スツーカ(シュトゥーカ、独語: Stuka)とは、ドイツのユンカース(Junkers)社が開発した急降下爆撃機であり、一般にはナチス期のドイツ空軍爆撃機ユンカース Ju-87のことである。
スツーカという語はドイツ語のシュトゥルツカンプフルークツォイク(Sturzkampfflugzeug)の略で、この日本人からすれば何とも長ったらしい単語を分解すると Sturz = 下降、Kampf = 戦闘、Flugzeug = 飛行機(Flug = 飛行、Zeug = 装置)となり、つまりが「急降下爆撃機」となる。
※ Kampfflugzeug は戦闘機・・・・・・ではなく「軍用機」のことだが、第二次世界大戦終結までは専ら「爆撃機」の意味で用いられていた。ちなみに戦闘機はヤークトフルークツォイク(Jagdflugzeug, Jagd は「狩猟」)、爆撃機はボンバーまたはボンベンフルークツォイク(Bomber/Bombenflugzeug, Bombe は「爆弾」)。
概要
第一次大戦後ドイツでは、アメリカの航空ショーでの急降下爆撃デモンストレーションを見ていたく感動したエルンスト・ウーデット航空機総監によって、急降下爆撃の有効性が説かれた。このような状況でユンカース社によって設計・開発された爆撃機がJu-87である。
逆ガル式(根本付近が上方向に向けて折れ曲がった翼)の主翼と、頑丈な覆い(スパッツ)のついた固定式の降着脚が特徴で、急降下爆撃に特化した設計となっている。爆撃時の強烈なGと対空砲火に耐えるために頑丈に設計されており、整備性も良い。爆弾を投下する際は、アーム型の投弾装置が爆弾をプロペラの旋回半径の外に放り出し、さらに自動化された操縦装置によって自動的に機体が引き起こされるようになっている。急降下による甲高い風切り音は、「悪魔のサイレン」と呼ばれ、ひとたびこの音が聞こえると連合国軍の兵士はパニックに陥ったと言われる。「ジェリコのラッパ」と呼ばれる、風で小さなプロペラを回して音を出すサイレンを主翼につけた機体も存在した。初めて前線に投入されたのはスペイン内戦で、多くの戦果を挙げ、ドイツ軍上層部の急降下爆撃指向を過熱させた。
ハンス・ウルリッヒ・ルーデルといった多くの爆撃機エースが愛用したのもこの機体である。頑丈な装甲のおかげでパイロットの生存性が高かったために、機体が撃墜されても脱出し、その足で前線基地に舞い戻り、再度出撃するエースも多かったようである。
一方でJu-87は後継機に恵まれず、後期にはその設計コンセプトは完全に時代遅れとなっていた。最高速度375km/h(当時の一般的な戦闘機で500km/h)の重鈍な機体は戦闘機や対空砲火の格好の餌食となり、目立った戦果を挙げられないようになっていた。しかしゲーリング、ウーデットらナチスの空軍高官は依然として急降下爆撃機神話に取り憑かれており、結果としてJu-87はさしたる改修もないまま終戦まで使用されることとなった。この急降下爆撃機神話はドイツの航空機設計に多大な影響を与え、戦略爆撃機や空母戦力においてドイツが連合国に大幅に立ち後れる原因となった。
※ 第一次世界大戦では帝政ドイツはロンドンへ戦略爆撃を行っている。また第二次世界大戦の前にはウラル爆撃計画などの戦略爆撃計画及びその為の機体選定なども行われており、有名なゲルニカ爆撃による検証もされているので当時のドイツ軍が戦略爆撃に無関心であったという訳ではない。再軍備間もなく限られた国力の中で大戦が勃発してしまい、生産力の限界からドクトリン(軍の指針、教義)に沿った手っ取り早い戦果と定数を揃えられる戦術爆撃に優先順位が与えられたという点も重要なファクターである。尚後継機に関しては計画だけならば存在し、一足飛びにジェット急降下爆撃となっているのはいかにもドイツらしいといえばらしい。原型機が完成間近で終戦を迎えている。→Hs132
日本におけるアニメや漫画においては、Ju-87やそれをモデルとした航空機を見かけることは少ないが、印象的なデザインのために名前を知っている人も多いかもしれない。
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関連項目
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