ステラーカイギュウ単語

3件
ステラーカイギュウ
2.7千文字の記事
  • 3
  • 0pt
掲示板へ

ステラーカイギュウステラーダイカイギュウとも)とは、かつて地球上に存在していた哺乳類の一種である。

概要

人間の私利私欲のために絶滅してしまった動物の一種として知られる。

特徴

ジュゴンジュゴン科ステラーカイギュウ属に属していた哺乳類
外見が似ているが、ジュゴンらとは異なり寒い地域に生息していたのが特徴。
よりも一段階上の食とし、昆布などを多く食して脂肪を備え、の寒い気に対応していたとされる。食べる時はと下についていた細かい溝の付いた嘴状の器官で、よく動く唇とこの嘴を使っていたという。

の間は食物をあまり摂取出来ないため、が見えるくらいに痩せ細っていたという。これは後述の食料不足がさらに拍をかけたと言われている。
体長は均して7メートル、最大で8メートルえる大物で、重さはそれにして5~12トンはあった。反面に潜ることは苦手で、ぷかぷかとに浮かんで生活していた。10頭~20頭程度で群れを成していたとされる。
ただ浮かんで生活していたのは、こうして身体を地上にさらすことで体温調節をしていたといい、さらにに生息していたのが浅瀬なのは、にいる多くの外敵の活動範囲から離れるためとされる。
ちなみに浮かんで生活していたためか、ヒレのような前足にはなく、そこもジュゴンとは異なる特徴であった。 

妊娠期間は約1年で、それだけかかってようやく1頭のみを出産していたという。
その分、夫婦はとても強かったといわれるが、これは後に起こる絶滅める習性となった。

発見

その存在を発見したのは、1741年にロシア帝国によって結成された第2次カムチツカ探検隊医師であるゲオルク・ヴィルヘルム・シュテラーステラー)である。命名には発見者であるステラの名が付けられた。
ちなみに彼等が漂着したベーリングベーリング)は、ベーリングに葬られた船長ヴィトゥス・ベーリングが由来となっている。

による座礁に加え、壊血病にかかったベーリング船長を始めとする員の多くは息絶えてしまったが、なんとか生き残ったステラーら員達は、当時無人島だったベーリングにおいて越することを決意する。
この時発見した動物こそが、このステラーカイギュウである。

ステラーカイギュウは、食料の枯渇した彼等には正にの恵みであった。ステラー達がボートを漕ぎ入れても、ステラーカイギュウは何ら警心を示さなかったのである。
そんな彼等は、漂着したステラー達の重な食料となった。仔牛の味に似ていると言われるそのは、3トンもの量と脂肪がとれたという。
しかも
保存性に優れ、越をはじめ、から脱出する時の食料としても重宝された。皮はベルトや防寒具、バターなどにもなり、ステラーカイギュウが居なければ、ベーリングからの脱出はより困難を極めたことであろう。

ステラーは自然学者でもあったので、ベーリングにいた動物達についての生態研究も行なっていた。こうしてステラーは、ステラーカイギュウを始めとしたに生息していた動物の調結果を、からの帰還時に発表した。
ステラーはその後、出港から10年と経たない1746年11月に死去したが、この遺稿の中からもいくつかの本が出版された。

しかし、これらの発表は人間欲望を刺し、ステラーカイギュウに悲しい運命を辿らせることとなる。

絶滅までの道

ステラーの発表を見聞きしたハンター商人は、速ステラーカイギュウをハントしにベーリングに押し寄せた。
前述したように警心のなかったステラーカイギュウはハンターにとってはに浮かぶづるであり、際限ない狩りが行われた。
ステラーカイギュウは襲われても蹲るばかりで抵抗しないばかりか、むしろオス達が外敵に襲われたメスを守ろうと寄ってくる習性があった。これはハンターにとっては、まさにカモネギを背負ってくるような、ありがたい話だった。

だが、5トンもあるステラーカイギュウは人の手で運ぶのは難儀で、狩りをする時は殺してからその屍が岸辺に打ち上げられるのをじっと待つ、という方法がとられた。
そのため、5頭のうち4頭はの藻と消え去り、駄死となっていたことは有名な話。

しかし、ハンター達も、このステラーカイギュウが発見された時点で既に10002000頭程度しか残っていなかったことを知らなかった。
あっという間に個体数を減らしたステラーカイギュウを見て、これに大きく慌てたコマダル開拓本部は、ステラーカイギュウの捕獲禁止を出した。

が、時既に遅しだった。

1768年、ステラーの元同僚が「まだカイギュウが2、3頭残っていたので殺した」という報告を行ったのを最後に、ステラーカイギュウは人々の前から全に姿を消した。
発見からわずか27年というあっという間の絶滅だったが、わずか1000頭程度しかいなかったのにも関わらず、27年も保っていた……とも言えなくはない。

