スティール・ボール・ランとは、荒木飛呂彦の漫画「ジョジョの奇妙な冒険」第7部の副題である。
概要
第六部「ストーンオーシャン」にて「ジョジョの奇妙な冒険」の世界観はパラレルワールドに突入し、前作までの人物・ストーリーともに直接的なつながりはないが、第一部から第六部までに登場したキャラクターと似た名前や似通った設定など、完全に前作までと断絶したわけではない。
本作品は当初「ジョジョの奇妙な冒険」のタイトルが入っていなかったが、単行本第1巻の作者コメントでは『実質的に「ジョジョの奇妙な冒険」PART7』と明記しており、掲載誌を「週刊少年ジャンプ」から「ウルトラジャンプ」へ移籍後、改めてタイトルに「ジョジョの奇妙な冒険 Part7」が付けられた。
あらすじ
肉体が……
……という意味でなく
青春から大人という意味で……ぼくの名前は
『ジョニィ・ジョースター』
1890年9月25日、人類史上初の乗馬による北米大陸横断レース『スティール・ボール・ラン』レース(以降SBRレースと表記)が開幕する。総距離約6,000kmの過酷極まるレースを勝ち抜いた者に賞金5千万ドル(約60億円)が与えられる。
レースの参加者「ジャイロ・ツェペリ」と「ジョニィ・ジョースター」はそれぞれの目的のため協力関係を結び、数々の困難を乗り越える。しかし、このレースの裏にはある陰謀が潜んでいた。
大統領「ファニー・ヴァレンタイン」の『聖人の遺体』を回収する計画、それを知ったジャイロとジョニィに迫る刺客。二人は試練に立ち向かい、優勝と遺体の回収を目指す。
主な登場人物
- ジョニィ・ジョースター
- 本作の主人公の一人。元天才騎手だったが、慢心により下半身不随となる。ジャイロに出会い、「鉄球の回転」に生きる希望を見出し、その秘密を求めレースに参加。その後、「悪魔の手のひら」に遭遇し「遺体の左腕」を手に入れたことでスタンド能力を習得。レースの陰謀を悟り、遺体の回収を決意する。スタンド能力は爪を回転・射出させ物体を切り裂く「牙(タスク)」。本名は「ジョナサン・ジョースター」であり、第1部の主人公と同姓同名。
- ジャイロ・ツェペリ
- 本作の主人公の一人。ネアポリス王国の死刑執行人の家系を持ち、後継ぎとなる予定であったが、「国家叛逆罪」という無実の罪で処刑されることになったマルコ少年を救うため、国王の「恩赦」を求めレースの優勝を目指す。先祖から受け継いだ「鉄球の回転」の技術を武器とする。スタンド能力は「遺体の右眼」によって鉄球に備わる「スキャン」能力。遺体がなければ発動できない。
レース終盤には鉄球の技術の向上により、次元の壁を超えることができ、攻撃を受けた部分を老いさせるスタンド「ボール・ブレイカー」を発現した。第1部などに登場する波紋使い「ツェペリ」一族の姓を持つ。
SBRレース関係者
- スティーブン・スティール
- SBRレースの主催者。現在51歳で、若い頃に騎兵隊を除隊後、様々なプロデュース業を営むが信用を失い途方に暮れていた頃、後の妻であるルーシーのアドバイスを参考に「スティール・ボール・ラン」を企画。しかし開催の裏には大統領への協力が不可欠だった。だが、完全な大統領の味方というわけではない。
- ルーシー・スティール
