン・スカイウォーカーとオビ=ワン・ケノービ。ヨーダの安全を危惧したパルパティーン議長が送り込んだ増援だった。不利を悟ったアサージとドゥークーはそれぞれに逃亡し、パダワンたちは無事保護される。
コルサントへの帰路、ヨーダは銀河の現実に触れた若者たちに語る。ジェダイの故郷はフォースそのもの。どこにいようと、ジェダイは故郷にいるのだと。スカウトとウイーは帰郷を喜びあい、ヴジュンに残されたドゥークーは孤独を噛みしめるのだった。
ヴジュン
酸性雨の降る居住惑星。かねてよりマルロー家のような由緒ある家柄にフォース感知能力を持つ者が生まれることが多く、彼らの誇りでもあった。しかしある時、住民のミディ=クロリアン値を遺伝子操作で高めるという計画が実行されると、住民の誰もが訓練もないまま強いフォースを獲得することとなり、ことごとく狂気に陥った。彼らのほとんどが狂い死にする惨事の末、惑星は無人となり荒廃した。
ウイーは、この計画の一端を担い、狂気の末に猜疑心にかられてついには餓死した第17代にして最後のマルロー家当主の長男である。彼は赤子のころ、狂った夫人ウィリーからジェダイへと引き渡された。
事件以来、惑星上ではフォースが強く感じられるようになり、特に暗黒面の影響が色濃く出る危険な土地となった。事件は世にほとんど知られていないが、ドゥークー伯爵はかつてヨーダから聞き知っており、自身の暗黒面のフォースを強める優良な隠れ家としてヴジュンのマルロー館を拠点にしている。
登場人物
ジェダイ騎士団
- スカウト / タリシベス・エンワンダング=エスターヘイジー
Scout / Tallisibeth Enwandung-Esterhazy - 人間・女性。アプレンティス。「強引で、エネルギッシュで、頭がよく、かわいい」14歳の美少女。
フォースが弱く落第寸前だが、置かれた状況を最大限に活用する機転と負けん気の強さが評価される。しかし小悪魔的ですらある強気で利発な性格は劣等感の裏返しで、自己評価はひどく低く、内心では卑屈になりがち。相手の出方を予測して対応する戦いぶりから「スカウト」のあだ名で呼ばれる。 - ウイー Whie
- 人間・男性。ジェダイ・パダワンの少年。13歳。映画『エピソード3/シスの復讐』に登場する。
ハンサムで物腰穏やか、察しの良い生真面目な優等生だが、昔から正夢に悩まされ、胸の裡には暗黒面への深甚な恐怖がある。思春期の男の子として、一歳上のスカウトの美少女ぶりに心を揺らがされる。 - ジェイ・マラク Jai Maruk
- 人間・男性。ジェダイ・マスター。スカウトの師となる。
アサージ・ヴェントレスに敗れて捕らえられるも、ドゥークーの伝言の運ぶため解放された身。自身に師が務まると思っておらず、ヨーダの推挙で不承不承にスカウトを弟子としヴジュンへと旅立つ。 - マックス・リーム Maks Leem
- グラン・女性。ジェダイ・マスター。ウイーの師。
穏やかで有能、おっとりとして揺らがない冷静沈着な調停者で、ジェダイが戦士となることを望まない。ジェダイ聖堂で年少のアプレンティスを教えながら、弟子としたウイーを可愛がっている。 - ヨーダ Yoda
- 男性。ジェダイ騎士団のグランド・マスター。齢900になんなんとするジェダイ騎士団のリーダー。
アプレンティスを教えるのが日課で、茶目っ気たっぷりの性格で若いジェダイを翻弄する。その小さな身体には、強いフォースと恐るべき実力、そして豊富な経験となによりも深い叡智を秘めている。 - アイリーナ・チャン Ilena Xan
- 人間・女性。ジェダイ・マスター。 クローン戦争中も聖堂にとどまる主要なジェダイのひとり。
マラクの友人で、アプレンティスたちに素手での戦闘技術を教える教師。特に関節ロックを得意とすることから、生徒には「鋼鉄の手(アイアン・ハンド)」のあだ名で親しまれている。 - メイス・ウィンドゥ Mace Windu
- 人間・男性。ジェダイ・マスター。ジェダイ・カウンシルの長老。
最高峰のジェダイだが、政治づきあいは不得意な堅物。罠を危惧しつつもヨーダをドゥークーとの会談に送り出す。スカウトの苦境には、きっぱりジェダイの道を諦めさせるほうが幸せと考えている。 - アナキン・スカイウォーカー Anakin Skywalker
オビ=ワン・ケノービ Obi-Wan Kenobi - ともに人間・男性。ジェダイ。
かつては師弟、今もコンビを組む強力で英雄的なジェダイで、目下はコルサントを離れて任務中。アナキンは妻パドメのいるコルサントに戻る日を待ち望み、オビ=ワンも相方の恋愛を薄々察している。
ヴジュンのマルロー館
- ドゥークー伯爵 Count Dooku
- 人間・男性。シス卿。独立星系連合のリーダーにしてセレノーの伯爵たる、疲労困憊した老人。
幼い頃の思い出をよすがに、恩師ヨーダをヴジュンに呼び寄せる。はたしてヨーダへの罠なのか、それとも真に助けを求めているのか、本心は定かではない。あるいはドゥークー自身にも。 - ウィリー Whirry
- 人間・女性。ヴジュンのマルロー家最後のひとりで、ウイーの母親。
かつてジェダイに赤子のウイーを差し出した張本人だが、完全に狂気に陥っており、今は館の客人であるはずのドゥークーの小間使いのような状態。ペットのヴジュン・フォックスを溺愛している。
銀河の人々
- パリアス・チャフ Palleus Chuff
- 人間・男性。銀河共和国の舞台俳優。身長1メートルに達しない小柄な体格。
ヒーローを演じる夢を持ち、自ら脚本し主人公ヨーダに扮した演劇『ジェダイ!』が大当たり。見事にヨーダを再現する演技で称賛を浴びたが、色々あってヨーダの影武者として面倒事に巻き込まれる。 - フィデリス Fidelis
- タック=スペック・フットマン・ドロイド。「紳士の紳士的従者」。
12代にわたりマルロー家に仕える執事ドロイドとして家政に長い経験を持つ。最後の当主の妻ウィリーの命によりソリスともどもウイーを連れ戻すよう送り出されて幾星霜、ついに彼を見つけ出す。 - ソリス Solis
- タック=スペック・フットマン・ドロイド。フィデリスの同僚。
フィデリス同様にマルロー家に仕えてきた身。表面こそ地金むき出しでぼろぼろに見えるが、内部には強力な武装が追加されている。同僚フィデリスと比べ皮肉っぽい性格で、ずっと哲学的かつ実利的。 - アサージ・ヴェントレス Asajj Ventress
- 人間・女性。ダーク・ジェダイ。ドゥークーの配下。
分離主義者に与し、嗜虐的でジェダイを圧倒する戦闘力を持つ。主ドゥークーの弟子となることを望み、彼を恐れてもいるが、ドゥークーとその師シディアスとの関係については冷静に見極めている。
関連動画
関連項目
| スター・ウォーズ レジェンズの邦訳小説 (作中時系列順) |
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|---|---|---|
| 前作 | 本作 | 次作 |
| ジェダイの試練 (19BBY) |
暗黒の会合 (19BBY) |
悪の迷宮 (19BBY) |
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