カイギュウ類は有史以前にそのすべてが絶滅しており、本種が最後の生き残りであったが、この最後の一種も人間の手によって、絶滅を辿ることになる。

余談

発見当時に生息予測頭数からして、ステラー達に発見された時点で既にステラーカイギュウは絶滅していた、ということになる。
その原因は人間ラッコを乱獲したことでウニが大繁殖し、ステラーカイギュウの食物昆布)が減していたからだという説もある。

要はステラーカイギュウは既に人間によって追い詰められていたのである。よってステラーカイギュウの越は従来よりもさらに困難を極めていたのだ。

なお、10万年前の大昔は、日本アメリカカルフォルニア州などの沿に広く分布していたということが調明らかになっている。
しかし気の変化や人間が土着したことによって、ステラーカイギュウの住みやすい土地は徐々に失われ、やがてはベーリングのあるコマンドル諸のみに生息するようになったと言われている。

多くの絶滅動物同様に、絶滅と断定された後の発見例がいくつか存在するが、その多くが物とされており、案の定というべきか信憑性には乏しい。
ちなみに、ベーリングに同じく生息しており、ステラーによってその存在が明かされたメガネウも、ハンター達によって狩り尽くされて絶滅しているのは、なんとも皮な話である。

だが、ステラー達、生き残った員達の命を救ったのは、ステラーカイギュウ達の尊い犠牲があったからこそということを忘れてはいけない。

関連動画

関連商品

関連項目

【スポンサーリンク】

  • 3
  • 0pt
記事編集 編集履歴を閲覧

ニコニ広告で宣伝された記事

VOCALOID (単) 記事と一緒に動画もおすすめ!
提供: わんころ助
もっと見る

この記事の掲示板に最近描かれたお絵カキコ

お絵カキコがありません

この記事の掲示板に最近投稿されたピコカキコ

ピコカキコがありません

ステラーカイギュウ

64 ななしのよっしん
2021/08/08(日) 22:10:17 ID: kmb13TlOH+
>>63
流石にその考え方は浅はかすぎるのでは?
👍
高評価
1
👎
低評価
0
65 ななしのよっしん
2021/08/08(日) 22:43:54 ID: RwlQOJTCHH
だって何かの生き物絶滅してからこの生き物絶滅から守るぞとかアホすぎるじゃん最初からやれよと思う
👍
高評価
0
👎
低評価
0
66 ななしのよっしん
2021/08/08(日) 22:47:19 ID: kmb13TlOH+
昔の人はそうしたほうがいいということに気付いていないだけだというのにそのこと馬鹿にするのはおかしい
現代人だって未来人から見ればアホなことしてるかもしれないというのに
👍
高評価
1
👎
低評価
0
67 ななしのよっしん
2021/08/08(日) 22:58:27 ID: 1tCqxfh8U9
人間なんて一度やらかさないと理解出来ないもんよ
👍
高評価
1
👎
低評価
0
68 ななしのよっしん
2021/09/02(木) 11:49:23 ID: RwlQOJTCHH
日本ウナギが第二のステラーカイギュウになりつつある生活できるのと脊椎動物なのも共通してるな
👍
高評価
2
👎
低評価
0
69 ななしのよっしん
2022/02/11(金) 13:43:10 ID: hjNJja36to
イワン某とかいう、殺すなって言われたのに「まだ残ってたからブッ殺してやった」とかいうド畜生
👍
高評価
1
👎
低評価
0
70 ななしのよっしん
2022/02/16(水) 15:28:17 ID: u6Vu8JhfKo
未だに「絶滅してもそれは自然の流れだからマグロウナギもどんどん獲ればいい」とか言ってるすらいるもんなあ
本人は真理を理解してるリアリストのつもりかもしれないけど、結局先の欲しか考えておらず将来的な資に対するリスク管理が出来ないのを誤魔化そうとする詭弁でしかないからな
👍
高評価
2
👎
低評価
0
71 ななしのよっしん
2022/11/01(火) 01:36:32 ID: piJmDgj6B8
そういう人達の考えって「天敵一人も居ない環境だからもう飛ぶや泳ぐ要らないじゃんww」とか言ってるようなもんだからな
カカポかな?
👍
高評価
1
👎
低評価
0
72 削除しました
削除しました ID: ZAobEE423I
削除しました
73 ななしのよっしん
2023/08/22(火) 10:36:44 ID: 1jdfMquVIK
似たような生物ジュゴンも美味いらしい
日本で食べると違法で逮捕されるが、オーストラリアの一部では今でも食えるとか
多分ステラーカイギュウジュゴンと似たような味だったんだろうと思う
👍
高評価
2
👎
低評価
0