- スティールの妻。14歳。スティールの亡き初恋の女性と似ていたことから求婚を申し入れられ、結婚。お互いにかけがえのない相手である。大統領の陰謀を偶然知り、スティールを助けるためジャイロ・ジョニィらの遺体回収に協力する。「遺体」の一部を宿したことにより、切った相手に不幸を与える「涙の乗車券(チケット・ゥ・ライド)」が現れた。旧姓はペンドルトン。第1部のヒロイン「エリナ・ペンドルトン」と同じ姓。
- ファニー・ヴァレンタイン
- 作中の第23代アメリカ大統領。SBRレースを利用し、遺体回収を目論む。そのためには手段を問わず、遺体を手に入れたジャイロ・ジョニィらを抹殺するため刺客を送り込む。過去に「悪魔の手のひら」で「遺体の心臓」を手に入れた。物体に挟まれることで異世界を行き来出来るスタンド能力「D4C(ディー・フォー・シー)(Dirty Deeds Done Dirt Cheap)」を持つ。
主なSBRレース参加者
- ディエゴ・ブランドー
- 通称Dio。下層階級の出身だが、名誉あるイギリス競馬界の天才騎手として実力が認められているレースの優勝候補。しかし目的のためにどんな汚い事もやると黒い噂も絶えない。社会の頂点に君臨する権力を得るため、優勝を狙う。「遺体の左眼」を手に入れたことで大統領の刺客「フェルディナンド博士」の能力を受け継ぐ。スタンド能力は自身を恐竜化、または他の生物を恐竜化させ支配下に置く「スケアリー・モンスターズ」。ジョースター家の宿敵「ディオ・ブランドー」と同じ姓や名を持つ。
- 砂男(サンドマン)
- ネイティブアメリカンの青年。故郷の土地の権利を白人から買い戻すため優勝賞金を目的にレースに参加する。思い込んだら他人と協調しない性格。馬を使わず、自身の足のみで優勝を目指す。スタンド能力は「イン・ア・サイレント・ウェイ」。音を具現化する能力を持つ。
- マウンテン・ティム
- ワイオミングのカウボーイ。「伝説のカウボーイ」の渾名を持つ優勝候補の一人。過去に騎兵隊に所属していたが、「悪魔の手のひら」で小隊は遭難。スタンド能力を身に付けたため唯一生還を果たした。以降、能力を「立ち向かうもの」と解釈し、スタンドと名付けた。スタンド能力はロープに触れた者の肉体をバラバラにして操る「オー!ロンサム・ミー」。ルックスもイケメンだ。
- ポコロコ
- 農民の黒人青年。ジプシーの占い師に50億人にひとりの幸運の持ち主と言われ、もっとハッピーな生活を送るためレースに参加。その幸運でレースを混乱させる。スタンド能力は長らく詳細も名称も公表されていなかったが、最新画集JOJOVELLERで名称は「ヘイ・ヤー」と明かされた。
- 作者の荒木飛呂彦氏曰く幸運を運んできているだけではなく、ただポコロコを勇気づけてるだけらしい。
- ホット・パンツ
- 正体不明の騎手。レース上位をキープする実力者。ジャイロ・ジョニィと敵対していないが、遺体回収を目的としている。スタンド能力は肉を絞りとり泡状に放射する2本のスプレー「クリーム・スターター」。
- ノリスケ・ヒガシカタ
- 仙台藩出身の日本人。へそが2つある男としてイタリアの新聞に載った事のある68歳。第4部の主人公「東方仗助」と似た名前を持ち、出身地も杜王町のモデル仙台である。第8部では名前の漢字表記が「東方乗助」であると判明し、彼の曾孫の東方憲助(主人公の養父)によると、レースの後にフルーツの輸入事業を始めて成功したという。
大統領からの刺客・家族・部下たち
- ミセス・ロビンスン
- レース以外では記念すべき第7部初のバトル相手。グロ注意ッ!グロ注意ッ!
