スチュアート・ホール(1932~2014)とは、カルチュラル・スタディーズの代表的な研究者である。
概要
イギリス統治下にあったジャマイカで生まれ、1951年にイギリスにわたりオックスフォード大学で英文学を学んだ。1956年にスターリン批判、ハンガリー騒動によって旧来のマルクス主義的運動が壊滅的大打撃を受ける中、ラルフ・サミュエルらとともに『ユニヴァーシティーズ・アンド・レフト・レヴュー』、『ニュー・レフト・レヴュー』の創刊に関わるといったように新左翼運動の中心的な人物となった。
1964年にバーミンガム大学現代文化研究所に属するが、大衆に関する研究と教育の場を求めて、オープン・ユニヴァーシティに移籍する。
彼の業績としては、50年代に活動したリチャード・ホガートの後を受け、60年代という早くから文化研究をポピュラー・マス・カルチャーにまで広げたことがある。マルクス主義思想史としては、ルカーチ、グラムシの再読を通して、言説レベルでの闘争の重要性を訴えたことで、重要人物の一人となっている。
ホールの思想
ホールの導入した概念としてはエンコーディング(記号化)、デコーディング(記号解読)が有名である。情報とは送り手が情報を放送や記事にする過程、つまりエンコーディングの際に、自分の価値観を意識的であれ無意識的であれ取り入れ、受け手が情報を受け取る過程、つまりデコーディングの際にも受け手の価値観が作用する、というものだ。
ホールはさらにデコーディングにも、以下の3種類があるとする。
- 送り手の解釈を受け手がそのまま受け取る支配的位置
- 送り手の解釈を認めつつ受け手自身の解釈も取り入れる折衝的位置
- 送り手の解釈とは対立する対抗的位置
ホールはそれを踏まえ、メディアに触れる行為とは、送り手に従う受動的なものではなく、能動的で自由な行為である、とするのである。
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関連項目
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