- ブンブーン一家
- 第7部初のスタンドバトルとなった相手。父親のベンジャミン、長男のアンドレ、次男のL・Aの一家3人。3人のスタンド能力は共通して鉄分を自由に操ることが出来る「トゥーム・オブ・ザ・ブーム」。3人それぞれにこの名前の後には「ワン」「ツー」「スリー」と付き、3人それぞれのスタンド像の細部も違う。
- オエコモバ
- ジャイロを追ってきたネアポリス王国のテロリスト。顔面が網目に覆われている独特な風貌を持つ。スタンド能力は触れたものを時限爆弾にする「ぼくのリズムを聞いてくれ」。
- ポーク・パイ・ハット小僧
- 大統領が主人公二人から遺体を奪うため送り込んだ刺客の一人。顔の周りに小さな竹の束を多く付けている。目標を異空間を通して釣り上げるスタンド能力「ワイアード」で二人を苦しめた。
- フェルディナンド博士
- 「大地」に常に畏敬を払う大統領からの刺客。スタンド能力「スケアリー・モンスターズ」を使い、ディエゴやロッキー山脈に住む村人たちを恐竜化して、二人を襲った。
- リンゴォ・ロードアゲイン
- 大統領の刺客。公正な果たし合いに打ち勝つことで精神を成長させる「男の世界」という価値観を持つ。抹殺の任を受けながらも対象のジャイロ・ジョニィと対等な決闘を申し出る。スタンド能力は腕時計の秒針を戻すことで時間を6秒戻す「マンダム」。時間が戻っていてもその間の出来事は皆記憶している。
- ブラックモア
- 大統領直下のスタンド使い。黒のコートと手に持った傘が特徴。口癖が「すいませェん」と謙虚な人柄。
スタンド能力は雨粒を固定化させる雨天限定の仮面型スタンド「キャッチ・ザ・レインボー」。 - マイク・O
- ヴァレンタイン大統領と大統領夫人の身辺警護を行うボディーガードの世界。語尾に「世界」といつも付けている世界。
金属をバルーンアートのように作り変え操るスタンド能力「チューブラー・ベルズ」を使える世界。 - スカーレット・ヴァレンタイン
- ヴァレンタイン大統領夫人。バイセクシャル。
- 11人の男たち
- 二人を追ってきた11人の大統領からの刺客。全員が大きなつば付きの帽子を被り、銃を武器に戦う。11人で1つのスタンド能力「TATOO YOU!」で意表を突く戦い方で二人へ襲い掛かる。
- ウェカピポ
- 元ネアポリス王国の王族護衛官。妹を暴行していた夫と「決闘」し勝利するも、その夫の父親は国家の重要人物であったため国外追放になる。「市民権」や「永住権」、重要職の「地位」を受けるため大統領の刺客となりジャイロ・ジョニィの前に立ちはだかる。ツェペリ一族とは違う鉄球「レッキング・ボール(壊れゆく鉄球)」を武器とする。14個の小さな球体パーツ『衛星』があり、鉄球の回転によりランダムに飛ぶ。これにかすると左側の感覚が十数秒間失われる「左半身失調」状態にする。
- マジェント・マジェント
- ウェカピポと行動を共にする、大統領の刺客のスタンド使い。ウェカピポに曰く「下っ端のクズ」。
スタンドはあらゆる攻撃・ダメージを外部へ受け流す無敵のバリアのような能力「20th century boy」。 - アクセル・RO
- ヴァレンタイン大統領が派遣した刺客の一人。ミリタリーヘルメットを被っている。過去に重大な罪を背負っており、それをジョニイたちになすりつけることを考えていた。
スタンド能力は相手の犯した罪が相手に襲い掛かる「シビル・ウォー」。 - ディ・ス・コ
- フィラデルフィアにてジャイロに戦いを挑んだ大統領からの刺客。髪に四角い飾りを付けている。スタンド能力は自分が指定したマス目に物体を落とすことが出来る「チョコレート・ディスコ」。
その他登場人物など
- グレゴリオ・ツェペリ
- ジャイロの父親にして鉄球や処刑人としての師匠。
- ウルムド・アブドゥル
- ラクダで参加した優勝候補だったけど、最初にリタイアした。第3部の登場人物「モハメド・アヴドゥル」と似た名前を持つ。
- フリッツ・フォン・シュトロハイム
- SBRレース参加者だが、ジャイロの追手。自身の機械化した身体の攻撃でジャイロに襲い掛かる。第2部の登場人物「ルドル・フォン・シュトロハイム」と似た名前を持つ。
- ジョージ・ジョースター(SBR)
- ジョニィの父親。2人の息子がいるが、亡くなった長男のニコラスばかりを溺愛し、ジョニィには態度が冷たい。
- ニコラス・ジョースター
- ジョニィの兄。騎手として天賦の才があり、弟のジョニィにも優しい性格。落馬が原因で亡くなってしまう。
- シュガー・マウンテン
- ミシガン湖畔の大木に住む少女。視力がほとんどなく、杖を使って暮らしている。「シュガー・マウンテンの泉」のスタンド能力により、泉に物を落とした者に取引を持ち掛けている。
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
ファントムブラッド - 戦闘潮流 - スターダストクルセイダース - ダイヤモンドは砕けない - 黄金の風 - ストーンオーシャン - スティール・ボール・ラン - ジョジョリオン - The JOJOLands
- 21
- 0pt